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宇宙エレベーターで新作を作り、宇宙世紀をも再構築しようとする富野由悠季

2011/02/13 12:22|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 宇宙エレベーターで新作を作り、宇宙世紀をも再構築しようとする富野由悠季
 今さらWOWOWノンフィクションWの「富野由悠季 宇宙エレベーターが紡ぐ夢」を見ましたが、知識に関してはいよいよを得たほか、なにより富野由悠季監督の創作活動の片鱗を覗けて、とても感心しました。ちょっと前は『はじめたいキャピタルGの物語』の短いながらもちゃんとした新作に興奮しましたが、改めて裏にある設定の変遷を見ると、その物語と舞台設定の背後に潜む企画そのものの意味をわかってしまって、ふたたび『ガンダム』、『イデオン』、『キングゲイナー』など数々の作品を作った巨匠・富野監督はいまだに衰えていないと感じました。


 で、富野監督が宇宙エレベーターという舞台を立ち上げるために、いろんな分野の技術を取材し、何度も検討し重ねる末、ようやく説得力をもつものを作ったのを見て、さらに富野監督の口からその物語のテーマを聞かれて、そこでようやく分かったことは一つしかありません。それは富野はようするに宇宙エレベーターを使って新作を作ろうとしているだけではなく、宇宙エレベーターそのものを宇宙世紀(=ガンダムワールド)に組み込もうとするのではないか。つまり、富野監督自分が作りたい新作を作るけど、同時にそれはサンライズが喜ぶような宇宙世紀と関連しつつ、宇宙世紀そのものを延命させるような作品でもあるということです。これを分かったら、一作でこんな目標をやろうとする野心溢れる富野に感心する一方、それを理解しない、新作作らせないサンライズにたいして、さすがにもうため息しか出ません。


 本格的に宇宙エレベーターという設定を使った『はじめたいキャピタルGの物語』と今までの宇宙世紀の繋がりはとりあえず「宇宙世紀→はじめたいG→リアルG→リング→∀」という形になるんでしょうけれども(詳しくは「はじめさせたい『キャピタルG』を物語」という記事を参照したい)、宇宙世紀より遥かに遠い時代でも存在する宇宙エレベーターを描いて、逆説的に宇宙世紀にも宇宙エレベーターが存在していたという後付けによって、宇宙世紀を補完する。こういうのもやっぱり後付けなんだけれども、設定埋めをするだけの仕事より遥かに究極な後つけと言わざるを得ません。今までもそうですが、これを発見した今なお、富野監督に全力に応援したいと思います。


 さて、ノンフィクションWの富野回を全部紹介するつもりはありません。自分は遅筆のうえ、本格的に書いたら半日飛びちゃうので、あくまで簡単な感想を書きます。見れない方には申し訳ございませんけれど。

キャピタルG

 富野監督が最終的に書いた宇宙エレベーターの構想図は皆さんもご存知の通り、上の『はじめたいキャピタルGの物語』に載っているこの図なんですが、これができたのも、実に緻密な取材があってこそのものです。今回、富野監督が取材したところは以下のとおりです。

取材地取材する対象取材内容
宇宙エレベーター競技会日本大学理工学部精密機械工学科・青木義男教授や競技の実際風景と問題点
東芝エレベータ開発塔開発部機械開発担当・浅見郁夫氏高速エレベーターの運作とシステム
静岡大学電気電子工学部井上翼准教授カーボンナノチューブ
京都大学大学院工学研究部科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ・岸本直子研究員プランクトンの形と運用
千葉工業大学工学部生命環境学科矢沢勇樹准教授土壌の作り
第3回宇宙エレベーター学会青木義男氏をはじめ各分野の専門家数名構想図を一緒に検討してもらう

 パッと見てはこんな感じですが、実に本格的な取材である。このほか、コクヨホールにて枝廣淳子が司会をつとめ、坂本龍一氏も参加したあの対談の映像も写りだされたが、枝廣女史によると、富野監督はやはり未来に対する視野があるため『エコ+クリエイティブ』に買われたとか。以下、取材内容が反映した構想の変遷を簡単に語ります。


 当初、富野監督が宇宙エレベーターが胡散臭いと思ったのは、ロケット派のためではなく、宇宙エレベーターの専門家が「ローブ一本」という概念で宇宙に行こうとすることが大きいと思われます。実際、宇宙エレベーター競技会では、風がテザー(ローブ)に大きな影響を与え、テザーが風によってグルグル巻かれたのだ。これを見て、「外力を吸い取りながら、なおかつある方面に向かって移動する動態は無いのかな…」と考える富野は、「そうだ!ならば螺旋状にすればいいじゃないか!」と思ったのです。


 しかし、螺旋状以外、やはり安全性が足りないと感じた富野監督は、東芝エレベータ開発塔を訪ねた。そこで事故防止のために、本当ならワイヤ1本でも支持できるが、万全な安全性を求めて、あえて10本のワイヤをつけたという説明を聞いた富野監督は悟り、自分の構想図の宇宙エレベーターのケーブルを複数本によって組み合わせた螺旋状にしました。本当に存在してるいいはずの宇宙エレベーターを構想するとき、「自分が乗りたい安全パイを想定する」という理由で、今の技術者たちが考えている1本のテザーをさっぱり切り捨て、多重のケーブルが組み合わせた螺旋状をとる富野。こうなったらますます様になってた。
(また、東芝エレベータ開発部機械開発担当浅見郁夫氏が富野監督の取材を終えて、こんな発言を残ったのです。「我々はやっぱり世間のセオリーというのがあるんですけど、それをくつがえすようなことをことごとく(富野監督に)言われまして。たとえばローブをど真ん中に吊ってのはなんで?ってのは、我々にとっては常識なんですね。あそこに吊るのははいちばん安定ってのが分かってるにも関わらずですが、それが常識と言ったらそうかもしれませんけれど、違うんじゃないの?という発想は非常に技術者にとってもタメになるところだし、我々もこれからもっと頑張らないといけないです。」)


 続いて、宇宙エレベーターのテザーの素材として可能性をもつカーボンナノチューブの研究にも訪ねた富野監督ですが、そこでやはり今の技術に感心した模様です。「カーボンナノチューブは延展性と強度はすごいんだから、宇宙エレベーターの中継点から中継点の1区間を1000kmに設定してもいいじゃないの?」今までボンヤリとした絵でしかない構想図も、つに具体な数字が出てきました。


 ところが、いちばんアメイジングなのはこういった直接に宇宙エレベーターに反映できる技術ではありません。さらなるセンス・オブ・ワンダー的なものというか、発想の飛躍を求め、富野監督が「プランクトン」にも興味を持った。プランクトン、つまり浮遊生物のことですが、その生活環境である海は宇宙での無重力状態と似てるのと、その形は何故か奇妙な模様をしつつも一定の共通点を持つという理由で、生物が持つ「形」を改めて感動した富野監督。富野は番組のなかで「ターゲットになる形は思考力を刺激する」と言いましたが、「形に持つ力」というのは、人の形をしているギミックを使ってガンダムやイデオンなどの名作を作ってこられた富野だからこそ痛いほど分かることですよね。
 プランクトンの不思議な形を見て、「形」の持つ意味と力を確信するようになった富野は、ついに新たな造語を作り出した。「オットーム予測」:あらゆる外力を相殺させるために、ものが螺旋状になる。これはつまり『ガンダム』でいえばミノフスキー物理学、『ダンバイン』でいえばオーラ力、『ブレンパワード』でいえばバイタルネット、『アベニールをさがして』でいえばインティパみたいなものですね。


 富野監督は宇宙エレベーターの構想のために何十枚のスケッチも描いたわけですが、取材のときはなぜかサンライズの1スタで作業をしていました。これは「脈ありか?」と思った人もいますが、たぶん富野監督の家に一番近いという説明も入っています。まあ、そんなこと別にどうでもいいことですが。


 ところで、さっき富野は宇宙エレベーターを背景にする作品で宇宙世紀を補完するといいましたが、根拠は『はじめたいキャピタルGの物語』に宇宙世紀という固有名詞が出てくるほか、以下にも二つほどあります。まず、富野の構想図では、ケーブルがDNAみたいな螺旋状をしてて、二束が前進しながら相錯する形になってますが、ケーブルを支持する中継点は概念図ではリニアモーターシステムとしか書かれていませんが、『はじめたいキャピタルGの物語』になると、ちゃっかりそれをIフィールドに置き換えたのは、富野が宇宙世紀と統合したい何よりの証です。
 それだけじゃない。スペースコロニーになぜ土がいっぱいあるのかというアニメの嘘を正視したいため、富野監督はまた宇宙でいかに土を作ることに関して取材を行われたのです。宇宙でも土を作れる可能性を確認したのち、富野監督は「今回得た知識がないと、畑のシーンを作る気がしない」とまで言ったのです(ちなみに、この取材は2010/11/26に行われたもの)。これは宇宙エレベーター関連というより、むしろスペースコロニーに関わるテクノロジーなので、これだけ見ても、今回の企画は宇宙世紀にも関わるものになるはずと判断できるわけです。


 このほか、宇宙エレベーター構想図には「ニュートリノ」というキーワードが出てくるから、やはり先日多田将氏の対談も企画のためのもの。それにしても、富野対談は企画のための取材の密度が高まってきてると感じますが、それはとてもいいことです。


 最後、富野監督は宇宙エレベーター学会に向かって行った。パネルディスカッションで自分が作った構想図を皆に披露し、一緒に議論してもらう。一般ピープルなら脳内妄想を専門家たちに晒すことはないのですが、あんな性格をしている富野監督ですから、それをやってました。富野の宇宙エレベーターの絵を見て、作家・石川憲二は「安全な感じ。これなら乗ってもいいかな」と発言し、青木義男教授も「システムは時間的に揺らいでいるものだから、現実感がある」といってくれましたが、もちろん反論もあります。法学教授の甲斐素直氏は「ケーブルがぶつかり合うじゃないの?」と素人の目から見ても分かることを言いましたが、これについて富野は「現在では不可能だが、必ず不可能でもない」というような発言をしました。所詮予想なんですから、減るもんじゃありませんしね。しかし、一般の専門家たちが考える形と違って、富野監督が考える「形」ならば、ロマンも人に安心を与える感じもあります。その形のもつ力は、私も目で感じ取れました。


 最後になりますが、この宇宙エレベーターの物語の全貌は『はじめたいキャピタルGの物語』で我々は一応その片鱗を覗いたのですが、これから展開しようとする物語とその背後に潜むテーマは、今回富野監督の口から語られていた。富野監督曰く、「過去の遺産である宇宙エレベーターという存在。これをちゃんと使い切れなかった人たちというのはいったい何なんだんだろうとか、それから人類はいったい何をしようとしているのだろうと考えるような、そういう物語は作ってみたいなと思ったんです」とのことです。それからテーマに関しては、富野監督は「有限の地球で永遠に人類が存続する」という知見をもっていないというふうに完璧にテーマが出来た。今まで30年前はこのテーマが今みたいに言えなかったんです。これは一見ファーストガンダムの蒸し返しなんだろうけれども、まあそれでもいいなと思ってるのは、ぼくの思い込みではなかったからです。だったら今回これから作る物語にしたときに、ぼくが気をつけないといけないのは、『富野の好きに作っていけないよ』という枷をカーンとはまったんですよ。そういうものを作らなければならない立場にも来たんです」。ご大層なものに見えますが、富野監督ははっきりと子供・青少年向けに作ると明言しましたから、いつもの冒険壇になりそうです。その実現を一日でも早くみたいです。


舞台は遠い未来。
いつ、だれが宇宙エレベーターを建設したのかさえわからなくなってしまった遥か未来の物語。
そこには、富野由悠季監督のこんな思いが込められているはずです。
「10万年後の地球でも 君たちが生き延びるために」、と…。



 これはナレーションの榊原良子氏がつけたナレーションですが、これを聞いてはっきりと分かったのです。なるほど、この『はじめたいキャピタルGの物語』なる物語は黒歴史的なニュアンスも入っているとはいえ、人類の未来を祝福するような作品になると思う。誰か作ったものでさえ分からなくなった宇宙エレベーターはこんなに長く残るのも、人が永遠に存続したいという思いが込められたからでしょうね。こういう外部からも内部からも読める作品は久々なので、正直ちょっとグッときました。

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