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富野由悠季が『リーンの翼』迫水真次郎の三人の妻の名前で見せた「ネーミング作劇学」

2013/04/15 19:03|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:6
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野由悠季が『リーンの翼』迫水真次郎の三人の妻の名前で見せた「ネーミング作劇学」
 富野由悠季監督が三年の時間をかけて上梓した巨作『リーンの翼』は発売されてから、もう数年を経ってたんですが、生活の忙しさに追われてなかなか読む時間を割れない方もいれば、もう完走した方もいらっしゃると思います。

 一方、「『リーンの翼』? 何それ」「興味はあるけど高いな…」といまだに購入を躊躇っている方もいらっしゃると思います。なので、そんな購入するかどうかをまだ迷っている方を後押しするために、今回は富野監督の作品における一大特徴である「富野ネーミング」が、この『リーンの翼』において発揮した作劇法を紹介したいと思います。



 『リーンの翼』の第3巻を読んでいただければ分かる通り、ガダバとの闘争、アマルガンとリンレイとの訣別、小倉に落されるはずだった第3の原爆を止めた後、かつての聖戦士・迫水真次郎は再びバイストン・ウェル・へリコンの地に落下し、第2の人生を歩むことになった。

 そこで、迫水はかつて部族でしかないメッオ国(のちのホウジョウ国)の建国に参与するようになった。60年にも及ぶ期間の間に、彼は三人の妻を娶った。最初の妻アピア・メッレ。女王リンレイの再来と呼ばれるエミヤ・スッカ。そしてアニメ版でも有名な「後添え様」」ことコドール・ハッサ。迫水が長く行き続けているため、前後にこの三名の女性と感情を築き、共に人生を歩くことを決めました。

 しかし、それぞれの妻の間に感情と結婚の理由があるといっても、この三人の妻の背後には、やはり厳然なる政治的背景が存在しています。そしてそれと連動して変動し続けているのは、ホウジョウ国の王としての迫水真次郎の政治的な立場です。

 それら政治的な背景や迫水の政治的な立場ですが、実はこの三人の妻の名前からは、すべてそれを反映し、伺うことができます。これが作り手である富野がネーミングを使って匂わせるものですが、以下はこのネーミングを駆使する作劇方を説明します。



 まず、基礎知識として、北の地に位置しているメッオの国のことを知っておきたい。このメッオの国はもともとメッサラ族とオルッメオ族という二つの部族が治める地だったんですが、強大になりつつあるシッキェの国(リンレイ・メラディ亡き後、アマルガン・ルドルが立ち上げたシィとキェの連合国家)に対抗するため、迫水を始めとした何人かの地上人を擁立しつつ、オーラマシンの建造を励んでる新興国家である。

 迫水は中核にいる地上人としては一番遅く参与した人間だったんですが、地上では飛行機のパイロット、ガダバとの闘争を経験した歴戦の勇士、そして何より聖戦士であるということで、だんだん重要な職位を得て、やがて王として祭られている。その建国の物語は60年以上越えているが、その間に娶ったのが以下の三人です。

アピア・メッレ:メッサラ族スッカ家。一番目の妻。迫水との間に長男シンイチを持つ。

エミヤ・スッカ:メッサラ族スッカ家。リンレイ・メラディの再来と呼ばれる英気を持つ女性。リュクスの母。

コドール・ハッサ:オルッメオ族ハッサ家。いわゆるアニメの後添え様。



 彼女たちの個性や出身、それから迫水との馴れ初めは詳しくご自分が『リーンの翼3』を読むのがオススメですが、この3つの名前から導きだすことができるのは、以下の話です。

アピアはもともとバランモン(さすらいの智者)の付き人を勤めていた少女ですが、迫水が重傷を負ったとき、彼の世話役を負かされる。その繋がりもあって、のちに自然のなりゆきで結婚し、彼の一人目の妻となった。

このアピアとの結婚は、スッカ家が聖戦士との婚姻を結ばれたことによって、メッオの国のなかで主導権を握るようになったことと、迫水がいよいよバイストン・ウェルへ帰化することを意味している。



アピアと迫水の間に一人の男児をもうけたが、男児が病弱なため、10歳の時に病で亡くなった。アピアもこの一件で早逝。アピア亡き後、迫水は二人目の妻を娶ることを迫られることになったとき、浮上した候補はこのエミヤである。


エミヤは伝説の女王リンレイ・メラディの再来と称えられるほどの美貌と気品を持っている少女で、若くして国の重鎮レッツオ城を任されるほどの存在だ。迫水も彼女の幼少期から知っているため、彼女との間にリュクスをもうけた。

アピアのごく自然にできた婚姻と比べて、伝説の女王リンレイの再来と呼ばれてるエミヤとの結婚は、すでに周りの半端ない期待がかかっており、政略結婚の色が強くなっている。



また、アピアとエミヤが共にメッサラ族のスッカ家の人間にもかかわらず、苗字の違いはすでにその地位の違いを表している。

エミヤ・スッカというスッカ本家の人間に対して、アピア・メッレは明らかに分家の人間で、アピア死後にエミヤを娶った迫水は、この政略結婚を結ばれると同時に、さらなる政治の地位をも手に入れた。



エミヤが亡くなった後、迫水はさらに三人目の妻を娶ることになる。


コドールはもともと大学院の学生ゆえ、産業や経営などに長けて、迫水は結婚前すでに彼女を国運営の官僚とし、その意見をいろいろ採納している。

コドールとの婚姻は多少感情を持っているとはいえ、最早国の経営の手段の一つになっている。この婚姻はホウジョウの国の転換を象徴するものになっている。


アピアとエミヤがスッカ家の人間であったのに対して、コドールだけがハッサ家の人間ということは、ホウジョウ国内部の権力がスッカ家(メッサラ族)からハッサ家(オルッメオ族)に転移したことを意味している。


迫水がはじめての結婚相手はスッカ家だったということは、迫水がメッサラ族と結び、親交を深めたことになる。そして、オルッメオ族が代りに権力を握るようになることは、すなわちホウジョウの国の内部に不協和音が発生しへ始めることと、迫水がだんだん孤立されることを暗示している。



 以上は、『リーンの翼』の迫水真次郎の三人の妻の名前におけて、富野由悠季がネーミングで作劇を構築した一例です。こんな小さなところでもこんなに意味を含ませるのは、さすがとしか言いようがありません。以上の話がほんの一例にすぎず、もっともっとすごい作劇法は『リーンの翼』に書かれていて、読者の発見を待っています。そういう意味でも、ぜひ皆さんには読んでほしいものです。

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コメント
あきまんのtwitterによると、富野さんは毎週水泳に行ってバタフライまでやってるらしいですよ
長生きしてくれそうです
脂質マン #-|2013/04/17(水) 03:16 [ 編集 ]
脂質マンさん、情報ありがとうございます。
そうですね、今でもしょっちゅうやってるそうです。
バタフライはとにかく足腰が必要ですから、素直にすごいと思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/04/17(水) 21:19 [ 編集 ]
やっぱり今から読むなら
新版じゃなきゃ、ダメですかね。
まそきぃ〜 #-|2013/04/18(木) 14:15 [ 編集 ]
いや、両者をあくまで別物として見てほしいものです。
入手しやすさと富野監督への貢献度でいえば、そりゃ新版でしょうが(いまはそうでもない?)、
前半の物語ならば、私個人は断然旧版のほうが好きです。当時の空気感を強く残っていますから。

そういう意味では、両者とも入手することがオススメです。
何か分からないことがれば、メールにても説明させていただきます。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/04/18(木) 17:35 [ 編集 ]
冨野監督の小説は敬遠していたのですが、思い切って読んでみようかな、と思います。

冨野監督の作劇法はアニメでしか味わったことが無いので、文章媒体でどれだけ理解できるか…
是非映像作品と文章媒体での楽しみ方の違いなんかも、教えて頂きたいです。
黒豆 #-|2013/04/18(木) 22:13 [ 編集 ]
黒豆さん、コメントありがとうございます。
これに関しては、別記事でがっつり説明したいと思いますので、
もうしばらく待っていただければ嬉しいです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/04/19(金) 13:41 [ 編集 ]
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