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映画は、初恋のあの子の記憶:『映像の原則』から見る富野由悠季監督のエンターテイメント観(3/3)

2010/02/01 19:45|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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 『映像の原則』(キネマ旬報社)の第12章「エンターテイメントとは何か」からの引用も、今日をもって終わります。以下は、前回の話に引き続き、映像作品としての映画(アニメ)を作る際、もっとも重要なことをご紹介します。

映画的なるもの

物語につきる

 スクリーンやモニターに映し出される視覚的な機能が先行している媒体を考える場合、本テキストでもわかるとおり、どうしても画面をどのようにするかという部分に興味がいってしまいます。
 ことに、この媒体をつかって作品を創作しようとする者たちの癖になってしまっているといってもいいでしょう。しかし、それは決定的なまちがいなのです。
 逆に、物語を語るべきものが作品であると考えている人たちは、画面の問題よりも物語(テーマやストーリー)のほうが大切だと考えて、映像媒体をつかうのですが、それもまちがいがおこるものでもあるのです。
 どちらも考え方が極端だからという理由ではなく、映像をつかって物語る媒体である映像作品は、双方が融合したものであって、映像と物語が融合した創作ができなければ、完成させることができないからです。
 この融合についてどのように考えなければならないか、という問題については、改めてしるしておきます。

記憶のなかの物語

 まず記憶に残っている映画とかTVドラマのことを考えてみてください。なぜ、記憶に残っているのでしょうか? もちろん、格好の良い画面や好きな役者さんが記憶として定着していると思います。
 しかし、その映像的な記憶の一点が本当に”画の良さだけ”で記憶されているのではないらしい、ということは考えたことがあるでしょうか?

初恋的感覚が誘導する映像的なるもの

”あの子は素敵だ”という印象が視覚的なものによって記憶されているのは確かなようですが、本当にそうなのかということについては、心理学的に説明することはできませんが、たいていが自分の意識のなかで作られて美化されていったものでしょう。
 印象がふくらんでいって美化される。もしくはその逆もあります。恐怖が拡大していく、つまり、誇大妄想というような言葉がつかわれるように拡大もしていきます。
 それは、観た作品についても同じような心理が働くものです。
 そのときの記憶の根っこにあるものが何かと考えれば、初恋の記憶で説明するのがわかりやすいと思います。
 初めて好きになった異性の記憶というのは、その唇だけの印象なのでしょうか? その姿全体? その声、仕草? それら一点一点の部品が記憶として定着するにしても、定着する背景があるはずです。どのようなときに、どのような動きで、どのような機会であってのか、と……。
 それはその人のある場所(空間)での全体があってこそ、その印象が一点になって定着(シンボライズ)するのであって、その耳が素敵だ、という一点に飛躍することはありません。
 つまり、対象をとりかこんでいる環境と、ある一定の空間があるから、浮かびあがるのが初恋の人、なのです。
 そのとりかこんでいるものが物語なのです。つまり、物語は皆無で、その人を恋するよういなる、ということはまずないのです。もし、そのような背景がない人を好きになるというのであれば、アイドルを好きになるというような心理であって、それは、初恋の人、にはなりません。
 物語というのは、そのように対象を浮きあがらせる効果があるものですから、最重要である、といえるのです。
 物語り抜きのキャラクターはいない、ということです。
 そして、良くできたキャラクターというのは、その姿を見ただけで物語を想像させてくれるキャラクターだからなのです。
 ですから、映像作品にするためには、物語(背景=環境=取り巻く空気)と映像(キャラクター=被写体)の融合が最重要なのです。
 では、どのように? という説明は難しいので、できません。
 しかし、その仕事こそ諸君の仕事になっていくのですから、映画的なるものというのは何か? というのは、永遠のテーマでもありますので、皆さんで考えていっていただきたいのです。

 富野はよく「絵を信用してない」とか、「物語にしか興味がない」演出家と言われますが、それは間違いなのです。確かに、作画の水準を確保できないならば、ある程度カメラワークなどで処理するしかないのは事実です。しかし、逆に超絶的なアニメートがいあいからこそ、そうして人一倍映像・画面に用心を払ってるじゃないでしょうか。
 とはいえ、富野は結局物語を最重要視しています。上の文章でもわかるとおり、富野は映像の持つ力を十分承知してますし、近年たとえば『キングゲイナー』『新訳Z』など作画が確保される作品では、富野は十分アニメーターに発揮させるコンテ・演出をしたので、むしろ富野が気になるのはいかに映像で物語を語ることです。
 美しい映像だけでは、ダメです。同じく物語だけでも、ダメです。それは何故かというと、いい作品は初恋と同じように、映像と物語をセットに記憶されているものだ。映像をさらに美しくするにも、どうしても物語が必要です。

 ここで面白いと思うのは、物語は「テーマやストーリー」だが、同時に「背景=環境=取り巻く空気」でもあること。ここではイコール記号で記されているのだが、もっと広義的というか具体的にいうと、「背景→世界観、環境→舞台、取り巻く空気→雰囲気」という解釈もできるはず。これらを作れば、作品のあらゆる要素が一体感を醸し出し、「作品の色」になってくれる。逆にこれができないと、どんなに深いテーマや面白いストーリーがあっても、ただの紙芝居か人形劇をやる屋台にすぎない……という言葉は言いすぎでも、本当の意味の「いい作品」になれないのは自明のことなはずです。


 エンターテイメントはただワイワイやればいいもんではない。アニメはアニメならではの楽しみを持ってるが、アニメもまた映画だから、絵(画)を描く以前、どのように技術や原則を駆使し、絵(画)を含めての映像を獲得して、観客に伝えるか。これは実に難しいことだが、結局原理原則と志をもって、絶えず探し続けるほかないかもしれません。これが何故富野監督は今回一連の文章を技術書『映像の原則』の最終章においたわけです。

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  『映像の原則』。発売以来約半年ごと重版される、確実に売れている富野監督の著作。アニメ制作の原則と心得を得れるだけでなく、アニメを含めての色んな映像を鑑賞目を養うのも最適ですので、アニメファンや映像に興味持ている一般の方にもオススメな一本です。

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