富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

TOMINOSUKI / 富野愛好病
http://kaito2198.blog43.fc2.com/

プロフィール

kaito2198

Author:kaito2198
台湾人。
ただのファンです。

twitterは@kaito2198です。

仕事やブログ関係のご連絡は
kaito2198@hotmail.comまでお願いします。

給華文圈之富野由悠季愛好者的一些話
關於本站文章的轉載聲明

富野監督関連資料一覧

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

グーバーウォーク

オーラロードを通り抜けなかった閃光のガラリア・ニャムヒー

2010/10/12 01:06|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - オーラロードを通り抜けなかった閃光のガラリア・ニャムヒー
 久々の『オーラバトラー戦記』の話です。最近脳がヤバイので、まともな日本語を書くことに自信がありません。前巻と引き続き、ジョクたちが地上界にいる話です。『オーラバトラー戦記』には『聖戦士ダンバイン』みたいな再浮上がないため、地上界との接点は6巻とこの7巻『東京上空』それきりなのです。


 前巻の最後、ジョクとバーン、ガラリア三人が一度合流したにも関わらず、話し合い末やはりソリが合わずに(主はジョクとバーンだが)、ジョクはガラリアと共に家に篭り、バーンは逆にアメリカ軍と手を組む道を選んだ。しかし、これらのことは全て日本の領土に起きたことなので、自衛隊も米軍も緊急事態に直面することになり、さらなる混乱を呼び起こした。果たしてバーンとガラリアはバイストン・ウェルに戻れるのでしょうか? それから聖戦士であるジョクはどう選ぶのでしょうか?
 と、いうのがこの第7巻のあらすじですが、一々初心者や未読者に向ける記事を書くつもりはないですし、そんな気力も湧けませんので、前回と同じくいくつかのポイントを枚挙します。。


前も話しましたが、もともとバイストン・ウェル物語は現代への風刺というものを内包しているものですが、そんな物語のなかで我々の住んでいる世界が登場したことは、すなわち風刺性の強化ほかありません。
 この記事は80年代末出版のカドカワノベルズを読んだ上に書いたものなので、新版はどう修正されたかはまだ知りませんけれど、自衛隊の自己矛盾に対して直接な批判ではなく、物語に通じてさんざん晒したのが痛快です。いや、これは日本人でない私がある客観性をもっての感想ですが、実際は日本人ならば恥ずかしさを感じてしまうほどシニカルな情景です。
 軟弱な自衛隊。そしてどこまで行っても強気な米軍。これは一見さんざん使われたありがちな設定なんですが、『オーラバトラー戦記7』の完成時期が湾岸戦争前であったことを考え、本当に「有事」に直面しても、身動き一つもロクに取れないというフィクションまがいなことが現実になった恐ろしさの片鱗を味わったと思うと、富野由悠季の歴史的視点からある程度の未来を予言するほどの鋭さを、どうしても感服せずにいられません。



前巻の後半から続々と登場していましたが、この巻、ジョクの家族がようやくそろえました。あまり頼りない父、気弱でヒステリックな母、まともな手伝いさん、そしてジョクのおばあさん。このおばあさんこそこの家族の最中心人物で、長年土地に身を寄せ、年寄りらしい穏やかさと知恵をもって、ジョクにも初めて会った中臣杏耶子にも異世界人ガラリアにも平等に扱うことができる素晴らしい人です。実際、後の話になりますが、将来ジョクが絶体絶命な状態を直面したとき、一度だけ心のなかからおばあさんに助けをもらうようにしたのです、アリサに対するでもなく中臣杏耶子に対するでもないのです。
 また、ガラリアを浴衣着をオススメしたのもお婆ちゃんです。そしてガラリアもおばあさんを尊敬しているようです。短い時間とはいえ、地上界においてガラリアに与えた影響力でいえば、お婆ちゃんのほうがジョクよりはるかに多かったかもしれません。もっとも、これもガラリアの運命を決めたことかもしれませんが。


ばあちゃんの話を受けて、ガロウ・ランと開戦した当初から負けん気がつよく、ジョクの離反後さらにギラギラになちゃってるガラリアさんは、そのお婆ちゃんのふれあいのなか、だんだんその身に纏うトゲを解け、だんだん優しくなっていきます。読んでで不思議で気持ちいいのですが、悲しいことに、これもガラリアの将来の悲劇を暗示することかもしれません。


前巻の後半から、三人がいよいよ事態の解決(=バイストン・ウェルに帰還)を試し始めたけど、警察、自衛隊、日本政府、米軍、会社などの介入もあり、混乱はますます拡大。かといって、ジョクたちや介入した連中は実際状況をコントロールしきれる人は1人も居られず、状況はやはり混乱していく一方。このように状況が混乱してるままに動くのが、間違いなくこの小説のひとつの魅力です。
 また、バーンはどこか胡散臭いと感じながらも(一度)米軍と手を組んだのと、ジョクは頼りないと思いながらも結局自衛隊との協力を選んだことも、非常に将来2人が進む道を暗示するものになっているかもしれません。


この巻の最後、地上界においての事態がもう収拾つかなくなるところで、ジョク・チャム・バーン・ガラリアの4人が力を合わせて、ようやく再びオーラロードを開くことができました。なぜに戻れたというと、それは他でもなく、ジョクやバーンなりに地上界との接触に通じて、自分が何か求めたいものをはっきりと分かってしまったゆえ、精神力と気力が高まったことだけでなく、世界に再びバイストン・ウェルを戻ることを許されてしまったと言えるかもしれません。チャムは言わずもかな。


逆に、だんだん優しくなるガラリアさんがそのギラギラさという武装を取った途端、人生や世界に対して妙な覚悟と悟りを着けてしまったともに、気力まで失われたガラリアさんですから、表の理由はオーラロードに入る前に被弾したためだったが、実際はガラリアさん本人の意識によるものかもしれません。


この巻を読んだ後で思ったことですが、富野作品のなかに、実は「空回り」という手法がよく使われていると思います。この『オーラバトラー戦記』の東京浮上でいえば、ジョクやバーンが各自に地上人に接触するのもそうですし、そもそもこの浮上自体はジョクやバーンや地上人にとっては壮大な空回りにすぎません。
 しかし、「空回り」があったからこそ、人々の心のなかに思いを残すことができますし、「空回り」もひょっとしたら実は「空回りじゃない」かもしれません。そういったメッセージは、ちゃんと富野作品のなかにあるような気がしますね。



オーラバトラー戦記〈7〉東京上空 (角川スニーカー文庫)オーラバトラー戦記〈7〉東京上空 (角川スニーカー文庫)
(2001/04)
富野 由悠季

商品詳細を見る


 ちなみに、アニメ版というか『ダンバイン』ではジョク、バーン、ガラリアの三人ではなく、ショウ・ザマとガラリア2人だけがオーラロードを通して地上界に入ったのですが、あっちのガラリアはこっちのガラリアさんと同じくオーラロードのなかで散った結末に迎えたのだが、なぜ『ダンバイン』のガラリアさんは閃光になったのかについて、ここではあえて筆墨を費やしませんけれど、ご興味ある方は、HIGHLAND VIEW 【ハイランドビュー】さんの優れた記事「【聖戦士急募】バイストン・ウェルで君の夢をかなえよう! <ダンバイン第18話「閃光のガラリア」より>」を読んでください。


関連記事
スラスラ読めるオーラバトラー戦記前半と愛すべき邪悪なガロウ・ランたち
前日談的な作品が得意な富野由悠季?
千景万色のバイストン・ウェル物語
語り口がガクッと変わるオーラバトラー戦記
オーラバトラー戦記8巻途中と空回りが好きな富野作品
マシンが増殖したオーラバトラー戦記8
オーラバトラー戦記10巻読破
カルチャーショック話としてのオーラバトラー戦記

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://kaito2198.blog43.fc2.com/tb.php/850-fd78121e

ブログ内検索

なんとなく富野商品

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

まともに機能しなくてすみません。これからゆっくりペースで直します。

RSSフィード

FC2カウンター

富野監督作品一覧

  • 海のトリトン
  • しあわせの王子
  • 勇者ライディーン
  • ラ・セーヌの星
  • 無敵超人ザンボット3
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • 機動戦士ガンダム
  • 伝説巨神イデオン
  • 機動戦士ガンダム(劇場版)
  • 機動戦士ガンダムⅡ 哀戦士編
  • 戦闘メカ ザブングル
  • 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編
  • 伝説巨神イデオン・接触篇 -A CONTACT-
  • 伝説巨神イデオン・発動篇 -Be Invoked-
  • 聖戦士ダンバイン
  • ザブングル グラフィティ
  • 重戦機エルガイム
  • 機動戦士Zガンダム
  • 機動戦士ガンダムZZ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • 闇夜の時代劇 正体を見る
  • バイストンウェル物語 ガーゼィの翼
  • ブレンパワード
  • ∀ガンダム
  • 劇場版∀ガンダムⅠ 地球光
  • 劇場版∀ガンダムⅡ 月光蝶
  • OVERMAN キングゲイナー
  • 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-
  • 機動戦士ΖガンダムⅡ A New Translation -恋人たち-
  • リーンの翼
  • 機動戦士ΖガンダムⅢ A New Translation -星の鼓動は愛-
  • RING OF GUNDAM
  • ガンダム Gのレコンギスタ
  • 富野参加作品一覧

  • 鉄腕アトム
  • 戦え!オスパー
  • リボンの騎士
  • 巨人の星
  • アニマル1
  • 夕やけ番長
  • 海底少年マリン
  • どろろ
  • 紅三四郎
  • 巨人の星対鉄腕アトム
  • おらぁグズラだど
  • 男一匹ガキ大将
  • ムーミン
  • シートン動物記
  • 赤き血のイレブン
  • アタックNo.1
  • あしたのジョー
  • 男ドアホウ!甲子園
  • 昆虫物語 みなしごハッチ
  • さすらいの太陽
  • 天才バカボン
  • ふしぎなメルモ
  • 新・オバケのQ太郎
  • 国松様のお通りだい
  • いなかっぺ大将
  • 正義を愛する者 月光仮面
  • アニメ・ドキュメント ミュンヘンのへの道
  • モンシェリCoCo
  • ハゼドン
  • ど根性ガエル
  • けろっこデメタン
  • ワンサくん
  • 山ねずみロッキーチャック
  • 侍ジャイアンツ
  • 新造人間キャシャーン
  • アルプスの少女ハイジ
  • ゼロテスター
  • 昆虫物語 新みなしごハッチ
  • 小さなバイキングビッケ
  • 宇宙戦艦ヤマト
  • 破裏拳ポリマー
  • フランダースの犬
  • 母をたずねて三千里
  • アンデス少年ペペロの冒険
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ゴワッパー5 ゴーダム
  • ろぼっ子ビートン
  • あらいぐまラスカル
  • 合身戦隊メカンダーロボ
  • 超電磁マシーン ボルテスV
  • シートン動物記 くまの子ジャッキー
  • ヤッターマン
  • ペリーヌ物語
  • 闘将ダイモス
  • 未来少年コナン
  • とびだせ!マシーン飛竜
  • まんが日本昔ばなし
  • 宇宙魔神ダイケンゴー
  • 赤毛のアン
  • 科学忍者隊ガッチャマンⅡ
  • ザ・ウルトラマン
  • 宇宙大帝ゴッドシグマ
  • ルパン三世(TV第2シリーズ)
  • 新世紀GPXサイバーフォーミュラ
  • 銀河漂流バイファム
  • ママは小学4年生
  • GUNDAM EVOLVE 5
  •  |  富野作品感想 | 富野由悠季関連 | 井荻麟関連 | 富野情報 | 富野雑談 | レビュー | ブログ運営 | 日常話 | 未分類 | 給華文讀者 | Gのレコンギスタ | 
    Copyright(C) 2007All Rights Reserved. TOMINOSUKI / 富野愛好病
    Powered by FC2ブログ.
    template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.