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富野小説の世界へようこそ ~富野由悠季全小説案内~ その2 『「イデオン」ライナー・ノート―アニメの作り方教えます』『破嵐万丈シリーズ』『オーラバトラー戦記』『機動戦士ガンダム ハイストリーマー』『機動戦士ガンダム逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』篇

2011/04/10 01:37|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:8
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野小説の世界へようこそ ~富野由悠季全小説案内~ その2 『「イデオン」ライナー・ノート―アニメの作り方教えます』『破嵐万丈シリーズ』『オーラバトラー戦記』『機動戦士ガンダム ハイストリーマー』『機動戦士ガンダム逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』篇
 お待たせしました。第2回はようやく完成しました。今回の紹介作品は『「イデオン」ライナー・ノート―アニメの作り方教えます』、『破嵐万丈シリーズ』、『オーラバトラー戦記』、『機動戦士ガンダム ハイストリーマー』、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』。




「イデオン」ライナー・ノート―アニメの作り方教えます

「イデオン」ライナー・ノート アニメの作り方教えますsmall

あらすじ
 40代に入り、頭はだんだん禿げ気味のアニメ監督、富野喜幸。小さなアニメ制作会社サンライズで仕事する彼は、『機動戦士ガンダム』の後に、ある新作を監督することになっている。その作品の名前は『伝説巨神イデオン』。二つの種族が神秘の力「イデ」に巡って戦う話だ。主人公たちがピンチに会う時、いつも神秘の力でなんとか乗り越えたが、現実に生きてる富野はそうもいかず、いつも仕事と家族のことで四苦八苦。
 そんなある日、富野の奥さん「亜阿子さん」は妊娠する発覚。これをきっかけに、彼の周辺も動き始めたのだ。打ち切りにあった『イデオン』の行方は果たしてどうなるのか? そして富野喜幸と亜阿子さん、さらにスタッフたちの運命はどうなるのか?

作品解説
 『伝説巨神イデオン』放送の少し前から同『発動編』公開前まで、「月刊アニメージュ」にて連載された作品。原作・総監督の富野喜幸による『イデオン』制作現場に対するルポ調の文章としているが、実際はフィクションとノンフィクションを混じり入れたメタフィクション、いわば楽屋的な作りとなっている。
 『イデオン』の放送開始、悲劇の打ち切り、そして劇場版として復活を遂げた道程が物語風で整理され、当時の制作事情が非常によくわかる一冊。作者は後半で一部の内容はフィクションと告白したにも関わらず、一部の人物と出来事以外はすべて実名と実際に起きたことなので、当時富野とサンライズにまつわる人間関係やエピソードが伺える。また、富野による資料や湖川友謙によるイラストも大量に挿入されるため、『イデオン』を知るにも、富野を知るにも、サンライズの歴史の一ページを知るにも、まさに貴重な作品である。

アニメとの関連
 単行本化する際はサブタイトルの「アニメを作り方を教えます」を追加されたが、著者本人が認めたとおり、実際はノウハウ本とまったく関係ないものだった。とはいうものの、『イデオン』に関する富野監督本人によるライナー・ノートが大量挿入されて、実際のフィルムとの異同を比べてみるのも一興。また、『イデオン』と比べて比重は少ないが、『機動戦士ガンダム』や安彦良和氏などの言及もあり、イデオンファンはもとより、ガンダムファンも見逃せないポイントだ。

トミノ的必見ポイント!
 この本はあちこちでフィクションが挿入されるので、内容についていまいち信じられない人もいるだろう。しかし、自分の感覚でいえば、話を面白くするための虚構はあくまで富野夫人「亜阿子さん」の妊娠話に限定するもので、実在人物に関わる話で語られる心情は全部本物だと思っている。
 おちゃらけ口調で話をどんどん展開する一方、富野監督の師匠の一人とも呼べる長浜忠夫氏やサンライズ初代社長岸本吉㓛氏の死などを触れて、シリアスな一面もある。そういう点から見ても、なかなか一筋でいかない「作品」でもある。あ、ちなみに、連載開始の時点では斧谷稔さんと井荻麟さんの正体はまだ現してなかったので、富野と斧谷と井荻が談義する珍場面も見られる(笑)。

連載と各版本の比較
 連載分持っていないので、単行本と連載の差異はよく分からない。ご存知の方ならばご情報をくだされれば嬉しい。
 単行本化する際はサブタイトルの「アニメを作り方を教えます」を追加されたが、著者本人が認めたとおり、実際はちっとも教えてくれませんでした(笑)。連載中のコラム名は「"New Type"T.V.NOVEL」なので、ガンダム人気におんぶに抱っこされてる…といえなくも無いかも。

入手状況
 富野由悠季監督の自伝、最初の『だから僕は…』と同じく徳間書店より出版されたものだが、当然ながら絶版。復刊ドットコムで100票を越えたため、『イデオン』放送より30周年関連で再販されると期待されたが、別にそんなこともなかったぜ。あまり見つかりにくい本なので、古本屋で見かけたら速攻で買おう。

イチオシのセリフ

「あーら、失礼しちゃうわね。残るのは作品だけだっておっしゃっていたのはダレでしたかね?作品の誕生する事情なんか関係なく存在するのが作品でしょ?なら、いつどうなっても大丈夫な作品創りだってあるはずよ。それを創り出すのがプロではないでしょうかね?それともあなた、アマチュアなの?」





破嵐万丈シリーズ

破嵐万丈シリーズsmall(ソノラマ文庫版。獅子王ノベルズ版の画像求む!)

あらすじ
 あの破嵐万丈が帰ってきた! シン・ザ・シティで私立探偵をやってる破嵐万丈の事務所へ、ある日一通の電話がかけてきた。いざ会うと、依頼人はなんと金髪の美女だった。美人に弱い万丈は大喜びだが、どさくさに紛れて過激派自然保護団体クリーン・グリーンと武装組織ポルタ・ニグラの紛争に巻き込まれることになる。謎の超少女の協力を得て、なんとか乗り越えた万丈だが、彼の前に、さらに事件が次から次へと来る。
 しかし、万丈はそれを気にしない男。今日もスーパーマシン、ラピド・ポータを乗り、事件に出撃する! もちろん、ギャリソン時田も傍で見守っているよ!

作品解説
 朝日ソノラマのSF、ファンタジー小説誌「獅子王」にて連載されたもので、タイトルが示したとおり、『無敵鋼人ダイターン3』のスピンオフ、主人公であった破嵐万丈が再び主役を担当する作品である。通称「破嵐万丈シリーズ」。富野由悠季による他の小説作品と違って、この作品は固有のタイトルがおらず、第1巻「薔薇戦争」以外は連載の時「破嵐万丈」さえ付けていないため、『万丈シリーズ』はあくまで俗称で、公式名前ではない。
一般的にシリアスな問題提起や展開ばかりと思われる富野の作品と違って、軽快でユーモアなタッチで描かれた一作なので、誰でも気軽に読める一作に仕上げている。でも、1980年代で環境テロやレズビアンを書くなど、富野由悠季ならではの先見の明も健在。
 「薔薇戦争」「憂鬱ミュージアム」「ヒット・カップル」「愛はシベリアから」という4つのケースに構成されている。話自体は探偵や推理小説らしく、1巻ごと事件が完結する形なので、厳密にいえば終わった作品ではない。

アニメとの関連
 アニメに出てくるキャラは破嵐万丈とギャリソン時田のみで、ビューティフル・タチバナと三条レイカは登場していないが、代りにファン・ファン、ハノ・マコト、ミーシャ・マモーンなどの新しい美女助手が登場するなど、アニメと同じようなシャレた駆け合いは健在。
 また、アニメではないが、『ザ・ロンゲスト・ロード・イン 破嵐万丈・鈴置洋孝』のA面の「ストレンジャー・ロード 破嵐万丈」の世界観や雰囲気にも一部共通してる節が見えて、気になる方は「無敵超人ザンボット3/無敵鋼人ダイターン3 究極BGM集」を探すと良い。

トミノ的必見ポイント!
 私家探偵、アクション、爆破、推理、陰謀、暗殺、殺人予告、ドタバタ、恋の混戦模様……などなど、一見富野らしからぬこの作品だからこそ、富野ファンが読まなければならないものである。4作の雰囲気は全部異なるなので、面白さは多少バラつきあるものの、一作でいろいろな要素を読めるのも、このシリーズだけであろう。

連載と各版本の比較
 文庫収録される際、やはり連載より加筆修正されている。また、獅子王ノベルズとソノラマ文庫の両方から出版される1巻の内容はどちらもまったく同じらしい。

入手状況
 全巻は朝日ソノラマより文庫版が刊行された。また、単行本は1巻のみで獅子王ラベルとして出版される。残念ながら、今どちらも絶版している。文庫版は根気を出せば全巻見つかるのも可能だが、個人の感触ではやや高価。

イチオシのセリフ

 意識を正しく持たないと、身体が無意識のうちにハンダー・キムラの方へ流れていってしまう。そして、女神の全部をじっくりと鑑賞させてもらいたい衝動に駆られる。できることならば、身につけていらっしゃる衣装というものも取っていただいて、その女神の姿を崇めさせてもらいたい。
 そう、それは鑑賞ではない。拝むのだ! ひれ伏すのだ。そして、自分の醜さを、その裸身の前で謝る! そうすれば、女神様のその裸足(おみあし)で、『エエーイッ、醜い者奴』なんて言ってくれて、踏んづけて、モミモミしてもらっちゃえる!




オーラバトラー戦記

オーラバトラー戦記ALL1small(カドカワノベルズ版)

オーラバトラー戦記ALL2small(角川スニーカー版)


あらすじ
 城毅。通称ジョク。夏休みで軽飛行機の免許を取るためにロスに行った彼は、ある日バイクの事故で後輩の田村美井奈と一緒に異世界バイストン・ウェルに飛ばされる。アの国に拾われて、騎士となったジョクは、そこで姫アリサ・ルフトと惹かれあい、戦場で美井奈と敵として対面し、戦友のバーンやガラリアとともに、ショット・ウェポンが発明するオーラマシンを駆使し、国と世界を乱す悪のガロウ・ランと戦うになる。しかし、ジョクは戦いに通じて、だんだんこの世界が起きていることに違和感を覚えてゆく……。

作品解説
 『リーンの翼』に続いて、文芸誌「野生時代」に連載されたバイストン・ウェルシリーズの小説の二作目。『聖戦士ダンバイン』の一部のキャラクターや設定を借りながらも、前半はガロウ・ランとの闘争史を描き、後半はバイストン・ウェルに決着をつくなど、『ダンバイン』のそれとかけ離れている展開をされているため、リメイクの性質はあるものの、実質的に違う作品となっている。
 連載7年、全11巻の大作で、2010年『リーンの翼』新版が世に出るまで、長年一番ボリュームがあった富野由悠季の小説の座を占め続けた。

アニメとの関連
 この作品は一言でいえば『聖戦士ダンバイン』のリメイク作だが、前述のとおり、独自の要素が大量入っているため、結局大幅アレンジされた新作というほうがいいかもしれない。
 物語の前半はバイストン・ウェル物語においての悪を一身に担ぐ種族、ガロウ・ランが登場する。主人公のジョクたちはオーラマシンを操って、ガロウ・ランと彼らが操る強獣と戦う。また、物語の中盤からいよいよオーラバトラーが登場するが、オーラマシンにおいて新しい機械と違う開発系譜を示しており、ファンからして堪らないものだろう。
 それから、全富野作品に通じて唯一固有名詞を持っている武器「聖戦士の剣」が登場することもポイントが高い。

トミノ的必見ポイント!
 この作品がもっとも特筆すべきところは、まず何よりこの作品の連載の長さだろう。第1巻は1986年10月、最終巻は1992年9月で終わるもので、つまり『機動戦士ガンダムZZ』の途中から『機動戦士Vガンダム』開始の連載で、その間に実に6年もの時間が空いている。それゆえ、『ダンバイン』のリメイク作として始まるこの作品は、最終的は内容だけでなく、思想面においても『ダンバイン』のリメイクを越えて、『V』に繋ぐものとなっている。
 なので、作品としてはバイストン・ウェル物語に属してるが、思想面では、むしろ『Z』『ZZ』時期から『V』時期までの富野監督の作風の変遷が見られる。カテジナ・ルースは暴走? いいえ、予定調和です。信じないというのなら、この『オーラバトラー戦記』を読んでみてください。
 それから、『リーンの翼』の次に連載された作品ということを考えなければならない。文芸誌である「野生時代」でこれを打ち出すことは、つまり富野監督はこのテーマやストーリーは一般人にも通用できると考えたほかない。実際、この作品の中身は『ダンバイン』のアニメ色を排除したことで、すでにアニメノベライズ的なものとは言えず、むしろ純粋に現代文明に対して反省するファンタジー小説と見なすべきと言っていいだろう。

連載と各版本の比較
 単行本化される際には加筆修正がされているが、連載は読んだことないので、実際の差異はどこにあるのか、よく知らない。もしご情報ありましたらどうか教えてください。
 最初の版本はカドカワノベルズで、2000年では角川スニーカー文庫より大幅加筆修正版が発売され、現在入手できるのもこの版。文章の推敲や科学技術関連の描写などが今風に修正されたが、二つの版本の展開に大きな違いはないので、ご安心ください。

入手状況
 カドカワノベルズ版は絶版の上、そこそこ数があった割りに全巻揃うのが難しいため、新たに出版される角川スニーカー文庫のほうを探すのが無難。
 スニーカー版の紙本はそろそろ絶版するかもしれない気味なのだが、KINDLE版も発売されています→

イチオシのセリフ

『あ奴のチンポ……伸びて来た……危険だな……』




機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー

機動戦士ガンダム 逆襲のシャアALLsmall(アニメージュ文庫版)
機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマーsmall(徳間デュアル文庫版)

あらすじ
 地球連邦軍の英雄アムロ・レイは、部隊ロンド・ベルの一員として、難民対策用のスペースコロニー「スウィート・ウォーター」の調査に赴いた。パートナーのカニンガムと共にこの多くの住民が地球連邦政府に反感を抱くコロニーに入ったアムロは、反乱運動に加担する少女アリョーナと出会った直後、神秘な敵に襲われた。辛うじて敵を撃退できたアムロだが、その裏には、かつて敵であり戦友でもあり、そして今ネオ・ジオンを名乗り、再び戻ってきた宿命のライバルである男、シャア・アズナブルの存在があることを気づいた。

作品解説
 『逆襲のシャア』の公開に先立て、1987年から1988年にかけて月刊アニメージュで連載された作品。映画『逆シャア』の前日譚などが描かれている。映画版の制作と『ベルトーチカ・チルドレン』の書き下ろしと同じ時期で作成したもので、後半はほぼ映画版の流れに沿って忠実にノベライズ化されたものだが、作者の富野由悠季はもともと映画版とも異なる物語に作り上げたかったそうで、もし実現したら、作者である富野が同時に3つのパージョンの『逆シャア』を作ったという常人離れの力技をすることになる。

アニメとの関連
 もう一つの『逆シャア』小説と比べて、展開は映画に忠実という評価があるように、一部設定違うところはあったものの、全体的には概ね同じ物語となっている。映画でアムロがブライトに語った「この2年間、全部のコロニーを調査したんだぞ。なのに何故シャアが軍の準備をしているのがわからなかった」という話を、小説で語ったともいえる。
 また、ラー・ザイムのパイロット、カニンガム・ショーやレジスタンス少女アリョーナ・ペィジ、ジェガンのプロトタイプ機ジェダなど、この作品ならではの人物やメカ設定も満載。あと、いつもエキセントリックと評されているクェス・パラヤも、この作品では多くのページが分かれていたため、13才の少女らしい天真爛漫も見せている(…かな?)。

トミノ的必見ポイント!
 この作品一番面白いところは、なんといっても前半の『逆シャア』前史と主人公アムロの「女港」状態でしょう。映画にも出てくるチェーン・アギ以外、アムロはラー・ザイムのパイロット、カニンガム・ショーやレジスタンス少女アリョーナ・ペィジとも関係をもっている。そういう意味では、大人の恋を楽しむロマンスとして読んでもいい。
 余談だが、この作品は当時『機動戦士ガンダム逆襲のシャア ~ハイ・ストリーマーより~』というタイトルで連載されたものだが、当時富野の思惑を吟味すれば、このタイトルの転換は実に深い意味が秘めていると分かるはずだ。
 また、もう二つの『逆シャア』と比べて、この物語は徹底した「孤独」を書いた作品でもある。シャアはもちろん、上で言ったアムロの恋だって、女たちはいずれも本気であるのに対して、アムロは未だに過去に引きずっていて、寂しさを紛らすためにやっている感じ。ある意味、読んでで辛くなるかもしれない作品。

連載と各版本の比較
 当時の連載は途中までしか連載されず、第2巻の後半部分と第3巻は文庫版で始めて世に出る。また、中盤までの連載分も文庫に収録される際、大幅の加筆修正をされた。徳間デュアル版と最初のアニメージュ文庫版の内容は挿絵以外まったく同じだが、星野之宣メカのインパクトは絶大(いい意味でも悪い意味でも)。とはいえ、キャラクターは久織ちまきのほうは圧倒的に可愛いので、どちらもオススメ。

入手状況
 最初のアニメージュ文庫版は長年絶版だが、2009年にて復刊された(もちろん値段もアップ)。21世紀に入って新たに出版される徳間デュアル版は今でも流通していて、どちらから入手しても悪くない。

イチオシのセリフ

「彼女と食事したい」「駄目ですよ! 大尉は娘を裸にして、ゴーモンするんでしょ?」




機動戦士ガンダム逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレンsmall

あらすじ
 宇宙世紀0093。一度行方不明となったシャア・アズナブルはネオ・ジオンを名乗り、地球連邦政府に戦いを挑んできた。シャアの本意は隕石を地球に落とすことによって、人々を粛清すること。これに対し、ロンド・ベルのアムロ・レイが、パートナーのベルトーチカ・イルマと、シャアのネオ・ジオンに対して、最後の戦いを仕掛けた。

作品解説
 角川書店より出版され、富野由悠季初の書き下ろしガンダム小説。もともと『逆襲のシャア』劇場版の初稿シナリオとして書かれるもので、スポンサーの要請による一旦お蔵入りしたが、後で小説として復活を遂げた。映画版と小説『ハイ・ストリーマー』に比べて最大の違いはチェーンの代りに、『機動戦士Zガンダム』のベルトーチカ・イルマが主人公アムロの恋人として登場すること。それに合わせて、物語自体もオリジナルの展開を見せている。
 角川書店社長井上伸一郎氏によると、この作品はガンダムシリーズのなかでもっとも売れてる作品で、2006年の時点ではすでに70万冊以上の売り上げを記録したほどのベストセラー。

アニメとの関連
 映画『逆シャア』の初稿シナリオとして書かれるものためか、登場人物は違う名前が登場(たとえばナナイは「メスタ」でギュネイは「グラーブ」)する。上で書かれたように、一番違うところは、映画のアムロの彼女はチェーン・アギであるのに対し、この作品のアムロは『機動戦士Zガンダム』から続いたベルトーチカ・イルマと未だに付き合っている。エキセントリックに見られがちのベルトーチカだが、この作品で彼女は柔らかい一面を見せ、全作品に通じてアムロの一番よきパートナーにまで成長した姿が見られる。
 また、有名な「Hi-νガンダム」や「ナイチンゲール」もこの作品に登場されるもの。νガンダムのエネルギー・チューブでライ・カイラムの電源に直結し、発射する一瞬はラー・カイラム艦内の照明が切れる莫大なエネルギーを消費するハイパー・メガビーム・ランチャーは死ぬほどかっこいい。

トミノ的必見ポイント!
 『逆襲のシャア』は「母」をラストにもってきた作品とすれば、この作品は「父」を軸にした家族論で展開されるものという見方もある。そういう意味では、『Z』の小説版に繋がっている作品といえるかもしれない。のちの『閃光のハサウェイ』も合わせれば、小説での「Z→ベルチル→閃ハサ」という系譜が見えて、富野監督が「小説ガンダムワールド」という独立の系譜を展開したかった野望が隠然と浮かぶ(さらに後年の『密会』も入れば、ファーストからの系譜が完成した、というのは邪推?)。
 また、映画やもう一つの小説版に比べて、こちらのアムロは老成している。しかし、たとえそれはニュータイプとしてのセンスが衰えた(事実、この作品でアムロは何度もシャアに圧倒されかけていた)としても、大人として成熟することを意味する。アムロの恋に関しても、映画やもう一つの小説版のアムロはまるで傷を舐めあう道化芝居をしているようのに対して、こちらの付き合いは本気が感じられる。そういうことから見ても、富野監督が元々描きたかったガンダムの終わりはどうあるべきか、
 2010年『リーンの翼』が出版される前、長年唯一主人公が父親になる富野作品。家族を描くことに関して『F91』の「家族のあり方」はよくフォーカスされるが、実はこの作品がそれより早い段階の「家族ができたこと」を描いた。そういう意味では、元々『逆シャア』と『F91』は繋がっているテーマで展開されるはずだった。

連載と各版本の比較
 書き下ろしのため、版本の差異は無い。

入手状況
 この作品はガンダムシリーズのなかでもっとも売れてるのに加えて、井上社長が曰くガンダム小説は一冊も絶版してないとのことなので、当然一般の書店でも簡単に買える。

イチオシのセリフ

「万全の段取りを組んだし、赤ちゃんのためにも勝つ……違うな。シャアには、ベルトーチカのような女性との出会いはなかったし、子供も手に入れられなかった。しかし、ぼくは、ベルトーチカとお腹のなかの赤ちゃんがいる。この違いは、絶対的な力だ」





 次回はおそらく『ガイア・ギア』『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』『シーマ・シーマ』『機動戦士ガンダムF91』『機動戦士Vガンダム』になると思います。是非ご期待! あと、拍手やコメントもよろしくね~。


関連記事
富野小説の世界へようこそ ~富野由悠季全小説案内~ その1
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『伝説巨神イデオン』
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『機動戦士Zガンダム』
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富野小説の世界へようこそ ~富野由悠季全小説案内~ その3
『ガイア・ギア』
『シーマ・シーマ』
『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』
『機動戦士ガンダムF91―クロスボーンバンガード』
『機動戦士Vガンダム』




コメント
必見ポイント!がイイですね。とても面白いです。
こぼ #-|2011/04/10(日) 15:26 [ 編集 ]
続きの記事もどうぞよろしくお願い致します!
kaito2198 #-|2011/04/10(日) 22:52 [ 編集 ]
素晴らしい力作、お疲れ様です。シャア専用ニュースでもバッチリ紹介させていただきました。本当に面白いです。

今回取り上げれている作品の中では、『「イデオン」ライナー・ノート アニメの作り方教えます」が個人的に強く印象に残っています。なんというか…今でいう“自演乙”的な面白さがありますよね(笑)。富野監督と亜阿子さんの掛け合いは漫才そのもので、これを富野監督がニヤニヤしながら書いているのかと思うと…(笑)。私の記憶が正しければ、亜阿子さんの妊娠話を真に受けた読者から、紙オムツなどのベビー用品が大量に送られてきたっていうオマケ話がありましたよね?

私が読んだのはアニメージュ連載版で、昔友人から古アニメ誌を大量にいただいたときに発見して、夢中で読んだ覚えがあります。ただ残念ながら数年前大掃除をしたときに全部処分してしまって、いまさらながら後悔してます…。
Randal #-|2011/04/11(月) 00:22 [ 編集 ]
自分がいうのもなんですが、まさに渾身の一撃みたいな記事なので、これからも読んで頂ければ幸いです。
Randalさんのおっしゃるとおりで、ベビー用品が編集部に大量送られてたというのはありました。あの時実際監督の娘たちはもう小学校なのにね(笑)。それでさらに長浜氏などのご辞世もあり、富野監督は紙面で自ら妊娠話はフィクションと告白するようになった経緯がありました。

連載版を読んだんですか、Randalさんの資料に対するご処理は分かりますけど、やはりちょっともったいないなぁーと感じています。実は将来時間と金があれば、できるだけ富野小説の連載も集めて、じっくりその差異を分析してみたいですが、うーん難関ですね(笑)。
kaito2198 #-|2011/04/11(月) 07:20 [ 編集 ]
今度は「ようこそ井荻麟の世界へ」
をって言うだけの俺は無責任。
ヨルダ #-|2011/04/23(土) 07:29 [ 編集 ]
将来的は書くつもりです。
kaito2198 #-|2011/04/23(土) 08:06 [ 編集 ]
ハイ・ストリーマーとして連載されていたが単行本発売時に『機動戦士ガンダム逆襲のシャア ~ハイ・ストリーマーより~』に改題されたが正しいのでは?
#-|2017/10/19(木) 00:58 [ 編集 ]
ご指摘いただきありがとうございます。修正いたします。
kaito2198 #-|2017/10/19(木) 09:33 [ 編集 ]
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