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富野由悠季作品の系譜における『アベニールをさがして』の地位(その2 アイデア集合体としての『アベニール』)

2009/02/03 23:01|富野由悠季関連TRACKBACK:1COMMENT:4
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■富野由悠季作品の系譜における『アベニールをさがして』の地位(その1 『∀ガンダム』との関係)

 ガンダムエース2009年3月号ようやく買った。トミノの出来方のショボさは詐欺レベル。安彦のオリジンのキモさとつまらなさは異常。と、そんなのどうでもいいとして、今日は『アベニールをさがして』について語る2回目です。



 前回は『アベニール』における一番重要な「交流」という点を話していましたから、今日は別の側面から話したいと思います。
 ある日突然思いついた表現ですが、富野小説が富野由悠季監督の作品作りにおいては、実はかなり富野作品におけるバイストン・ウェル世界に似ています。どういうことかというと、バイストン・ウェルシリーズはガンダムシリーズと違って、ある意味現実と夢の間に浮遊しているものです。作者の富野がバイストン・ウェルを魂の修業場と見なし、人びとはその狭間で己の心境を鍛えると語っています。一方、逆に近年富野がバイストン・ウェルシリーズの失敗原因として、「恣意的に書きすぎた」と挙げています。そこで、バイストン・ウェルを富野小説と言い換えると、実はとんでもなく嵌ってることが見えます。
 つまり、富野小説は富野作品における魂=アイデアの修業場という発想です。この作品に限らず、富野のオリジナルタイトル小説は、全部一つ大きなアイデアを作り上げてから、その世界観と物語を展開するという作り方を取っています。アイデアは、物語の核となるもの。ほかの部分は身体にすると、アイデアが物語の魂となる。ですから、そのアイデアを出す場所、アイデアを練る場所=小説というメディアが、富野作品全体においては、その魂=アイデアを集める役割として座っている。実際、富野小説を一冊でも読めば分かると思いますが、富野小説のアイデアの詰め込む具合は、実はアニメ以上といえます。そして、『アベニール』でも見られる傾向ですが、一度小説で出るアイデアや方法論は、たいてい後の作品作りに反応することが、富野作品のなかには、明確あります。そういう意味では、富野由悠季の作品作りにおける富野小説は、実は無駄が一つもありませんといえます。
 しかし、逆に入れたものが多すぎて、消化しきれなかったを原因に、作品を押しつぶした感じも、富野アニメに比べて、富野小説にはかなりあります。おそらくひびのたわごとの子犬さんが言ってたことですが、富野小説は竜頭蛇尾になることが多い。別の角度から検討すればそうではないという言い方もできますが、事実、富野アニメと比べて、富野小説のほうの完成度が低いといわざるを得ません。それが何故かというと、やはりその「恣意的に書きすぎた」という反省が出てきます。だから、かなりわけ分からん表現ではありますが、自分のなかでは、富野小説は富野作品のバイストン・ウェルに似ています。


 この考え方を踏まえて、導き出してるのは、この『アベニール』の2番目の特徴:アイデアとしての『アベニール』である。この作品を一番支配している3つの設定とは、
 ①嫌気性微生物を利用した環境全般(海洋も大気も)を改良した技術である有用微生物群、すなわちエフェクティブ・ミクロ・オーガニズム、略称EMOというものと、EMOが確立したことによって世界の経済を維持できるようになったことを背景して、
 ②太陽系が北天に移動しているために、地球に接近しているアルタミラ流星群から流れ出る小惑星を撃破するため、国連主導によって可決、承認される国際的な巨大プロジェクト、流星雨撃破作戦、すなわちスターバスター・プロジェクトの存在。さらに、このプロジェクトによっての技術面と経済面の波及効果も次第に認められ、スペースコロニーの建設もついに始まってるという。そして最後は
 ③万物に重さを与えているヒッグス粒子より微小な素粒子インティパの発見である。そのインティパの振動する性格は、場そのものが粒子の集積体であることの証明になり、万物を生み育てた究極物質で、この発見によって現実社会にも影響を与え始めていて、そのもっともたる例はインティパを利用できるようになるかもしれないインスパイアー・エンジンというものである
 (ここで注目してほしいのは、劇中それらの成立する順は①→②→③ですが、思考順は②→①→③ということです。これらはかなり重要なこと。)
 ここでの③、つまりインティパとインスパイアー・エンジンは実際『アベニールをさがして』という作品が展開してゆくアイデアですが、①のEMOは全名「エフェクティブ・ミクロ・オーガニズム」の通り、後の『ブレンパワード』のアイデアの一部となった部分が伺えます。『アベニール』は物語の展開の上で、長く地球を舞台にすることはなかったため、EMOを大前提として作品のなかに置いている以外、つい語ることはなかったが、このオーガニック的な何かを全面的前に打ち出してる『ブレンパワード』は、そのアイデアと連動してるから、ごく自然に舞台を地球と設定したといえます。また、インティパ効果によってメカに通して他人を感じてくれるようになる部分(NT式という純然たる意識ではあらず、暖かさとか温もりというあらかじめ他人のある意味偏見ともいうべきものを混じる意識)も、『ブレンパワード』では発揮しています。


 で、②のスターバスター・プロジェクトですが、これがまた奇妙なものである。何故かというと、『アベニールをさがして』この作品自体、舞台といい設定といい、どことなくあのユニバーサル・センチュリーの黎明を匂わせる部分が、ちらちらと見えます。電波を遮断するミノフスキー粒子はもちろん、スペースコロニーの建造、フォン・ブラウン・ビリッジとか、実際既有なガンダム世界とかけ離れてるとしても、その固有名詞の使い方にどうしても気になれずにいられません。ですから、実際の世界観は共通しなくても、作者の富野の中には、なんらかの関連性があると見るべきであろう。で、その関連性を読み解くのに、ガンダムシリーズの入り口を探す必要があります。
 前はガンダムシリーズの序について書いたこともありますが、それらは以下となります。

■宇宙世紀語り――『ガンダム』と『Zガンダム』の場合
■宇宙世紀語り――『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』の場合
■宇宙世紀語り――『F91』の場合
■宇宙世紀語り――『Vガンダム』の場合
■宇宙世紀語り――すべての『ガンダム』に捧げる

 実際読んで頂けると分かると思いますが、各自はそれぞれブレがあるにしても、基本的は人の闘争とか本能とかについての話です。が、すべての起因はどこからかというと、それは、最初の『ガンダム』の第一話のナレーションから探さなければなりません。

人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。宇宙世紀0079、地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。この一ヶ月あまりの戦いでジオン公国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた。人々はみずからの行為に恐怖した。戦争は膠着状態に入り、八ヶ月あまりが過ぎた。

 そう。この宇宙世紀の闘争史は、すべて「人口」から起こしたものなんです(全て、とはちょっと武断ですが、基本的は一番重要な原因だと間違ってないだろう)。この人口問題を宇宙まで引きずってる部分こそ宇宙世紀を背景とした作品(あるいはガンダムをジャンルとした作品)の一番の縛りであり、SFでありながら、現実と繋がる成功した鍵だといえます(逆にいうと、これをテーマしないものは、基本的、ガンダムとはい、え、ま、せ、ん)。人口の延長線にいた、さまざまな問題が、『ガンダム』となり、『Z』となり、『逆シャア』『F91』『V』ともなった(また『ZZ』をシカトかよ!という人はご勘弁ください)。
 ところが、『アベニール』は違います。『アベニール』の世界では、人口の過多による問題が起ってません。劇中の実際人口数とかは語られていませんけど、基本的はそれを動機にせずスペースコロニーを作り、むしろ余裕をもってる状況から宇宙開発事業を始めたのである。これが、舞台となる宇宙に新しい開放感を与えます。「宇宙には可能性がある」という、徹底的にUC世界とは違う方向性を持ち込んだのだ。宇宙世紀は『Z』以後が「終わりのないディフェンス」状態であれば、『アベニール』はその可能性について皆が手探す状態にいる物語。ということは、この『アベニール』が、UCからさらに一歩に進化する位置にいるとはいえるかもしれません。


 また、前項の話したUCとの関連を別の発想から見れば、この『アベニールをさがして』をUCからのリセットというか整理と見なすことも可能です。この視点のヒントになったのは、富野小説搾り出し(仮題)の上原マリ男さんがガイア・ギアについての指摘です。
 この優れた記事に対して、自分が■富野小説搾り出し(仮題)を読む その6では、『アベニール』についてこういう話を残した。

 ガイアギアの権力構造は逆シャアまでの総決算:上原さんはさらにこの作品の成因を「おそらく制作的に、商業的に、作家的に思い通りというわけにはいかなかったガンダムワールドを整理したかったんだと思います。」としています。
 総決算については、まったく同感です(読んだことありませんが)。そういう意味では、ひょっとしたら『アベニールをさがして』もそう言えるかもしれません。設定の使い方も、やり直しの方法論も、じつをいうとかなり近いなんじゃないのと、未読ながら勝手に推測します。さらに、「ガンダムワールドを整理したかった」という点についても、『アベニール』もそんな部分が感じられます。
 じゃあ、『アベニール』と『ガイアギア』はどこに違うのかというと、『ガイア・ギア』はガンダムシリーズの総決算ですが、『アベニール』は総決算をしたうえ、さらにその上に行くという。つまり、否定と肯定が同時に行うこと。方法論としては『∀ガンダム』と極めて近いから、『V』以前と『∀』群のミッシングリングを解く鍵だと言えます。

 今読み返したら、『ガイア・ギア』は収束する物語に対して、『アベニール』は基本的開放な物語といえます(設定としてはやはり収束している)。実際、この世界観はおそらくこの一作限りですが、ガンダム以外のSFを一から作ったのではなく、いくつかのアイデアをもらいつつ、見事に新しいSF話を作り上げたことが、『アベニール』が優れるところでもあります。


 まだまだ『アベニールをさがして』について語りきれませんけど、また長く書いちゃったので、明日も書きます。それと、元々この記事を終わる後に『アベニール』の問題点について書くつもりですが、どうやら囚人022の避難所の囚人022さんはまだお読みになりませんので、先延ばしをすることを決定しました。まあ、そんなの待ってる人はどこにもいないと思うし。


 そうだ。この話のタイトルをどう付けるのに、非常に困ってます。誰かアドバイスしてください。


コメント
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#|2009/02/04(水) 01:13 [ 編集 ]
おお、富野勉強家!
kaito2198 #L2WcHO2o|2009/02/05(木) 00:02 [ 編集 ]
はじめまして。初めてコメントさせていただきます。
感覚的にしか言えなくて申し訳ないのですが、記事を読ませていただいて『アベニールをさがして』という作品が作中での『アベニール』という存在と微妙に重なるようなイメージがありました。
ですから「『アベニールをさがして』をさがして」なんていうのはどうでしょうか。
こけもも #-|2009/02/10(火) 22:26 [ 編集 ]
こけももさん、はじめまして、コメントをくださってありがとうございます。こんなブログに来てくださって、誠に光栄です。どうかこれからもよろしくお願いします。

「『アベニールをさがして』をさがして」はいいですね、ありがたく頂きました。この『アベニール』について、実はまだ書ききっていないのですから、次回でそれで行きます。ありがとうございます。
kaito2198 #L2WcHO2o|2009/02/11(水) 00:15 [ 編集 ]
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 1995~1996年に富野御大将がお書きになった小説らしいです。アニメ作品のノベライズではなく、全くのオリジナルストーリー。それゆえファンの...
囚人022の避難所 2009/02/10(火) 01:36
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