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富野由悠季作品の貴族観

2009/06/14 01:01|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野由悠季作品の貴族観
 最近、ひびのたわごと子犬さんが幻の富野由悠季小説『シーマ・シーマ』を読んでいる。

シーマ・シーマ前編読了
シーマ・シーマ中篇読了

 感想文のため、ネタバレになる内容もありますから、自力で内容を知りたい方はリンク先に行くのがオススメしませんけど、中篇の感想に関する記事では、子犬さんはこう言いました。

それにしても読んでいて思うのが、
「ガイア・ギア」…というかこの時期の他作品との共通性。
「シーマ・シーマ」は89年の発行なのだが、
同時期に発表している「ガイア・ギア」「F91」などとモチーフが似通っている。
自らの身分を知らずに暮らしていた高貴な生まれの主人公が、
ある日突然出自を知らされ権力闘争に巻き込まれるという、
貴種流離譚にも似たストーリーは、アフランシにもセシリーにも当てはまる。

 ときめくお発想です。なぜなら自分もまったく同じ考えを抱いています。


富野由悠季作品系譜Ver.0.1

 このリストはあくまでテスト版ですから、将来はもっと真剣に一度見直すつもりですが、ここの23、つまり「ガイア・ギア → シーマ・シーマ」のところに

23:決められた宿命などアイデアの継承

と、決められた宿命と書いてありますが、もっと分かりやすく言うと、ズバリ皆F91でおなじみの「ノブレス・オブリージュ」という要素です。前まとめたとき、ただアイデアというレベルなものだと思っていましたが、よくよく考えて見ますと、たぶんもっと大きなものかもしれません。

 『ガイア・ギア』も『シーマ・シーマ』もひょっとしたら読んだことある人が少ないかもしれませんけど、一応補足しますと、『ガイア・ギア』の主人公アフランシ・シャアは地球の島育ちの青年で、いままで何一つ不自由ない生活を送ってきましたが、ある日自分のなかにある声の呼応が聞こえるようになる以来、だんだん自分の使命を探すために動き出して、つい宇宙に目指すこととなる。意訳ですが、だいたいそんな感じの話です。
 一方、『シーマ・シーマ』の主人公ケンサは砂漠の民として育てられ、自分の記憶のなかの遠い風景や生活方式に戸惑いつつも、妹と弟(富野作品珍しく弟キャラが!)と養母4人で過ごした。しかしケンサが17歳の誕生日を迎えた日には、突然謎のフライング・ソーサーが彼らを襲撃し、養母を殺した。ケンサは自分の本当の身分を探すため、妹と弟を連れ出して、砂漠へ放浪の旅に出る。
 お分かりいただけるでしょうか? この二つの作品が共通しているところは、ズバリ主人公が高貴の出であること。「金髪白人」という要素も入れると、どうしても偶然とは思えず、意図的にこのコンセプトを引き続けさせるとしか言えません。
 そして、もし子犬さんが言及した『F91』も入れますと、一連の系譜ができたわけです。『ガイア・ギア』から始まって『シーマ・シーマ』に経って、『F91』で一旦落ち着く。「小説でアイデアを提出っして一旦練った後、アニメで使う」という自分の仮説にも通じてます。
富野由悠季作品の系譜における『アベニールをさがして』の地位(その2 アイデア集合体としての『アベニール』)
ガイア・ギア1巻読破と感想
富野由悠季作品系譜Ver.0.1


 とはいえ、正直自分も最初はこの「ノブレス・オブリージュ」の系譜を思いついたものの、『F91』をこの系譜に属してることとは思いません。なぜなら『F91』の「ノブレス・オブリージュ」という概念は敵側の主張で、味方としてこの概念を体現するのは主人公のシーブックじゃなくて、ヒロインのセシリー・フェアチャイルドだからです。「じゃあ、違うよな」と思いましたからです。
 しかし、よく考えてみれば、上のアイデア仮説と富野の作劇法から見れば、むしろごく自然な帰結でしかありません。

 これを気付かされたのは、子犬さんがあちらのコメント欄で残したこの部分です。

貴族的なものへの憧れは80年代末~90年代初めにかけての富野の考え方というか、
物語論のパターンみたいなものでしょうかね?
F91あたりからは少し変化が見られ、「土に帰る」=庶民のしたたかさみたいな部分が現れ始めるのですが。

 と、『F91』の前でもすでにこのようなニュアンスを出してるものの、このように「庶民のしたたかさ」を本当の意味の表テーマとして前面に出すのは、この『F91』からのことです。そして、この庶民の尊さは、のちほぼいわゆる「白富野」と呼ばれている『ブレンパワード』以降一連の作品の共通点となるわけです。

 じゃあ、なぜ『F91』ではじめて庶民の尊さを強調するような形になったというと、それはほかでもなく、「ノブレス・オブリージュ」を挙げた貴族主義が魅力的すぎるからです。まさに富野の好みに似合ういすぎるために、それを対抗するために、このようなテーマを持ち出したのです。

 人として行う道もそうですが、富野監督は物語と、物語が持つ主張の独りよがりを避けるため、必ず絶えず両方の理念を置いているんです。戦争し続ける連邦・ジオンに対してニュータイプを出す。人のエゴを裁くイデに対して人の愛すべき生への執着を描く。シロッコ・ハマーンに対してカミーユを出す。隕石落としのシャアに対してアムロが主張などなど。このように、両方が絶えず主張をもって行動するのは、富野作品の一番魅力的なところで、カタルシスを宿るところでもある。こういう構造ができてるから、富野作品は深さが出来ている。
 この構造、『F91』においてもまったく同じです。「高貴な人が高貴な義務を負う」という貴族主義は、歴史のなかで長年実在してた概念ですし、混乱な世間を知れば、そのような主張が魅力的に見えるのは無理もないことです。
 しかし同時に、我々もそのような独善の危険性と矛盾を知っている。だからこそ、この人を魅了する主張と戦わなければいけません。

 とにかく、そう考えますと、庶民の尊さってのは、まさに貴族主義という魅力的な思想への対抗(カウンター)として表しているものです。もちろん、個人ひとりひとりへの回帰は『F91』以前すでに提示したものけどだが、『F91』は明確にシーブックとセシリーのカップルによって表面化するのは、まさに正反対両方を同時に両立するためからです(ちなみに、この両立する手法はアニメのなかで富野以外、出来ている人は非常に少ない)。
 ですから、「ノブレス・オブリージュ」は『ガイア・ギア』から始まって、『シーマ・シーマ』へ経って、『F91』で一旦落ち着く形となりました。


 しかし、だからといって、富野はどうやら「ノブレス・オブリージュ」を完全に捨てたわけでもありません。ややマイルドな形となりましたが、やはり一種の理想としてさまざまなキャラに残っている。
 『∀ガンダム』の月の女王ディアナ・ソレル。ディアナ様こそ富野の永遠の憧れですが、この方の気品の高さと信念の潔さと姿形の美しさは、まさにこの「ノブレス・オブリージュ」の体現です(実際、女王ですし)。
 それから、『キングゲイナー』の小公女アナ・メダイユ。アナ姫も子ども天真な一面を持ちながら、ちゃんと「ノブレス・オブリージュ」を体現するものです。さらに、ゲインさんのことも一緒に考えますと、「下層な大衆とともにする高貴な者が強い」という構図もここで浮かび上がったのです。
(余談ですが、アナっていう名前は実にセイラさんと同じテレビコードに引っかかるネーミングですよね。最初の名前が出来すぎて嫌なところを含めて)
 セシリーの物語はまた始まってるばかりなので、どうなるのかが分かりませんけど、それでもディアナ様とアナ姫の先駆けであることは間違いないだろう。


 ちなみに、同じ時期である『閃光のハサウェイ』はなぜこの貴族論を使わなかったというと、可能性はいろいろあるかもしませんけど、一番分かりやすい理由を挙げますと、ものすごく簡単な話でしかありません。なぜなら『閃光のハサウェイ』は『逆襲のシャア』の続編ですから。同期の作品だからといって、このような構図が明確に出てきますから:


貴族要素――――――――――――――――――――――――――――――→
『ガイア・ギア』 『シーマ・シーマ』 『F91』     『∀ガンダム』 『キングゲイナー』

『ハイストリーマー』 『閃光のハサウェイ』
ガンダム的続編―――――――――→

ですから、『閃光のハサウェイ』は貴族論の系譜に属していません。


おまけ:この時期の富野小説の出版時期

ガイア・ギア〈1〉 1988/08
ガイア・ギア〈2〉 1989/08
ガイア・ギア〈3〉 1990/08
ガイア・ギア〈4〉 1992/01
ガイア・ギア〈5〉 1992/03

シーマ・シーマ〈前篇〉疾風の果てに 1988/12
シーマ・シーマ〈中篇〉修羅に昇る 1989/05
シーマ・シーマ〈後篇〉血族を払う 1989/09

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〈上〉 1989/02
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〈中〉 1990/03
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〈下〉 1990/04

機動戦士ガンダムF91―クロスボーン・バンガード〈上〉 1991/01
機動戦士ガンダムF91―クロスボーン・バンガード〈下〉 1991/02

富野著書 - だからtominoは・・・




 それにしても、『シーマ・シーマ』のサブタイトルは一々カッコイイとは思いません? 「疾風の果てに」とか、「修羅に昇る」とか、「血族を払う」とか、本当この人のネーミングセンスが良いよ。

コメント
ノーブレス・オブリージュの帰結した先が、
ディアナ様やアナ姫様というご指摘はとてもよく分かるし腑に落ちますね。
いわゆる「姫様」キャラは今までも登場してましたが、
親しみやすさと威厳を兼ね備えた理想的な形といえばその二人、
特にディアナさまですよね。

その点リュクスは従前の「姫様」キャラに近かったような。
子犬 #HL3aOXhs|2009/06/14(日) 07:56 [ 編集 ]
リュクスは時間がないだけ…かもしれませんけど、まあリュクスは確かどこか昔のお姫様キャラみたいな甘さを持っていますよね。

ブレン以降のノーブレス・オブリージュは完成型を挙げるとすると、間違いなくディアナ様やアナ姫ですね。特にディアナ様のあの愛しさはもはや反則レベルですよね(笑)。
(もっとも、個人不純な趣味でいえばディアナ様よりアナ姫様ですが…w)
kaito2198 #L2WcHO2o|2009/06/14(日) 11:41 [ 編集 ]
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