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富野インタビューから読み解く『リーンの翼』 その2

2010/05/06 22:11|富野由悠季関連TRACKBACK:1COMMENT:0
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富野インタビューから読み解く『リーンの翼』 その1

 前回に続き、今日はまだまだ富野監督のインタビューから『リーンの翼』を見るのです。今回使ってるインタビューは「本の旅人2010年4月号  富野由悠季インタビュー」です。全文を読むには、リンク先のシャア専用ブログ@アクシズさんのところまで。




そこを突破するアイデアを思いつくまでに一年ほどかかってしまいました。
―― そのアイデアとはどういうものだったのでしょうか?
富野 現在の日本のエイサップ鈴木と、バイストン・ウェルの迫水を交互に語るという方法です。このアイデアで大事なのは、エイサップ側の物語ではほんの数日しか経過していないのに、迫水のほうは五十余年が経過しているという部分にあります。たとえば、長い冒険の旅が実は一夜の夢だったりすることがあるように、あるいは遠い昔から現在までもが回想すると一瞬で思い出せるように、リアルとフィクションはきれいに分かれているのではなく、ある一点に輻輳して存在していると考えました。

 たかが小説の1巻のアイデアに1年をかかるのはとんでもないと考えている人もいるかもしれませんけれど、事実、今回の新版『リーンの翼』のなか、もっとも面白くて新作に当たる部分は、間違いなくこの第3巻です。実際読めばわかると思いますが、エイサップやロウリたちの現代&現実パートと迫水と仲間たちのホウジョウ建国&バイストン・ウェルパートが交錯している書き方はとんでもなく素晴らしいものです。最初はバラバラでまるで接点が見えないのですが、章が進むのにつれてだんだん輪郭が出て、ようやく我々が知ってるような形になるところに、一気にわーっと怒涛のような雪崩れてこんで、読者である我々はただ驚愕するしかない。そう、あえていうのならば、まさに手塚治虫先生の『火の鳥』のようです。

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 と、いう褒め方はさすがにちょっと言いすぎかもしれませんけれど、構成については、過去を代表する迫水と現代を代表するエイサップたちという二つのラインがだんだん近づくという形になっているのは、確かに称えるべきものなんです。

それを念頭に置いて、時間の流れ方が異なる現代日本とバイストン・ウェルを交互に描くスタイルを採用したのです。エイサップが生きる現代日本が「リアル」だとすると異世界バイストン・ウェルは「フィクション」。リアルの中にフィクションを交えることで、迫水の半生を端的に描き出せると考えたのです。

 リアルとフィクションの競演。これはバイストン・ウェルシリーズが持っているもっとも大きい特徴のひとつなのですが、それらは迫水を中心に表すのが、今までのどの富野小説にも見られない、ようやく大河小説なみの重厚さを持つようになってる本格的な作品である証です。

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これはおもしろいもので、小説を書いている時は、迫水という男はそれなりに視野の広い、洞察力のある男だというつもりで書いていました。でも書き上げて読み直してみるとそうではなかった。迫水というのはむしろ視野が狭い、猪突猛進する男だったんです。

 人を統べる立場についてから、迫水は長年一つの念を自分に言い聞かせますが、それが「二戦のような旧日本にならない」というです。しかし、「結果的」に、やはりアニメ版のような強権を振るうような王になっている。いったい何が彼をそうさせたのか、詳しくはご自分で読むのがオススメですが、ここは、別の視点から富野のこの発言を見てみましょう。
 
 なぜ富野はこのような発言を話したというと、二つの原因があります。一つは「昔の気性のままで生き続いていた迫水は、前世代(迫水がアマルガンに殺された旧版の時代、つまり世界第二次大戦までの時代)なら対応できる男だったが、再び現代(アニメ版の時代、つまりエイサップたちがいる現在)と直面したら、どうあがいても時代遅れにしかなれませんでした」とういうことで、そしてもう一つは「富野ご本人がこの旧作と新作の25年の間、視野がさらに大きく広がっていた」ということです。
 迫水=富野という考え方から見れば、旧版と新作の間にいた富野(&時代)のこの25年という時間の隔りは、すなわち迫水にとっての過去(自分が生まれ育った時代)と現代(エイサップたち青少年の時代)の「断絶」そのものだった。この埋めようがない断絶があるからこそ、だれもかおかしいと思えるほどの断絶が、そのままアニメ版のサコミズ王の身に反応されましたし、新版小説の迫水にもフィードバックされました。

でも、だからこそ迫水はバイストン・ウェルでの白刃戦も生き延びることができたと納得しました。彼は目の前の敵のことと、自分が好きな女のことしか考えられずに死んでしまったよう男です。

 そうです。迫水は一見バイストン・ウェルの混沌なる世のなか「世界の理」を洞察してきた男だったんですが、その彼の生きる動機は自分なりにまとめると二つしかありません:「とにかく戦って抜いてから考えよう」「とにかくリンレイのために戦えばいいだろう」。まさしく作者である富野本人が言ってた目の前の敵と自分が好きな女のことしか考えていません。

構造とは、作品の中心にある背骨のようなもので、細部をそこに寄せていくことで作品がひとつのまとまりを見せるようになるものです。

 この部分に関しては、富野と冲方氏との対談もご参照ください。「構造」を意識するくだりです。冲方氏が「一番びっくるする」部分はまさにここです。

「リーンの翼」の場合は「生き物=生命体についての物語であること」。第三巻の冒頭、再びバイストン・ウェルに帰還した迫水が気を失った状態で鳥のさえずりを「雌とやりたい、やりたい」というふうに聞くシーンを思いついた瞬間に、これで「リーンの翼」は構造を手に入れたと思いました。

 構造を手に入れたことに関してはまだ考えなければいけませんが、あの冒頭の描写を読んで、自分は非常に感心しています。ああいった見もふたもないくらい生命力ありふれたシーンで新たな希望を匂わせて迫水の再生を書くのが、さすが性的何かを書く名手である富野ならではのものです。

 あと、これとは別に、『ガーゼィの翼』をまだ覚えてるかもしれませんが、第1話の冒頭で主人公クリスと彼女中臣留美子が話してるときに、二人の足もとには一匹の瀕死の蝉がもがいている。これは小説版にはなかった表現で、アニメ版特有な描写です。あれはいったいどういうための描写かというと、まだ考える余地がありますが、カットの積み重ねを大事にしている富野はわざわざこのシーンを入れたということは、このシーンが全編の何かを象徴しているのが言うまでもないことだろう。

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―― 第三巻では迫水が国造りをするエピソード描きつつ、一方で地上世界では朝鮮戦争、東京オリンピックなど時代が移り変わっていく様子が対比されます。全編を通じて非常に印象的な部分ですよね。
富野 これはTVアニメ出身という僕の弱点といっていいでしょう。今回のバイストン・ウェルなり「機動戦士ガンダム」の宇宙世紀なり、物語を作るにはそういう“マンガっぽい”大仕掛けが必要になってしまうんです。ましてやドキュメント作家のように事実を積み重ねていく作業は苦手です。今回も歴史に即した部分は書くのが大変でした。(中略)もっともそういう“マンガっぽさ”にも効用はあって、そういう設定を使うと、今回のように戦後を点描するなどして、本質的なことを端的に表現できるのではないかとも自惚れていますけど。

 事実、「歴史を宇宙世紀まで延ばす」ガンダムシリーズにしても、「リアルとフィクションを繋ぐ」バイストンウェルシリーズにしても、富野は今まで一度もこのような書き方をしなかったのです。なので、今回は初めてようやく獲得したものといえます。

―― 仕事とおもうからこそ自分にプレッシャーをかけられるわけですね。
富野 そうです。僕はこの小説がなければ哲学や社会の成り立ち、歴史につて勉強することはなかったでしょう。現代というものを理解しようとするとことなく死んでいったと思います。だから三年近く「リーンの翼」にかかわって、ようやく大学に入学したばかりのような知るべきことを知れた気分になっています。

 著者ご本人の言葉とは裏腹に、富野は実はかなりの勉強家ですが、この新版『リーンの翼』はさらに富野がありとあらゆる知識と思想を動員した結晶といえます。言い換えれば、3年近く勉強したものを全部なんとか取り混ぜたという言い方もできます。
 特に、『教えてください。富野です』の対談者たちの著作から得た知識や考え方が多くて、第3巻はまるで現代パートとホウジョウパートはそれぞれ「教えてください。朗利です」と「教えてください。迫水です」に集約できるくらいなのです。そんなの辛気臭くないかと思っている方もきっといるでしょうけれど、繰り返しますが、この第3巻は今までどの富野作品にも見られない描写と面白い描写に満ちているものです。その中毒性は半端ないです。

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―― 「機動戦士ガンダム」のノベライズをはじめ、数々の小説を書かれてきましたが、今回は久々の長編小説でした。
富野 いや、久しぶりもなにも、僕にとっては今回が初めての「小説」体験といっていいと思います。それ以前のノベライズ仕事とはまったく性質が違います。僕の作品の中で「リーンの翼」以外に「小説」と呼べるものがあるとするなら、最初に書いた「機動戦士ガンダム」ぐらいしかないでしょう。あれには「小説」に必要な「動かしがたい固有なもの」が含まれていました。そういう意味では「リーンの翼」はそれ以来の「小説」といえるかもしれません。

 申し訳ございませんが、これについてまったく賛同できません。富野さんご本人の言ってた感触みたいなものについては、自分はまあ分からないでもないのですが、ほかの作品も立派な小説です。ノベライズを除いても、ちゃんとした面白さを持ってるちゃんとした話はやはりいっぱいありますので、この言葉はとてもじゃないけど同意しません。まあ作者個人の感想なのでどうでもいい。

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―― 今後、またバイストン・ウェルを舞台に小説を書かれる予定はありますか。
富野 いえ、あとに残っているのは些末な事象のことだけに思います。書こうという衝動が湧いてきません。もしこの世界に興味があるなら、みなさん、どうぞ書いていただいて結構ですよ。ガンダム・シリーズと同じです(笑)。

 これを聴いてショックと覚えてる人もいるかもしれませんが、バイストン・ウェルは本来現実と虚構の接点を探すシリーズなので、2010年の現在(『リーンの翼』の劇中設定ではさらに2015年)まで上書きした今の時点では、確かに富野的にはさほどもう一度書く必要がないかもしれません。
 そうは言いながらも、富野監督は別のインタビューで以下の話をしたのです:

もちろん仕事というのは、自分一人で決めることができないものですから、今後「バイストン・ウェル」の作品に関わることがないとはいえません。

 また、前の記事にも言ってたとおり、バイストンウェルものはサンライズにとって「ほぼ唯一持っているファンタジーシリーズ」と「ガンダム、ボトムズに次ぐ三番目古いシリーズ作」ですので、最近のボトムズのように、むしろ富野以外の若手に作らせるのもある意味できることだと思います。

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