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宇宙世紀語り――『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』の場合

2008/12/14 00:08|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 宇宙世紀語り――『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』の場合
 最近の富野ファンサイト界は、囚人022の避難所の囚人022さんの一連の豊かな読後感のおかげで、すっかりプチ「バイストン・ウェル」ブームに陥っていました。


 『ファウ・ファウ物語(リ・ストリー)』 これは富野由悠季の重要な小説です!

 富野由悠季が作中で描いた『Hotel California』

 富野由悠季の「物語」再考・・・『ファウ・ファウ物語』「あとがき」から


 これらの記事は、自分が今まで曖昧としか持ってなかった考えを、より具体的で強固な言葉にしてくれるだけでなく、富野ワールド以外の様々な視点や思考も入れて、本当に色々タメになりました。皆さんもぜひ一通り読んでください。

 これに触発されて、ここで富野のもう一つ得意なジャンル、つまり「ガンダム」シリーズについて見たいと思います。ガンダムと聞いて、顰蹙を買うかもしれませんが、ここで見るのは設定とか話とかのじゃなくて、もっと広い何か、つまりバイストンウェルシリーズみたいな、もっと人が抱えてる普遍性とか、環境との関わり合い方とかについて、少し語りたいと思います。
 が、これは簡単なことではありません。何せ富野由悠季という作家がほぼ半生をかけて作り上げた一大サーガなんですから、そこに含んでいる要素やものが膨大に渡っており、読み解くのは、決して生易しいことではない。
 そこで、神の視点から攻めたいと思います。神、つまり超越的な存在。ガンダムシリーズにはそんなのあったっけ?という人もいるかもしれませんが、それに似てるものが、一つあります。それは、ナレーションです。一番有名なのはもちろん最初の『ガンダム』の「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた……」ですが、ほかにも色々面白い「語り」があります。今日は小説版の『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』から、その序を紹介したいと思います。



人類の大半が宇宙(そら)に住んで、一世紀近くになろうとしていた。
しかし、人類は、宇宙に水々しい姿を浮かべる地球の存在ゆえに、
まだ、安逸をむさぼる他者の存在を許していた。
その中で、一度は、敵同士として戦い、つぎに、味方となって戦った二人の男がいた。
彼等は、一人の女性に取り込まれた男たちだった。
刻が経ち、二人の男は、それぞれに、己れの意思にかられて宇宙(そら)に住んだ。
そして、三度、見えようとしていたが、それは、運命が二人をそのように導いたからではない。
二人の意思が、そのように働いていたからである。
しかし、それは、予定されていたことでもなかった。
二人の意思に、変化する事態のなかで、
次々に新しい局面に対処してゆけるフレキシブル性があったからだ。
一点にこどわり、一点の意思に縛られていては、
窒息していしまうという恐れが、そのような習性を身につけさせたのだろう。
しかし、人は、一個の肉体しか持たない存在である。
その身体の深奥に集積された記憶は、感情というものとない交ぜになって、
現在のあるべき彼等を縛っていた。
だからこそ、変化に対しての憧憬を抱いて、彼等は、刺激し合おうと欲望するのである。
もし、彼等は、彼等以外の刺激し合える他者に出会っていれば、
二人は、このように対峙することはなかったはずだ。
しかし、不幸にして、彼等は、その周囲に、新たなニュータイプを見つけることは、
できなかった。

                              富野由悠季

 これは1988年2月20日出版される『機動戦士 逆襲のシャア ブルトーチカ・チルドレン』の序ですが、ポジティブとネガティブが同時に存在してる人の心性について、遺憾なく発揮している名文です。宇宙世紀というバックグラウンドについて、あまり言及されていませんが、このような雰囲気は、間違いなくある時期のガンダムシリーズとガンダムワールドに存在してることは、お忘れなく、覚えてください。




 刻(とき)が忘却をくれるとは、誰が書いた言葉だろうか?
 それを言い出した人は、楽天家であったか、真実、絶望の恐ろしさを知っていた人たちだろう。そのどちらであろうとも、言葉というものは、多重性と曖昧さをもって、真実を伝えることはない、といえる。
 しかし、言葉を使って語ろうとするこの物語は、いくつもの時代で語られた物語でありながらも、なんどでも語りつぐ必要があるとおもえる、
 人の世の悲しみ、人の世があるからこそ作り出してしまった哀切……。
 それが生まれる原因は、人の存在そのものであるという恐ろしいまでに、単純な構造をもって、我々にせまる。幸せでありたいと願いながら、幸せを取り逃がすかたちを作ってしまう人の間とは、悲しいものだ。
 それから解脱し、解放されるのはいつの日かと夢想するだけが、この物語りのなかに登場する人びとのできることであるとするならば、それは人の悲劇だ、と叫びたい衝動にかられる。
 刻は宇宙世紀(ユニバーサルセンチュリー)にいたり、人類は、幾度かの世代をかさねて、月軌道圏までを生活圏としている時代……。
 生活空間の拡大は、いったんは人類によって汚染された地球を、救済する道を拓いたかに信じられ、地球は再生しないまでも、その余命を伸びしつつある徴候をしめした。
 しかし、生活空間の拡大は、宇宙の広さに比べれば、劇的に矮小なものであるにもかかわらず、人類は、さらに卑小な種の内部にあって、階級闘争と種族闘争と地域闘争をやめてはいなかった。
 むしろ、生活空間を拡大しえたと錯覚した人類は、各層、各地域、各思想により部内対立を深めることに狂奔しているようにみえた。
 むろん、地球時代は、生活空間が限定されていたために、その末期には、人は、地球の危機的な逼塞状態をしって対立をやめ、内部分裂を共存するおだやかなフラストレーションの時代を体験していた。
 しかし、宇宙移民いご、人類は、圧殺されていた対立と闘争の本能を思い出したかのようだった。テリトリーの拡大が、新しい闘争の芽を内包していたと見るべきであろう。
 人は、宇宙に出て、その本能をよりのびやかに開化させたのかもしれない。
 歴史は、逆転したのである……。
 人は、かくも愚かななのだろうか?
 フラストレーションが頂点にたっすれば、対立相手を創造し、攻撃性を爆発させるテロリズムが発生するのは当然であるという倫理がある。
 それは不条理だと断定できるのだが、そんな言葉が、人類という種のフラストレーションを解消させることなどはない。
 言葉は、おおむね宇宙(そら)に拡散するのだから……

                              西暦一九八八年十一月五日
                                                著 者

 『逆シャア』のと比べて、極めてネガティブな序ですが、なんと富野の47歳の誕生日当日が書いたものである。こりゃ欝に入らないほうがおかしいですな。しかし、ここの見所は、やはり宇宙世紀の歴史そのものより、人類という生き物の性についての悲嘆のほうが遥かに強いっていうこと。これは富野ガンダムの一大特徴であり、ガンダムシリーズを貫くテーマでもある。これはガンダムがガンダムという所為と同時に、ガンダムが非凡な原因でもある。これがなくては、(出来はどうであれ、)みんな偽ガンダムと、はっきり言いたい。

 で、ナレーションと言われても、小説なら時々まるで富野本人が出てくるように突然XX論に入ることもあるのですが、ここではもっと全体的なものを語っているため、序だけに留まるつもりです。アニメ作品に関しては、また別の記事で。


コメント
>人類という生き物の性についての悲嘆のほうが遥かに強いっていうこと。これは富野ガンダムの一大特徴であり、ガンダムシリーズを貫くテーマでもある。
納得しました。
現在放送している00もこの部分に深く突っ込んでいますね。
#-|2008/12/15(月) 11:42 [ 編集 ]
まだ終わっていない作品ですからなんとも言えませんですが、やはり世界観や舞台よりも、確固たるテーマのほうが大事ですね。特に00はまったく新しい背景の話なんですから、なおそのテーマを語る必要性があるといえますね。
kaito2198 #-|2008/12/15(月) 17:21 [ 編集 ]
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