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富野由悠季の「萌え」に対する4つの発言 その3 ―― 「萌え系アニメよりも萌えさせる自信がある」

2010/02/28 16:10|富野由悠季関連TRACKBACK:1COMMENT:0
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 今まで何回富野由悠季監督の萌えアニメについての意見を紹介しましたが、今日はさらにそのうちの一つを紹介します。『機動戦士ガンダム 連邦SIDE』という2007年1月で出版された本に載ってる富野監督のインタビューです。本を買いましたので、近いうちインタビューの全部を紹介します。
 また、紹介する内容の一部はトボフアンカル・ミニ・メディア(T:M:M)さんがすでに書き下ろしをしたものですが、今回はさらに内容を追加しました。

┃萌え系アニメよりも
┃萌えさせる自信がある



(前略)

――ロボットが登場する作品でなくとも面白い作品を作れる自負がおありということでしょうか?

 僕はファースト以前、スポ根からギャグアニメ、名作物など、いろいろな作品の演出をしていました。ガンダム以降は、今も申し上げた通り、たくさんのジャンルの仕事を手がけている訳ではありません。けれど、マニアに陥らないという努力は怠っていないつもりです。ですから、監督という大きな立場からの取りまとめ役になった時には、もしかしたら他の方よりは上手にこなせるのではないかと思っているのです。
 幼児向けの作品や、動物が活躍するような作品はもちろん、たとえば美少女物を作れと言われても、やれないことはないと思うんです。「パンチラを本気でやってください!」と言われれば、それをうまく見せる自信はあります。美少女物のオタクにならずに作るという手法を知っているからです。ですから、美少女マニアより面白い作品を作れるのではないかと思います。実際にやったことはないので、うぬぼれているんですけどね。

――美少女アニメ、いわゆる「萌え系アニメ」というものは、パターンを踏襲する作り方なんでしょうか?

 パターンではなく、「萌える」という視聴者の心に寄り添って作ってあげればいいだけのことなのです。先程例に挙げた「パンチラ」で言えば、そのシーンに行くまでに、ちゃんと視聴者の心の準備をさせてあげるのです。準備させて初めてパンツを覗くシーンをやり、場合によってはその先の場面を展開します。視聴者の性的欲求を満たすための、脈略あるシーンの積み重ね…その呼吸をきちんとやるだけでいいのです。
 一人だけの部屋で、こっそり見るものを作るノウハウだって知っているつもりです。萌え系アニメを、物凄くあからさまにもできるし、ほのかな雰囲気で作ることだってできます。パターンというより、すべて「タイミング」なんですよ。そのタイミングも、物語が作りやすいからという自分の都合のタイミングではないんです。「どうしてもそうならなければならない」という必然的な設定を物語の入り口に作り、物語の流れに脈略を持たせることが重要なのです。

――ちなみに、現存の萌え系アニメに関しては、どのようにお思いですか?

 僕は、文化庁メディア芸術祭などアニメに関するコンペの審査員も務めています。ですから、この1年の作品を大雑把にですが100本ほどは見てきました。それで強く感じたことがあるのですが…「僕が“萌え”を演出するなら、あんな声の声優さんは使いませんよ」。今主流になっている、癇に障るような声よりも、もう少し落ち着いた優しい声の方を探すことから着手するでしょうね。萌え系に癒しを求めている視聴者が、あんなにワンパターンな声とセリフで満足するわけがないのです。僕には、今の作り手が視聴者をナメているとしか思えません。
 そのことは、演じる声優さんの側でも感じているようです。ある女性の声優さんから「セリフがいつも同じなんです」と相談されたことがありますから。同じような声、同じような演技、同じような話の展開、同じようなシチュエーション。3カットも見れば先がわかってしまうような作品は、面白くもなんともないでしょう。萌え系アニメの作り手には、「どうか、マニアになる前に人を楽しませてくれ」と言いたいですね。

――楽しい作品を作るには、具体的にどう作ることが重要なのでしょうか。

 プロフェッショナルに考えれば、思考がマニアックになっています。でも、マニアックになる前に、とても重要なことがあるのです。「萌え系」や「美少女アニメ」と呼ばれるものですら、バラエティーショーでなければならない…ということです。
 だから、チラッと覗くパンツのデザインや柄模様だけに意識を集中しているような美少女アニメを見ると、僕は「それは違うだろう」と思います。バラエティーショーの肝は、やはりキャラクターです。作り手の好みかもしれませんが、同じような美少女キャラばかりゾロゾロ出てきても、それはバラエティーショーにはなりません。違う性格を持つ様々なキャラクターがどう絡み合うかという構図を、きちんと作っていかなければいけないと思うのです。

 この前の記事もたくさんのご意見をいただきましたが、簡単に言いますと、富野監督が言いたいのは「変化が伴う演出を萌えアニメにしてもいい」ということで、別に「萌えアニメは薄っぺらい」とか「崇高な作品を作れ!」とは言ってないのですね。短期は一旦おいといて、長期的に見れば、(娯楽に対しても人生に対しても)変化を嫌う人間はまずありませんし、単純でいえば「もっと可愛い女の子が見たい!」という欲求ですね。
 男の子なら大抵わかると思いますが、男だったら大抵少なくとも一回くらい自分の妄想で「脳内美少女」「脳内彼女」「脳内嫁」を育つことがあるはずです。そのときの気持ちを思い出してください。あなたの脳内美少女/彼女/嫁は本当にそんなマンネリなものなのでしょうか? いいえ、あなたの脳内美少女/彼女/嫁はそんな程度だけではないはずです。もっと刺激的で自分をワクワクさせるもののはずです。となると、富野監督の話も分かるはずです。

 ある意味「アニメに表現手段をとったプロモ」なのかもしれませんが、それでもね、その中で、キャラたちの苦悩や成長をシナリオ混ぜて表現できれば、見る人も圧倒的にその「萌えキャラ」に夢中になれるでしょう?
 そう、富野さんが言うように、「伸び代はまだまだある」そう思います。(中略)人間模様を深く掘り下げていく事で、視聴者はその「世界に埋もれることができる」そう思いませんか? 結果として、より深く、「萌え」でデザインされたキャラであっても、共感し、心情を思い、結果的に「嵌る」物ができるとそう思います。

 これが前の記事でchaboさんという方が残したコメントですが、まさにそうだと思います。上手く作れば、きっともっと客を夢中させるものができますし、そうすれば売りにも商売にもなれるわけです。この話が富野監督の自分を諌める言葉である同時に、作り手と観客へのメッセージでもあると思います。




 最後、一言言わせていただきます。富野監督に萌えアニメを作らせてくださいよ! 富野監督は本気で作りたいのですよ! 純愛ものだって、男装の麗人ものだって、萌えものだって、かわいい娘が出るものだって、機会さえあれば作りたいとおっしゃっていますからね、富野監督は!

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