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新版『リーンの翼』は富野由悠季の新境地 ―― 説話からの脱退と「今」というメッセージ性の構築

2010/04/19 19:22|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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富野由悠季作品の「アニメモード」と「映画モード」、そして両者の間から滲み出す「説話モード」

 単純なファンタジーよりも説話の構造に似ているバイストン・ウェル物語。これは『聖戦士ダンバイン』『ファウファウ物語』『オーラバトラー戦記』『ガーゼィの翼』などが時代や舞台設定それぞれバラバラしながらも、共通し合ってるもっとも大きい特徴といえます。また、ただの異世界ものにとどまらず、必ずどこか現実と接点を持っているのも、この作家・富野由悠季が描き続けてきたバイストン・ウェルの不可欠な要素です。
 しかし、この共通の特徴も、ある意味新版『リーンの翼』には通じない節はどこかにあります。そしてその通じないところこそ、新版『リーンの翼』が旧版ともアニメ版とも異なる、自ら持っている最大の特徴です。以下はまとまった話じゃないですが、これについて少しだけ説明します。


 まず注目してほしいのは、富野由悠季がこのバイストン・ウェルの構築にたいして、明らかに他のどの作品の世界観よりも注力していたことです。もちろん、後付けで固め続けているガンダムシリーズよりもです。
 もっとも象徴的なのは「インナースペースとしてのバイストン・ウェル」という文章。初出はニュータイプ別冊「バイストン・ウェル物語」であったこのバイストン・ウェルの世界観を解説する文章は、作り手/書き手である富野の親筆で、ああいう裏設定的な文章(設定)を公に向けて世に出したのは、富野の50年近いキャリアのなかでもほぼ唯一といっていい。(注:資料として収録されているものは別にして)
 この要点を念頭において、さらにバイストン・ウェルが富野のガンダムに次ぐ2番目多く作品シリーズということを考えれば、富野がいかにバイストン・ウェルにこだわるのが伺えます。

 で、この「インナースペースとしてのバイストン・ウェル」のなかには、バイストン・ウェルの独特な構造を説明し、文明を地上界(つまり我々が住んでいる現実の世界)のと比べつつも、あからさまにバイストン・ウェルを現実世界の夢の反映、魂の修行場にしています。これは、バイストン・ウェルを説話の構造を持っている世界と明言したものです。
 そういうことを考えると、『ファウ・ファウ物語』の冒頭の御伽噺みたいな詩も、『ダンバイン』のあの有名なナレーション(「バイストンウェルの物語を覚えている者は幸せである~」)も、旧版小説『リーンの翼』の序も、あらかじめこの物語(作品)の説話的構造を明示したものといえます。

 バイストン・ウェルは魂のマスカレイド(仮面舞踏会)。
 オーラロードは、その魂のマスカレイドをのぞくためにひらかれた、肉ある者への道。

 しかも、そのオーラロードは、世界の綻びの道……。
 その道が、四散した時、人の世界は、現ポイントから霧散する。
 それ故に、バイストン・ウェル、人のオーラによって支えられた世界は、震える。


 逆にいうと、序を削除した『リーンの翼』新版は、ひょっとしたら「説話からの脱退」を意味するものかもしれません。序といえども立派な作品の一部分なので、削除するには、必ずなんらかの意図が含まれています。

 富野はかつて「バイストンウェルは頭がつかえてる感じ」といった趣旨のことを述べましたが、この序の削除はそういったものの排除といえるかもしれません。
 しかし、(日記的なもの=自分の好み・思いのたけだけで書かれたもの)をあれほど拒否し続ける富野が、新版『リーンの翼』の巻末収録を許した一方、わざわざ序という本来『リーンの翼』にもっと深く関わるような文章を削除したということは、まさに文章を削除することによって、作品の方向性や色を変えたいという意図が含まれているではないかという見方もできます。(もっとも、その巻末収録は編者が作者のこういった意を察知したかどうかという問題もからんでるが)


 しかし、となれば、富野はなぜ『リーンの翼』の新版において、このような改変をしたんでしょう? そして、このような改変は何を意味するのでしょう? それは、まだこれから時間をかけて検証しなければいけませんけれど、一つ考えられるのは、今我々が存在している現実を語っているために、本来説話の色を帯びているバイストン・ウェル物語から脱退せざるをないということです。
 説話のなかではすでに「記憶」という時間と空間をも越えるエッセンスが封じ込められているが、「今」と繋がっているとは限られません。「今」という現実に地続くための物語であるからこそ、説話のままではいられないということではないでしょうか。

 旧版『リーンの翼』の主人公は同じく日本人迫水真次郎ですが、それは過去の物語(劇中の年代は1945年に対して、書かれたのは1980年代前半ということから見ても明らか)で、一つの完結した物語的な構造を持っている。だから、説話に足りうる。(このへんは、記事一番上の「説話モード」もご参照)
 しかし、新版『リーンの翼』は現代へのメッセージで、我々が存在している時代、すなわち現在という「今」へオープンしてる物語なので、回帰と循環と再生の構造を持ち、記憶と過去を封じ込める説話的なものに止まるわけにはいきません。なぜならばこの物語のこれから、すなわち「未来」は、イコール我々の未来なのだからです。未来は、このような経験をしてきた我々が自らの手で作るべきものなんです。おそらく、これがこの新版『リーンの翼』が持っているメッセージなのでしょう。


 なので、旧版『リーンの翼』と新版『リーンの翼』はこういう意味では実質的別の作品で、どっちも作品として自立していますし、互いに存在価値を損なうこともないと私は思います。旧版は過去の記憶(太平洋戦争)を借りて我々に伝える物語で、新版は過去から現在までの時の流れ(迫水の建国と地上界数十年の推移)を借りて我々に訴えかける物語です。そうした両立は作者の腕と作家性にかかってるもので、まさに富野由悠季だからこそできるものです。
 また、作品の系譜を考えるとき、新版『リーンの翼』はバイストン・ウェルシリーズでありながら、バイストン・ウェルの説話的構造をしていないことので、どう位置付けという課題がまだ残っているものの、そこもまた大変挑戦的で、我々のさらなる解明が必要ということはもう言うまでもなかろう。

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