富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

TOMINOSUKI / 富野愛好病
http://kaito2198.blog43.fc2.com/

プロフィール

kaito2198

Author:kaito2198
台湾人。
ただのファンです。

twitterは@kaito2198です。

仕事やブログ関係のご連絡は
kaito2198@hotmail.comまでお願いします。

給華文圈之富野由悠季愛好者的一些話
關於本站文章的轉載聲明

富野監督関連資料一覧

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

グーバーウォーク

リーンの翼第3巻の構成とか文法とか評価とか

2010/05/20 15:34|富野作品感想TRACKBACK:0COMMENT:5
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - リーンの翼第3巻の構成とか文法とか評価とか
 最近は『オーラバトラー戦記』を読んでいますが、『リーンの翼』を忘れたわけではありません。なので、今日は重い腰を上げて、リーンの翼の問題点や構成について少しだけ話したいと思います。




 というのも、ひびのたわごとの子犬さん玖足手帖のグダちんさんの先週の感想を読んで、どうしても書けずにいられないことがあります。

修飾関係が離れているので、被修飾語がどれなのかわかりにくいですし、
文頭と文末の表現がぶれてかみ合わなくなることもあります。

id:kaito2198さんが「福井さんのガンダムユニコーンは一文の中で視点が変化しすぎ」って書いてたけど、うん、リーンの翼はそれ以上に文法無視なんだ…。一文の中で自問自答が繰り返されて、予想される文末とは違う事を文法をかなり無視して書いている文もあるのではないのか?一文の書き始めと書き終わりで気分が変化してしまっている。

 子犬さんやグダちんさんが言ってる「文法」について、特に異議ないですね。全部の小説ではないにせよ、富野は雰囲気やテンポを重視するかわりに、文法を無視する節があります。
 もちろん、これは『リーンの翼』が扱うテーマや話はあまりにも大きすぎて多すぎて、作者にも完全に制御することができないゆえの現象であって、『ガーゼィの翼』や『アベニールをさがして』など普段の小説ならば苦もなく一般的にも読ませる文章を仕上げますが、それでもこのような指摘はこのリーンの翼第3巻においてはまあ間違いないです。
 ただし、こうした文章は前述のとおり内容によって違いがありますので、一概に「富野は読みにくい」といっちゃうのはさすがに早計といわざるを得ません。


それに加えてパブッシュのマキャベル司令が語る、
無国籍艦隊に関する思想というのがとてもわかりにくい。
普通に読み流してしまうと論理の飛躍に、
「えっ?どうしてこういう結論に?」と驚かされます。

 確かに私もそう思います。迫水は『リーンの翼』においてバイストン・ウェル側の作者富野の代弁者であれば、野望と理念を一身にしている男エメリス・マキャベルは地上界側の代弁者といえます。そのゆえ、彼の思考や論理も一番作者に近いといっていい。なので、それを何の違和感もなく納得できるまでは、確かに大変長い思考がいります。


また、これは個人的な理由ですが、
近代化されたバイストン・ウェルと迫水の変貌が、
あまりにも旧版と異なってしまったのも読みあぐねていた理由の一つでもあります。

 前も言いましたが、富野はほとんど別の気分で第1・2巻のリライトと第3・4巻の書き下ろしを書いたのです。どうして別なのかというと、リライトと書き下ろしの差異だけでなく、描かれた風景や話についてもやはりかなり離れていて、まるで別の世界となっています。
 もちろん、迫水本人はある意味の「再生」を遂げたので特に違和感がありませんが、それでも、2巻までの「戦士としての迫水」「剣闘&機銃&強獣」から一転、3巻以後の「政治家としての迫水」「オーラバトラー&オーラシップ」という風景の間には、確かに大きな断絶が存在しています。あの断絶を、読者ご自身がどう埋まるのが、評価の分け目になっているような気がします。今まで何回か言った「飛躍」という手法になるか、はたまたただの「唐突」になるかどうかは、それはまだよくわかりません。個人的は200近いページ数で7年間の空白(第3の原爆から迫水の再降臨までの時間)と60年間の移り行きを書いたから多少違和感が残っているものの素直に受け入れますが、まだ困惑している方もいるかもしれません。

 まあ自分が特に意見があるのはせいぜい以上の3点なので、以下は構成について簡単に話します。




 リーンの翼第3巻はおおまか言えば、4つの部分によって構成されています(各章のタイトルについてここを参照):

①「ホウジョウ・パート(BW側)」:完全新作部分。迫水の60年以上を越える建国物語やオーラシップ、オーラバトラーの建造など。これが一番面白い部分。また、地上人の建国のための建言や持論はあるものの、特に文明論や作者の思想が入ってないので、とても読みやすい。

②「現代パート(地上界側)」:完全新作部分。ロウリがなんとなく現状に違和感を感じる大学生から、テロまで至る過程やエイサップ・ロウリ・金本たちの学生生活やエイサップの家族たちの話。この部分に富野ここ数年勉強の成果が入っている。

③「無国籍艦隊パプッシュ・パート(エメリス・マキャべル側)」:アニメ版のパプッシュ艦隊をベースに、マキャベルの動機の説明とパプッシュ艦隊の再設定。この部分にも富野の考え方がいっぱい入っている。

④「OVAパート」:アニメ版の話に突入以降の話。細かい部分に差異がある以外、基本的アニメ版の流れになぞるものとなっている。

 この4つをタイトルに合わせると、こうなります:

第一章 帰還 ――― ①
第二章 テロだって!? ――― ②
第三章 新国家に生きる ――― ①
第四章 一軒家でのこと ――― ②
第五章 オーラマシンのもとに ――― ①
第六章 原子力空母と一発のテロ ――― ①②③
第七章 ホウジョウの名 ――― ①
第八章 戦艦浮上 ――― ④

 これを見ればわかるとおり、第六章は一番錯綜している章です。なぜ子犬さんは「わかりにくい」といってるのも、実はこれが原因です。ほかの部分は別に読みにくいことはないですし、複雑でもないです。
 そのうち、自分が一番評価しているのは、やはり①のホウジョウ・パートですね。正道的な楽しみでいえば、この部分はいろんな新しい描写や方法論が入ってますし、②と③のように作者の思想が混じってるわけでもないですから、単純に読んでも「面白い!!」といえます。もちろん、②と③から作者の思想をトレースする楽しみ方もできますし、②の現代パートで富野の2ch描写を読んででニヤニヤするのもできますが、それはどっちかいうとファン気分の楽しみ方ですから、やはり①はこの『リーンの翼』第3巻のなか一番オリジナリティが溢れる部分ですね。


 ですから、なるほど子犬さんのおっしゃるとおり「小説」としての評価は低いかもしれませんけれど、「創作」としての評価でしたら、この第3巻は極めて新鮮で面白い部分を持っています。これが今の自分が下せる評価です。

リーンの翼 3リーンの翼 3
(2010/03/20)
富野 由悠季

商品詳細を見る

コメント
私の場合、死んだはずの蓼科中尉が迫水と対話をしているシーンが一番読みにくかったです。対話の最後に蓼科中尉が生前の話だと断りが入れられますが、それは回想に入る前に示すべき事だろうと思いました。
ザコソルジャー #-|2010/05/20(木) 20:20 [ 編集 ]
作劇上の構造から考えれば、パブッシュ艦隊は夾雑物でしたね。

怨霊サコミズによる現代の日本国への異議申し立てが、物語後半の主軸であったはず。
特攻隊員であり第三の原爆投下を阻止したサコミズが、現在の日本に鉄槌を下すとしたら、何故か?
それは、「かつて身命を捧げた母国日本が、半ば以上みずから進んで、旧敵国アメリカの軍事力(=核の傘)の下にその身を置いているからだ。そして、日本国民自身が、そのことを隠蔽し、自己欺瞞と忘却の上に築かれた怠惰で自閉的な平和と繁栄を享受しているからだ」とするのが適当でしょう。

なので、たとえば、(昨今、日本国内で、またもや政治的問題となっている)アメリカ軍による日本への核持ち込みが、題材としては、さらに適切だったはずです。
アメリカ軍が日本国内に持ち込んだ核兵器をロウリたちが奪取して……という話なら、サコミズの日本への怒りにも筋が通り、物語がすっきりと分かりやすくなって、視聴者/読者の心情にも訴えたことでしょう。
エメリスの代わりに、悪役として、ロウリたちを煽動し利用する似非愛国的な日本人の黒幕を登場させても良かったかもしれませんね(最後はサコミズによって旧日本軍の指導者と同視され「ガロウ・ランが!」と断じられ切り捨てられるとか)(笑
政治的・軍事的謀略フィクションとして、大人も楽しめるものになったかもしれません。

せっかく、「複式夢幻能」の完成された構造を有しているのに、邪魔な物(=パブッシュ艦隊)が、その構造を機能不全に陥らせているのが残念な作品でした。
starship #-|2010/05/22(土) 08:09 [ 編集 ]
追記:
「でも、そういう話は『ゴジラ』でやるのが、より適切では?」という反論には、あらかじめ同意しておきますw
starship #-|2010/05/22(土) 08:14 [ 編集 ]
うーん、確かにそこらへんの文章は多少乱れているかもしれませんね。自分はあまり気にしていませんけれど。
kaito2198 #L2WcHO2o|2010/05/23(日) 23:13 [ 編集 ]
夾雑物というか、物語のためのギミックという感じですね。
もちろん、「無国籍」(アニメなら第3勢力)というのはエイサップたちの中立性と無関係ではありませんけれど、それでも観客に多少の混乱をもたらすのが本当のことですね。それは自分もちょっと残念だと思います。

まあ、ゴジラはそうですよね(笑)。
kaito2198 #L2WcHO2o|2010/05/23(日) 23:17 [ 編集 ]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://kaito2198.blog43.fc2.com/tb.php/766-ee9abf6d

ブログ内検索

なんとなく富野商品

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

まともに機能しなくてすみません。これからゆっくりペースで直します。

RSSフィード

FC2カウンター

富野監督作品一覧

  • 海のトリトン
  • しあわせの王子
  • 勇者ライディーン
  • ラ・セーヌの星
  • 無敵超人ザンボット3
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • 機動戦士ガンダム
  • 伝説巨神イデオン
  • 機動戦士ガンダム(劇場版)
  • 機動戦士ガンダムⅡ 哀戦士編
  • 戦闘メカ ザブングル
  • 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編
  • 伝説巨神イデオン・接触篇 -A CONTACT-
  • 伝説巨神イデオン・発動篇 -Be Invoked-
  • 聖戦士ダンバイン
  • ザブングル グラフィティ
  • 重戦機エルガイム
  • 機動戦士Zガンダム
  • 機動戦士ガンダムZZ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • 闇夜の時代劇 正体を見る
  • バイストンウェル物語 ガーゼィの翼
  • ブレンパワード
  • ∀ガンダム
  • 劇場版∀ガンダムⅠ 地球光
  • 劇場版∀ガンダムⅡ 月光蝶
  • OVERMAN キングゲイナー
  • 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-
  • 機動戦士ΖガンダムⅡ A New Translation -恋人たち-
  • リーンの翼
  • 機動戦士ΖガンダムⅢ A New Translation -星の鼓動は愛-
  • RING OF GUNDAM
  • ガンダム Gのレコンギスタ
  • 富野参加作品一覧

  • 鉄腕アトム
  • 戦え!オスパー
  • リボンの騎士
  • 巨人の星
  • アニマル1
  • 夕やけ番長
  • 海底少年マリン
  • どろろ
  • 紅三四郎
  • 巨人の星対鉄腕アトム
  • おらぁグズラだど
  • 男一匹ガキ大将
  • ムーミン
  • シートン動物記
  • 赤き血のイレブン
  • アタックNo.1
  • あしたのジョー
  • 男ドアホウ!甲子園
  • 昆虫物語 みなしごハッチ
  • さすらいの太陽
  • 天才バカボン
  • ふしぎなメルモ
  • 新・オバケのQ太郎
  • 国松様のお通りだい
  • いなかっぺ大将
  • 正義を愛する者 月光仮面
  • アニメ・ドキュメント ミュンヘンのへの道
  • モンシェリCoCo
  • ハゼドン
  • ど根性ガエル
  • けろっこデメタン
  • ワンサくん
  • 山ねずみロッキーチャック
  • 侍ジャイアンツ
  • 新造人間キャシャーン
  • アルプスの少女ハイジ
  • ゼロテスター
  • 昆虫物語 新みなしごハッチ
  • 小さなバイキングビッケ
  • 宇宙戦艦ヤマト
  • 破裏拳ポリマー
  • フランダースの犬
  • 母をたずねて三千里
  • アンデス少年ペペロの冒険
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ゴワッパー5 ゴーダム
  • ろぼっ子ビートン
  • あらいぐまラスカル
  • 合身戦隊メカンダーロボ
  • 超電磁マシーン ボルテスV
  • シートン動物記 くまの子ジャッキー
  • ヤッターマン
  • ペリーヌ物語
  • 闘将ダイモス
  • 未来少年コナン
  • とびだせ!マシーン飛竜
  • まんが日本昔ばなし
  • 宇宙魔神ダイケンゴー
  • 赤毛のアン
  • 科学忍者隊ガッチャマンⅡ
  • ザ・ウルトラマン
  • 宇宙大帝ゴッドシグマ
  • ルパン三世(TV第2シリーズ)
  • 新世紀GPXサイバーフォーミュラ
  • 銀河漂流バイファム
  • ママは小学4年生
  • GUNDAM EVOLVE 5
  •  |  富野作品感想 | 富野由悠季関連 | 井荻麟関連 | 富野情報 | 富野雑談 | レビュー | ブログ運営 | 日常話 | 未分類 | 給華文讀者 | Gのレコンギスタ | 
    Copyright(C) 2007All Rights Reserved. TOMINOSUKI / 富野愛好病
    Powered by FC2ブログ.
    template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.