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第62回ロカルノ国際映画祭富野由悠季マスタークラス内容前編

2009/08/18 23:57|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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 お待たせしました。この一連のロカルノシリーズも、ついに最後の富野監督マスタークラスを迎えました。今日はその前半をご紹介します。
 今回のフォーラムは富野由悠季監督のほか、この前の会見でも出てた板野一郎氏と、それからアニメ史研究家の津堅信之氏も参加している。司会は先日の会見と同じ、ちょっと太い司会と細いメガネ司会が担当している。




 では、まずは公式サイトと今回の動画。

Locarno International Film Festival
Locarno International Film Festival│Multimedia │Video
 (8/11の「Forum Masterclass with Y. Tomino」のところで授賞式の動画が見れます


 ここには、イタリア・ヴェネツィア在住の方が書いた記事があります。現地には「トミーノ」というチーズがあるらしい。食べたい。

ヴェネツィア ときどき イタリア│続・ロカルノ国際映画祭・・・など


 また、部分的ですが、朝日新聞社の小原篤記者のレポートもあります。

朝日新聞社│小原篤のアニマゲ丼│ロカルノ 濃い人うすい人




 ……と、さっそく紹介したいところですが、実をいいますと今回の文字起こしは、一つとても大きな困難に遭遇したんです。なので、ここでちょっと説明させていただきたい。
 というのも、今回のフォーラムについた通訳さんは正直いうと、前回の会見の女性通訳に比べて、日本語のレベルはとてつもない足りなかったんです。もちろん、通訳さんがとても一生懸命で頑張ってたのは認めますが、語句の組み方も語彙の数も、とても国際映画祭のレベルに至らなかったといわざるをえませんでした。
 実際、イタリア語がまったく知らない自分から聞いても、訳し損なった所はいくつかもあったんですから、なので、今回の数々の質問も、はたしてどこまで質問者のニュアンスを伝わったのか、正直とても不安でした。ただ、富野監督や他の二人の返答を聞く限り、やはり大まか伝わったらしかったんで、多少ぎこちないところがあったにしても、全体はまあ許容できる範囲内にいると思います。

 それでは、始まります。


フォーラムの始まり前なので、人はまだまだ少ない。
観客席には、小原篤記者の姿もいます。
富野と板野と津堅氏は何か話している
(注:ここの話はマイク経由でない、フォーラム以外の話なので、申し訳ないけれど、ここでは文字起こししません。気になる方はご自分で確認してください。)

なにか(注:後はDVDのパッケージだと判明)を持ってサインを要求する女性。
富野はDVDの台紙を取り出し、話しながらサインをする。
サイン終わった後、ご丁寧にDVD台紙を元に戻す富野。
富野『はい、ありがとうございます』

続いて、ある男性は何かの本を富野に渡す。
富野は本をとってページをめぐる。

カメラはさっきの女性を回して、女性が持っているガンダムⅠ特別編のサインにアップ。だが、残念ながらに、コントラストのせいで絵柄が見えない。

男性は何か本の説明をして、富野に感想をもらう様子。
おそらくイタリアの出版品で、公式本かどうかを富野に尋ねる。
富野『渡辺さん、渡辺さん、ちょっとちょっと…』
富野、「渡辺さん」を呼ぶ。
渡辺氏が来る。
(注:証拠はないけれど、ここでいうサンライズの渡辺さんはひょっとして『恐竜キング』などのプロデューサーであった渡辺洋一かも。)
確認した結果、どうやらオフィシャル本だったらしい。

6:30-9:46
司会がフォーラムはイタリア語と日本語で進行すると説明し、今回のフォーラムの趣旨を紹介などなど。

9:57
もう一人の司会が、今回富野監督のマスタークラスの紹介と、津堅信之氏の紹介(たぶんアニメ史研究家として紹介されると思う)と板野一郎の紹介(なんかガンダムのときのスタッフであったとか)をする。

(司会の発言の間、何故か席を替わる富野。)
(それを見て、ご丁寧にプレートを席を替わった富野の前に置く板野。)

11:56 質問正式開始


11:56-13:10 質問(さっき本を前に持てた中年男性)
13:15- 通訳
注:通訳さんが通訳した内容ですが、以下を読めば分かると思いますが、はっきりいって支離滅裂です。まさかここまでヤバかったんで、一度は自分で通訳さんの通訳をそれらしい日本語として再構成したかった。ただ、そうしますと、この講演全体の空気感を忠実に伝わることもできなくなる恐れがありますゆえ、最終的は通訳さんが通訳した内容をそのまま残すことを決めました。とても読みにくいでしょうけど、頑張って読んでください。

 えー、まあ、日本語で簡単に説明したら、えっと、まあ、一応、最初の質問なんですけれども、えっと、ガンダムが、非常に、最初に現れたときに、非常に、難しいときもあったわけですね。とくに日本がそんなに、いいと思われなかったし、そしてイタリアでもですね、あの、えー、初めて、こう、えっと、配給されたときに、実は法律的に、あの、からゆったら、そんなにいい配給ではなかったということですね。ちょっとかいぞくてきに…(富野:はい、一応わかりました。)
 そして、あの…、それにしても、えっと、また、あの、非常に、ビッグサクセスになったということですね。日本でもイタリアでも、すごく、あの、グッドサクセスになったということですね。それは、あの、えー、最初にいろんな問題があったときに、このようなサクセスが、あったということは、思われるようなことだったんでしょうか。それとも、全然、予想できないことだったんでしょうか。

富野監督の返答
14:39
 えっと、当事者の立場でいえば、これほど長く、えーー…、人々の興味をひくものになるとは、やはり思っていませんでした。

15:03
 ただ、映像作品の成果からして、見てわかるものである、そして見て物語が伝わるものであれば、あの、広く支持を受けるようになるだろうと確信はありました。

15:31
 なぜならば、映画というのはもともと、えっと、子どもから年寄りまでが、少なくとも、動く絵、を、見る時間を手に入れることができれ…できて、そして、その、物語に共感を持てれば、えー、当然、ファンは発生するという確信でございました。

16:18
 公共に向けて発表する作品に、えー、法律的な制限が加えられるのは、当然だとは思っています。

16:40
 ところが問題なことは一つがあるのは、テレビという媒体が、一般的になったために、かなり表現に対する制限というものを、大人たちが責任を取りたくないために、制限をものすごく幅広く設定しまったということに、とても大きい問題があると思っています。

17:34
 これの一番根本的な、えっと、大人たちの心理というのは、えー、媒体が責任を持ちたくないという、えー、発想からだというふうに思っています。

18:00
 そして、ところが、物語を作る、えー、物語を発表する、という文芸の世界から見たときに、その、特にテレビメディアが、制限した表現の制限というのは、かなり危険な内容を秘めているというふうに思っています。

18:33
 当然、アニメは、子どもは、視聴者になるのはほとんどです。

(通訳ちょっと戸惑う間、「アニメは、子どもが一番見る媒体です」と助言をする板野。)

18:56
 ですから、最低限の制限は必要だと思っています。

19:05
 ただ、たとえば戦争を舞台…戦争、あ、戦場を舞台にしたときに、戦死者が出ない戦場を描くのは、大嘘だというふうに思っています。

19:34
 この部分のたとえばその境界線をどこに引くのか、という倫理的な問題に関しては、かなり意識して、えー、えっと、うん、………………テレビメディア的な制限を無視しています。

(ちょっと意地悪っぽく笑う富野)

 節度を持ちつつ、表現の限界に挑む。ここらへんは40年以来、一つもぶれてない富野監督のスタンスですね。ただ、それをやるためには、時には大人たちが作った権威をあえて無視する必要もあります。それゆえ、時にはハブられたりもしますが、結果的見れば、そのほうがいい作品を作ったんですし、そのいい作品も長く続くことができます、人気的にも商売的にも。

上に続いて、富野監督の返答
20:10
 ガンダムでではなくて、ぼくのもう一つの作品、イデオンの、イデオンという作品のなかで、1カット、子どもの首が飛び散るカットがあります。

20:31
 おそらくその1カットのために、大人社会はイデオンという作品を隠蔽しようというふうに思っています。

20:51
 ただ僕は、あの、未だにそのカットを外せないのは、そういう嘘を付きたくないからです。

21:07
(小さな声で)あの、一般論的にたとえば、津堅さんに…

津堅信之氏の説明
21:17
 主に日本のアニメーションの歴史を研究している津堅といいます。

21:34
 私はここ数年、スイスは初めて来ましたが、ヨーロッパかアメリカのいろいろな国を訪れて、アニメーションに関する講演をしてきました。

22:05
 で、その際に、やはり多くのオーディエンスから多くの質問を受けるのが、日本のアニメの表現の制限についてです。

22:27
 つまり、今富野監督から話したように、戦争での表現の内容、そういったものに対して、日本のテレビの作品は、制限がゆるいのではないかと、子どもに見せるべきではないんじゃないかと、という質問を、時々受けます。

23:10
 で、そのときに、ぼくがどう答えるのかというのは、まあ、実は今富野監督が仰ったことと、ほぼ同じです。えー、最低限の配慮、制限が必要だと思うが、それ以外については、物語、ストーリーの流れ、テーマ、そういったことに対して大切しなければならないというふうに考えています。

23:59
 たとえば、あのー……いわゆるセクシャリティ、セックスの表現の多い作品は、えー、深夜に放映するといったような配慮は、現在の日本でも、えー、されることはあります。

24:27
 でも、物語の上で、登場人物がどういう人間なのか、もしくは人間、人類が存在するのにはどういう意味があるのか、といったような根本的な部分に関しては、日本のアニメは、アニメ制作者は、とても表現の仕方を大切にします。

25:09
 で、そういった、制作者、監督がたくさんいて、これまで作品を作ってきたからこそ、今日本ではアニメの人気は続いていて、そして外国でも注目されてきたのではないかというふうに考えています。

 かつて、ご自分のサイトで「日本のアニメの系譜から考えると、宮崎駿や押井守らよりも、はるかに重要な監督であり、今後の研究の展開に期待したい」という認識まで持ってくれました津堅氏ですから、てっきりアニメ史の視点から見る富野作品と演出の意味と影響から話してくれると思いましたが、まさか結構一般論的なものでしか語らず、正直、ちょっと失望しましたが、それでも言うことはまったく正しいと思います。
 技術的でいえば、日本に近づいてる、もしくは日本を越えているアニメ制作は、世界中は少ながらずいますが、それでも表現的に日本アニメ(もちろん、一口日本アニメってのも可笑しいが)みたい、ここまで人間の意志を迫ろうとするのは、ほとんどいないと思います。殊に富野作品では、それをたっぷりと見させてもらった、というのが外国人である私の意見なんです。

25:56-27:19 次の質問(さっきの質問と同じ人)
27:20 通訳
 えー、実は、三つの質問がありますけれども…。
 えっと、えっと、主に、富野監督への質問ですが、一つは、えっと、富野監督が、まあ、このとても乱暴な世界のアニメだと言われているんですけど、えー、よくいわれるんですが、あの、皆殺しの富野(富野:はい。)というふうな話なんですね。その、それは、そういうふうなことに関して、いかがなことに反応しますか。それはおひとつ。
 そしてもう一つ、あの、ガンダムシリーズのなかで、あの、一つの登場人物に、特別な関係を感じることがあったのですか。あの、その、ガンダムを考えれば、あ、やっぱりガンダムはこれだ、この人だ、この登場人物だというふうに、と。それは二番目ですね。
 そして三番目、えっと、えー、もちろん最初は富野監督によってガンダムは非常にこう、あの、発達したんですけど、今はたとえばいろいろなあの、サイドシリーズとかスピンオフとかいうのが、いっぱいありますけれども、それで、あの、そういうことに関して、富野監督はいかが思われますか。
(二つ目に関して富野はよく理解してないらしく、通訳に再びチェック)

富野監督の返答
29:04
 えっと、みな、皆殺しの富野といわれているあだ名については、えー、基本的は、イデオンという作品で、地球人ともう一つ地球人レベルの、つまり星の人類、二つの知的生物を皆殺ししました。そのことが一番、あの、大きな原因になってると思います。

29:58
 えっと、それともう一つは、えっと、巨大ロボットを活躍させるために、どうしても戦いという状況になってしまいますので、どうしても死者が出ます。で、その死者を描くということについて、これは物語上必要である、ということで、その部分の描写を、うーん、それなりに、子どもが見て我慢できるレベルという配慮をしつつも、ともかく間違いなくその部分を描く努力もしました。

31:08
 ですから、えっと、イデオン以前から、皆殺しの富野というあだ名は、あの、付いてはいました。

31:27
 ただ、なぜそういうシーン、つまりショットを描くかというのは、物理的に暴力、物理的に武力を行使したときには、こういうになるという部分は、絶対嘘を付きたくなかったからです。

31:58
 ですから、最近の、うーん、SFの大作によく見かけられるんですが、一度死んだかもしれないという人が平気に生き返ってるというようなストーリーは、極めてその、マンガチックなものだというふうに、ぼくは今でも感じています。

 実を言いと、近年の日本では死語になりつつある「皆殺しの富野」ですが、まさかこの呼称は富野監督の口から聞けるなんて、思いもしませんでした。正直、最近の作品を見てたなら、もう皆殺しの富野などを思わないはずですけど、今回『ガンダム』と『イデオン』が映画祭で放映されることだけあって、インパクトもさぞ強かったんだろうな。

上に続いて、富野監督の返答
32:41
 ですから、皆殺しの富野というあだ名を思ってる僕なのですが、実は、ある時には、故意に殺人を犯すという物語を、作りたいと思ったことがあります。あの、何度かあります。

33:14
 どころが、そのような物語は、この40年間、一度も作ることができませんでした。

33:25
 なぜならば、殺人ということを本気に考えたときに、狂ったとき以外には、殺人は発生しえないんじゃないかっていうのが、僕の心理です。

33:49
 ですから、僕は実をいいますと、ミステリ、ミステリ小説というのは、一切読めません。

34:07
 なぜならば、病人の物語ではないのかというふうに、どうしても思ってしまうからです。

34:24
 戦場が怖いのは、まともな人が、数人、数十人の人を殺してしまうという状況です。それは、見過ごすことができないことですから、戦場を描くときに、血の見ないという戦場があるならば、見せてほしい。

 衝撃的宣言である。富野はかつて殺人の物語を考えたことがあります。
 …おそらく一番可能性が高かった時期ってのが、94年から98年の間、いわゆる富野監督の精神が一番ダウンしてたところの話なんですが、あの時は本人の話によりますと妄想じみのことをしょっちゅう考えていましたから、おそらくこれもその一環だったかもしれません。富野の妄想については、『ターンエーの癒し』か『絶望に効くクスリ』第5巻を参照。

上に続いて、富野監督の返答
34:58
 その上で、イデオンの話を一つだけさせてください。

35:13
 我々人類と同じような知的生命体がいるもう一つの惑星と地球、二つの知的生命体を皆殺しにしました。それがイデオンという物語です。

35:39
 そのようなエンディングしか思いつかなかったのは、ぼくに作家性がないからだということで、創作力なかったということを自分でも認めざるをえない物語になってしまったということで、現在ただいままでかなり深い敗北感があります。そういう物語です。

36:21
 なぜなら、全部死んでしまえば、もっともらしい作品に見えるからです。
(通訳が分からないらしいので、富野はもう一度説明。「もっともらしいというのは、ストーリーがあったような、内容があったような作品に見えるからです」)

(何故か意地悪っぽく通訳を見つめる富野)

 あ~またこれか。わざと自分を卑下するような言い方はいい加減聞き飽きたよ。正直ちょっとイラっとするよ、時々は。

上に続いて、富野監督の返答
36:56
 そのこと、別の言い方をします。病人だったら、イデオンみたいな物語を作るんだろうということです。

37:17
 ですから、それ以後、どのような悲惨な戦争状況があったにしても、来年はある、再来年はある、千年後はある、という物語を作る努力を、この20年間続けてきましたが、まだ具体的な作品なっていないのが、とても悔しいことです。

 別に作った本人のあなたが認めなくても、見てる人はちゃんと認識してますよ。生きる意志、生きる辛さ、生きる喜び、これらすべては富野作品が描き続けてきたものですから、「それでも、生きる」というテーマは、ちゃんと受け取ってたんですよ。皆さん、そうでしょ?

上に続いて、富野監督の返答
38:12
 えっと、二番目の質問に答えます。

38:20
 作者の立場で言いますと、特別に惹かれているキャラクターというか人物ってのがありません。

38:34
 なぜならば全体的に人物関係が俯瞰できるという目をもたなければ、作家として…作者としての神の目を持てないからです。

 これも富野がよく口にしてた話なんですよね。自分の予想では、おそらく高畑勲監督から学んだものだと考えていますが、きちんとした検証は一度もしていなかったからうかつには言えませんけれど。

上に続いて、富野監督の返答
39:02
 三番目の質問に答えします。サイドストーリーであろうが、スピンオフのストーリーであろうが、パラレルの物語であろうが、自分作ったものでない作品は、他人の作った作品ですから、僕には関係がありません!

39:27-40:11
一番目の返答のイデオン話を反応してるか、細い司会はたぶんイデオンの最後について問うらしい。
40:15 通訳
 しかし、あの、イデオンに、また、あの、戻りますけど、最後のカットなんですが、最後の虐殺はあるんですけれども、そのあともありますね。だから、その、スターダストみたいなものが…(富野:あの、)、なんなんでしょうか。

富野監督の返答
40:34
 あの、イデオンは、皆殺しのあとに、少しは希望が満ちた絵があるだろうと言いますが、あれは……スペースオデッセイのマネですから、ぼくの創作ではありません。

41:10
(仕方ない様子で肩をすくめる富野)
 あ、あの、今の答えでダメですか。
(富野、ちょっと申し訳ない様子)

 誤解を招きかねない言い方ですので、申し訳ないですけど、ここで弁明させていただきたい。イデオンの最後に関してですが、あれはスペースオデッセイのマネではありません。今となって、もうスタンリー・キューブリックの名作『2001年宇宙の旅』を見たことない方もいるでしょうけれども、これについては、二つの部分から語らなければいけません。一つ目は、絵。つまり、画面。そして二つ目は、その絵並びによって表現された意趣。

 これが『2001年宇宙の旅』のエンディングです。

 ご覧の通り、宇宙に浮かぶ地球のとなりに、赤ちゃんがいます(こんな下手な言い方すみません>_<)。一歩、『イデオン』は死んだ人々たちがそれぞれ生前の拘りをさも捨てたように、お互いに話し合い、じゃれ合いする。そしてみんながメシアの導きの元に、また別のところに飛んで、転生するという話。こうして見ると、絵が共通してる点でいえば、宇宙と赤ちゃんくらいだった。しかも表現方はまったく違います。

 絵が違うんだから、当然、その表現された意趣も違います。『2001年宇宙の旅』は人類が神秘的な力によって、進化してスターチャイルドという新人類になり、やがて神という存在にも近づくだろうという話なんですが、『イデオン』の劇中ではイデという神的な意識が存在してるだけれども、結局人間の意識の集合体みたいなものに過ぎず、劇中の人物は巨大な力に翻弄されながらも、決して運命に屈しない。そして最後は神的な存在もなく、人々はただもう一つの「生」を求めて、別の地球に行くという終わり方。こうして見れば、『イデオン』の意趣はやはり『2001年宇宙の旅』とかなり違います。

 当然、『2001年宇宙の旅』はSF映画のなかでは一番富野に影響を与えた作品だということは、否定しません。『スターチャイルド』という名詞は劇中こそ使わなかったものの、『ガンダムⅠ』のテーマソングのカップリングのタイトルに使ったんですし、ニュータイプが含めている進化する意味も、そこから取ったものです(もちろん、そのような旧人類淘汰的な意味を使わなかった)。
 そして一番有名のあの「地球―月―太陽」の構図は、富野はほとんど変えもせずに、そのまま借りちゃって、『ガンダム』や『Zガンダム』などに使ってた。もちろん、富野は絵として引用に過ぎず、劇中で作品なりの意味を与える演出をしているが、それでも富野への影響力の大きさが伺えます。
 
 しかし、もう一度言いますが、『イデオン』に関しては、『2001年宇宙の旅』的なものはほとんど含まれてません。ですから、はっきりいって、富野の言葉であろうと、信じないほうがいいです。上の富野監督の話し方を見てのとおり、富野はこれらの引用について負い目というかコンプレックスを持ってるんでしょうけど、少なく自分から見れば、影響はあるんけれども、そんなに引きずってないと思います。

41:29-42:16 質問(別の中年)
ダイターン3とかダンバインとかバイストンウェルなんとか。
☆ただし、通訳さんはダンバインとバイストンウェルが漏れてる!
42:17 通訳
 えっと…このごろ、よく監督の、まあ、最近監督たちが、えっと、ご自分が70年代、80年代に作ったアニメにまた戻るような、あるいはクセがあるなんですけれども、あの、えっと、ガンダム以外のシリーズでも、たとえばダイターン3とかいうのなかでは、たくさんの、あの、不明なポイント、まだはっきりとしてないポイントが、いっぱいありますね。たとえばメガボーグはどこから来たとか、どういうものかという…あの、そういうことに関しては、えっと、監督の……あの、お向きとしてはね、またそのような物語に戻ってですね、(富野、大きく頭を振る)その、またこう、続きたいということですか。それともまた戻りたくないということですか。

 ここの通訳はさすがに読むにも耐えませんので、自分なりで推測します。質問の意味はおそらく近年の70年代回帰風潮(たとえばグランガランとか)、リメイクラッシュ(07年のREIDEENやガイキングとか)、シリーズ作(ボトムズとか)、新訳(汗)を言ってると思われます。

富野監督の返答
43:14
 えっと、作品世界というものを、一人の作家が描けるような世界は、とても小さい世界だと思っています。

43:36
 世界というのは、1億人の人がいるかもしれない、1億の種類の生物がいるかもしれない
それを主宰(注:確定できない)する自然がいるかもしれない。それを、全部を自分の、あ、一人の作家のプランに閉じ込められるような作品というのが、たかが知れてます。(おそらく通訳が通訳できないと気づいて)あ、とても小さい世界です。

44:20
 むしろ、作り手がわからないことがはっきりできる世界が作れたときに…のほうが、おそらく作品が大きくなると思います。

44:44
 つまり、えっと、ガンダムというタイトルが、これだけ長く続いてるのは、ぼく以外の人々も、作りうるスペースがいっぱいあったからで(津堅氏頷く)、そういうスペースを残した作り方をしていたために、今日(こんにち)までの…なんていうのかな、人気はあるのではないかなというふうに思っています。

45:29
 ですから、さきほど自分以外の作家が作ったガンダムを自分が関係ないと言ったのは、ガンダムの世界であっても、やっぱり広い世界になっていますので、そのすべてを監督したり、すべてを興味を持つ、えー、余裕が僕のなかには無いから、関係がないというふうに言っています。

46:06
 ですから、そういう意味で、フィクションの世界であっても、継続するフィクショナルな世界が、現在、やっぱり存在しているらしい!ということであれば、もうその存在については、一作家の立場とか一個人の立場で、それを関与することもできなければ、支配することもできないから、無関係で、あら…ありえ…無関係でな…無関係になってしまうんです。

 これは、かつてZガンダム小説の後書きで話したことに通じてますね。作家の手から一旦離れたら、もうそれが独立したものですから。この話もまったく新しくないですけど、富野のスタンスを再確認ができて、嬉しかったんです。




 とりあえず前編はここまでです。後半戦はまた別の日で。


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