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『富野由悠季全仕事』応援記事その3 「研究本としての『富野全仕事』」

2010/01/13 00:03|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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『富野由悠季全仕事』目次
『富野由悠季全仕事』応援記事その1 「富野全仕事をとことん分析」
『富野由悠季全仕事』応援記事その2 「増補改訂版『1964-2010』を妄想してみた」


 今回は前回の妄想話題から一転して、『富野由悠季全仕事』の研究本としての価値を語りましょう。アニメ史の研究家津堅信之先生もおっしゃったけど、「日本のアニメの系譜から考えると、宮崎駿や押井守らよりも、はるかに重要な監督」である富野監督ですから、これからの研究も基本的この本が示したものが方針になるだろう。
 また、ここでちょっと以下の色付けについて説明させてください。は今の『全仕事』に則って「増補版」が追加すべき部分を示し、は『全仕事』にも出てくるけど、少々物足りない部分を示し、そしてははっきり『全仕事』が足りない箇所か欠如する部分を示します。




 まずは富野ロングインタビューですが、これが「作家・富野由悠季」と「富野由悠季演出・監督作品」の洗いざらいともいうべき内容で、富野の生まれ立ち、各時期の考えや作品に対する想いにフォーカスするだけでなく、バンダイ&サンライズがガンダム一色になった今、ガンダム以外の作品を取り上げた意義から言っても、ものすごく貴重な話だといます。
 特に、さすらいのコンテマン時代に対するインタビューでは、ほぼ作品ごとの富野発言が聞けるので、当時ホームグラウンドを持てなかったゆえ、あまり知られていない「さすらいのコンテマン・富野喜幸」を知る機会は、ひょっとしたらもうこの本と『だから僕は…』しかないかもしれませんでした。
 『∀ガンダム』以後の富野再評価以来、作品に関する富野発言は単行本になるのが多いですから、個別の作品を知るには良いのですが、それでももし今度増補版が出るとしたら、1999年の『∀』から2009年の『リング・オブ・ガンダム』に対する富野本人による総括も必要になるでしょう

 次に、富野と共に仕事してきた関係者のインタビューですが、応援記事その1を見ればわかるとおり、バランスが非常にいい。演出畑の人間もいれば、アニメーターやプロデューサーまである。ほかに音響の浦上(敬称略)、脚本の鈴木良武、音楽のすぎやま、美術の池田など、全体を読めば、一つまとまった富野像をイメージできるはずです。
 当たり前ですけど、1999年いわゆる白富野以後の関係者による富野観がないため、もし今度増補版が出るとしたら、やはりビジネスや作品全体を俯瞰的に見つめた上の人選がいいかもしれません。そうなってくると、富野がほとんど同年代と組んでなくなる今じゃ、作品から見れば演出系の人間で、ビジネスから見ればプロデューサー系が適当かもしれません。富野が作ってたものはアニメ「作品」である同時に、所詮「商業」アニメでもあるので、この二つの面からの議論も結局避けられないと思います

 次に関係者のアンケートですが、このへんの作用は基本的に関係者インタビューと同じで、スタッフによる富野像を描き出すための内容ですけど、応援記事その1を見ればわかるとおり、圧倒的に声優のほうがいい。仕事の度合やアンケートの取りやすさから考えれば適当かもしれませんけれど、やはり別の面からの補強もほしいところです。特に演出やアニメーターに対して取ったアンケート数は明らかに少ないので、もし今度増補版が出るとしたら、演出をはじめとしたアニメ作品における核心のスタッフたちの話ももう少し読みたいです
 また、こういう補強によって、また富野のもう一つの面を発見することができます。応援記事その2でも言いましたけど、富野は70年代後半から80年代にかけて『ザンボット』~『ZZ』などに通じて、数多く当時サンライズに在籍していた若手演出家を育て上げてきたんですが、なぜかこの本では一度も取り上げなかったんです。80年代の今川泰宏、川瀬敏文、杉島邦久、赤根和樹、高松信司、90年代の森邦宏などが、皆富野の教え子です。なので、富野昔の教え子にアンケートを取ることによって、この本が確実に欠如している「80年代サンライズ演出家を育った富野由悠季」という一面を補強することができます

 次に対談ですが、はっきりいって異種格闘技的な対談はありがたいですし、内容が刺激的になりますけど、あまりにも距離がありすぎる業界だと、富野研究の上にはそのほど役に立てないのも実情でした。さいわい、この本に収録してある対談者は、共に同じ映像関係(あと小説とデザイン)の仕事を従事してる人間たちですから、内容はやはりきちんとした「映像作家、アニメーション監督・富野由悠季」の範疇に収めています。
 実写監督・本広克行と映画や演出を語る。やり手プロデューサー・奥山和由と映画界とプロデュースを語る。当時の新鋭小説家、富野フォロワー・福井晴敏と作品論を語る。あとガンダムファンでデザイナーで富野と一緒に仕事した出渕裕×カトキハジメの話もある。非常にバランスが取っているコンテンツです。それで、もし今度増補版が出て、さらに追加対談があるとしら、やはり富野のこの3本の対談と同じ方向で、少しアニメから離れたところでの映像関係の人間との異種格闘技的な対談か、富野と並ぶアニメ業界の大物との対談のほうが、単純に本の売りにもなりえるかもしれません

 それからアフレコ現場レポートというものもあるのですが、これが出版当時の最新状況を伝えるコンテンツとしてはいいですし、富野本人によるアフレコや声優への指導方針は多少別のところで読めるものの、アフレコ現場のルポは富野資料全体から見ても少ないほうなので、この部分の収録もありがたいです。それでもし今度増補版が出るとしたら、今まで録音スタジオにいて声優に対する指導と違って、本物の実写役者を使った『リング・オブ・ガンダム』のアフレコの現場レポートは、面白いかもしれません

 最後には原口正宏氏による大作、富野由悠季フィルモグラフィーですが、これはもう何も説明も要らない研究の上に不可欠の参考資料として輝いているものです。あとは増補版が出るときに記載漏れや追加を載れば完璧です(詳しくは記事富野由悠季はもうコンテ千本切りとなったを参照)。




 以上は、単純にこの本の収録内容から見た『富野全仕事』の価値ですが、実際この本に研究そのものをもたらす部分もあります。それが、12人のライターによる16本の検証記事です。当然ながら、書き手の筆力、クセ、知識の多さ、着目点の違い、富野作品に対する相性やセンスなどはライターごとに違いますから、この16本の検証記事のレベルも正直バラつきですけど、全体から見れば、富野作品の個別論(敬称略:北野太乙の『海のトリトン』、的田也寸志の『伝説巨神イデオン』、神田陽司の『機動戦士Zガンダム』など)や時期論(氷川竜介の『ザブングル~ダンバイン~エルガイム』)のほうが比較的に上手くて、富野と富野作品以外の角度から語ろうとする記事はかえってやや滑り気味(永瀬唯の『ガンダムのSF設定』、小野耕世『ガンダムと世界市場』)です。
 しかし、やはりというか、やっぱり富野由悠季という作家、あるいは富野由悠季作品を総括的に語る記事は、一本もありませんでした。1999年出版当時はちょうど富野再評価と再復活の時期とはいえ、当時はタイトルで示した「1964-1999年の富野由悠季」を語れる人、誰一人もいませんでした。本書の結論ともいえるべき記事『メッセージ――遥かなる我が富野喜幸』(富野喜幸を使ってる点から見ても、やはりちょっと思い入れが入ってると伺える)の南田操氏が試しに富野への評価を下したものの、やはり『ザンボット』~『イデオン』という視点でしか見れず、異世界三部作やガンダムシリーズを正当な評価を下せませんでした。
 そういう意味では、もし今度増補版が出るとしたら、『1999-2010』のいわゆる白富野時期も加えれば、白富野の解読だけでも一苦労なのに、「1964-2010」の富野由悠季の全体像を掴める人は果たしているかどうか、正直疑問を禁じませんけれど、それでも研究本を成立させるために必須な工程なので、これからの研究に期待しています。

 また、演出分析に関しても、もの足りない感じがあります。正直、水民玉蘭氏が書いた記事「検証 富野由悠季の絵コンテ」は今読み返しても、やっぱり一番刺激的な記事です。いつもの作家論に留まらずに、これほど本格的に富野作品のみならず、出崎統作品・高畑勲作品などに対して描いた絵コンテを解読し、構図・情報配分から富野演出のなかに潜む役割と意図と特色を分析しようとする記事は、今まで一度も読んだことありませんでした。この点から見れば、この記事は本当に本当に素晴らしいものです。
 ただ、やはり残念なのは、この記事はわずか4ページで、言及した作品は『アトム』『ライディーン』『ザンボット』『ガンダム』『ダンバイン』『エルガイム』、それから『シートン動物記』『ハイジ』『明日のジョー』といった比較的早期な作品のみ。実際に例として使った絵コンテは『アトム』『ダンバイン』だけなので、正直あまりにも物足りないんです。とても良い記事なだけに、もっと読みたいというのが正直なところです。
 富野は絵コンテと演出の名人として有名なのは周知の事実ですから、単に作家論に留まらず、もっと演出に注目するほうこそ、水民玉蘭氏が巻頭記事に挙げた「脱・ガンダム神話」「脱・富野神話」の唯一の道ですので、もし今度増補版が出るとしたら、こういった演出分析方面の補強は望ましい


 それから、この本には井荻麟作詞や富野小説に対しては、それぞれ一記事を分けてたんですけど、はっきりいって全然足りないんです。
 まずは、武内左近氏が書いた「富野喜幸の小説世界 ――『密会』の果てに――」ですが、富野のアニメ監督と相対するもう一面・小説家の存在意味を論じ、アニメとの違いを言及し、『リーンの翼』を使ってスピーディな語り口という特徴を提起し、『ガンダム』を通じて男女の生々しい情念という特色を陳述し、そして(当時の)最新作の『密会』を解読するこじんまりな記事です。5ページだけでそこまで書かれるとは賞賛に値しますが、5ページという少ないページ数も相俟って、以下の問題提起は欠如している:

①アニメと同じタイトルの作品とまったくオリジナルタイトルの違いを言及していない。
②同じ創作活動の一環として、アニメと小説の関連性を取り上げていない。
③小説ならではの特色を見出せていない。
④全部小説を把握した上の結論を下していない。
⑤バイストンウェルシリーズはアニメよりむしろ小説のほうに比重に置いてるのに、バイストンウェルシリーズを語っていない。
⑥細かい作品論を語っていない。


などがありますが、当然全部を語りつくすには5ページどころか、50ページでも終わらないかもしれませんけれど、それでも今までの「富野小説の世界へのガイダンス」を越えて、もっと本論的な記事が望ましい。

 また、井荻麟作詞についての問題も似たようなものです。
 鶴岡法斎氏が書いた「富野由悠季の詩の世界 井荻麟と富野由悠季」は「翔べ!ガンダム」「永遠にアムロ」「いまはおやすみ」「哀戦士」「コスモスにキミと」を使って、これらの詩を「解読」してるけれども、何故富野は詩を書くのか、すなわち井荻麟の詩が富野作品への「作用」については、まったく言及していませんでした。これじゃ、ただ井荻麟の詩を使って今までの富野論を展開するに過ぎません。ですから、井荻麟の作詞を語るには、やはりせめて以下の問題提起がほしい:

①井荻麟作詞と富野アニメ作品の関係
②井荻麟作詞の言葉遣い
③井荻麟作詞が作品に与える影響と作用
④全部の井荻麟作詞を把握した上の結論
④作詞の個別論





 以上は、私見に基づく研究本としての『富野由悠季全仕事』が示した方向と足りない部分と、それからこれから富野と富野作品を研究しようとする人へのアドバイスなどについて簡単に語った話ですけれど、もし何かご意見ありましたら、どうか私に教えてください。ありがとうございます。

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