富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

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富野由悠季監督、73歳の誕生日おめでとうございます

2014/11/04 23:58|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:6
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 今日は富野由悠季監督の誕生日です。おめでとうございます。皆さんで歌を歌いましょう。

 ハッピー バースデー トゥー ユー

 ハッピー バースデー トゥー ユー

 ハッピー バースデー ディア トミノ

 ハッピー バースデー トゥー ユー

 うた……うたが……ああ、可愛い歌だこと……。



 今年はみんなにとって、特別な一年です。

 そうです。4年も待ってた末、『ガンダム Gのレコンギスタ』はいよいよ放送開始されました。

 これほどワクワクさせるものは、今時では珍しいくらいです。

 おもちゃ箱をひっくり返したような作りですが、何回見れば分からないことはありません。

 皆さんもどうか、この貴重なひと時を大切にしましょう。

 何歳であろうと、この時間はいつか宝になります。



 そして、今年は私にとっては、さらに少しだけ特別な年です。

 人のめぐり合わせってこういうものですから、今はただただ感謝の気持ちばかりです。

 ありがとうございます、みなさん。

 ありがとうございます、富野さん。

 そして野心をもって、来年以降を期待します。期待しましょう。

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新規組のための『ガンダム Gのレコンギスタ』の楽しみ方

2014/10/02 03:27|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:10
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 富野由悠季監督の最新アニメ作品『ガンダム Gのレコンギスタ』は、いよいよ10/2の深夜で放送開始です。

 しかし、アニメ視聴はそもそも気軽にするもののはずですから、何かの理由で見ることは一切必要ありません。もちろん、前提もいりません。富野だのガンダム最新作だのは、まったく無意味です。

 今、ロボットに出てくるようなアニメに興味ない方はかなりいると聞き及んでおります。そのようなあなたならば、きっと他のロボットアニメも見ないのでしょう。下手にすれば、アニメ自体に大して興味もないかもしれません。

 それでも、『Gのレコンギスタ』を見るべきです。前提抜きで、見てて面白いから。見てて楽しいから。

 以下は、そんな真っ白な色紙状態から見たい方、つまり新規組のために、Gレコの良さを少しだけ紹介したいと思います。よろしくお願いします。



 
1、キャラが可愛い!

 まず、『Gのレコンギスタ』が一番簡単に目に映る内容は、なによりそのキャラクターの可愛さです。

 きゃびきゃびするチアガールたち。

 綺麗で凛々しく、でもちょっぴり抜けてる、少しだけ年上の女の子。

 誰にもやさしく、元気いっぱいでかわいい幼馴染的な子。

 ミステリアスな不思議ちゃん。

 和風なヤマトナデシコ、でも実はしたたかな女の子、などなど。

 このような感性はかつてのガンダムにはないものです。作為感がなく、自然に安心に見れる女の子がそこにあるのです。もちろん、男の子たちもです。

2、メカは格好いい!

 一部では、今回の主役機G-セルフに格好悪いという悪評を言いふらしている声があります。しかし、本編を見れば、そんなイメージは一気に払拭できるものです。なぜならば、ロボットはロボットらしく格好よく活劇を演じるのです。

 主役機はちゃんと一線を画するポジションを示していて、とても真っ当に活躍しています。

 敵は悪役らしく、ユニークな武器や仇役に相応しい強さを披露し、味方と大バトルを繰り返します。

 そして味方はちゃんと戦ってサポートしてくれますし、身分相応に撃墜もされます。

 このようにロボットがそれぞれ己の本分を徹するチャンバラは、面白くないわけがありません。

3、作画がいい!

 今回の「G-レコ」の作画の鍵を握っている人物は、『キングゲイナー』『エウレカセブン』で活躍した鬼才・吉田健一です。その線が宮崎駿を擁するスタジオジブリに基本を鍛えられて、商業色の強いテレビアニメで磨きぬかれて、今は円熟の域に入りつつあります。

 この作品の作画はとてもいい。しかし、それは今主流となっている綺麗な見せ絵ばかりという意味ではない。

 この作品は、ひたすら「動き」を重視しています。それでいて、線が少ないのに豊かな表情を語ってくれます。キャラは生き生きしてます。

 動きとしてのアニメーションこそは、アニメ本来のもっとも素朴な楽しさなのです。

 まあ論より証拠です。以下をご覧になれば分かるはずです。



4、キャラクターのセリフがいちいちおかしい!

 見てる途中、もしかしたらあなたはこの作品のキャラクターが口にしているセリフに気にするかもしれません。普段のアニメにはおおよそ聞けることができない言い回しで、かといって現実のそれとも違います。そうです。それが『Gのレコンギスタ』の特色の一つです。

 このようにキャラがちょっと芝居かかってる誇張なセリフ回しをするものは、「富野節」とも呼ばれていて、多くのアニメファンには面白がられています。

 でも、それは別にそれほど畏まるものではありません。

 舞台などではよくそのようなセリフを聞けます。

 アニメも一種の「作劇」だから、そのようなおかしい言葉はあってもいいです。

5、展開がちょっと訳分からなくても、なんとなくワクワクする!

 『Gのレコンギスタ』のストーリーは、いたってシンプルなものです。それでいて、画面上の展開が速く、情報も多いため、もしかしたらあなたはちょっと混乱するかもしれません。しかし、それでいいのです。

 よくわからなくても、見てて「ワクワク」だと感じるならばいいのです。展開は先にあるのだから、分からなくたっていいのです。

 ラーメン才遊記じゃないんだから、この作品の「ワクワク」とは一体? 答えは簡単です。

 列車みたいな乗り物になり、宇宙へ行く新鮮さです。

 退屈の授業の途中で、いきなり女の子がクラスに乱入する驚きです。

 修学旅行の真っ最中に、いきなり不良(宇宙海賊)が襲い掛かるスリル感です。

 そして、その不良な女の子が超美人で、一目ぼれしたときの切なさです。

 G-レコは、まさにそのような「ワクワク」が溢れる作品です。

6、音楽がいい!

 今回の音楽は、菅野祐悟氏が担当しています。

 菅野祐悟氏でいえば、たくさんの映画、アニメ、さらに今年の大河ドラマも手がけている方です。

 そのような人が作った音楽ですから、聞き応えは充分あり、どんな年齢が聞いても恥ずかしくないものとなっています。

7、ガンダムなのにガンダムっぽくない

 ひょっとしたら、あなたはたくさんのガンダムを見てきた方なのかもしれません。しかし、そんなあなたならば、きっとGレコに驚くのでしょう。

 ガンダムっぽくないよコレ! いいえ、ロボットの造型の問題ではなく、展開がガンダムっぽくないということです。

 ガンダムなのに、戦争はしない!

 ガンダムなのに、冒険をしている!

 ガンダムなのに、色も雰囲気もまるで違ってくる。全体はポジティブで明るい!

 アニメならばこうであるべきと言えますが、ガンダムがこれだと、ちょっとただ事ではないぞ。楽しいガンダムなんて、かつて一度も存在していなかったから。

8、この監督はもしかしたら、ちょっと凄いかも?

 1、2話を連続見て、1時間の視聴を終えて、もしかしたらあなたはなんとなく面白く感じて、続きを見たくなるかもしれません。もしかしたら、以上の7つのポイントに対して同意するところもあるかもしれません。

 もしあなたはそう感じてるのでしたら、それはきっと正しいのでしょう。視聴者にとって、自分の感覚以上大事なものはないですから。

 今の視聴者は、まず自分がすでに知っているものに安心を示してから、そこから楽しさを探す傾向があると言われています。

 しかし、『Gのレコンギスタ』は真逆なものです。まったく知らないものなのに、なんとなく安心を感じるし、楽しく感じられます。このような楽しみ方は、今のご時世ではちょっと無いものです。ですから、このようなものを作れる監督さんも、もしかしたらすごいなのかもしれません。

 彼の名前は富野由悠季です。経歴がある方ですが、その経歴について特に知る必要はありません。

 しかし、もしあなたがこの『Gのレコンギスタ』を見て面白く感じたら、彼の名前を覚えといたほうがいいかもしれません。なぜならば、彼はこれからも新作を作るつもりでいるからです。さらに別種の面白さを提供してくるなのかもしれないからです。

まとめ

 以上は『ガンダム Gのレコンギスタ』という作品の見所をいくつか紹介しました。ひょっとしたらあなたは、これ以外の面白さを見出せるなのかもしれません。

 しかし、見なければ何も見出せませんし、楽しめることもできません。

 ですから、この作品を見てください。自分の目で、その物語の行く末を確かめてみてください。

フェデリコ・フェリーニと富野由悠季のこと

2014/07/04 01:12|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:4
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 『映像の原則:台湾版』の出版はいよいよ決まりました。また、それに合せて、中国語ユーザーを対象とするブログも立ち上げられました。

 そこに載っている数々の記事は、実に刺激的な内容で、普段日本の皆さんにはおおよそ読めない話の連続です。ここで紹介できないのはとても残念ではありますが、その分、このブログはこれからもここでしか読めない話を紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。



 さて、と。

 『映像の原則:台湾版』のブログはすでに四日ほど経ちましたが、じわりじわりとコメントや感想も入るようになってきました。その反響はさまざまで、台湾における富野由悠季監督の人気を再確認できた感触ですが、そのなかで読んでで一番印象深いなのは、なんといっても以下の話です。

「富野由悠季の作品系譜は、フェデリコ・フェリーニのそれと極めて似ている」

 感動しました。

 的を射るかどうか以前、ちゃんと「映画」のフィールドでものを考え、このような指摘を言えるアニメ好きな人は日本でも皆無だからです。

 直接に影響を受けたかというと、私はそう思いません。とはいえ、ヌーベルバーグといい、大学の卒論でミケランジェロ・アントニオーニを取り上げたことといい、富野さんにかつてヨーロッパ映画に傾倒してた時期があるのは事実だと思います。

 また、うかつに系譜を描くのは粗忽だと思いますが、富野さんがフランス映画に特別な好みを示していることも、その発言から伺えます。

富野由悠季とフランス映画 および映画の娯楽性と芸術性について

 そういう意味では、富野監督とイタリア映画についての関係を言及する人はもっと出てきてもいいはずですし、このようにアニメやらガンダムやらに囚われずに、ちゃんと映画として見つめてくれるファンがいるのは、一ファンとして僭越ながら、非常に嬉しく思います。



 ヨーロッパ映画だから高尚ということはまったく無いですが、それでもより広い視野を持つのは、決して悪いことではないと感じます。

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アムロ、シャアとセイラさんの話

2014/06/07 21:20|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:2
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 twitterで投下した、『機動戦士ガンダム』のキャラクターであるアムロ・レイ、シャア・アズナブルとセイラ・マスの三人に対する感想をまとめました。

 これを読めば、富野由悠季のキャラクター造型は実に無理のない優れものだって分るはずです。


セイラ・マス


シャア・アズナブル


アムロ・レイ


 キャラクター談義には興味ありませんが、特にアムロを軸とした語りはこれまでほぼありませんので、皆さんにはせめて「密会」を読んで、「REVERBERATION in GUNDAM」を聞いてほしいものですね。


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富野の絵ってどうよ? 20枚の画像から見る富野由悠季の「絵心」

2014/05/05 23:51|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:19
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 富野由悠季監督は、『機動戦士ガンダム』などで監督した日本有名なアニメーション監督です。インターネットでは、よく「富野の絵が下手」「いや上手いだろう」「画力はあまりない」「充分あるだろう」などの論争が聞こえます。

 そもそも、富野監督は画家でもアニメーターでも漫画家でもありませんので、絵の上手下手は作るアニメの面白さと直接な関連を持っていないはずです。それでも、アニメーションは、絵に依存する媒体ならば、当然こんな議論が起きるのも頷くものです。

 ただ、その場合でも、「アニメーター(の画力)を基準にする」のと、「一般人を基準にする」などで語ると、その結論が大きく異なりますので、一概とは論じることができない面倒な話題です。

 そういうことを踏まえて、今日は皆さんに対して、富野由悠季監督がいろんな領域に描いた絵を20枚ほど紹介したいと思います。単純の絵の上手下手に関しては、こちらが議論せず、ひたすら絵を紹介することによって、かえって見えてくるものがあるのではないかと思っています。

 それでは、レディーゴー。


1.ザクのイメージ案

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 現在で見られるザクと大きく異なるこのイメージ・ラフは、富野が想定しているジオン軍のMSのコンセプトを提示するものです。シルエットや雰囲気こそ今よりくっとSF的だったであれ、ノズルや関節など、ザクで見られる特徴的なところをほとんど抑えている優れるものです。

 注意してほしいのは、これらあくまで「イメージ・ラフ」であり、いわゆる実際のデザインのための叩き台みたいなものなのです。一部の人が「これが富野のザクwww」的な反応をしているようですが、下衆のやることです。


2.『ガンダム』ラフデザイン集

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 これは有名の話ですが、『機動戦士ガンダム』においては、監督の富野はもともと沢山のMSが登場することを想定していませんでした。その後、てこ入れに近い形でより出せといわれるとき、富野が仕方なく自分で描きました。その原因で、ドム以後(含む)のMSは、実は全部富野がラフ・デザインを描いて、大河原邦男や安彦良和両氏がクリンナップしたものでした。

 「ガンダム」において具体的な仕事に関しては、G_Robotismのkita082さんはまとめましたので、そこを参照してください。

 あくまでラフ絵なので線が荒いですが、デザインを見てみると、やはり演出家としての立場からのデザインというべきか、SF的なギミックをしっかり抑えつつ、ちゃんとデザインとなしている所こそは、トミノデザインの真骨頂とは言えよう。


3.『ザブングル』ラフデザイン

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 『戦闘メカ ザブングル』においても、富野もデザインをやっていました。湖川友謙と出渕裕両氏との競演は、間違いなくこの作品の見所の一つでした。この画像では「ドラン」のデザインについての変遷や注文、修正に関するやりとりが掲載されていて、アニメのデザインとはなんたるものかの一翼を伺えるものなので、ここで特別に紹介しました。

 ちなみに『イデオン』においても、富野は少なくない数の重機動メカをデザインしました。SF的な作品だったんで、トミノデザインとの相性とも極めて良好でしたが、残念ながら画像を持っていませんので、ここで紹介することはできません。リストはこちらからです。


4.『ガンダム』コンテ

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 ここから、コンテの絵を5枚ほど紹介します。富野本人も言ってたとおり、コンテ絵で絵の上手さを計るのは邪道とはいえますが、それでもここでは皆さんに「絵にイメージを伝える力を持てるかどうか」という点に注目したいと思います。

 非常に簡素ながらも、しっかりと「演出家」としてどういう構図をしたいのをはっきり伝えています。湖川友謙氏も言いましたが、富野のコンテはコンセプトが明確なわりに絵がシンプルゆえ、非常にアニメーターの想像力を掻きたてるものだそうです。この絵とこの証言から見ても、「コンテ絵の上手下手さは必ずしも監督の腕と直結するものではない」と分かるのだろう。


5.『逆シャア』コンテ

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 『ガンダム』からいきなり10年後の作品まで飛びましたが、劇場版のコンテだけあって、テレビシリーズより緻密な絵と運びが示されています。ちなみに、書き込み(説明部分)の文字が文字処理機で書き直された理由は、「手書きだと字が読めない」だったようです。劇場クラスだと外注も多く、富野文字にあまり馴染めないスタッフも考えられますので、「監督の書き込みが読めない」という理由からの遅延を避けたかったMというのが本当の原因だそうです。


6.『∀ガンダム』コンテ

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 いつぞや展示された『∀ガンダム』のOPコンテです。色付きコンテは富野でも珍しいというが、それだけにこの『∀』に注力したのをよく伺える一例だったんです。それにしても美しい…。


7.『リーンの翼』コンテ

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 8年ほど前の作品『リーンの翼』の、反乱軍によるアマルガン奪回戦の件です。大量なCGを使ったこの作品では、カメラワークに頼るところが多いですが、このコンテからもその傾向を感じ取れるのでしょう。


8.『Gのレコンギスタ』コンテ

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 先日、韓国のドキュメンタリー番組からとった映像です。1コマしか映っていませんでしたので、そもそもコンテとして紹介することはいささかおかしい気もしますが、最新作ということで皆さんに見せていただきたかったんです。


9.『ガンダムF91』イメージ・ボード

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 『機動戦士ガンダムF91』という宇宙世紀を仕切りなおす劇場アニメーションにおいては、富野は珍しくイメージボードを描きました。スタッフ全体に、監督がイメージしている世界観はいかなるものかを、言葉を尽くすよりも、この10数枚だけではっきりと伝えてくれたと言えます。


10.『Vガンダム』イメージ・ボード

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 『機動戦士Vガンダム』においては、富野はやはりイメージ・ボードを描きました。スタッフが一新したためか、今までのシリーズとは設定年代が離れているためか、どのみちテレビシリーズでありながら、なかなかのものでした。富野がいかに「Vガンダム」に尽力してたことを物語った揺るぎの無い傍証でもあります。


11.「はじめたいG」宇宙エレベーター想像図

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 これは、ガンダムエース10周年記念のために寄稿された『はじめたいキャピタルGの物語』という、いわば最新作のアタック・ストーリー的な作品に収録されている想像図です。これからのガンダムシリーズのために打ち出した新機軸で、10月から放送される可能性濃厚な『ガンダム Gのレコンギスタ』では、宇宙エレベーターは新世界の舞台として描かれています。


12.「はじめたいG」イメージ挿絵

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 これは、『はじめたいキャピタルGの物語』で公開された、富野独自に作成したイラストです。F91っぽいこの絵は、まさに富野の絵柄が時折「安彦っぽい」といわれる所為です。ちなみに、この2人は主人公のベルリ(『はじめたいG』では「ベリル」だった)と女主人公のアイーダ・クロノスですが、今の公開された吉田健一によるデザインと見比べると、より一層楽しめます。


13.「Gレコ」イメージ図

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 これは、『Gのレコンギスタ』がまだ「Gレコ」というコードネームで企画を進んでいた時期に、富野本人が書いたものです。最新作に出てくる「キャピタルタワー」の足元にいる都市の暮らしをイメージしたものです。

 注目してほしいのは、このイメージ図は手書きイラストに「写真による背景を貼り付ける」というやや変則的な手法を用いています。公式企画として始まったまもなくい期間のもので、正式なスタッフがあるはずもなく、完全に富野本人でやるしかない、という条件下ならではの大胆な方式と言えるかもしれません。


14.『無敵超人ザンボット3』第16話「星の輝く時」原画

 1977年当時、日本サンライズが弱小で人手不足だったため、『ザンボット』ではかなりアニメーターが足りませんでした。さらに、作画監督が設けていなかったため、絵のクォリティは正直低い回も結構ありました。そのため、苦肉の策として、富野は『ザンボット』においては大量な原画を手がけていました。

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 第16話「星の輝く時」の部分は、アニメーターの吉田氏が指摘した富野監督の原画と思われるシーンでした。実際は確証がありませんが、ここで特別に紹介します。吉田によりますと、「(絵が)よれよれなのだけど、僕が描いてもあんなに伝わる絵にならない」とのことです。この名シーンが富野の手によるものだとすると、非常に感動的です。


15.『伝説巨神イデオン』OP変形原画

 『イデオン』でアニメーション・ディレクターを勤めた湖川氏によると、富野は絵が下手(アニメーター基準で見ると)だがよく描けているとのことだそうです。その証拠として、『イデオン』OPに出てくる変形原画は、実は(一部が?)監督である富野本人によるものだそうです。この変形合体シーンがのちでもバンクとして本編で何度も兼用されてたことから考えれば、実はすごいことだと思います。



 ちなみに、富野が原画を手がけた作品のなか、現時点確認できたのは『ザンボット3』『イデオン』のほか、『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』『ブレンパワード』『∀ガンダム』があります(ラフ含む)。


16.自画像

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 近年ではあまり書いていませんが、一昔前の富野はよく自画像を書いているものです。お茶目な愛嬌を加味される他人による富野イラストと違って、本人があくまでシビア(?)なので、自画像は富野本人の心象風景を反映した形のように可愛くないオジさんの模様になっています。ただ、ファンから見れば、本人のイラストはかえって一番富野らしくない絵だと思いますよね。


17.「ハロ」イラスト集

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 富野の葉書には、大抵本人の筆によるハロが描かれています。そして一昔前の「月刊アニメージュ」「月刊ニュータイプ」においては、それがそのまま応募年賀状のイラストにもなります。それらを、まとめて紹介します。


18.毛筆による自筆

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 これは、月刊アニメージュがかつて通信販売として誌上通販を行ったTシャツなのですが、富野本人自筆の文字です。芥子は、富野が中学時代以来、短歌などを作るときのの雅号です。

 日本の書道という基準から見て上手いかどうかはわかりませんけれども、少なくとも素人目から見れば、もう充分達筆という域に達しているといえます。


19.『アイアンスカイ』イメージ・ラフ

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 なぜか『アイアン・スカイ』のファンである富野は、なぜか『アイアン・スカイ』のポスターまで自ら妄想していました。よほど金髪美女がお気に入りのようですね(おい)。いわば一種の遊びなのですが、「ラフデザイン」のままで応募景品として商品化させた、製作側もやる気があるだか無いだか(無いに決まっている)。


20.2011年東日本大震災応援イラスト

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 最後になりましたので、2011年の東日本大震災が起きた際、富野由悠季監督がガンダムエースに寄せた応援イラストを紹介します。


まとめ:マルチプレイヤーとしての富野

 以上の20枚を見れば分かるとおり、富野由悠季の絵は画家もしくはアニメーターレベルで考えると、確かに「上手い部類」ではないかもしれません。

 しかし、一人の人間がこれほど多い領域でそつなくこなすということは、やはりスゴイことだと言わざるえお得ません。監督が必要されているのは一方面だけの突出する能力ではなく、「トータル力」という素質を考えると、マルチプレイヤーとしての素養と訓練を充分に積んでいる富野由悠季は、まさに監督として優れている演出家ではあります。

 富野由悠季は、絵の熟練者なのだ。

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いよいよ明日! ガンダム35周年作品発表大予想!!

2014/03/19 04:27|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:2
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 明日はいよいよお待ちかねのガンダム35周年記念ということで、少しだけ予想してみましょう。

 今のところ、35周年関連の作品にはこれだけがあります。

1、ガンダムビルドファイターズ
2、ガンダムユニコーン
3、Gのレコンギスタ
4、ガンダムTHE ORIGIN
5、ガンダムさん


 そのうち、1のガンダムビルドファイターズは今月いっぱいに放送が終了です。反響があれば、もしかしたら2期…!?という声も多いらしいですけど、実際は連続にやれる題材とは思えませんので、そう簡単に来るとは思いません。ガンダムシリーズのしがらみを背負わずに済む分、ある意味身軽な企画と言えますけど、それでもGレコなども控えている手前、あるにしても2015年後半になるんでしょう。

 なによりガンダムAGE以来の「子ども向けガンダム」という路線が継続しようとすると、GBFだけでは役者不足なのでしょう。ということで、15年か16年には別の新しい子ども向けガンダムが来ると思います。

 次に2のユニコーン最終巻が5月中旬に上映、6月初頭に発売というスケジュールなのですが、実際に延期という可能性もないわけでもありません。無駄な詮索はしたくありませんが、Gレコと同じくサンライズ第1スタジオ制作ということが、もしかしたらいろんな支障を出す可能性も否定しませんので、さっさと片付けてほしいのは本音です。

 そもそも、度重なる延期がなければ、そもそもユニコーンは35周年と無縁ですしね…。

 3の富野由悠季監督の『Gのレコンギスタ』なんですが、1~5のなかでは、Gレコだけが正真正銘の完全新作なんですので、普通にガンダムというカテゴリでも期待されていると思いたい。

 それから、未だに「Gレコはガンダムじゃないし」と言っているお人がいますが、普通にガンダムそのものじゃなくてもガンダムシリーズの一環なんです。

 4のTHE ORIGINですが、11年以来なんの音沙汰もない3年間を過ぎてましたが、去年のガンダムのテレビ版・今年5月のガンダム劇場三部作のブルーレイboxの発売から見てれば、発表は間近に間違いないと思います。

 なので、今回はPVくらいがあると思います。ただスタート時期によってはスタッフが発表されないかもしれません。ちなみに当方の予想はユニコーンと同じく限定上映+OVAという形で始まると思います。

 最後の5のガンダムさんなんですが、短編アニメだと思いますので、下手にすればFLASHアニメっぽい作りという可能性もなくはありません。作りがショボイとかというわけではなく、単純に相性がいいと思います。

 正直、やる意味はいまいち掴めないアニメ化なんですが、サンライズからは大したメリットを見出せないことから見ると、角川書店のほうが主導するプロジェクトかもしれません。



 そして、ここ数日の発表する場所はこの3つがあります。

A、ガンダム35周年記念サイト(3月20日17時)
B、東京アニメアワードフェスティバルの富野トークセッション(3月21日16:30-18:00)
C、AnimeJapan 2014のガンダムシリーズ スペシャルステージ(3月22日15:00-15:35)

 以下、自分の予想でいきます。

 まず、35周年記念サイトは、オリジンのPVで行くと思います。可能性として、Gレコやガンダムさんなどの35周年記念作品の情報も少しだけ公開されると予想します。

機動戦士ガンダム35周年記念ポータルサイト

シリーズ開始35年、”ガンダム”は次のステージを目指し、挑戦を続けています。変革はすでに始まっている。

ーCOMING SOONー
MARCH 20TH, 2014 5PM ON LIVE

 なぜならば、なんだかんだバンダイやサンライズが一番重視しているのは他でもなく、1stガンダムのリメイクと言えるオリジンだからです。確かに内容は別にしても、このOVA・映画・テレビ放送を全部やれるような素材を重視しない理由はありません。それに、BとCのイベントには別段オリジンを発表できるような場を設けてなさそうですので、本命として20日に発表されると思います。

 次に、TAAFの3月21日のイベントなんですが、富野監督本人が登板ということでも、もう『Gのレコンギスタ』しか考えられません

3/21 (fri) | 上映プログラム | 東京アニメアワードフェスティバル2014

16:30-18:00
富野由悠季 スペシャルトークセッション
トークセッション

 他にもガンダム三部作のオールナイト上映がありますが、まぁトリロジーボックスの宣伝なんでしょう。

 最後のアニメジャパンのイベントなんですが、これはおそらく20日・21日既出の情報+ガンダムさんという発表なのでしょう

AnimeJapan 2014

3月22日(15:00〜15:35)
機動戦士ガンダムシリーズ スペシャルステージ
出演者
池田秀一、小松未可子、國立 幸、内山昂輝
内容
ガンダムシリーズ最新情報の発表会を予定

 出演者が大御所+GBF声優+ユニコーン声優という組み合わせといい、35分という短い時間といい、どう考えても大きな発表ができませんので、ガンダムさんがあるとすればこちらか20日の公式サイトなのでしょう。



 以上をもちまして、20日の公式サイトがオリジン、21日のTAAFがGレコ、22日のAJ2014がガンダムさんの発表だと予想します。当然、この3日間以外の日の発表という可能性も当然大いにありますし、こちらはあくまで予想ですので、根拠があるわけではありません。それでも、富野監督のGレコのPVの上映が決定となっている以上、素直に富野監督を応援したいと思います。皆さんも一緒に明日と明後日を楽しみにしましょう。

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富野由悠季は「絵にズボラなアニメ監督」なの?

2014/02/27 01:46|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:9
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 富野由悠季はなぜか、時折「絵にズボラなアニメ監督」といわれています。

 確かに、その作品を見ると、画面が比較的に弱い面はありますので(アニメ業界のなかでもトップクラスの大御所の割りに)、そのようなイメージが湧くのは無理もありません。

 また、有力なアニメーター集団を抱えた80年代前半でも、明らかに「演出」が「絵」を上回りましたので、なんとなく絵が貧弱というイメージがあります。

 さらに、庵野秀明氏と押井守氏の「富野監督は絵を信じてない」という言説も、それを強化した一因だと思われます。※1

 これらの話が長年インターネット上などで囁かれているため、「富野は絵に無頓着なアニメ監督」というイメージはいつの間にか定着している感じがあります。

 

 一方、富野本人の著作である『映像の原則』を読むと、むしろ真逆なイメージを抱いてしまうものです。

 主に演出を語る本なのですが、絵・作画に関する内容も多い。特に第9章の「作画の究極的演出処理学」は、実はページ数が二番目多い章節です。

 また、演出家ひいては作品全体を統括する監督の目から作画を見る話が多いので、全体の大原則や指針はふんだんに解説されています。木は確かに大切なのですが、森を一望する必要もありますので、このような目を借りられるのは、とてもありがたいことです。

 以上を知れば、イメージに反して、富野が作画面を非常に重要視していることは、もはや言うまでもない話です。



 そして、『映像の原則』では、富野は作画に関する問題を大量に取り上げています。

 それらの問題は素人の目でも分かるほど、日本アニメの現場に存在しています。20年前からそうだったし、あれから20年後の今でもそうだった問題は、未だにたくさん残しています。富野の弁ではありませんが、なぜか何時まで経っても一向改善されないことに理解を苦しむこともあります。

 やや武断な言い方ですが、つまり、富野は普通の監督が問題視しない問題までも見抜いて、要求しているのです(ここでの「普通」は、あえて定義しません。したところで何の意味もないですので)。

 こうした面から見ても、富野は絵に対して無頓着ようなことは決してなかったはずです。



 ただ、特にこの10年間の「富野は絵にズボラ」という見方は、まったくの見当違いというわけでもないと思います。

 乱暴な比べ方だと承知していますが、「一枚絵としての精密さ」「話全体の絵運び」はもちろん両立させるほうがベストなのですが、どちらしか立てないとすると、富野は間違いなく後者を選びます。事実、近年の富野作品を見れば、普通の観客だってこの選択を見分けるはずです。※2

 そしてこれこそが、ひょっとしたら富野が今時のアニメ作品やアニメ演出家との一番の違いかもしれません。なぜならば、現在の日本アニメは「一枚絵としての精密さ」という部分に非常に重きを置いているのです。

 インターネットや録画の普及により、見直しと一旦中止が効きようになり、見る側から「作画崩壊」という言葉が誕生したと同時に、作り側もそれに釣られるように、いかに「作画崩壊」を封じることに腐心するようになっているのです(もちろん原因はさまざまだが)。

 その結果、今の「一枚絵としての精密さ」を追求することに傾いているようなスタイルになりました。いわば選択の違いですが、昔の傾向、それも富野が求め続けている傾向と明らかに別の方向性なのです。

 そういう意味では、「富野は絵にズボラ」という一見大間違いだった言い方は、「富野は今風に迎合できない」に言い換えると、実は意外にも真実を掴んでいると言えるかもしれません。(ちなみにこの部分、改訂版にも新に追加される話があります。興味ある方は是非本を入手してください)



 ただ、「作画崩壊」という言い草が近年に生まれた言葉であるように、「一枚絵としての精密さ」を重視するような傾向も、実をいうとここ10年くらいのものです。

 ビジュアル社会に連れて、観客の絵に対する要求はこれからもおそらく下がることがないでしょうけれども、「一枚絵としての精密さ」だけに注力すればいいという傾向が何時までも続く確証は、どこにもありません。長いスパンを見ると、作画レベルが論外である作品は別として、やはり作画の「良さ」だけで、作品が10年後まで残すことはないでしょう。まして、その「良さ」はひょっとしたら「最近の流行」でしかないかもしれません

 だったら、結局本筋である作品の物語に戻るしかない。そして物語を語るための最上の選択は「話全体の絵運び」というものです。そして富野はこちらを選んだわけです。

 限られた作画ソースしか持てない場合、「話全体の絵運び」を選ぶ。この結論はもちろんアニメーター出身ではない富野由悠季個人が達した結論ですが、その実績を見れば、正論でもありましょう。絵そのものは時間が経つとどうしても薄れていくものですが、物語自身は、イメージと共に記憶されます。だったら、作画で絵そのものを求めるよりも、イメージを追及する方法論だってあるはずです

 この方法論は決して制作進行出身の演出家のみの特権ではありません。アニメーターだって、絵だけに頼らない方法論を打ち出せるはずです。おそらく富野は『映像の原則』でアニメーターにもっとも言いたいのは、このことなのではないでしょうか



 最初のに戻ります。

 確かに、富野由悠季は必ずしも作画に恵まれているわけではありません。加えて、富野は方法論からして、限られた資源を「話全体の絵運び」に投入する傾向があります。そういう意味では、「一枚絵としての精密さ」が評価の基準となっている現在では、今風でいうと「作画が良い」とは言えない部分があります。

 一方、「一枚絵としての精密さ」重視はあくまで近年の傾向で、もちろん絵は良いに越したこと無いものの、良さなど価値観は時代と共に変わるものですし、制作者・観客の数あるだけ異なるものです。

 「話全体の絵運び」を重要視する方法論を取ったのは、富野作品なのです。富野作品に見られる画面とその絵は、すべて富野が監督として最善に尽くした結果です。それを監督個人に能力が不足であるように言いふらすのは、まったくの無責任で無見識です。

 そして、今風に迎合できない代りに、富野はアニメ作品を長期間に残せる実績があります。絵を使いながら、絵そのものを求めず、トータルなイメージを掴む手法はむしろ一種の特色(もちろん富野オンリーというわけではないにせよ)と言えますし、方法論としてちゃんと成立するものです。

 そういう意味では、富野由悠季はやはりちゃんと絵を駆使する力を持っている演出家であることを、誰も疑うことができないのでしょう

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『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか

2014/02/20 01:29|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:5
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 「富野由悠季は萌えアニメが大嫌い」

 「富野監督は映画を目指しているから、マンガ的表現によく思わない」

 「富野はアバターをボロクソに貶している」

 以上のようなことを思っている人は、きっと多いだろう。インターネットを中心に、さも事実のように流布されていますから。

 しかし、違います。



 富野は萌えアニメが大嫌いどころか、現在の制作状況を対応すべく誕生した作り方の一つとして、正面な評価を下しています。

 確かに、富野は映画を目指していますけれども、マンガ的表現を排除していません。また、マンガ的な表現を「芝居を整理するうえ参考になる手法の一つ」とも評しています。

 また、富野はアバターについてボロクソどころか、近年のハリウッド映画のなかではむしろ極めて評価している一作としてみています。それも、興行面だけではなく、技術面についての評価です。

 ほかにも、いろんな話があります。それらの話は多く、インターネット上に流布されている言説と異なる一面があります。

 そしてそれらの間違った言説に対する正解は、すべて富野の著書「映像の原則」の改訂版に載っています。

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 インターネット上では、富野由悠季監督とそのアニメについて評論したがっている人はたくさんいます。また、いっぱしのサブカルもしくはアニメ専門の評論家も、ネット上で積極的に発信しています。さらに、アフィリエイト目当てのまとめブログなどもいます。それらが合せて、好事家の一大勢力を築いています。

 しかし好事家たちの言説を見ると、根拠がないままの批判、もしくは実在かどうかも確認できない富野コメントに対する反論が、なんとなく大半を占めています。誰だか明言しませんが、そのような評論家もいます。

 それでは、野次的な好きことであって、本当の意味での好きではありません。好事家はそもそもそういう類の人間でしょうが、あまりにも惨いである。



 もっとも端的な例を挙げます。

 たったいま、この記事を読ん時点で、富野由悠季監督は実はバーバパパを評価していると知っている人は、果たしてどれくらいあるのでしょうか。ほぼいないはずです。

 まして、こうして監督が評価していることを知っていても、どの部分をどのような評価していることも分かりません。そんな知識は、インターネットには載っていませんから。

 富野由悠季監督の考え方を知りたいのならば、パソコン上の数クリックで得られるような、作り話の可能性がある話よりも、著作に載っている本人の言葉を読むほうがいいに決まっています。「映像の原則」さえ買えば、すべてが分かります。

 富野由悠季の専門家(?)になることは保証します。

 もちろん、あらゆる人に「映像の原則」を買えとは言いません。購入を強要はできませんし、そもそも誰もか専門家になる必要はなく、意見を言うだけならば個人の自由です。

 それでも、根拠のない義憤や不満によってではなく、本気に人を論じようとすると、最低でもその人の主な発言や意見を抑えないといけません。それが、批評や評論の最低基準であり、リテラシー

 であるからには、『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか。

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 「旧版を読んだから、今更新版を買うまでもないだろう」と、旧版を購入した人は言うかもしれません。

 確かに、旧版を読んだだけでも、立派です。

 しかし、旧版だけを読んでも、やはり足りないです。旧版に興味を持ったあなただから、自分の知識を改訂版にアップデートしないことには物足りないと思うはずです。主にデジタル関係の話が追加されていますが、以上のように萌えアニメなどに関する話も新に書き下ろされています。

 『映像の原則』は改訂される際、旧版の5%ほどの内容が削除されました。そして、それ以上の比率の新しい内容が追加されています。

 つまり、旧版と改訂版は10%以上の内容(ちょっと間違った数え方かもしれませんが)が違います。ページ数でいうと、40ページくらい違います(本人調べ)。

 そのうえ、10年という時間を加味すれば、「改訂版」はもはやまったく違う新しい著作と考えてもかまいません。

 であるからには、『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか。



 富野の発言がことあるごとにインターネットの話題もしくはニュースになっているところから見ても(最近でいえば「進撃の巨人」「ワンピース」など)、その発言に触発されて、思わず物事を申したい人はかなり多いと感じます。

 しかし、富野とその言説を同意するにしても、批判するにしても、最低程度の武器(言説)を準備しなければなりません。知識と言説を持たなければ、何もできません。

 であるからには、『映像の原則 改訂版』を読まずして、どうして富野由悠季を批評できようか。

 そういう意味では、『映像の原則 改訂版』の購入がオススメです。己の鑑賞眼を磨くことができます。

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富野由悠季とフランス映画 および映画の娯楽性と芸術性について

2014/02/12 23:34|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:4
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 今日は、富野由悠季監督とフランス映画についての話を少ししたいと思います。



 先月のハリウッド提携記者会見において、富野由悠季監督は「(Gレコ、現在のリメイク新作を除いて)87歳まではあと1、2本を作りたい」と発言しました。

 87歳でいえば、現在富野監督のお歳である72歳にプラス15歳という年齢を挙げたに過ぎないように聞こえましたが、実際は違います。

富野由悠季監督、ハリウッド「Legacy Effects」提携会見 - 全文書き起こし (2) 僕にとって「Legacy Effects」は、新型の戦闘機に乗るような気分 | マイナビニュース

87歳という年齢については、ある前例を聞きました。現にその年齢でも映画を作って、撮って、大変素敵なコメディー映画を作っている監督がいるとすれば、やはりそれは僕にとっての目標値にもなります。そういう監督に負けないようにがんばりたいと思います。監督の名前を挙げておきます。アラン・レネです。(※フランス人監督。現在91歳。87歳時の2009年に『風にそよぐ草』、2012年に『あなたはまだ何も見ていない』を発表)

 と、このように、実際にレネ監督の『風にそよぐ草』を意識した上の発言なのです。

 富野監督は最低でも87歳まで作りたいという意欲は当然大変素晴らしい話なのです。が、ここで着眼したいのは、『風にそよぐ草』を「大変素敵なコメディー映画」を評しているところなのです。



 基本的に、富野由悠季という作家が映画において理想とするのは、ハリウッド発のアメリカ映画なのです。

 エンターテイメント論を論じるときに、富野の映画に対する原風景はそもそも芸術性溢れるヨーロッパ映画ではなく、大衆娯楽に富んだハリウッド映画だったからです。近年の代表作『∀ガンダム』の舞台、ストーリー構成と編集技法を見ても分かるとおり、『風と共に去りぬ』などのハリウッド大作を強く意識している作りとなっています。

 この富野のエンターテイメントに対する考え方の原型は、もしかしたら『宇宙戦争』(1953、ジョージ・パル)や『キング・ゴング』、『白鯨』『海底二万哩』『ウエスト・サイド物語』など幼少期に見た映画まで遡ることができるかもしれません。あるいはそう考えるのは早計かもしれませんが、富野監督の「映画におけるエンターテイメントのあり方」の一つとしてハリウッド映画である考え方は、とにかく昔から今日まで一貫しています。

 もちろん、富野監督が『タイタニック』を初めとしたジェームズ・キャメロン監督の作品を褒めているのもそういう原因によるところが大きいと思われます。



 一方、富野監督はやはりフランス映画を初めとしたヨーロッパ映画に大変憧れを持っています。

 富野監督が好きと挙げた『勝手にしやがれ』『青いパパイヤの香り』など、もしくはジャン=リュック・ゴダール監督や卒論のお題ともなっているミケランジェロ・アントニオーニ監督の作品もそうですけど、とにかくその強すぎる芸術性が富野青年を圧倒していました。多感の高校時期から大学時代を沢山みて、卒業後は『鉄腕アトム』で電動紙芝居をやるしかなかった当時の富野が、ヌーベルバーグに強く敗北感を感じたのも無理もない話です。

 しかしもう一方、「大衆映画はどういうものであるべきか?」という面において、富野はヨーロッパ映画を高く見ていません。個別な良作はあるものの、全体的にその高い芸術性は時折娯楽性を減殺しますから。富野が、自ら映画の芸術性への憧れを封印したという言い方もできるかもしれません。



 『映像の原則』を読んでみると、富野監督は決してヨーロッパ映画の全体をそれほど高く評価していません(貶す、もしくは評価しないこともありませんけれど)。

ヨーロッパでは、アートを意識しすぎて、妙に考えるものを目指していたりしますから、映像が流動的でなくロジック的になっているのでしょう。これは推測です。

 上の話は「映像の流動性」に関する話なのですが、それでも万人向けを目指しているときに、やはりアメリカ映画のスタイルは一番近道という考え方があります。そういう意味では、手放しに評価するわけではありませんが、富野監督が今回ハリウッドと提携するに決意したのも、こういう思考による産物と考えられます。

 それでも、近年の『アメリ』といい、今回の『風にそよぐ草』(『小さな中国のお針子』も言えるかな)といい、「趣味としてのフランス映画好き」は、やはり富野由悠季監督のどこかに生きていると感じられます。



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アニメーションにおける「文化性」の話――ある富野作品のシーンを例として説明

2014/02/01 03:19|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:3
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 富野由悠季監督が『映像の原則 改訂版』において一つ面白い例を取り上げましたので、ここで紹介します。

 つぎに、作為的につくらなければいけない雰囲気の音、というものがあります。雑踏のなかでも市電が通っているらしいのなら、それを作る、です。これはシーンによって作意をはたらかせる必要があります。

 さらに、意識的に入れる音があります。が、ここで問題になることが出てきます。画面にまったくその要素がないのに入れるのは良くない、と判断されるケースです。

 今思い出せるひとつのケースは、積雪のあった背景で晴れた朝、木に積もった雪が落ちる音を入れなければならない、と思いついたときです。雪が落ちる画像はいっさいなく、そんな音を入れても、想像できる観客と想像できない観客がいるのだから、どうするか? そういったケースです。

 これは強権発動で入れさせてしまったのですが、十年経って見直しても、いいものか悪いものかの判定に迷っています。


「第11章 画以外のこと=音」より

 黒字の部分は明記されていませんが、『∀ガンダム』のエピローグのある描写のことです。しかもこれは実は、改訂版で始めて追加された文章です。

 富野由悠季監督にとって、きっとそれだけ迷っていた演出なのでしょう。確かに、この例でよくわかるとおり、場面一つに対しても、「わかる」と「わからない」観客が出てきますので、そういった細かい部分でも注意を働く必要があります。実に興味深い示唆です。



 が、この話はよく考えると、実はそのなかから秘めている「文化性」の要素を見いだせることができます。

 どういうことかといいますと、世界中の不特定で多数な観客に見せようとする時、同じく「雪」の音というシーン一つだけに対しても、「わかる」と「わからない」という二種類の観客が出てくるのです。しかも、それは富野監督が挙げた例とは別に、ひょっとしたら、「そもそも雪の存在をよく分からない」という観客の可能性もあります。

 つまり、生まれて一度も雪を見たことない観客ならば、積雪が落ちる声はそもそも知りませんので、音を聞いても、自分の経験を喚起できませんので、当然そのような演出に対しては困惑するばかりなのかもしれませんし、まったく別なものだと想像しちゃうかもしれません。そうすると、演出は当然想定した意図に達すことができません。

 この場合でも、きちんと描写を積み重ねねば、大抵解決できるようになっています。が、積み重ねようがありませんから、どうしても前もって消化できない時があります。上の『∀ガンダム』などもそうです。



 とはいえ、「じゃあ、文化性があるかもしれない描写は全部省いちゃえ!」というのはもちろん暴論ですし、物理的に不可能です。

 上の雪の例一つにしても、「分かっているから面白さを感じてる」という観客は当然として、逆に「分からないから面白がってくれる」という観客はいるかもしれませんし、このような観客両方をわしづかみたいのは創作者というものです。

 なので、どうやってこのハードルをクリアして、より多くの観客にいろんな形で面白さを伝えるテーマ、物語、演出などを絞り出しつつ、センスを磨いていくのはまさに物づくりにかかわる人間の使命であろう。



 この文化性の話を逆説的にいうと、今回富野監督のハリウッド提携作品の意味はまさにそこにあります。そもそもこのプロジェクトの核心は、「日本の感性を持ちながら、ハリウッドにも通用する映像を作る」ところにあります。

 「アメリカ人の感性なんて信じられるか!」と思う日本人はいるかもしれません。確かに、そういった部分はまったくないと言い切れません。

 しかし、ハリウッド・スタイルが「数学を解くみたい」とか「ルーティン」とかに揶揄されているも、いまだにほぼイコール「世界に通用する規格」という理由は、まさに彼らが世界中のより多くの人に伝えたいことに腐心している結果です。

 その結果、一部陳腐に落ちかねない部分や綺麗すぎる部分が否めないにしても、「もっとも多い人数に伝えられるかもしれない描写」を手に入れたのです。商業上の部分をクリアする上、より多くの観衆に伝えようとする表現の手法としては、極めて正しいものだと感じます。

 これは、富野監督本人が『映像の原則』などでも取り上げた話題なのですが、別に富野監督が言わなくても、台湾人である私にとってはものすごく自然に頷ける話です。



 アメリカ人のこういうおおらかであっけらかんなメンタリティはある種、日本人の極まりない繊細さとは対極にあるものといえるかもしれません。そういう意味では、日本人にとっては道理として分かりつつも、納得できない部分もあるのでしょう。

 あるいは、どうやって両方の文化性を一つの作品にうまく落とし込むのを理想との厳しい戦いと感じているかもしれません。

 しかし、台湾というアメリカと日本文化がごく自然に融和している風土に育っててもらった台湾人の感性にとっては、この日本的なものとアメリカ的なものを共存させるのは、常に日常生活と一体となり、実経験を通して体感できるものですので、日本ほどハードルを感じずに乗り越える部分があるといえます。

 そういう意味では、富野監督をはじめとした世界クラスの監督が目指している文化性の融和という理想は決して容易いことではありませんが、不可能ということも決してありません


 結局、最正解なんてきっとどこにもありませんけど、ベターな答えはあるはずです。

 クリエイティブな仕事に多数決的な判断はいりませんけど、こういう多方面の文化性をうまく溶け込む感性が必要だと感じます。そういう意味では、すべてのクリエイターにはこれを目指して頑張ってほしいですし、富野監督が今回の仕事を通じてそういう才能のサポートを獲得してほしいと心より願っています。

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