富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

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「トリトン」から「ガンダム」への道 富野由悠季はいかにして西崎義展と訣別したのか

2015/08/06 19:04|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:5
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 皆さん、『海のトリトン』という作品をご存知なのでしょうか。日本が誇る漫画の巨匠・手塚治虫が書いた連載漫画『青いトリトン』を、ガンダムの産みの親である富野由悠季(当時:喜幸)監督がアニメした作品です。そしてプロデューサーは、なんとあの『宇宙戦艦ヤマト』の立ち上げた西崎義展氏が勤めたもので、まさに日本アニメ史上で稀に見る三巨頭が集まった伝説的作品なのです。

 しかし、この『海のトリトン』の裏には、三方にめぐる人知らずの壮絶な戦いがありました。

 簡単に説明しますと、虫プロ系列所属だった西崎氏は、最初は社内プロデューサーとして『トリトン』の準備作業をしていましたが、途中で虫プロの経営問題に利用して、手塚作品の版権を手に入れた一方、手塚や経営層と決裂しました。そして最初から雇われた監督であった富野はあえて古巣の虫プロと同じく降板せず、そのまま作品制作に留めて、監督をやり遂げました。詳しい経緯に関して、虫プロ側ではありますが、もっとも詳しく分かりやすく説明していた元虫プロ所属だった眞佐美ジュン氏の記事を読むことがお勧めいたします。

海のトリトン - 真佐美 ジュン

 そしてこの作品の後、三人はそれぞれの道を進むことになり、三人の名前が二度と並列されることはありませんでした。富野はフリーの「さすらいのコンテマン」に戻り、ふたたびフリーの演出家として活躍していました。西崎はのちに大ヒット作『宇宙戦艦ヤマト』を作ることになり、プロデューサーとして本格的に名を売るようになっていました。そして手塚は一時アニメから手を引け、漫画業に専念して、そして『ブラックジャック』でまた大ヒット漫画家として戻って来ました(ついでにアニメも作る)。

 以上は、我々が知っている事実に関するおおまかの紹介です。今日はタイトルで示したとおり、この『海のトリトン』にめぐり、故・西崎義展氏の姿勢と手腕と野心、手塚治虫の経営論、そして富野由悠季監督の選択と決心について語りたいと思っております。


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1、西崎が示したプロデューサーのあるべき姿

 そもそも虫プロの版権にめぐる西崎事件の是非がどうであれ、西崎氏が示したかったことは「プロデューサーはクリエイター(作家)の上に立つべきものだ」だというものでした。これに関して、疑義を持つ人は誰もいないはずです。そして西崎氏の手段がどうであれ、氏が持っているスタンスというか信念は、創作において実はまったくもって、正しいことであると思います。

 宮崎駿監督にしても、鈴木敏夫氏というアニメにおいて稀代のプロデューサーのおかげで、ここまでの地位を得たんです。ジブリの体制は一見宮崎監督が君臨しているけれども、鈴木氏が外に対して調整をしなければ、商売をするどころか、作品を作れるかどうかでさえ怪しいです。つまり、日本アニメのトップクラス集団のジブリにしても、プロデューサーの鈴木敏夫がいなければ、まず成り立てません

 この日本アニメで一番成功だったゴールデンコンビを見るまでもなく、他にも例があります。押井守監督。商業上やばい作品連発だったのにも関わらず、プロダクションIGのバックアップで、いつも新作を作ってもらえる押井と、堅実なスマッシュヒット作品を作ってきたけど、後ろにいる会社が消極的であるため、新作が難産し続けている富野の差を見れば、プロデュース体制の重要性はわかるはずです。

 アニメ作品は、クリエーターだけでは成り立てないのだ



2、「アンチ手塚」としての富野

 以上の話を踏まえて、大胆だと承知してあえて言いますと、創作において手塚治虫を非常にリスベクトする富野監督ですが、アニメ制作においてはその発言の節々から察するに、「アンチ手塚」といっても差し支えないスタンスを取っていると思われます。

 ここでいう「手塚」は、手塚本人のことというよりも、手塚のスタジオ・会社経営を無視するまでクリエイター至上な性格です。つまり「アンチ手塚」というのは、手塚のそんな経営方針、およびそんな手塚を信奉する旧・虫プロのスタッフ、そんな創り方を許容するような会社に対する違和感と言い換えてもかまいません。

 有名な話ですが、富野はアニメ製作においてプロデューサーの重要性を高く見ています。クリエイティブな部分にまで理解を示せればなお良いのですが、そうでなくても、絶えずスタジオ外からの空気をもたらし、わがままな部分に枷を嵌めつつ、創作のもう一つの「目」となるプロデューサーは、映像監督にとって抵抗すべきものであると同時に絶対不可欠な存在なのです。

 こんな富野ですから、アニメ製作に関して手塚とまったく異なるスタンスをとっているのも当たり前なんです。「アンチ手塚」という部分において共鳴する二人は、ついに手を組んで、手塚作品を作ることになりました



3、富野起用について西崎の思惑

 そして、西崎主導で富野を含めた製作陣が打ち出した二つの方針は、「社外制作」および「原作改変」でした。しかもこの合意は、西崎氏がまだ虫プロに所属して上層部と仲違いにならない時期のものという可能性が大きいです。富野が当初から手塚よりかなり自由度の高い演出を任されたというスタッフの証言は、それを匂わせました。

 西崎がなぜ監督を富野に招聘したかというと、もちろん手塚の意向が入っていた、もしくは純粋に富野の腕を買っていたこともあるかもしれません。しかし、のちの虫プロ版権事件を鑑みるに、性悪論でいうと、ひょっとしたら西崎が富野を推したのは「あえて元虫プロ社員で今はフリーの富野を押し出せば、社内の反発を和らげれるのだろう」という思惑があったと邪推することもできます。もちろん仮にそうだとしても、それがプロデューサーをやる上の不可欠の素質ですので、否定はしませんが、事実、のちの推移を見るに、富野は実質的にそのような役割を果たされたのである。



4、富野が下した決断

 一方、きっかけはともかくとして、西崎がだまし討ちに近い形で『海のトリトン』の主導権を握ったことを承知していながらも、富野は何故なお降板せずに引き続き監督として参加した理由として、富野本人の我慢強い性質のほかに、雇われフリーの演出家という立場から考えて、「生計のために仕方なく受けた」という説があります。

 なるほど、確かに一理があります。しかし、虫プロと反目した西崎氏主導のプロジェクトに引き続き参加することによって、今までたくさんの仕事をくれた虫プロに絶縁されかねないリスクを考えれば、弱小スタジオでの監督料と何本かのコンテ・演出料がそんなに魅力的とは言えません。つまり、単純に金に対する打算だけでは到底説明できません※0。

 では、仕事を切られるリスクを覚悟して尚受けた理由は単純です。富野由悠季は監督をやりたい。それもオリジナル作品の監督をやりたいからです。『海のトリトン』はいわゆる原作ものなのですが、早い時期から富野は自由にやらせる承諾と合意を得ました。つまりあのどんでん返しのラストがなくても、『海のトリトン』はすでにオリジナルものに近い作品なのです※1。それがあるから、目の前に想像に絶する製作のゴタゴタに直面しても、劣悪な制作環境を強いられても、富野は監督をやりきった訳ではないでしょうか。


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5、トリトンを経て、西崎と袂を分かつ

 『海のトリトン』の後、虫プロ出入り禁止になったということについて、富野氏はその理由を「勝手にストーリーを変更した」としています※2。しかし、スタッフの話を読むと、そもそも最初から富野は高い自由度を得たことを確認できます。となると、絶縁される理由はストーリーを変更したというよりも、むしろ上で言ったとおり、西崎側に立った(ように見えた)からなのではないでしょうか。事実、『トリトン』の後、富野は再び虫プロ作品に参加することがありませんでした※3。

 手塚治虫というと、このことについて終生悔しかったようで、西崎という名前を聞いただけで激怒したり、『海のトリトン』は自分の作品じゃないと公言しています。弟子の富野とはその後も交流を断っていなかったことを考えると、やはり手塚にとっての西崎の裏切りはそれだけ怒り心頭※4だったことを伺えます。それを察してるか、後年の富野はこの話題になると、普段の饒舌に反して非常に淡白なコメントしか残していません。

 そして西崎氏は『トリトン』を経て、2年後に『宇宙戦艦ヤマト』を作ることによって、一躍時の人となりました。『ヤマト』制作途中、西崎氏は一度だけ当時フリーに戻った富野にコンテを発注したことがあります。しかし富野はそのシナリオを大きく変えてしまって、西崎氏を激怒させた以来、二人は二度と接触しませんでした

 富野によると、自分が西崎に絶縁させられた理由は、「シナリオがつまらないと思い、コンテで修正したので、大目玉を食らった」とのことです。しかし実は、同じくコンテとして参加した安彦良和によると、安彦本人もシナリオを書き換えたコンテを仕上げたという。つまり、「コンテでシナリオを直した」という部分に関してまったく同じであったのにも関わらず、です。※4そうなれば、富野はよほど改ざんがヒドイものを提出したのでしょう。しかも自ら述懐したとおり、「意図的にやった」ほかなりません。

 富野はこれを、西崎との決別だと述べています。おそらくですが、その改変はきっと「これくらいの改変を許容できるならば、まだ組む余地があるよ」という、富野なりの西崎氏へのメッセージなのではないでしょうか。しかし、がっちりコントロールしている西崎氏がそれを許さなかったので、二人は別の道に進む結果になりました。



6、覇道と野心のプロデューサー西崎義展

 上は作品を作るのに、プロデューサーが不可欠で重要なポジションだといいました。

 しかし、西崎氏はプロデューサーとして、作品を作る以上の野心があります。有名になりたい、金を儲けたい、そして権力を持ちたいという自分のための野心でした。それらが作品にプラスな影響を与えることもありますが、70年代、80年代そして90年代、00年代の行動を見ると、西崎の野心はいい作品を作るより、自分を誇示する方向に向かっていたことは、誰の目から見ても明らかです。

 西崎氏の貪欲なハングリー精神はまさにアニメ業界が欠けているものなのでしょうが、その顕示欲、権力欲はあまりにも強すぎるのです。例を挙げて説明するまでもなく、『宇宙戦艦ヤマト』という作品の移り行きはどんな雄弁よりも、現実を物語ってくれました。裁判の正否うんぬんを議論したいわけではない。松本零士氏をはじめとした一流のメンバーを集め、そしてまとめあげたのは確かに西崎氏でした。そして話題になり、映画が大ヒットする流れを仕掛けたのも間違いなく氏でした。そういう意味では、西崎氏は『ヤマト』において、もっとも重要な一人でしょう。

 しかし、『ヤマト』という作品の総指揮は間違いなく西崎氏本人だったとしても、彼は人々がそれを知らないことを憂うかのように、作品制作、宣伝などあらゆる面でそれを執拗に強調します。彼の主導で作られたヤマトシリーズのクレジットにおいても、監督よりも誰よりも、彼の名前が一番目立った所に置かれたのは、この意思の反映なのではないでしょうか。

 創作以外の面で監督を支える以上に、創作においても監督を支配してゆくプロデューサー。このことこそは、富野由悠季が西崎義展と訣別した最大の原因なのではないでしょうか



7、トリトンからガンダムへ:富野由悠季の選んだ道

 富野はプロデューサーの重要性を高く見ていますし、西崎の手腕も高く評価していますが、やはりクリエーターとしての矜持があります。自作へのこだわり、80年代初期でガンダム劇場版にめぐりアニメ制作側の主導権を主張してたことからも分かるとおり、富野は誰よりも作品が作家のものであることを堅持しているアニメ演出家です。それゆえに、作品まで自分のものだと捉えている西崎氏と本質的に合わないのも頷けます。どんなに凄腕なプロデューサーであるにしても、この人の下にいる限り、自分の名前は認めてもらえないからです。また、西崎も上のコンテ発注の件で「富野はコントロールしきれる演出家ではない」と悟って、富野を手放したのではないでしょうか

 『トリトン』の後、富野は一度のみならず、何度も原作ものの世界名作劇場やタツノコ作品の監督をやる機会がありました。しかし、後に出会った高畑勲および宮崎駿といった天才までも正当に評価させてもらえなかった現実を見せられると、富野は結局日本サンライズという、弱小だけどオリジナルものの監督をやらせてくれる居場所を選びました。

 やがて下積みをしつつ、かつて一度組んだ相手・西崎義展が率いる作品、今やモンスターとなった『宇宙戦艦ヤマト』を仮想敵として反発しつつ、『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』、そしてついに伝説的な作品『機動戦士ガンダム』を作り上げて、アニメも作家があることを世間に認めさせることができました

 歴史に「if」なんてありません。だからこそ、当時の手塚治虫先生の理念、故西崎義展氏の豪腕と強かさ、そして富野喜幸の矜持と堅持を集めた、そんな三人の思いで作り上げた『海のトリトン』は、色あせることのない素晴らしいアニメーション作品であると同時に、今なお日本アニメの過ぎた時代に対する貴重な証言として、これからも残していくことになるのでしょう。この記事をもって亡くなられた手塚、西崎両氏、そして今でも第一線で挑戦し続けている富野由悠季監督に最大限の敬意を払います。



 この記事は、できるだけ客観的な事実を提示し、なおかつ虫プロ側、富野側の証言を最大限に尊重して作ったものです。が、見方によって必ずしも事実に反映したわけではありません。それゆえに、来月のこの本に期待されたい。トリトンにめぐる話は今まで西崎サイドからの証言がほぼ無かっただけに、この本が新たな見方を提示してくれることを楽しみにしております。

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※0:補足すると、『トリトン』以前、富野の1/4ほどの仕事は虫プロ作品からでした。
※1:原作ものではありますが、後述の製作経緯や手塚本人のコメントで、今日の『海のトリトン』はマスコミにおいても限りなくオリジナルものとして扱われます。
※2:もっとも、富野はまた「放送後、ラストシーンを勝手に変えたことでトリトンの脚本家全員に絶縁されて、仕事を一緒にすることは二度となかった」と発言しましたが、これは明らかに事実に反するものなので、富野の発言を検証する必要があります。
※3:西崎が制作主導の『ワンサくん』などの例外がある。
※4:いろんな証言から検証すると、実はこの事件に関して手塚が思ったような「一方的な裏切り」とは言えない部分もあります。しかし結果的に西崎氏が莫大な益を得て、手塚が損したのは紛れも無い事実ですので、これについても将来はより詳しい検証が望ましい。
※5:安彦氏がアニメーターで富野が演出家という違いを考慮に入れても、実に興味深いものです。

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『Gレコ』10話放送の2014年11月28日は、富野由悠季が演出デビューの50周年記念日でもあるのだ!

2014/11/27 20:00|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:2
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 2014年11月28日は、ガンダムの父と呼ばれている富野由悠季監督の最新作『Gのレコンギスタ』の第10話が放送される日です。『進撃の巨人』のWITスタジオを率いる荒木哲郎氏が演出・コンテを担当する話ですので、大きい注目を集めています。

 しかし、それと同時に、2014年11月28日はまた別の意味でも記念すべき日です。Gレコの総監督、富野由悠季氏がアニメ演出デビュー以来、ちょうど50年を経た日です。

 元々、富野監督のアニメキャリアは1964年3月、手塚治虫氏が創設した虫プロに入る時から始まったものです。初めは制作進行、それから演出助手。当時「アニメーターにあらずんば人にあらず」という気風の虫プロのなかで、社内でも数少ないアニメ絵を書けない人間として、富野は猛勉強してきました。

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 そして8ヶ月後の1964年11月28日。

 この日、日本初の30分テレビアニメ『鉄腕アトム』の第96話、「ロボット・ヒューチャー」は放送されました。脚本と演出のクレジットは新田修介、富野監督が一回しか使わなかったペンネームです。これ以降、富野は制作進行をやりながら、月1回の頻度で『アトム』を演出しました。

 そこからさらに2年半の時間を過ぎて、アトムはようやく放送終了しました。「ロボット・ヒューチャー」から最終話までの100話のうち、富野は25話――つまり1/4ほどの演出を担当しました。この数字は全シリーズを通して最高のもので、原作者である手塚治虫をさえ凌ぐ話数でした。

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 ゆえに、2014年11月28日は、富野由悠季がアニメ演出デビュー50周年の記念日になります。50年前の『アトム』から、そこから50年後の今の『Gレコ』。このまさに日本のテレビアニメの生き歴史とも言うべきの大きな流れに、せめてささやかな祝福を捧げてあげたいと。

 50周年だからってどうということではない。そもそも、前に進んでいく人にとって、過去を振り返ることは不要なのかもしれません。それでも、今なお挑戦し続けるこの人に大い敬意を払いたいと思っています。富野さん、おめでとうございます。そして「Gレコ」のスタッフ全員の皆さん、頑張ってください。

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富野由悠季監督、73歳の誕生日おめでとうございます

2014/11/04 23:58|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:6
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 今日は富野由悠季監督の誕生日です。おめでとうございます。皆さんで歌を歌いましょう。

 ハッピー バースデー トゥー ユー

 ハッピー バースデー トゥー ユー

 ハッピー バースデー ディア トミノ

 ハッピー バースデー トゥー ユー

 うた……うたが……ああ、可愛い歌だこと……。



 今年はみんなにとって、特別な一年です。

 そうです。4年も待ってた末、『ガンダム Gのレコンギスタ』はいよいよ放送開始されました。

 これほどワクワクさせるものは、今時では珍しいくらいです。

 おもちゃ箱をひっくり返したような作りですが、何回見れば分からないことはありません。

 皆さんもどうか、この貴重なひと時を大切にしましょう。

 何歳であろうと、この時間はいつか宝になります。



 そして、今年は私にとっては、さらに少しだけ特別な年です。

 人のめぐり合わせってこういうものですから、今はただただ感謝の気持ちばかりです。

 ありがとうございます、みなさん。

 ありがとうございます、富野さん。

 そして野心をもって、来年以降を期待します。期待しましょう。

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新規組のための『ガンダム Gのレコンギスタ』の楽しみ方

2014/10/02 03:27|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:10
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 富野由悠季監督の最新アニメ作品『ガンダム Gのレコンギスタ』は、いよいよ10/2の深夜で放送開始です。

 しかし、アニメ視聴はそもそも気軽にするもののはずですから、何かの理由で見ることは一切必要ありません。もちろん、前提もいりません。富野だのガンダム最新作だのは、まったく無意味です。

 今、ロボットに出てくるようなアニメに興味ない方はかなりいると聞き及んでおります。そのようなあなたならば、きっと他のロボットアニメも見ないのでしょう。下手にすれば、アニメ自体に大して興味もないかもしれません。

 それでも、『Gのレコンギスタ』を見るべきです。前提抜きで、見てて面白いから。見てて楽しいから。

 以下は、そんな真っ白な色紙状態から見たい方、つまり新規組のために、Gレコの良さを少しだけ紹介したいと思います。よろしくお願いします。



 
1、キャラが可愛い!

 まず、『Gのレコンギスタ』が一番簡単に目に映る内容は、なによりそのキャラクターの可愛さです。

 きゃびきゃびするチアガールたち。

 綺麗で凛々しく、でもちょっぴり抜けてる、少しだけ年上の女の子。

 誰にもやさしく、元気いっぱいでかわいい幼馴染的な子。

 ミステリアスな不思議ちゃん。

 和風なヤマトナデシコ、でも実はしたたかな女の子、などなど。

 このような感性はかつてのガンダムにはないものです。作為感がなく、自然に安心に見れる女の子がそこにあるのです。もちろん、男の子たちもです。

2、メカは格好いい!

 一部では、今回の主役機G-セルフに格好悪いという悪評を言いふらしている声があります。しかし、本編を見れば、そんなイメージは一気に払拭できるものです。なぜならば、ロボットはロボットらしく格好よく活劇を演じるのです。

 主役機はちゃんと一線を画するポジションを示していて、とても真っ当に活躍しています。

 敵は悪役らしく、ユニークな武器や仇役に相応しい強さを披露し、味方と大バトルを繰り返します。

 そして味方はちゃんと戦ってサポートしてくれますし、身分相応に撃墜もされます。

 このようにロボットがそれぞれ己の本分を徹するチャンバラは、面白くないわけがありません。

3、作画がいい!

 今回の「G-レコ」の作画の鍵を握っている人物は、『キングゲイナー』『エウレカセブン』で活躍した鬼才・吉田健一です。その線が宮崎駿を擁するスタジオジブリに基本を鍛えられて、商業色の強いテレビアニメで磨きぬかれて、今は円熟の域に入りつつあります。

 この作品の作画はとてもいい。しかし、それは今主流となっている綺麗な見せ絵ばかりという意味ではない。

 この作品は、ひたすら「動き」を重視しています。それでいて、線が少ないのに豊かな表情を語ってくれます。キャラは生き生きしてます。

 動きとしてのアニメーションこそは、アニメ本来のもっとも素朴な楽しさなのです。

 まあ論より証拠です。以下をご覧になれば分かるはずです。



4、キャラクターのセリフがいちいちおかしい!

 見てる途中、もしかしたらあなたはこの作品のキャラクターが口にしているセリフに気にするかもしれません。普段のアニメにはおおよそ聞けることができない言い回しで、かといって現実のそれとも違います。そうです。それが『Gのレコンギスタ』の特色の一つです。

 このようにキャラがちょっと芝居かかってる誇張なセリフ回しをするものは、「富野節」とも呼ばれていて、多くのアニメファンには面白がられています。

 でも、それは別にそれほど畏まるものではありません。

 舞台などではよくそのようなセリフを聞けます。

 アニメも一種の「作劇」だから、そのようなおかしい言葉はあってもいいです。

5、展開がちょっと訳分からなくても、なんとなくワクワクする!

 『Gのレコンギスタ』のストーリーは、いたってシンプルなものです。それでいて、画面上の展開が速く、情報も多いため、もしかしたらあなたはちょっと混乱するかもしれません。しかし、それでいいのです。

 よくわからなくても、見てて「ワクワク」だと感じるならばいいのです。展開は先にあるのだから、分からなくたっていいのです。

 ラーメン才遊記じゃないんだから、この作品の「ワクワク」とは一体? 答えは簡単です。

 列車みたいな乗り物になり、宇宙へ行く新鮮さです。

 退屈の授業の途中で、いきなり女の子がクラスに乱入する驚きです。

 修学旅行の真っ最中に、いきなり不良(宇宙海賊)が襲い掛かるスリル感です。

 そして、その不良な女の子が超美人で、一目ぼれしたときの切なさです。

 G-レコは、まさにそのような「ワクワク」が溢れる作品です。

6、音楽がいい!

 今回の音楽は、菅野祐悟氏が担当しています。

 菅野祐悟氏でいえば、たくさんの映画、アニメ、さらに今年の大河ドラマも手がけている方です。

 そのような人が作った音楽ですから、聞き応えは充分あり、どんな年齢が聞いても恥ずかしくないものとなっています。

7、ガンダムなのにガンダムっぽくない

 ひょっとしたら、あなたはたくさんのガンダムを見てきた方なのかもしれません。しかし、そんなあなたならば、きっとGレコに驚くのでしょう。

 ガンダムっぽくないよコレ! いいえ、ロボットの造型の問題ではなく、展開がガンダムっぽくないということです。

 ガンダムなのに、戦争はしない!

 ガンダムなのに、冒険をしている!

 ガンダムなのに、色も雰囲気もまるで違ってくる。全体はポジティブで明るい!

 アニメならばこうであるべきと言えますが、ガンダムがこれだと、ちょっとただ事ではないぞ。楽しいガンダムなんて、かつて一度も存在していなかったから。

8、この監督はもしかしたら、ちょっと凄いかも?

 1、2話を連続見て、1時間の視聴を終えて、もしかしたらあなたはなんとなく面白く感じて、続きを見たくなるかもしれません。もしかしたら、以上の7つのポイントに対して同意するところもあるかもしれません。

 もしあなたはそう感じてるのでしたら、それはきっと正しいのでしょう。視聴者にとって、自分の感覚以上大事なものはないですから。

 今の視聴者は、まず自分がすでに知っているものに安心を示してから、そこから楽しさを探す傾向があると言われています。

 しかし、『Gのレコンギスタ』は真逆なものです。まったく知らないものなのに、なんとなく安心を感じるし、楽しく感じられます。このような楽しみ方は、今のご時世ではちょっと無いものです。ですから、このようなものを作れる監督さんも、もしかしたらすごいなのかもしれません。

 彼の名前は富野由悠季です。経歴がある方ですが、その経歴について特に知る必要はありません。

 しかし、もしあなたがこの『Gのレコンギスタ』を見て面白く感じたら、彼の名前を覚えといたほうがいいかもしれません。なぜならば、彼はこれからも新作を作るつもりでいるからです。さらに別種の面白さを提供してくるなのかもしれないからです。

まとめ

 以上は『ガンダム Gのレコンギスタ』という作品の見所をいくつか紹介しました。ひょっとしたらあなたは、これ以外の面白さを見出せるなのかもしれません。

 しかし、見なければ何も見出せませんし、楽しめることもできません。

 ですから、この作品を見てください。自分の目で、その物語の行く末を確かめてみてください。

フェデリコ・フェリーニと富野由悠季のこと

2014/07/04 01:12|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:4
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 『映像の原則:台湾版』の出版はいよいよ決まりました。また、それに合せて、中国語ユーザーを対象とするブログも立ち上げられました。

 そこに載っている数々の記事は、実に刺激的な内容で、普段日本の皆さんにはおおよそ読めない話の連続です。ここで紹介できないのはとても残念ではありますが、その分、このブログはこれからもここでしか読めない話を紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。



 さて、と。

 『映像の原則:台湾版』のブログはすでに四日ほど経ちましたが、じわりじわりとコメントや感想も入るようになってきました。その反響はさまざまで、台湾における富野由悠季監督の人気を再確認できた感触ですが、そのなかで読んでで一番印象深いなのは、なんといっても以下の話です。

「富野由悠季の作品系譜は、フェデリコ・フェリーニのそれと極めて似ている」

 感動しました。

 的を射るかどうか以前、ちゃんと「映画」のフィールドでものを考え、このような指摘を言えるアニメ好きな人は日本でも皆無だからです。

 直接に影響を受けたかというと、私はそう思いません。とはいえ、ヌーベルバーグといい、大学の卒論でミケランジェロ・アントニオーニを取り上げたことといい、富野さんにかつてヨーロッパ映画に傾倒してた時期があるのは事実だと思います。

 また、うかつに系譜を描くのは粗忽だと思いますが、富野さんがフランス映画に特別な好みを示していることも、その発言から伺えます。

富野由悠季とフランス映画 および映画の娯楽性と芸術性について

 そういう意味では、富野監督とイタリア映画についての関係を言及する人はもっと出てきてもいいはずですし、このようにアニメやらガンダムやらに囚われずに、ちゃんと映画として見つめてくれるファンがいるのは、一ファンとして僭越ながら、非常に嬉しく思います。



 ヨーロッパ映画だから高尚ということはまったく無いですが、それでもより広い視野を持つのは、決して悪いことではないと感じます。

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アムロ、シャアとセイラさんの話

2014/06/07 21:20|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:2
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 twitterで投下した、『機動戦士ガンダム』のキャラクターであるアムロ・レイ、シャア・アズナブルとセイラ・マスの三人に対する感想をまとめました。

 これを読めば、富野由悠季のキャラクター造型は実に無理のない優れものだって分るはずです。


セイラ・マス


シャア・アズナブル


アムロ・レイ


 キャラクター談義には興味ありませんが、特にアムロを軸とした語りはこれまでほぼありませんので、皆さんにはせめて「密会」を読んで、「REVERBERATION in GUNDAM」を聞いてほしいものですね。


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富野の絵ってどうよ? 20枚の画像から見る富野由悠季の「絵心」

2014/05/05 23:51|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:19
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野の絵ってどうよ? 20枚の画像から見る富野由悠季の「絵心」
 富野由悠季監督は、『機動戦士ガンダム』などで監督した日本有名なアニメーション監督です。インターネットでは、よく「富野の絵が下手」「いや上手いだろう」「画力はあまりない」「充分あるだろう」などの論争が聞こえます。

 そもそも、富野監督は画家でもアニメーターでも漫画家でもありませんので、絵の上手下手は作るアニメの面白さと直接な関連を持っていないはずです。それでも、アニメーションは、絵に依存する媒体ならば、当然こんな議論が起きるのも頷くものです。

 ただ、その場合でも、「アニメーター(の画力)を基準にする」のと、「一般人を基準にする」などで語ると、その結論が大きく異なりますので、一概とは論じることができない面倒な話題です。

 そういうことを踏まえて、今日は皆さんに対して、富野由悠季監督がいろんな領域に描いた絵を20枚ほど紹介したいと思います。単純の絵の上手下手に関しては、こちらが議論せず、ひたすら絵を紹介することによって、かえって見えてくるものがあるのではないかと思っています。

 それでは、レディーゴー。


1.ザクのイメージ案

e_01.jpg

 現在で見られるザクと大きく異なるこのイメージ・ラフは、富野が想定しているジオン軍のMSのコンセプトを提示するものです。シルエットや雰囲気こそ今よりくっとSF的だったであれ、ノズルや関節など、ザクで見られる特徴的なところをほとんど抑えている優れるものです。

 注意してほしいのは、これらあくまで「イメージ・ラフ」であり、いわゆる実際のデザインのための叩き台みたいなものなのです。一部の人が「これが富野のザクwww」的な反応をしているようですが、下衆のやることです。


2.『ガンダム』ラフデザイン集

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 これは有名の話ですが、『機動戦士ガンダム』においては、監督の富野はもともと沢山のMSが登場することを想定していませんでした。その後、てこ入れに近い形でより出せといわれるとき、富野が仕方なく自分で描きました。その原因で、ドム以後(含む)のMSは、実は全部富野がラフ・デザインを描いて、大河原邦男や安彦良和両氏がクリンナップしたものでした。

 「ガンダム」において具体的な仕事に関しては、G_Robotismのkita082さんはまとめましたので、そこを参照してください。

 あくまでラフ絵なので線が荒いですが、デザインを見てみると、やはり演出家としての立場からのデザインというべきか、SF的なギミックをしっかり抑えつつ、ちゃんとデザインとなしている所こそは、トミノデザインの真骨頂とは言えよう。


3.『ザブングル』ラフデザイン

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 『戦闘メカ ザブングル』においても、富野もデザインをやっていました。湖川友謙と出渕裕両氏との競演は、間違いなくこの作品の見所の一つでした。この画像では「ドラン」のデザインについての変遷や注文、修正に関するやりとりが掲載されていて、アニメのデザインとはなんたるものかの一翼を伺えるものなので、ここで特別に紹介しました。

 ちなみに『イデオン』においても、富野は少なくない数の重機動メカをデザインしました。SF的な作品だったんで、トミノデザインとの相性とも極めて良好でしたが、残念ながら画像を持っていませんので、ここで紹介することはできません。リストはこちらからです。


4.『ガンダム』コンテ

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 ここから、コンテの絵を5枚ほど紹介します。富野本人も言ってたとおり、コンテ絵で絵の上手さを計るのは邪道とはいえますが、それでもここでは皆さんに「絵にイメージを伝える力を持てるかどうか」という点に注目したいと思います。

 非常に簡素ながらも、しっかりと「演出家」としてどういう構図をしたいのをはっきり伝えています。湖川友謙氏も言いましたが、富野のコンテはコンセプトが明確なわりに絵がシンプルゆえ、非常にアニメーターの想像力を掻きたてるものだそうです。この絵とこの証言から見ても、「コンテ絵の上手下手さは必ずしも監督の腕と直結するものではない」と分かるのだろう。


5.『逆シャア』コンテ

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 『ガンダム』からいきなり10年後の作品まで飛びましたが、劇場版のコンテだけあって、テレビシリーズより緻密な絵と運びが示されています。ちなみに、書き込み(説明部分)の文字が文字処理機で書き直された理由は、「手書きだと字が読めない」だったようです。劇場クラスだと外注も多く、富野文字にあまり馴染めないスタッフも考えられますので、「監督の書き込みが読めない」という理由からの遅延を避けたかったMというのが本当の原因だそうです。


6.『∀ガンダム』コンテ

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 いつぞや展示された『∀ガンダム』のOPコンテです。色付きコンテは富野でも珍しいというが、それだけにこの『∀』に注力したのをよく伺える一例だったんです。それにしても美しい…。


7.『リーンの翼』コンテ

e_07.gif

 8年ほど前の作品『リーンの翼』の、反乱軍によるアマルガン奪回戦の件です。大量なCGを使ったこの作品では、カメラワークに頼るところが多いですが、このコンテからもその傾向を感じ取れるのでしょう。


8.『Gのレコンギスタ』コンテ

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 先日、韓国のドキュメンタリー番組からとった映像です。1コマしか映っていませんでしたので、そもそもコンテとして紹介することはいささかおかしい気もしますが、最新作ということで皆さんに見せていただきたかったんです。


9.『ガンダムF91』イメージ・ボード

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 『機動戦士ガンダムF91』という宇宙世紀を仕切りなおす劇場アニメーションにおいては、富野は珍しくイメージボードを描きました。スタッフ全体に、監督がイメージしている世界観はいかなるものかを、言葉を尽くすよりも、この10数枚だけではっきりと伝えてくれたと言えます。


10.『Vガンダム』イメージ・ボード

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 『機動戦士Vガンダム』においては、富野はやはりイメージ・ボードを描きました。スタッフが一新したためか、今までのシリーズとは設定年代が離れているためか、どのみちテレビシリーズでありながら、なかなかのものでした。富野がいかに「Vガンダム」に尽力してたことを物語った揺るぎの無い傍証でもあります。


11.「はじめたいG」宇宙エレベーター想像図

e_11.jpg

 これは、ガンダムエース10周年記念のために寄稿された『はじめたいキャピタルGの物語』という、いわば最新作のアタック・ストーリー的な作品に収録されている想像図です。これからのガンダムシリーズのために打ち出した新機軸で、10月から放送される可能性濃厚な『ガンダム Gのレコンギスタ』では、宇宙エレベーターは新世界の舞台として描かれています。


12.「はじめたいG」イメージ挿絵

e_12.jpg

 これは、『はじめたいキャピタルGの物語』で公開された、富野独自に作成したイラストです。F91っぽいこの絵は、まさに富野の絵柄が時折「安彦っぽい」といわれる所為です。ちなみに、この2人は主人公のベルリ(『はじめたいG』では「ベリル」だった)と女主人公のアイーダ・クロノスですが、今の公開された吉田健一によるデザインと見比べると、より一層楽しめます。


13.「Gレコ」イメージ図

e_13.jpg

 これは、『Gのレコンギスタ』がまだ「Gレコ」というコードネームで企画を進んでいた時期に、富野本人が書いたものです。最新作に出てくる「キャピタルタワー」の足元にいる都市の暮らしをイメージしたものです。

 注目してほしいのは、このイメージ図は手書きイラストに「写真による背景を貼り付ける」というやや変則的な手法を用いています。公式企画として始まったまもなくい期間のもので、正式なスタッフがあるはずもなく、完全に富野本人でやるしかない、という条件下ならではの大胆な方式と言えるかもしれません。


14.『無敵超人ザンボット3』第16話「星の輝く時」原画

 1977年当時、日本サンライズが弱小で人手不足だったため、『ザンボット』ではかなりアニメーターが足りませんでした。さらに、作画監督が設けていなかったため、絵のクォリティは正直低い回も結構ありました。そのため、苦肉の策として、富野は『ザンボット』においては大量な原画を手がけていました。

e_14.jpg

 第16話「星の輝く時」の部分は、アニメーターの吉田氏が指摘した富野監督の原画と思われるシーンでした。実際は確証がありませんが、ここで特別に紹介します。吉田によりますと、「(絵が)よれよれなのだけど、僕が描いてもあんなに伝わる絵にならない」とのことです。この名シーンが富野の手によるものだとすると、非常に感動的です。


15.『伝説巨神イデオン』OP変形原画

 『イデオン』でアニメーション・ディレクターを勤めた湖川氏によると、富野は絵が下手(アニメーター基準で見ると)だがよく描けているとのことだそうです。その証拠として、『イデオン』OPに出てくる変形原画は、実は(一部が?)監督である富野本人によるものだそうです。この変形合体シーンがのちでもバンクとして本編で何度も兼用されてたことから考えれば、実はすごいことだと思います。



 ちなみに、富野が原画を手がけた作品のなか、現時点確認できたのは『ザンボット3』『イデオン』のほか、『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』『ブレンパワード』『∀ガンダム』があります(ラフ含む)。


16.自画像

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 近年ではあまり書いていませんが、一昔前の富野はよく自画像を書いているものです。お茶目な愛嬌を加味される他人による富野イラストと違って、本人があくまでシビア(?)なので、自画像は富野本人の心象風景を反映した形のように可愛くないオジさんの模様になっています。ただ、ファンから見れば、本人のイラストはかえって一番富野らしくない絵だと思いますよね。


17.「ハロ」イラスト集

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 富野の葉書には、大抵本人の筆によるハロが描かれています。そして一昔前の「月刊アニメージュ」「月刊ニュータイプ」においては、それがそのまま応募年賀状のイラストにもなります。それらを、まとめて紹介します。


18.毛筆による自筆

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 これは、月刊アニメージュがかつて通信販売として誌上通販を行ったTシャツなのですが、富野本人自筆の文字です。芥子は、富野が中学時代以来、短歌などを作るときのの雅号です。

 日本の書道という基準から見て上手いかどうかはわかりませんけれども、少なくとも素人目から見れば、もう充分達筆という域に達しているといえます。


19.『アイアンスカイ』イメージ・ラフ

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 なぜか『アイアン・スカイ』のファンである富野は、なぜか『アイアン・スカイ』のポスターまで自ら妄想していました。よほど金髪美女がお気に入りのようですね(おい)。いわば一種の遊びなのですが、「ラフデザイン」のままで応募景品として商品化させた、製作側もやる気があるだか無いだか(無いに決まっている)。


20.2011年東日本大震災応援イラスト

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 最後になりましたので、2011年の東日本大震災が起きた際、富野由悠季監督がガンダムエースに寄せた応援イラストを紹介します。


まとめ:マルチプレイヤーとしての富野

 以上の20枚を見れば分かるとおり、富野由悠季の絵は画家もしくはアニメーターレベルで考えると、確かに「上手い部類」ではないかもしれません。

 しかし、一人の人間がこれほど多い領域でそつなくこなすということは、やはりスゴイことだと言わざるえお得ません。監督が必要されているのは一方面だけの突出する能力ではなく、「トータル力」という素質を考えると、マルチプレイヤーとしての素養と訓練を充分に積んでいる富野由悠季は、まさに監督として優れている演出家ではあります。

 富野由悠季は、絵の熟練者なのだ。

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いよいよ明日! ガンダム35周年作品発表大予想!!

2014/03/19 04:27|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - いよいよ明日! ガンダム35周年作品発表大予想!!
 明日はいよいよお待ちかねのガンダム35周年記念ということで、少しだけ予想してみましょう。

 今のところ、35周年関連の作品にはこれだけがあります。

1、ガンダムビルドファイターズ
2、ガンダムユニコーン
3、Gのレコンギスタ
4、ガンダムTHE ORIGIN
5、ガンダムさん


 そのうち、1のガンダムビルドファイターズは今月いっぱいに放送が終了です。反響があれば、もしかしたら2期…!?という声も多いらしいですけど、実際は連続にやれる題材とは思えませんので、そう簡単に来るとは思いません。ガンダムシリーズのしがらみを背負わずに済む分、ある意味身軽な企画と言えますけど、それでもGレコなども控えている手前、あるにしても2015年後半になるんでしょう。

 なによりガンダムAGE以来の「子ども向けガンダム」という路線が継続しようとすると、GBFだけでは役者不足なのでしょう。ということで、15年か16年には別の新しい子ども向けガンダムが来ると思います。

 次に2のユニコーン最終巻が5月中旬に上映、6月初頭に発売というスケジュールなのですが、実際に延期という可能性もないわけでもありません。無駄な詮索はしたくありませんが、Gレコと同じくサンライズ第1スタジオ制作ということが、もしかしたらいろんな支障を出す可能性も否定しませんので、さっさと片付けてほしいのは本音です。

 そもそも、度重なる延期がなければ、そもそもユニコーンは35周年と無縁ですしね…。

 3の富野由悠季監督の『Gのレコンギスタ』なんですが、1~5のなかでは、Gレコだけが正真正銘の完全新作なんですので、普通にガンダムというカテゴリでも期待されていると思いたい。

 それから、未だに「Gレコはガンダムじゃないし」と言っているお人がいますが、普通にガンダムそのものじゃなくてもガンダムシリーズの一環なんです。

 4のTHE ORIGINですが、11年以来なんの音沙汰もない3年間を過ぎてましたが、去年のガンダムのテレビ版・今年5月のガンダム劇場三部作のブルーレイboxの発売から見てれば、発表は間近に間違いないと思います。

 なので、今回はPVくらいがあると思います。ただスタート時期によってはスタッフが発表されないかもしれません。ちなみに当方の予想はユニコーンと同じく限定上映+OVAという形で始まると思います。

 最後の5のガンダムさんなんですが、短編アニメだと思いますので、下手にすればFLASHアニメっぽい作りという可能性もなくはありません。作りがショボイとかというわけではなく、単純に相性がいいと思います。

 正直、やる意味はいまいち掴めないアニメ化なんですが、サンライズからは大したメリットを見出せないことから見ると、角川書店のほうが主導するプロジェクトかもしれません。



 そして、ここ数日の発表する場所はこの3つがあります。

A、ガンダム35周年記念サイト(3月20日17時)
B、東京アニメアワードフェスティバルの富野トークセッション(3月21日16:30-18:00)
C、AnimeJapan 2014のガンダムシリーズ スペシャルステージ(3月22日15:00-15:35)

 以下、自分の予想でいきます。

 まず、35周年記念サイトは、オリジンのPVで行くと思います。可能性として、Gレコやガンダムさんなどの35周年記念作品の情報も少しだけ公開されると予想します。

機動戦士ガンダム35周年記念ポータルサイト

シリーズ開始35年、”ガンダム”は次のステージを目指し、挑戦を続けています。変革はすでに始まっている。

ーCOMING SOONー
MARCH 20TH, 2014 5PM ON LIVE

 なぜならば、なんだかんだバンダイやサンライズが一番重視しているのは他でもなく、1stガンダムのリメイクと言えるオリジンだからです。確かに内容は別にしても、このOVA・映画・テレビ放送を全部やれるような素材を重視しない理由はありません。それに、BとCのイベントには別段オリジンを発表できるような場を設けてなさそうですので、本命として20日に発表されると思います。

 次に、TAAFの3月21日のイベントなんですが、富野監督本人が登板ということでも、もう『Gのレコンギスタ』しか考えられません

3/21 (fri) | 上映プログラム | 東京アニメアワードフェスティバル2014

16:30-18:00
富野由悠季 スペシャルトークセッション
トークセッション

 他にもガンダム三部作のオールナイト上映がありますが、まぁトリロジーボックスの宣伝なんでしょう。

 最後のアニメジャパンのイベントなんですが、これはおそらく20日・21日既出の情報+ガンダムさんという発表なのでしょう

AnimeJapan 2014

3月22日(15:00〜15:35)
機動戦士ガンダムシリーズ スペシャルステージ
出演者
池田秀一、小松未可子、國立 幸、内山昂輝
内容
ガンダムシリーズ最新情報の発表会を予定

 出演者が大御所+GBF声優+ユニコーン声優という組み合わせといい、35分という短い時間といい、どう考えても大きな発表ができませんので、ガンダムさんがあるとすればこちらか20日の公式サイトなのでしょう。



 以上をもちまして、20日の公式サイトがオリジン、21日のTAAFがGレコ、22日のAJ2014がガンダムさんの発表だと予想します。当然、この3日間以外の日の発表という可能性も当然大いにありますし、こちらはあくまで予想ですので、根拠があるわけではありません。それでも、富野監督のGレコのPVの上映が決定となっている以上、素直に富野監督を応援したいと思います。皆さんも一緒に明日と明後日を楽しみにしましょう。

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富野由悠季は「絵にズボラなアニメ監督」なの?

2014/02/27 01:46|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:9
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野由悠季は「絵にズボラなアニメ監督」なの?
 富野由悠季はなぜか、時折「絵にズボラなアニメ監督」といわれています。

 確かに、その作品を見ると、画面が比較的に弱い面はありますので(アニメ業界のなかでもトップクラスの大御所の割りに)、そのようなイメージが湧くのは無理もありません。

 また、有力なアニメーター集団を抱えた80年代前半でも、明らかに「演出」が「絵」を上回りましたので、なんとなく絵が貧弱というイメージがあります。

 さらに、庵野秀明氏と押井守氏の「富野監督は絵を信じてない」という言説も、それを強化した一因だと思われます。※1

 これらの話が長年インターネット上などで囁かれているため、「富野は絵に無頓着なアニメ監督」というイメージはいつの間にか定着している感じがあります。

 

 一方、富野本人の著作である『映像の原則』を読むと、むしろ真逆なイメージを抱いてしまうものです。

 主に演出を語る本なのですが、絵・作画に関する内容も多い。特に第9章の「作画の究極的演出処理学」は、実はページ数が二番目多い章節です。

 また、演出家ひいては作品全体を統括する監督の目から作画を見る話が多いので、全体の大原則や指針はふんだんに解説されています。木は確かに大切なのですが、森を一望する必要もありますので、このような目を借りられるのは、とてもありがたいことです。

 以上を知れば、イメージに反して、富野が作画面を非常に重要視していることは、もはや言うまでもない話です。



 そして、『映像の原則』では、富野は作画に関する問題を大量に取り上げています。

 それらの問題は素人の目でも分かるほど、日本アニメの現場に存在しています。20年前からそうだったし、あれから20年後の今でもそうだった問題は、未だにたくさん残しています。富野の弁ではありませんが、なぜか何時まで経っても一向改善されないことに理解を苦しむこともあります。

 やや武断な言い方ですが、つまり、富野は普通の監督が問題視しない問題までも見抜いて、要求しているのです(ここでの「普通」は、あえて定義しません。したところで何の意味もないですので)。

 こうした面から見ても、富野は絵に対して無頓着ようなことは決してなかったはずです。



 ただ、特にこの10年間の「富野は絵にズボラ」という見方は、まったくの見当違いというわけでもないと思います。

 乱暴な比べ方だと承知していますが、「一枚絵としての精密さ」「話全体の絵運び」はもちろん両立させるほうがベストなのですが、どちらしか立てないとすると、富野は間違いなく後者を選びます。事実、近年の富野作品を見れば、普通の観客だってこの選択を見分けるはずです。※2

 そしてこれこそが、ひょっとしたら富野が今時のアニメ作品やアニメ演出家との一番の違いかもしれません。なぜならば、現在の日本アニメは「一枚絵としての精密さ」という部分に非常に重きを置いているのです。

 インターネットや録画の普及により、見直しと一旦中止が効きようになり、見る側から「作画崩壊」という言葉が誕生したと同時に、作り側もそれに釣られるように、いかに「作画崩壊」を封じることに腐心するようになっているのです(もちろん原因はさまざまだが)。

 その結果、今の「一枚絵としての精密さ」を追求することに傾いているようなスタイルになりました。いわば選択の違いですが、昔の傾向、それも富野が求め続けている傾向と明らかに別の方向性なのです。

 そういう意味では、「富野は絵にズボラ」という一見大間違いだった言い方は、「富野は今風に迎合できない」に言い換えると、実は意外にも真実を掴んでいると言えるかもしれません。(ちなみにこの部分、改訂版にも新に追加される話があります。興味ある方は是非本を入手してください)



 ただ、「作画崩壊」という言い草が近年に生まれた言葉であるように、「一枚絵としての精密さ」を重視するような傾向も、実をいうとここ10年くらいのものです。

 ビジュアル社会に連れて、観客の絵に対する要求はこれからもおそらく下がることがないでしょうけれども、「一枚絵としての精密さ」だけに注力すればいいという傾向が何時までも続く確証は、どこにもありません。長いスパンを見ると、作画レベルが論外である作品は別として、やはり作画の「良さ」だけで、作品が10年後まで残すことはないでしょう。まして、その「良さ」はひょっとしたら「最近の流行」でしかないかもしれません

 だったら、結局本筋である作品の物語に戻るしかない。そして物語を語るための最上の選択は「話全体の絵運び」というものです。そして富野はこちらを選んだわけです。

 限られた作画ソースしか持てない場合、「話全体の絵運び」を選ぶ。この結論はもちろんアニメーター出身ではない富野由悠季個人が達した結論ですが、その実績を見れば、正論でもありましょう。絵そのものは時間が経つとどうしても薄れていくものですが、物語自身は、イメージと共に記憶されます。だったら、作画で絵そのものを求めるよりも、イメージを追及する方法論だってあるはずです

 この方法論は決して制作進行出身の演出家のみの特権ではありません。アニメーターだって、絵だけに頼らない方法論を打ち出せるはずです。おそらく富野は『映像の原則』でアニメーターにもっとも言いたいのは、このことなのではないでしょうか



 最初のに戻ります。

 確かに、富野由悠季は必ずしも作画に恵まれているわけではありません。加えて、富野は方法論からして、限られた資源を「話全体の絵運び」に投入する傾向があります。そういう意味では、「一枚絵としての精密さ」が評価の基準となっている現在では、今風でいうと「作画が良い」とは言えない部分があります。

 一方、「一枚絵としての精密さ」重視はあくまで近年の傾向で、もちろん絵は良いに越したこと無いものの、良さなど価値観は時代と共に変わるものですし、制作者・観客の数あるだけ異なるものです。

 「話全体の絵運び」を重要視する方法論を取ったのは、富野作品なのです。富野作品に見られる画面とその絵は、すべて富野が監督として最善に尽くした結果です。それを監督個人に能力が不足であるように言いふらすのは、まったくの無責任で無見識です。

 そして、今風に迎合できない代りに、富野はアニメ作品を長期間に残せる実績があります。絵を使いながら、絵そのものを求めず、トータルなイメージを掴む手法はむしろ一種の特色(もちろん富野オンリーというわけではないにせよ)と言えますし、方法論としてちゃんと成立するものです。

 そういう意味では、富野由悠季はやはりちゃんと絵を駆使する力を持っている演出家であることを、誰も疑うことができないのでしょう

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『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか

2014/02/20 01:29|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:5
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか
 「富野由悠季は萌えアニメが大嫌い」

 「富野監督は映画を目指しているから、マンガ的表現によく思わない」

 「富野はアバターをボロクソに貶している」

 以上のようなことを思っている人は、きっと多いだろう。インターネットを中心に、さも事実のように流布されていますから。

 しかし、違います。



 富野は萌えアニメが大嫌いどころか、現在の制作状況を対応すべく誕生した作り方の一つとして、正面な評価を下しています。

 確かに、富野は映画を目指していますけれども、マンガ的表現を排除していません。また、マンガ的な表現を「芝居を整理するうえ参考になる手法の一つ」とも評しています。

 また、富野はアバターについてボロクソどころか、近年のハリウッド映画のなかではむしろ極めて評価している一作としてみています。それも、興行面だけではなく、技術面についての評価です。

 ほかにも、いろんな話があります。それらの話は多く、インターネット上に流布されている言説と異なる一面があります。

 そしてそれらの間違った言説に対する正解は、すべて富野の著書「映像の原則」の改訂版に載っています。

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 インターネット上では、富野由悠季監督とそのアニメについて評論したがっている人はたくさんいます。また、いっぱしのサブカルもしくはアニメ専門の評論家も、ネット上で積極的に発信しています。さらに、アフィリエイト目当てのまとめブログなどもいます。それらが合せて、好事家の一大勢力を築いています。

 しかし好事家たちの言説を見ると、根拠がないままの批判、もしくは実在かどうかも確認できない富野コメントに対する反論が、なんとなく大半を占めています。誰だか明言しませんが、そのような評論家もいます。

 それでは、野次的な好きことであって、本当の意味での好きではありません。好事家はそもそもそういう類の人間でしょうが、あまりにも惨いである。



 もっとも端的な例を挙げます。

 たったいま、この記事を読ん時点で、富野由悠季監督は実はバーバパパを評価していると知っている人は、果たしてどれくらいあるのでしょうか。ほぼいないはずです。

 まして、こうして監督が評価していることを知っていても、どの部分をどのような評価していることも分かりません。そんな知識は、インターネットには載っていませんから。

 富野由悠季監督の考え方を知りたいのならば、パソコン上の数クリックで得られるような、作り話の可能性がある話よりも、著作に載っている本人の言葉を読むほうがいいに決まっています。「映像の原則」さえ買えば、すべてが分かります。

 富野由悠季の専門家(?)になることは保証します。

 もちろん、あらゆる人に「映像の原則」を買えとは言いません。購入を強要はできませんし、そもそも誰もか専門家になる必要はなく、意見を言うだけならば個人の自由です。

 それでも、根拠のない義憤や不満によってではなく、本気に人を論じようとすると、最低でもその人の主な発言や意見を抑えないといけません。それが、批評や評論の最低基準であり、リテラシー

 であるからには、『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか。

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 「旧版を読んだから、今更新版を買うまでもないだろう」と、旧版を購入した人は言うかもしれません。

 確かに、旧版を読んだだけでも、立派です。

 しかし、旧版だけを読んでも、やはり足りないです。旧版に興味を持ったあなただから、自分の知識を改訂版にアップデートしないことには物足りないと思うはずです。主にデジタル関係の話が追加されていますが、以上のように萌えアニメなどに関する話も新に書き下ろされています。

 『映像の原則』は改訂される際、旧版の5%ほどの内容が削除されました。そして、それ以上の比率の新しい内容が追加されています。

 つまり、旧版と改訂版は10%以上の内容(ちょっと間違った数え方かもしれませんが)が違います。ページ数でいうと、40ページくらい違います(本人調べ)。

 そのうえ、10年という時間を加味すれば、「改訂版」はもはやまったく違う新しい著作と考えてもかまいません。

 であるからには、『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか。



 富野の発言がことあるごとにインターネットの話題もしくはニュースになっているところから見ても(最近でいえば「進撃の巨人」「ワンピース」など)、その発言に触発されて、思わず物事を申したい人はかなり多いと感じます。

 しかし、富野とその言説を同意するにしても、批判するにしても、最低程度の武器(言説)を準備しなければなりません。知識と言説を持たなければ、何もできません。

 であるからには、『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか。

 そういう意味では、『映像の原則 改訂版』の購入がオススメです。己の鑑賞眼を磨くことができます。

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