関連記事 ■富野由悠季監督、またまた韓国に行く ■プチョン国際ファンタスティック映画祭2010 富野由悠季監督情報整理 ■富川映画祭 富野由悠季監督関連ニュース紹介 その1
先日の記事に引き続き、富野監督の韓国関連記事を紹介します。今回のニュースはインタビューがメインなので、多めに紹介しますが、いかんせん韓国語→英語に翻訳→日本語に翻訳という過程なので、本来の発言とかけ離れる部分もあるかもしれませんので、ご注意を。
6.まずは、7/17の23:00にて開かれたトークイベントの記事です。この記者さんもなかなか濃いなので、結構面白い話です。
○韓国のガンダムファンが、富野由悠季監督に出会った(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース
試しに筆者は、日本なら秋葉原でよく見かけそうな風貌の、リュック姿の男性に声をかけ、どのガンダムが好きか聞いてみると、「ターンエー最高です。そこには富野監督の哲学が込められています」と熱い回答が。すると周りにいた男性たちがわらわらと集まり出し、いろいろ話したいというような視線で筆者を見つめるため、その場にいた全員にインタビューすることになった(ありがとうございました)。
「どのモビルスーツが好きか」「どの作品が気に入っているか」といった司会者の問いに、まるで用意された論文を読むように明快に答えていく監督。プロとは何かという富野哲学や、ガンダムを生み出した時の思いなどを、淡々と分かりやすく語っていく。
通訳の人が韓国語に翻訳する前に、監督の言葉にダイレクトに反応する観客が多いのが印象的だった。 監督の口から「他人のつくったガンダムを観ることができません」「手書きの文章が一番重要なデータ」「嫌いなものでも、100人ぐらい褒めているものがあったら、それは観ておくべき」といった名言が飛び出すと、ファンはすぐ熱い拍手を送り、共感の思いを示した。
また「韓国や韓国のファンについてどのような印象をお持ちですか」という質問に対し、監督は「この席(ガンダムのことについて話すイベント:筆者注)で、そういう話はどうでもいいことじゃないですか」と話したうえで、「じゃあ、とりあえず外交辞令。韓国大好きですよ」と発言。そのやりとりは、いかにも監督らしい茶目っ気があり、大きな笑いを呼んだ。 ∀ガンダムの物語を覚えている韓国のファンは幸せである、心豊かであろうから。
7.それから、おそらく今回もっとも長くて中身がある話。ちなみにタイトルは翻訳によるものなので、意味なんてない。自分もよく分かりませんから。
○『ガンダム』富野由悠季監督の"ハッピーエンドみると、あっているんだ』考えている..."|donga.com
”物語を創作する秘訣?簡単です。地球と月の間の距離さえ感じれればいい。”
”世の中はこんなに簡単ではない。子供向けの話だからって話の流れを無視して無条件に明るく仕上げるのは、子供を舐めてることにすぎません。”
”アニメーションは1つの世界観を提供するものに過ぎません。数十年後にも豊かに解釈することができるの物語になるには、『現実』にしっかりと定着するものでなければなりません。”
子供たちが観るアニメなのでハッピーエンドでなければならないというのは経営者の考えです。作家は経営者の考えを守る必要がありません。なぜならばハッピーエンドの物語だってすべて興行的に成功とはいえないでしょう。
幸せの物語を見たところで、観客は「救い」を得るわけではありません。幸せな話ばかり見たいのは、大人たちの勝手な夢です。現実はそういう都合がいいことばかりではなく、苦痛なものであることを、子供たちはよく知っている。子供のころはハッピーエンドを見るたびに、私は幸せになるどころか、「子供騙し」と思っていた。
(カツ・レツ・キッカたちが『ガンダム』では希望の象徴だったのに対して、『Zガンダム』では極めて冷笑的な姿で登場し、カツに至って最後悲惨な死を遂げたのは、「おまえら、現実はそんなに甘くないぞ」的なメッセージなのでしょうかという質問に対して)もちろんそうです。が、その前に別の理由があります。昔のアニメは現実的な10代の少年が登場することがありませんので、私にとってカツというキャラクターは一つの挑戦でした。何もそういうキャラが好きだから描いたわけではありません。
もっとも気に入るキャラを挙げることができません。自分のキャラクターは悪役だろうと主人公だろうと、出演の量と関係なく、すべて愛おしかった。上手く描けなかったキャラについては罪悪感を感じます。今までのキャラクターの中で1/3が気に食わない。じゃあどのような演出が完璧でいえば、それも絶対言えません。
(ガンダムはメカよりも、その背景となる世界観の話について)それは当然なことです。アニメーションだけでなく、すべての創作物は、それなりの強固な世界観を持ってなければなりません。人々が住んでいるいくつかのスペースコロニーと呼ばれる領域を月と地球の間に設定するのが、すべての始まりだった。地球にも、月にも、そしてスペースコロニーにも、人が住んでいる時代に...。これは、地球上の多くの国に複数の民族が分かれて住んでいるものと同様の状況である。生き方の違いによる立場の違い、勢力争い、戦争...。『ガンダム』の物語は、そういう風に発展させたのだ。したがって、それらをよく設けて置くと、キャラクターや物語は、後から自分にできている。
私はよく勉強をよくすることができなかった子供でした。ひたすらロケットや宇宙にだけ関心を持っていたが、漫画より小説をたくさん読んだ。当時のSFアニメや映画を見てて腹が立て、『なぜあのようにずさんか』と思いました。幼い頃放映された人気の『ゴジラ』もそうだった。怪獣が出てくるのは構わないが、物語の辻褄が全然合わないのはとても見られませんでした。それは技術的な不足にも近かった。視聴者にとって、「描けなかったディテール」と「描かれていないディテール」という演出の違いは見分けるもので、その背景には、『子供たちが見るんだから、このくらいならいいんだろう』と安易な考えがあったからです。子供が見つめているのは映像ではなく、物語です。
そのような誠意の無さに対する反発のおかげで、将来は地球と月の間に存在する話を執拗に空想することができた結果は、まさにこの『ガンダム』である。
私が心から名作と思っているSF映画はただ一つ、スタンリー・キューブリック監督の『2001宇宙の旅』です。スティーブン・スピルバーグ監督の『ET』は本当に嫌いです。それはまさに子供用の映画だからです。
アニメーションは、今や特別なジャンルではありません。ガンダムが初めて登場した時と、市場の環境が大きく変わりました。これで、新しい分野を開拓するということはほとんど見当たらない。実務者も製作者も視野が狭くなった。これは最近誰でも長く見て、満足できるようなお楽しみなアニメ作品が出ていない理由だと思います。最近のアニメーションは、創作ではなく、サンプルの『複製』に近い。今まで出てきた素晴らしい作品をよりよく編集して、滑らかに加工する作業がほとんどである。そのような仕事をしながら、「クリエイター」と自任している人も多いのに関して、納得しがたいです。
(『ガンダム』はシリーズが続くたび、優れた能力を持つ主人公よりも、周りにいる一般人の物語の中心に転移する傾向があって、それは富野監督の世界は1人2人のヒーローが作ったものではないという価値観を反映したものかという質問に対して)素敵な解釈ありがとう(笑)。しかし、私はうそをつくことができません。シリーズを続けさせるために、前シリーズに登場したキャラクターを使っているだけのことです。続編シリーズは、作家が主導するものではなく、会社の思惑で出るようになる場合がほとんどです。
(『逆シャア』でシャアとアムロが死んだにも関わらず、彼らの復活を期待するファンが多いという話に関して)無駄な期待をしないでください。ファンのそのような期待は私にとって何より恐いものです。商売でファンの期待に依存する続編をどんどん出してから、もともとのしっかりしたストーリーが破綻を迎えるしかない。最近に制作されたアニメならば、あるいは『エイリアン』シリーズのように死んで、主人公の残されたDNAを複製して復活させることもあるだろう。しかし、そうすれば、楽しみがあるんでしょうか。著作権を保有する会社はおそらく金儲けになれば、『物語の価値』について全然心配しないんだろう。分かりやすい例があります。私以外にも、たくさんの人がガンダムのアニメーションを作っています。そうだと思いませんか?
(ガンダムと関係ない、まったく新しい作品を作る予定はあるのかという質問に対して)年を考えると、そんなにたくさんできませんよ(笑)。しかしこの3年ほどいくつかの企画を準備しながらも、着実に準備しているプロジェクトが1つあります。機会がありましたら、作品を発表できるように努力します。 韓国語が分かりませんから、こんなデタラメな翻訳になってしまったんですが、一応参考する価値があると思いますので、気をつけて読むべし。
8.それから、英語で書かれてるものですが、読んだところなんだか翻訳的な雰囲気もありますが、よくわかりませんな。
○富野由悠季監督「最近のアニメに出てくる戦争は戦争じゃない。ファッションで描いてるだけ」
ヨーロッパやアメリカにガンダムを見ている人がいっても、その内容や日本アニメのコンセプトが人々に影響を与えない限り、日本はアニメ大国とは言いがたい。
男性よりも、女性に期待しています(笑)。
アニメの美しく描かれている戦争はもはや戦争じゃない。ファッションだ。
(噂の新作『リング・オブ・ガンダム』がどこまで進んでいるかという質問について)進んでいるとも進んでいないとも言いがたい。我々は確かいくつかのショートストーリーを制作しましたが、スポンサーが大きな関心を示しているとは思いません。しかしこのプロジェクト自体はまだスタジオのなかに進んでいますので、いつか日の目を見ると思います。そんなことから見ても、やはり出資者がアニメ産業にとっては大切ですね(笑)。 全編を紹介したいのですが、時間がありませんので、また別の日で。
|