富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

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オーラロードを通り抜けなかった閃光のガラリア・ニャムヒー

2010/10/12 01:06|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:0
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 久々の『オーラバトラー戦記』の話です。最近脳がヤバイので、まともな日本語を書くことに自信がありません。前巻と引き続き、ジョクたちが地上界にいる話です。『オーラバトラー戦記』には『聖戦士ダンバイン』みたいな再浮上がないため、地上界との接点は6巻とこの7巻『東京上空』それきりなのです。


 前巻の最後、ジョクとバーン、ガラリア三人が一度合流したにも関わらず、話し合い末やはりソリが合わずに(主はジョクとバーンだが)、ジョクはガラリアと共に家に篭り、バーンは逆にアメリカ軍と手を組む道を選んだ。しかし、これらのことは全て日本の領土に起きたことなので、自衛隊も米軍も緊急事態に直面することになり、さらなる混乱を呼び起こした。果たしてバーンとガラリアはバイストン・ウェルに戻れるのでしょうか? それから聖戦士であるジョクはどう選ぶのでしょうか?
 と、いうのがこの第7巻のあらすじですが、一々初心者や未読者に向ける記事を書くつもりはないですし、そんな気力も湧けませんので、前回と同じくいくつかのポイントを枚挙します。。


前も話しましたが、もともとバイストン・ウェル物語は現代への風刺というものを内包しているものですが、そんな物語のなかで我々の住んでいる世界が登場したことは、すなわち風刺性の強化ほかありません。
 この記事は80年代末出版のカドカワノベルズを読んだ上に書いたものなので、新版はどう修正されたかはまだ知りませんけれど、自衛隊の自己矛盾に対して直接な批判ではなく、物語に通じてさんざん晒したのが痛快です。いや、これは日本人でない私がある客観性をもっての感想ですが、実際は日本人ならば恥ずかしさを感じてしまうほどシニカルな情景です。
 軟弱な自衛隊。そしてどこまで行っても強気な米軍。これは一見さんざん使われたありがちな設定なんですが、『オーラバトラー戦記7』の完成時期が湾岸戦争前であったことを考え、本当に「有事」に直面しても、身動き一つもロクに取れないというフィクションまがいなことが現実になった恐ろしさの片鱗を味わったと思うと、富野由悠季の歴史的視点からある程度の未来を予言するほどの鋭さを、どうしても感服せずにいられません。



前巻の後半から続々と登場していましたが、この巻、ジョクの家族がようやくそろえました。あまり頼りない父、気弱でヒステリックな母、まともな手伝いさん、そしてジョクのおばあさん。このおばあさんこそこの家族の最中心人物で、長年土地に身を寄せ、年寄りらしい穏やかさと知恵をもって、ジョクにも初めて会った中臣杏耶子にも異世界人ガラリアにも平等に扱うことができる素晴らしい人です。実際、後の話になりますが、将来ジョクが絶体絶命な状態を直面したとき、一度だけ心のなかからおばあさんに助けをもらうようにしたのです、アリサに対するでもなく中臣杏耶子に対するでもないのです。
 また、ガラリアを浴衣着をオススメしたのもお婆ちゃんです。そしてガラリアもおばあさんを尊敬しているようです。短い時間とはいえ、地上界においてガラリアに与えた影響力でいえば、お婆ちゃんのほうがジョクよりはるかに多かったかもしれません。もっとも、これもガラリアの運命を決めたことかもしれませんが。


ばあちゃんの話を受けて、ガロウ・ランと開戦した当初から負けん気がつよく、ジョクの離反後さらにギラギラになちゃってるガラリアさんは、そのお婆ちゃんのふれあいのなか、だんだんその身に纏うトゲを解け、だんだん優しくなっていきます。読んでで不思議で気持ちいいのですが、悲しいことに、これもガラリアの将来の悲劇を暗示することかもしれません。


前巻の後半から、三人がいよいよ事態の解決(=バイストン・ウェルに帰還)を試し始めたけど、警察、自衛隊、日本政府、米軍、会社などの介入もあり、混乱はますます拡大。かといって、ジョクたちや介入した連中は実際状況をコントロールしきれる人は1人も居られず、状況はやはり混乱していく一方。このように状況が混乱してるままに動くのが、間違いなくこの小説のひとつの魅力です。
 また、バーンはどこか胡散臭いと感じながらも(一度)米軍と手を組んだのと、ジョクは頼りないと思いながらも結局自衛隊との協力を選んだことも、非常に将来2人が進む道を暗示するものになっているかもしれません。


この巻の最後、地上界においての事態がもう収拾つかなくなるところで、ジョク・チャム・バーン・ガラリアの4人が力を合わせて、ようやく再びオーラロードを開くことができました。なぜに戻れたというと、それは他でもなく、ジョクやバーンなりに地上界との接触に通じて、自分が何か求めたいものをはっきりと分かってしまったゆえ、精神力と気力が高まったことだけでなく、世界に再びバイストン・ウェルを戻ることを許されてしまったと言えるかもしれません。チャムは言わずもかな。


逆に、だんだん優しくなるガラリアさんがそのギラギラさという武装を取った途端、人生や世界に対して妙な覚悟と悟りを着けてしまったともに、気力まで失われたガラリアさんですから、表の理由はオーラロードに入る前に被弾したためだったが、実際はガラリアさん本人の意識によるものかもしれません。


この巻を読んだ後で思ったことですが、富野作品のなかに、実は「空回り」という手法がよく使われていると思います。この『オーラバトラー戦記』の東京浮上でいえば、ジョクやバーンが各自に地上人に接触するのもそうですし、そもそもこの浮上自体はジョクやバーンや地上人にとっては壮大な空回りにすぎません。
 しかし、「空回り」があったからこそ、人々の心のなかに思いを残すことができますし、「空回り」もひょっとしたら実は「空回りじゃない」かもしれません。そういったメッセージは、ちゃんと富野作品のなかにあるような気がしますね。



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 ちなみに、アニメ版というか『ダンバイン』ではジョク、バーン、ガラリアの三人ではなく、ショウ・ザマとガラリア2人だけがオーラロードを通して地上界に入ったのですが、あっちのガラリアはこっちのガラリアさんと同じくオーラロードのなかで散った結末に迎えたのだが、なぜ『ダンバイン』のガラリアさんは閃光になったのかについて、ここではあえて筆墨を費やしませんけれど、ご興味ある方は、HIGHLAND VIEW 【ハイランドビュー】さんの優れた記事「【聖戦士急募】バイストン・ウェルで君の夢をかなえよう! <ダンバイン第18話「閃光のガラリア」より>」を読んでください。

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カルチャーショック話としてのオーラバトラー戦記

2010/09/28 01:54|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:0
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 富野由悠季監督の小説のなかでも一番のボリュームを誇る『オーラバトラー戦記』をようやく読み終わりました。読み終わりましたが、有り余る感想がどんどん浮かび上がりますので、今日から何回に分けて、1巻ずつの感想を書きます。今回は、『オーラバトラー戦記6 軟着陸』です。




 前巻のラスト、オーラマシーンがある以来ライバルであった元・聖戦士ジョクとバーン・バニンクスが激突する瞬間、気位高い女騎士ガラリア・ニャムヒーが割り込んだ結果、オーラロードが開かれ、三人(+一匹のフェラリオ)を地上界へ送り込んだのだ。バーン、ガラリアがそれぞれ日本の違うところに飛ばされ、ばらばらになりましたが、2人が真っ先に直面するのは、ジョクやショットみたいな地上人が住んでいる奇妙で不可解な世界だった…。一方、こっそり故郷の田無に帰ったジョクが、ある女性と出会って、不思議な体験を味わうことに…。




 この巻のあらすじはだいたいこういうものなんですが、以下は今回のポイントを簡単に枚挙します。

この巻、コモン人であるバーンやガラリア、さらにバイストン・ウェルから出戻りのジョクがばらばらになって、違う事態に直面することになっています。しかし、三人の遭遇が違うとはいえ、三人が独自に取った一連の行動から、三人それぞれの「限界」がだんだん露になっています。
 そして、こういう不可解な事態に直面したときの対応こそ、のちの三人の運命を暗示することになるかもしれません。そう、『聖戦士ダンバイン』のショウが第1話でラース・ワウで一夜を寝たために、堕落したという話のように。


この巻と次の巻が東京浮上編で、『ダンバイン』でいうと16話「東京上空」、17話「地上人たち」、18話「閃光のガラリア」にあたります。そしてこの部分の話もアニメと同じく「物語を一気に活性化する展開」なので、前巻と比べて、とつてもなく面白くなっています。
 アニメと同じくひたすらパニックで人を攻撃するガラリアがいる一方、バーンは混乱しながらもなんとか事態に対応しようとします。しかし、所詮中世紀レベルの文明に生まれた彼は、当然カルチャーショックに直撃され、誤解もすれば恥も掻きます。そういう情けなくも可笑しい風景は、まるで『オーラバトラー戦記』の今までのシリアスさを踏み台にするようで、異文化間のディスコミュニケーション
が生んだシュールさは読んででたまらないですね。
 こういうことから見ても、人間は他者とどうコミュニケーションするのに本能的に興味を持ってるといえます。まあ、最近の作品でいえば『テルマエ・ロマエ』みたいなやつですかね。


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元々バイストン・ウェルシリーズにある傾向なんですが、この巻に入って、コモン界の人々が直接に地上人(それも日本人)を遭遇することということで、「現代への風刺」という一面がさらに強烈になってきます。
 平和ボケな日本人(テルマエ・ロマエ流でいえば「すっとぼけた平たい顔族」)、現代文明のさまざまな発明、アリスランドなどなどの要素が、全てバーンやガラリアという異世界から来たものの目や考えに通して、読者の前にくまなく晒されたのです。読んでで思わず汗顔する部分はたくさんありますが、そこはまさに快感に拠るところでもあります。


中臣杏耶子が登場。彼女は地上編しか出てこないが、繊細で聡明なセンスを持ち、さらに霊性みたいなものを帯びていて、ジョクにとってはバイストン・ウェルにいる内縁の妻であるアリサ以上に理想的な相手といえる女性。この杏耶子はジョクとの馴れ初めは短いが、やがてジョクに大きな影響を与える。

 余談ですが、『ガーゼィの翼』にも中臣留美子という女性が出てきますが、いったい中臣という女性は富野にとってどういう女性なのでしょうかね。


(これは全巻を読んだ上の感想ですが、)この巻から、ジョクに対する書き方はだんだん変わられて、「読者にとって知らないジョク」というのが出てき始めます。一旦語り口を別のところに変わってから、また他の人の視点に通じてジョクを描くことによって、「読者が知らないところで動いたジョク」を描く。これが富野がアニメでもよく使っている「飛躍」の手法ですが、この『オーラバトラー戦記』において何の意味があるのかに関して、続きの話を読まなければ知りようがありません。


この巻の前半は東京浮上に対して、三人それぞれの遭遇に対し、後半は三人も徐々に浮上してしまったことにどう対応するのを考え始めるのに反して、事態がだんだん三人が把握しきれないところで拡大していくことになります。これはどう発展するのか、次の話を読まなきゃ到底読めない展開です。


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マシンが増殖したオーラバトラー戦記8

2010/07/30 11:15|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:0
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 前回の記事からだいぶ開いて、その間いろいろあってなかなか時間を割れないのですが、ようやくオーラバトラー戦記8巻を読み終わりました。簡単にいっちゃうと、うるさい一冊でした。

 8巻の冒頭、ジョクとバーンはようやくバイストン・ウェルに帰還できたものの、ガラリア・ニャムヒーは爆死するところから始まる。前半はバーンとシルキーの絡みを描きつつ、主はウォ・ランドンのワーラーカーレンに召還された聖戦士ジョクとその主であるジャコバ・アオンの世界談義に占められている。これははっきり言って概念すぎてうるさくて、構成としてはジョクの漂流中なのでまだいいが、やはりどうしても読み手の読むテンポを損なう。

 後半は一転、ミの国のハンム王家とラウの国のゴウ王家の話になる。妻と娘のために自らラウの国の楯をやるミの国のピネガン王、ハンム家とゴウ家の間に挟まれるパットフット、幼いながらも感性が極めて高いエレ、そしてラウの国をもってドレイクを対抗しつつ、娘を愛するゆえ(内縁の)婿を憎むフォイゾン王。このへんの話は実によく出来ている。
 対して、ようやく聖戦士として世界全体の危機と問題に対面する覚悟をしたジョクは、アリサたちとの絡みはあったものの、逆に戦闘以外の影が薄い。そのへんは仕方ないか。




 つか、1-4巻はガロウラン闘争史、5巻はジョクが離反してすぐ地上界に浮上してしまったので、今まであまり注目することはありませんけれど、この巻がようやく『オーラバトラー戦記』のオーラマシンが増殖したバイストン・ウェルを俯瞰することができて、『聖戦士ダンバイン』との差異もようやく浮かび上がったのである。
 ジョクと王家の人々たちにフォーカスされるため、マーベル・フローズンは夫妻同然のニー・ギブンと二軍行き、もっぱらミィゼナー(アニメのゼラーナ的の役割)に搭乗する。アニメでも幼かったエレ・ハンム(14歳だっけ?)はさらに幼くなり、なんと9歳になってる。ミの国の国王ピネガン・ハンムの妻、ラウの国の国王フォイゾン・ゴウの娘であるパットフット夫人の出番が大きく増えてる。娘と和解するが、娘を寝取られたくやしさでその娘の夫を死まで追い込むフォイゾン王。それから富野作品のなかでも数少ない固有名詞がついてる武器の「聖戦士の剣」などとか、ファンタジーを描きつつも人の世も描く、これが富野由悠季が描きたかったバイストン・ウェル世界だよなぁという感じでした。
 ほかにもアニメのリムルの役割がアリサとリムルに分けて、シルキー・マウとナックル・ビーの役割がサラーン・マッキに統合し、エレがアニメのエレとシーラ様の役割を一身受けるところなどは、やはり見所である。



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 次は『オーラ壊乱』ですが、戦乱はもっと拡大する予感。戦雲がジョクを呼ぶのか。

オーラバトラー戦記8巻途中と空回りが好きな富野作品

2010/07/10 21:59|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:4
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 最近実生活も仕事もブログも面倒事でグダグダになってますが、オーラバトラー戦記だけが未だに読んでいます。序盤(1-4巻)のガロウ・ラン闘争、ジョクの離反(5巻)、東京浮上(6-7巻)へ経て、ようやく8巻に入りました。愛すべき女騎士ガラリア・ニャムヒーさんは死んでしまったが、ジョクもバーンも無事にバイストン・ウェルに帰還しました。


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 それで、アニメ『聖戦士ダンバイン』と違って、二度と浮上しないジョクですが、いったい彼はなぜバイストン・ウェルでケリをつけると決意したのか、これからの見所である。




 しかし、一つ気になるのは、富野監督のアニメや小説問わず、必ずといっていいほど出てくる「空回り」という描写は、実は富野作品を鑑賞/解読する上、一つとても大きなファクターだと思いますが、あまり語られることはないじゃないのかなと気になります。この『オーラバトラー戦記』の東京浮上でいえば、ジョクやバーンが各自に地上人に接触するのもそうですし、そもそもこの浮上自体はジョクやバーンや地上人にとっては壮大な空回りにすぎません。
 しかし、「空回り」があったからこそ、人々の心のなかに思いを残すことができますし、「空回り」もひょっとしたら実は「空回りじゃない」かもしれません。そういったメッセージは、ちゃんと富野作品のなかにあるような気がしますね。

「ジーク・ジオン」の連呼を聞いて、「これが…敵…」と愕然したアムロは、いったい何を感じ取って「敵」とつぶやいてしまったのか?

2010/06/22 23:09|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:2
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 今回記事タイトルのとおり、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の12話『ジオンの脅威』(もしくは劇場版『機動戦士ガンダムⅠ』)のラスト、「ジーク・ジオン』の連呼を聞いて「これが……敵……」と愕然したアムロは、いったいを感じ取って「敵」とつぶやいてしまったのか、皆さんは考えたことがあるんでしょうか。
 これについては、観客それぞれが自分なりの答えを持っているのでしょうけれど、もちろん正解などがありません。私はあえて一つの答えを出さなくて、毎回視聴する時の気分に任しています。




 しかし、そうはいっても、闇雲に戦って、生き抜くためにひたすら戦場に出なければならないアムロ(そして観客)にとって、これがおそらく初めて自分の前に何度も敵として現れるジオン公国の全貌を覗いた機会なので、やはりとても重要といわざるを得ません。ここでアムロは何を見たのか、そして何を「敵」として認識したのかは、まさに『機動戦士ガンダム』だけではなく、ガンダムシリーズ全体にも影響を与えるものといっていいかもしれません。




 ……と、ガンダムシリーズ全体に影響を与えるのはちょっと誇張かもしれませんが、実際ここアムロが敵と認識したものに対する見解の違いが、総監督以下の製作陣がそれぞれ考えたガンダム像の差異を象徴するものであり、ニュータイプを容認した富野喜幸総監督とほかのスタッフの行き違いであったと考えられます。
 以下の三人に例えましょう。
 たとえば、『ガンダム』を少年成長の物語と捉えているメイン脚本家である星山博之氏にとって、ここでアムロが見た敵はおそらく「少年が遭遇している難関・局面」と一つの物語に内包するものです。それゆえ、星山氏はニュータイプに違和感を覚え、『∀ガンダム』という回帰作まで、ついに富野監督と組まないでいた。
 対して、思想性が強いキャラクターデザインおよびアニメーション・ディレクターである安彦良和氏にとっては、ここの敵は「国家」もしくは「イデオロギー」といった今にも覗ける現実の反映です。これに強く関心を持っているのは、やはり氏の別の作品や『ガンダム・オリジン』からも伺えます。
 そして原作・総監督の富野喜幸は、おそらくイデオロギーよりもずっと曖昧で大きなもの、そう、たとえば「人の意志か何か」を捉えたのかもしれません。それゆえ、ニュータイプを作り、さらに『イデオン』で「イデ」、バイストン・ウェルシリーズで「オーラ力(ちから)」でそういう存在と意識の間にある形はないけど確実に感じ取れる「何か」をもとり続けている。

(何故かこの三人をたとえにしたかというと、自分の考えでは、この三人こそ一番『機動戦士ガンダム』の「匂い」を作った人である。三人がそれぞれ違う面で『ガンダム』を作っていた。)




 「ジーク・ジオン」の連呼を聞いて、「これが…敵…」と愕然したアムロは、いったい何を感じ取って「敵」とつぶやいてしまったのか? これはただの自分の思いつきですが、意外に考えさせられる問題かもしれないのですね。

語り口がガクッと変わるオーラバトラー戦記

2010/06/10 18:52|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:2
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 スローペースですが、いまだに『オーラバトラー戦記』を読んでいます。とりあえず今は5巻の途中、かつてアの国の聖戦士ジョクが家来とドレイク・ルフトの王女アリサを連れて、ミの国へ離反するくだりです。ダンバインもゼラーナもダーナ・オシーも出てきませんが、チャム・ファウはしっかり登場してますんで、ご安心ください。

 で、先日『オーラバトラー戦記』の1巻~4巻の感想を書きましたが、

スラスラ読めるオーラバトラー戦記前半と愛すべき邪悪なガロウ・ランたち

この『オーラバトラー戦記』は(同じく野性時代にて連載された)前作『リーンの翼』と比べて、さらに一般人にとってもスラスラ読める代物になってると思います。


 さっそくひびのたわごと子犬さんからこんなコメントをいただきました。

「オーラバトラー戦記」って読みやすいのはギィ・グッガとの戦いが終わる辺りまでで、
その後は情景描写が場面によって異なっていたり、論理が飛躍したりして読みにくくなりません?
最初いいペースで読めていたのが、そのあとガクッと落ちて塩漬けにしてしまったことを思い出しました。

 別に読みにくいとは思いませんけれど、実際読んでみれば、確かに語り口が変わってる感じがしますが、そこで自分なりに整理してみて、おそらく二つの理由があると思います。




 一つは「描写される物語の質自体が変わった」ということです。1~4巻はいわゆる異種との闘争録で、描写する物語は「波状的に襲い掛かって、負けても負けても攻撃し続ける邪悪な者ガロウ・ランとの闘争」といったものです。そこにあるのは「攻防が繰り広げられる」という物語なので、話がスラスラ読める形となっています。
 たいして、5巻以後はかつての味方同士が敵味方に分かれて戦うという話なので、そこにアの国以外の人間の思惑と主人公ジョクの思索が入れば、嫌でも「描写される物語の質」が変わります。それがまず一つの原因です。

 そしてもう一つは「話の構成・論理の再構築」です。ご存知のとおり、『オーラバトラー戦記』は『聖戦士ダンバイン』の再構築ストーリーといえますが、1~4巻はまるっきりのオリジナル部分です。それらの部分を文章として現れるとき、単純な「読ませる新作」というものとして存在しているわけなので、読みやすい。
 たいして、5巻以後は『ダンバイン』のストーリーとダブる話なので、そこには必ず「話の論理の意味の強化」がついてきます。5巻『離反』でたとえると、なぜジョクの逃亡だけでほぼまる1巻を使ったというと、それはほかでもなく『ダンバイン』のショウの「戦う意味がない」という富野本人が指摘した最大の弱点を補足するものです。こういったものが、1~4巻のテンポというか語り口のペースを緩ませたと考えられます。

 後者は複数の同じタイトルを持っている富野アニメと小説ではよく起こることなので、これからもし機会があれば語りたいですが、富野由悠季の小説は常にノベライズを越える複数な面性を持っていますので、ときどき人に誤解されますし、正当な評価を得られないですが、よくよく見れば、必ずその本来の面容を見つけることができます。


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千景万色のバイストン・ウェル物語

2010/05/31 23:18|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:0
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 ドタバタな生活が続いてる中、今日はいよいよ『オーラバトラー戦記』の第4巻『ギィ撃攘』を読み終わりました。面白いですね。前の言ったとおり、ガロウ・ランの変貌と成長は素敵ですし、文明・世の中がだんだん変わってゆく様はいろいろ思わせずにいられませんし、ジョクやバーンなどのオーラバトラー騎士が互いにライバル意識を燃えて戦場に駆けぬく男の意地と競争心など、どれもやはり物語を面白くするための基本要素ですよね。
 そして、最後。ギィ・グッガ死前のドレイクに降りかかる呪縛。あれはアの国しいてバイストン・ウェル全体の変貌を示唆するもので、これからバイストン・ウェルという世界に響き続けるだろうか。


 それにしても、バイストン・ウェル物語シリーズは作品ごとに違う色調を持っているのは知ってますが、まさかこれほどだったとは、なんか改めて思い知った感じです。『ファウ・ファウ物語』みたいな異色作はもちろん、一番似ている剣闘小説である『リーンの翼』と『ガーゼィの翼』でも、実際迫水は終始剣闘一徹に対して、クリスはさまざまな考え方や技術を駆使して新しい戦術を編み出してゆく。それゆえ、クリスは迫水と比べて、いかにも頼りなさそうに見えても、戦争の大局から見ると、クリスのほうが実をいうと迫水よりアテになれる感じがします。
 同じく、この『オーラバトラー戦記』も実際『聖戦士ダンバイン』とはかけ離れている物語で、前者は後者をベースにしながらも、完全に違う味の作品として仕上げられています。これは確かに素晴らしいことです。




 さてさて、いよいよ明日から第5巻です。ジョクがいよいよドレイク陣から離反するのが楽しみです。


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前日談的な作品が得意な富野由悠季?

2010/05/26 18:40|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:2
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 リアルタイムに聴けなかったんですが、昨日の富野ラジオは聴きました。どうもありがとうございます。とても大満足でした。

 さて、その内容についてですが、前の予想を反して、話題はいろいろあって、初めて聴いたこともあり、実に有意味な50分でしたが、今日は時間あまりないですので、富野さんの話から一つだけ書きます。聴き逃れた方は再放送を聴くか、シャア専用ブログ@アクシズさんがしてくださってるテキスト起しを読むのをオススメします。


シャア専用ブログ@アクシズ|NHKラジオ第1「渋谷アニメランド」10年5月25日放送分

藤津:最近で言うと小説を「リーンの翼」という小説を出されて。これは監督が過去に書かれた作品と小説と新しく作られたOVAのアニメをベースにしたのを合わせて長い一つの…。

富野:いやいや、それだけじゃない。その上にノベルスと新作の要素も入れて書きました。それはさっき言った通りガンダム30周年の壁を乗り越えるために、という事で自分にとってのエクササイズなんですよね。ですから過去のものを取り纏めながら新作も入れて作っていくというノベルスの形態というのは今まで、きっと誰もやったことがないだろうから、やってみた

 と、富野さんは今まで誰もやったことないことと自慢してますが、それは間違いです。何故ならば、以下の作品もそういう形で作られたものですから。↓

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リーンの翼第3巻の構成とか文法とか評価とか

2010/05/20 15:34|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:5
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 最近は『オーラバトラー戦記』を読んでいますが、『リーンの翼』を忘れたわけではありません。なので、今日は重い腰を上げて、リーンの翼の問題点や構成について少しだけ話したいと思います。




 というのも、ひびのたわごとの子犬さん玖足手帖のグダちんさんの先週の感想を読んで、どうしても書けずにいられないことがあります。

修飾関係が離れているので、被修飾語がどれなのかわかりにくいですし、
文頭と文末の表現がぶれてかみ合わなくなることもあります。

id:kaito2198さんが「福井さんのガンダムユニコーンは一文の中で視点が変化しすぎ」って書いてたけど、うん、リーンの翼はそれ以上に文法無視なんだ…。一文の中で自問自答が繰り返されて、予想される文末とは違う事を文法をかなり無視して書いている文もあるのではないのか?一文の書き始めと書き終わりで気分が変化してしまっている。

 子犬さんやグダちんさんが言ってる「文法」について、特に異議ないですね。全部の小説ではないにせよ、富野は雰囲気やテンポを重視するかわりに、文法を無視する節があります。
 もちろん、これは『リーンの翼』が扱うテーマや話はあまりにも大きすぎて多すぎて、作者にも完全に制御することができないゆえの現象であって、『ガーゼィの翼』や『アベニールをさがして』など普段の小説ならば苦もなく一般的にも読ませる文章を仕上げますが、それでもこのような指摘はこのリーンの翼第3巻においてはまあ間違いないです。
 ただし、こうした文章は前述のとおり内容によって違いがありますので、一概に「富野は読みにくい」といっちゃうのはさすがに早計といわざるを得ません。


それに加えてパブッシュのマキャベル司令が語る、
無国籍艦隊に関する思想というのがとてもわかりにくい。
普通に読み流してしまうと論理の飛躍に、
「えっ?どうしてこういう結論に?」と驚かされます。

 確かに私もそう思います。迫水は『リーンの翼』においてバイストン・ウェル側の作者富野の代弁者であれば、野望と理念を一身にしている男エメリス・マキャベルは地上界側の代弁者といえます。そのゆえ、彼の思考や論理も一番作者に近いといっていい。なので、それを何の違和感もなく納得できるまでは、確かに大変長い思考がいります。


また、これは個人的な理由ですが、
近代化されたバイストン・ウェルと迫水の変貌が、
あまりにも旧版と異なってしまったのも読みあぐねていた理由の一つでもあります。

 前も言いましたが、富野はほとんど別の気分で第1・2巻のリライトと第3・4巻の書き下ろしを書いたのです。どうして別なのかというと、リライトと書き下ろしの差異だけでなく、描かれた風景や話についてもやはりかなり離れていて、まるで別の世界となっています。
 もちろん、迫水本人はある意味の「再生」を遂げたので特に違和感がありませんが、それでも、2巻までの「戦士としての迫水」「剣闘&機銃&強獣」から一転、3巻以後の「政治家としての迫水」「オーラバトラー&オーラシップ」という風景の間には、確かに大きな断絶が存在しています。あの断絶を、読者ご自身がどう埋まるのが、評価の分け目になっているような気がします。今まで何回か言った「飛躍」という手法になるか、はたまたただの「唐突」になるかどうかは、それはまだよくわかりません。個人的は200近いページ数で7年間の空白(第3の原爆から迫水の再降臨までの時間)と60年間の移り行きを書いたから多少違和感が残っているものの素直に受け入れますが、まだ困惑している方もいるかもしれません。

 まあ自分が特に意見があるのはせいぜい以上の3点なので、以下は構成について簡単に話します。




 リーンの翼第3巻はおおまか言えば、4つの部分によって構成されています(各章のタイトルについてここを参照):

①「ホウジョウ・パート(BW側)」:完全新作部分。迫水の60年以上を越える建国物語やオーラシップ、オーラバトラーの建造など。これが一番面白い部分。また、地上人の建国のための建言や持論はあるものの、特に文明論や作者の思想が入ってないので、とても読みやすい。

②「現代パート(地上界側)」:完全新作部分。ロウリがなんとなく現状に違和感を感じる大学生から、テロまで至る過程やエイサップ・ロウリ・金本たちの学生生活やエイサップの家族たちの話。この部分に富野ここ数年勉強の成果が入っている。

③「無国籍艦隊パプッシュ・パート(エメリス・マキャべル側)」:アニメ版のパプッシュ艦隊をベースに、マキャベルの動機の説明とパプッシュ艦隊の再設定。この部分にも富野の考え方がいっぱい入っている。

④「OVAパート」:アニメ版の話に突入以降の話。細かい部分に差異がある以外、基本的アニメ版の流れになぞるものとなっている。

 この4つをタイトルに合わせると、こうなります:

第一章 帰還 ――― ①
第二章 テロだって!? ――― ②
第三章 新国家に生きる ――― ①
第四章 一軒家でのこと ――― ②
第五章 オーラマシンのもとに ――― ①
第六章 原子力空母と一発のテロ ――― ①②③
第七章 ホウジョウの名 ――― ①
第八章 戦艦浮上 ――― ④

 これを見ればわかるとおり、第六章は一番錯綜している章です。なぜ子犬さんは「わかりにくい」といってるのも、実はこれが原因です。ほかの部分は別に読みにくいことはないですし、複雑でもないです。
 そのうち、自分が一番評価しているのは、やはり①のホウジョウ・パートですね。正道的な楽しみでいえば、この部分はいろんな新しい描写や方法論が入ってますし、②と③のように作者の思想が混じってるわけでもないですから、単純に読んでも「面白い!!」といえます。もちろん、②と③から作者の思想をトレースする楽しみ方もできますし、②の現代パートで富野の2ch描写を読んででニヤニヤするのもできますが、それはどっちかいうとファン気分の楽しみ方ですから、やはり①はこの『リーンの翼』第3巻のなか一番オリジナリティが溢れる部分ですね。


 ですから、なるほど子犬さんのおっしゃるとおり「小説」としての評価は低いかもしれませんけれど、「創作」としての評価でしたら、この第3巻は極めて新鮮で面白い部分を持っています。これが今の自分が下せる評価です。

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スラスラ読めるオーラバトラー戦記前半と愛すべき邪悪なガロウ・ランたち

2010/05/17 23:11|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - スラスラ読めるオーラバトラー戦記前半と愛すべき邪悪なガロウ・ランたち
 最近忙しいですが、『オーラバトラー戦記』は相変わらずちょくちょく読んでいます。ガロウ・ラン定番の強獣部隊とミィナ絡みの前半戦が終わって、今はガロウ・ランたちもオーラ・マシンの導入を試し始める後半戦の第3巻中途です。

 それにしても、意外といえば作者に失礼かもしれませんけれど、この『オーラバトラー戦記』は(同じく野性時代にて連載された)前作『リーンの翼』と比べて、さらに一般人にとってもスラスラ読める代物になってると思います。もちろん、『リーンの翼』は別に読みにくくなくて、むしろ青少年~青少年~一般成人に適する読み物だと思いますが、多少くどい話が入ってて、人によって「もっと本編の話(ストーリー)が読みたい」と思われるのもあるかもしれません。
 それもあってか、実際富野の次の連載作『オーラバトラー戦記』には、このような反省がされている感触があります。どの部分なのかというと、それがつまり『リーンの翼』を構成する一大要素である二次世界大戦の日本軍・政府の在りようついての批判と反省といった作者の思想(と同時に、主人公迫水真次郎の思想や思考の一部も構成する)が入ってるくだりです。これら文明や現実に対する主張は『オーラバトラー戦記』の前半ではほとんど見かけておらず、単に純粋なファンタジー・ヒロイック小説という容貌となっています。
 また、『リーンの翼』が剣戟はメインの肉弾戦であるゆえの重厚な描写から一転、『オーラバトラー戦記』は機械戦がメインということもあいまって、アクション場面の描写はかなり軽快になっています。おそらく作品の色違いのための作風調整もあるとい思いますが、前作からの改良と見なしてもいいかもしれません。
 以上の二点から、まだ全巻再読していないものの、個人は『オーラバトラー戦記』が他人にも気軽にオススメできる作品だといいたいです




 それにしても、タイトルにもなってる通り、この『オーラバトラー戦記』はオーラバトラーに乗って空に駆ける騎士たちがメインである話なので、数々ある個性的キャラのなかでも、前半一番目立ちしているのはやはりジョク(城毅)、バーン・バニングス、ガラリア・ニャムヒーなどですが、そんな主人公たちの影にまだ別の意味でのメインキャラクターがいます。
 前も言いましたが、『オーラバトラー戦記』の1巻~4巻はいわゆるバイストン・ウェルの地中に住む邪悪の種族ガロウ・ランとの闘争史ですが、それはあくまでアの国(つまりドレイク)についてるジョク視点から見たもので、いったん「正vs悪」という構図から離れると、4巻以前はギィ・グッガをはじめとしたガロウ・ランたちこそ真の主人公たちという見方もできます

 戦いに通じて将たる器まで大きくして、覇道と邪悪なオーラを纏うようになったガロウ・ラン頭領(御大将)ギィ・グッガ。強獣ハバリー空中部隊を指揮して、オーラボムと互角できるミュラン・マズ。頭が切れて、色んな作戦を実行できて、オーラボムの操縦までできるブラバ。ガロウ・ランらしくない戦術に開眼したため、仲間に見捨てられれてもわが道を行くビダ・ビッタ。どことなく地上人トレンに気があるミハ。オーラバトラーを操縦できるほどの賢明さの持ち主ヘレナァなどなど、ガロウ・ランたちは一人一人個性溢れて輝いてる。
 そんなガロウ・ランたちが最初の野蛮人としか言いようが無い姿から、だんだん知恵を身に付き強大になってゆく過程そのものがバイストン・ウェルの変革を象徴する「変化」で、読んでで非常に面白い。おそらくこれも富野がこの小説に通じて書きたかったものの一つであろう

 野蛮で残酷、それでいて純粋な心性持ちで生命力溢れるガロウ・ラン。4巻以降、このガロウ・ランたちはアニメ『聖戦士ダンバイン』と同じく全面的フェード・アウトすることになりますが、彼らの活躍を見たい方は、是非『リーンの翼』新版の1・2巻か、この『オーラバトラー戦記』の前4巻を読んでください。

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