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「ACEの証」富野インタビュー(電撃PLAYSTATION2007年9月14日号付録「Re:Play VOL.9」より)

2009/12/08 21:03|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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 昨日の記事で言及したインタビューを紹介します。昨日の部分も改めて掲載させていただきます。

物語における少年は高いスペックを持っている


遊ばせてもらったという「キングゲイナー」の世界観

――まずは「オーバーマン キングゲイナー」についてお聞きしたいですが、どのような敬意で逃走劇という世界観が設定されたのですか?

富野由悠季監督(以下、敬称略)とにかくバカなことをやってみようという志の下、企画がスタートしました。途中、物語の方向性として間違ってしまったと思う部分もあったのですが、アニメ作品として遊ばせてもらうのもいいかなと思い、そのまま制作しました。
 ボクが思っていた「遊び」という要素を、ほかのスタッフにすごくマジメに考えられてしまって困ったこともありましたけどね。どうしてもシリアスな方向に引っ張られてしまって「戦闘メカ ザブングル」のときのように、物語のレールが意図的にはずれたような方向に進めなかったことで、若いスタッフとの軋轢(あつれき)や、自分のパワーの衰えみたいなものを強く感じました。
 実際、現在のアニメはマジメにつくりすぎていると思えるものが多いです。例えば、「ご主人様~」と迎えてくれるメイドが登場するアニメがあるとします。本当にメイドがいたら楽しいはずなのに、多くの作品がメイドを出したことで安心しきっているのが現状でしょう。「萌え」があったら、その先はどうなるのか? 人として成長するのがダメになるのかが描かれていない。たとえダメになるとしても、そこで堕落を究極的に描けるのなら、それは作品として成立するはずです。バニーガールな網タイツキャラがいたとしても、そんなキャラは40年前にすでに登場しています。そのキャラを物語のなかでどう特化させるかという部分に視点がいかないのは作り手として悲しいですよね。

――「キングゲイナー」で、ゲイナーとゲイン2人の主人公を立てたのも、そうしたキャラクターに対する視点からなのでしょうか?

富野 あれは崇高な理念などなく、主人公が少年というのはワンパターンだと思ったので、普通の大人も出したいというそれだけの理由です。アニメというのは、元来子どもが見るものなので、ティーンエイジャーに語らせるのが最も物語が伝わるものなんです。ただ、近年は大人と呼べる年齢だけど精神は子どもという人が増えていますよね。
 そういう意味でも大人なキャラは必要だと思います。ただ、主人公の年齢を25歳くらいに設定してしまうと、キャラクターが決まり過ぎてブレることがなくなってしまう。少年の主人公だと、物語のなかで成長させることも、成長のあとで堕落させることも可能なんです。ですが、年齢が高いと、とても幅が狭いキャラになってしまい、使いにくくなります。そう考えると、物語におけるティーンエイジャーは、とても高いスペックを持っています。『キングゲイナー』の場合、最終回は異常なテンションになって、劇構成やアイデアで見せられなかったのは反省すべき点なんです。とてもおもしろいキャラクターやメカニックがそろっていただけに、今思うともったいないと感じますね。

「∀ガンダム」はガンダム作品を全肯定する作品

――次に「∀ガンダム」についてお聞きしたいのですが、あの作品はガンダム作品のなかでどのような位置づけとして描かれたのでしょうか?

富野 「∀ガンダム」は過去のガンダム作品を全肯定するという意味で作った作品です。それは、「∀ガンダム」の時代の前に築かれたものなのか、以後の話なのかはわからない。以後ということも含めてあるので、「∀ガンダム」以降の作品についても認められるようになったわけです。
「∀ガンダム」の時代にたどり着くまでには、あと100本の「ガンダム」を作っても余裕がある時間を作ってあるので、「∀ガンダム」以後のガンダム作品を描くとしたら、自分で作るつもりです。そうした設定があるために、「∀ガンダム」においてロランとディアナの話はエンディングを迎えましたが、ガンダムについては触れていないんです。マウンテンサイクルという設定も、どこから何年後という表現を避けるために考えたものなんですよ。

――主役機である∀ガンダムは、当時話題になりましたが、あのフォルムは監督が注文されたものなのですか?

富野 ヒゲについては、シド・ミード氏のアイデアです。それ以外の機体構造については、細かく注文した記憶がありますね。胴体のウェポンベイやシンプルなコクピット、全方位に駆動できる手足のスラスターなど、構造的に絵にしてほしいとお願いしました。ただ、先ほどのマウンテンサイクルの話が∀ガンダムが山から出てくるという1カットで片付いてしまったために、ボクがどんどんロランとディアナの物語を語る方向に向かってしまいました。そのため、せっかくの構造を見せるシーンが作れなかったんです。結果的にゲンガナムサイドの話を描くことも忘れてしまって、ロボットものとして見てくださった方には、本当に申し訳ないと思います(笑)。あのとき、「監督、ロボットのアクションは描かなくていいですか?」と言ってくれる人がいればよかったんですがね。例えばスタジオジブリだと、どうしても宮崎駿氏が前面に出てきますが、じつは鈴木敏夫氏というプロデューサーがいることで作品のクォリティが成り立っているんです。「魔女の宅急便」も「となりのトトロ」も、宮崎氏1人ではできなかったと思いますよ。作り手というものは、どんどん視野が狭くなるものなので、それをコントロールする人物がいるからこそ、あれだけクォリティの高い作品を世に送り出せているのだと思います。その鈴木氏にあたる人が、ボクの周りにいなかった。

他ジャンルを盛り込んだ異種格闘技的なロボットアニメの魅力

――では、ロボットアニメ全体についてですが、日本人がロボットアニメを好きな理由はどこにあると思われますか?

富野 日本人とした場合ですと、仏像のような人型で畏敬できる信じられるものに対する近親感や自由度のようなものが、ロボットアニメを受け入れる土台になっているのではないかと思います。仏像はアジアの多くの国にありますが、日本ではそこに神道を貼り付けているんです。もちろん、そうした思想を意識している人がいるというわけではなく、無意識に受けて入れている部分が強いと思います。そうした歴史があるだけに、ロボットがリアルな時代になったときも、海外では機能ありきなのに対して、アシモのように日本では人型ありきなんです。昔のアニメにおいてロボットものは最下層のジャンルで、今現在も「サザエさん」や「ドラえもん」に勝てるロボットアニメは存在しません。でも、廃れることもなければ、なくなることもない。それも、こうした日本独自の文化があるからだと思いますよ。

――そんなロボットアニメの魅力とは?

富野 ロボットアニメは異種格闘技だと思うんです。恋愛モノや戦争モノだと、基本的に恋愛だけ、戦争だけを描いています。でも、ロボットアニメはさまざまなジャンルを盛り込んで、いろいろなドラマを見せることができる。やはり、お話がおもしろく、子どもたちが見てくれるのが重要だと思いますよ。ただ、子どもたちが見てくれるというのgあ、じつはハードルが高いことなんです。子どもには理屈が通じない部分もあるので、子どもを引き付けるお話を作るのは難しいことなんですよ。例えば「無敵超人ザンボット3」では、全長60mのロボットが道路を歩いたらアスファルトはどうなるのか? 道路交通法のどこに抵触するのか? 飛ぶのはいいが、落ちたらどうなるのか? というこtろでおもしろさを出しているんです。巨大ロボットという時点でリアルではない。ただ、お話としていかに楽しいかというところに視点を持っていくことができれば、ロボットアニメというジャンルはおもしろい素材だと思います。今は、ロボットアニメというジャンルのなかで物語を作っている風潮があるので、広がりが見えないのが残念です。ロボットアニメはジャンルとしての新鮮味を失っているんでsう。ただ、恋愛モノが何百年と作られ続けて、飽きられていないことを考えると、ロボットアニメも現状を踏み越えていく次の作り方があるのではないかと思います。

――最後に、ロボットアニメは今後どのように変化していくとお考えですか?

富野 今度については、それほど気にしていません。ただ、エンターテイメントである以上、広がりを見せるものでなければいけないと思います。今回のゲームもそうですが、再利用ではなく継続していくことが重要なんです。誰にも触れられなくなったら、それこそ死に体ですからね。アニメ業界だけではなく、世界には数多くの作り手がいます。そうした人たちをお手本に、目標を下げることなく作り続けていけば、また新しいものを世に送り出せるのではないかと考えています。


ロボットアニメを次の段階に押し上げる作り方は必ずある

 と、ここまで文字起して、残る時間も体力も精神もありませんので、感想は明日にします。どうもすみませんでした。

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