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富野由悠季作品の「アニメモード」と「映画モード」、そして両者の間から滲み出す「説話モード」

2010/04/18 00:23|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:6
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野由悠季作品の「アニメモード」と「映画モード」、そして両者の間から滲み出す「説話モード」
 あまり厳密的に定義しているわけじゃないですが、富野由悠季監督の数々ある作品(この場合、アニメと小説の両方)は、どうもどれも一定のイメージがあると感じてます。
 そのイメージが何なんのかというと、一つは「アニメがアニメたるものであれ」というアニメ的な雰囲気を持つ「アニメモード」と、もう一つは「古き良き時代の映画」の雰囲気を持つ「映画モード」。富野の場合、本人が一時期小説よりもゴダールをはじめとした文芸的な映画への傾倒を語ったくらいだから、この映画モードを語ると、富野にとって「文芸的何か」といって置き換えてもいいかもしれません。
 とにかく、まずこの「アニメモード」と「映画モード」を持って富野監督の作品を見れば、不思議なことに、だいたいどれかに収まることができます。


 で、どういう方法で判別するというと、もっとも分かりやすいのは、ズバリ「エンディングの画が呈する雰囲気」です。テレビ作品でいえば最終話で、映画でいえばエンディング。もちろん、小説ならば最後のエピソードに言ってるのです。あの「最後にかかる画のイメージ」のより処は、必ずといっていいほど厳然に「何らかの雰囲気」を持っているのです。
 以下は、厳密に語ってるわけではないですが、自分なりの分類です。何かご意見ありましたら教えていただけると嬉しいです。


 『トリトン』の「背景に主題歌がかかって、少年は朝日に向かって仲間たちと去ってゆく」はアニメモード。というか、アニメソング(オープニング、エンディング、挿入歌のどれか)をかかって終わるのは非常にアニメ的なので、ほとんど富野のなかではアニメモードに属していると言えます。

 『ザンボット』の「そして、少年はみんなの暖かい迎えのなか、目を覚ましていく」は、アニメモード。ご存知な方も多いと思いますが、富野のアニメは非常に少年文学的で、だいたい「少年が色々な痛みや傷を持って、青年になっていく」というものが多いので、そのような風景は富野作品のなかでは、おそらく手塚治虫の『アトム』を初めとした数々あるアニメを携わっている中、アニメと渾然一体となってるんでしょう。

 『ガンダム』はアニメモードですが、『ガンダム』映画三部作は三部ともに映画モードです。特に『Ⅰ』と『Ⅲ』は、非常に映画的だったといえます。このように、当たり前でいえば当たり前ですが、富野はたとえツギハギ映画にたいしても、かならず非常に映画的だったエンディング画を用意しています。

 『イデオン』の本当のエンディングは『発動編』まで待たなければいけないのですが、あの転生のラストは、当然映画モードです。ビジュアル的な表現も意味も違いますが、イメージとしては『2001』から借りたものという見方もできます。

 『ザブングル』は当然劇中で何度も宣言したとおり、アニメモード。テレビ版の「最後登場人物が一挙に挨拶」も『ザブングルグラフィティ』の「アーサー様復活」も、卑怯的くらいアニメ的なものを逆手をとって、アニメエッセンスを活用したものと言えます。

 『逆襲のシャア』と『F91』は映画なので、当然映画モード。と、こういう言い方は一見安直に聞こえますが、富野の「いかに映画のラストにふさわしい画と曲を手に入れる努力」も決して忘れることができません。

 『ブレンパワード』や『キングゲイナー』も途中こそ波乱万丈だったが、最後は無事に大団円を迎えたなので、アニメモード。これは近年富野がだんだん「アニメも捨てたもんじゃない」と思うようになってる考え方の転移と関係あるかもしれません。


 こうした分類は上にも言ったとおり、富野の小説についても通用できます。

 『小説版ガンダム』の「戦争の傷を残し、仲間や兄のやることを横目で見ながらも、すべてを脱ぎ捨てるように、裸身(しかも金髪!)で海に身を任せる」は、誰が何をいおうと映画モード。「セイラはもう一人で自在に泳げるのだ。」で締める画は、非常に文芸的な美しさを感じます。『イデオン』の制作時期を照らしてみれば分かりますが、これこそ富野由悠季(喜幸)が初めて作った映画的な作品です。

 『破嵐万丈シリーズ』はまず長さからしてはちょっとした映画の長さで、4巻に描いた4つのケースも青少年向けにしつつどこか大人の雰囲気を持つ内容が多く、加えてエンディングもさっぱりした後味が良いドライさで締めるので、どっちかいうと映画モードに近い。

 『ガイア・ギア』は、もちろん映画モード。文庫第5巻のカバーイラストにもなってたアフランシとエヴァリーの海で裸の抱擁をするとか、名言中の名言「ミランダ、勘弁してくれ!」とかは、非常に文芸的で美しい。ああいう青春の匂いを持ってる雰囲気は実をいうと富野だけに限らず、故・星山博之氏も著作『星山博之のアニメシナリオ教室』でそういう思いを述べましたが、富野の年代の人なら大抵持っている共通なものです。

 『アベニールをさがして』は読んだ人少ないと思いますが、わりと正統なSFチックな展開と、最後俯瞰の視点で人類のこれからの進歩を見守るエンディングというのは、SF映画の雰囲気がしてて、映画モードに近い。余談ですが、この作品はかつてのSF少年であった富野にとって、『ガンダム』以外唯一宇宙を舞台にする正統なSF作品でもある。


 と、このように、「アニメモード」と「映画モード」という視点を置けば、大半の富野作品は分類できると思います。しかし、今度この基準を『ダンバイン』や『リーンの翼』などを検視するときは、どうしても収まれない感じがするはずです。それもそうです。何故ならば、これが「ファンタジー」と「現実の何か」が共存している「バイストン・ウェル物語」の共通点で、その共通している雰囲気はここであえて「説話モード」と規定してみます。バイストンウェル物語に属している作品は、全部これに当てはまります。

 『ダンバイン』は、「バイストンウェルの物語を覚えている者は幸せである。心豊かであろうから。私たちは、その記憶を記されて、この地上に生まれてきたにもかかわらず、思い出すことのできない性を持たされたから。それゆえに、ミ・フェラリオの語る次の物語を伝えよう・・・。」というほぼ毎回冒頭で聞いたナレーションがありますが、それはまさに全体の物語を最終話のオーラ・マシン浄化のあと、一人地上に残されたチャム・ファウが伝える「物語」と意味するもの。このように、ファンタジー色を持ちつつも現実と接点しているのが、バイストンウェル物語が持つ説話の性格である。

 同じく『リーンの翼(旧版)』もそうだった。日本軍人である迫水真次郎が沖縄上空でバイストン・ウェルに落ちって、戦士になって、そしてやがて死んで、魂が地上に帰って第3の原爆を阻止し、再び愛する人リンレイ・メラディの血脈に回帰する。この「回帰構造」というのも、説話の性格が持っているものです。これと同じく、『リーンの翼(アニメ版)』も最後お墓参りで終わるのも血脈への回帰を語っている(さらにラストの羽が富士山への方向に消えたのも、第1話の富士山につながることを暗示している)。

 『ファウ・ファウ物語』も当然そうであった。メルヘンそのものであり、冒頭のクスタンカの丘の誕生シーンとラストのクスタンカの丘の誕生シーンは、まさに再生と循環を意味するほかありません。『ガーゼィの翼』の冒頭シーンは以上の作品と比べてやや曖昧ですが(注:小説のこと。アニメはわざわざ蝉の死にもがいてるシーンを入れるのが白眉だと思う)、それでも最後クリスの戦い話はやはり物語として伝われています(また、クリスの血もリーリンスに通してバイストン・ウェルに流れ続けることになる)。

 ちょっとだけ例外なのは、『王の心』。この作品はバイストンウェルシリーズじゃないでありながらも、呪術・幽体・異能・あやかし・もののけなどの要素を持ち、最後星々の間に語り継がれる話として完結しますので、説話モードに属しています。


 新版『リーンの翼』はまだ読み終わってませんので、まだ語れませんけど(次の記事で語る予定です)、もう一つ富野の集大成作と言われている作品を語ってみたい。『∀ガンダム』です。
 『∀ガンダム』のラストは、アニメ史上から見ても極めてよくできて、かつ美しく切ないエンディングです。井荻麟作詞・菅野よう子作曲の名曲『月の繭』と映像美で紡ぎだす人々の生き様と命のめぐり来るは、まさに傑作としかいいようがありません。しかしよく考えてみると、このラストは上で語った基準で見ますと、非常に複合的なものだと分かります。
 まず、『ブレン』や『キンゲ』などに共通している、アニメ的な「大団円」要素が持っている。これが『∀』のアニメモード。それでいて、あのアメリカ大陸(劇中はアメリア大陸)のまばゆい風景のコントラストは、まさに古き日の映画の風景ほかならないから、『∀』の映画モードに繋がることを意味しています(事実、『∀』のカメラワークの特徴の一つである「ワイプ」もそれを暗示している)。
 さらに忘れることができないのが、ディアナ様が眠った後、ブラックアウトと共に静かにかかってるBGM(厳密いうと挿入歌だが)「宵越しの祭り」。これは、ビシニティで毎年の成人式の際歌われる唄で、内容は生命の繰り返しを歌うものです。この冒頭にも登場している曲を最後に入れるのは、『∀』のもっとも重要な要素「黒歴史」という記憶の意味を相まって、まさに回帰・循環を語っています。これが、『∀』の説話モード
 ですから、『∀ガンダム』のエンディングはアニメ・映画・説話といった要素を含めた集大成なもので、富野由悠季の作品の到達点の一つと言えます。


 アニメモード映画モード説話モード。あなたも試しにこの視点で富野由悠季監督の作品を見てはいかがでしょうか?

コメント
こんにちは、2度目のカキコミになります。

今回の記事、とても面白かったです。

この3つの「モード」の定義を厳密にはつけていないとのことですが、やはり感覚的にしか判らない部分もありましたので、もしこれから定義づけできるようでしたら、是非記事にしていただきたいですね。

こぼ #-|2010/04/18(日) 06:46 [ 編集 ]
そうですね、文中で話したものをさらにもうちょっときちんと定義すればできるかもしれませんな。

ちなみに、今度はもう3度目のコメントですよ(笑)?
kaito2198 #L2WcHO2o|2010/04/18(日) 11:28 [ 編集 ]
はじめまして!いつも楽しく拝見させていただいております。私もそれなりに重度の富野マニアですが、kaitoさんの情熱・知識にはいつも圧倒され、刺激を受けております。今回の3つのモードの説明は実に腑に落ちました!個人的には今後の富野監督の作品は、「映画モード」で突き進んで欲しいなと思っているのですが、それはまあ監督次第でしょうからね(笑)。あと、監督のアニメ作品の作風は特にTVシリーズに随所なのですが、非常に「小説的」な印象を何故か持っています。
ポスタル #-|2010/04/18(日) 15:21 [ 編集 ]
おっと、そうでした!前回のカキコミで3度目のコメントでしたね!今回で4回目ですね!

これからも富野監督に関する記事楽しみに読ませていただきます。気になる記事にはコメントを残しますので、よろしくお願いします。
こぼ #-|2010/04/18(日) 16:38 [ 編集 ]
ポスタルさん、コメントありがとうございます。どうかこれからもご指導のほどよろしくお願いいたします。

先日紹介したリング・オブ・ガンダムについての発言(http://kaito2198.blog43.fc2.com/blog-entry-741.html)も、富野監督はズバリ映画にしたいといいましたので、映画はいわゆる富野監督の目標点の一つなので、作品は常にそれを目指しているのは間違いないでしょう。
一方、新作企画については、富野監督は「ゆとり世代に向けて作りたい」と仰っています。別にドラえもんみたいな作品になると思えなくて、結果的はいつもの富野作品になると思いますが、子供向けということは、ひょっとしたらアニメ的なものを利用して作ってみせるという監督の宣言なので、結局監督次第ということですね。もっとも、複合的な要素は富野さんにとっても可能ですが。
kaito2198 #L2WcHO2o|2010/04/18(日) 23:21 [ 編集 ]
是非ともよろしくお願いいたします。
kaito2198 #L2WcHO2o|2010/04/18(日) 23:28 [ 編集 ]
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