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『リーンの翼』とぼく

2008/05/15 17:44|未分類TRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 『リーンの翼』とぼく
昨日子犬さんからコメントを頂いたので、今回はちょっと『リーンの翼』や昔のことについて書こうと思います。


ぼくの手元には1冊の本があります。それは昭和28年出版の「東京大空襲秘録写真集」という本なんです。その中には焦げになった人々の死体、防火訓練してる婦人たちの姿、瓦礫の山に化した町、避難する一家、自ら自分の家を壊さずを得なかった罹災者、空襲中の情景、疎開する学童たち、死屍累々の川辺、生活苦を耐えながらも尚且つ生き延びたい人間たち...などの写真があります。僕はそれらの情景は見て、どうしでも涙を流さずにいられません。というのも、親身で経験したことではないですが、まったく知らないわけでもありません。

ご存知のとおり、台湾という土地が1895-1945年の間では日本という国の領土でした。つまり、この土地で生まれて育った人間たちは、戦争が終わるまで「日本人」でした。だから沖縄みたいに直接戦場になることはないものの、空襲は何十回も味わったんです(あと空戦も)。高砂族の原住民はもちろん、平地の本島人でも、何万名の兵士と軍属も南洋や大陸に派遣された。また、学徒として日本の兵工場に送られた人もいます。今となって、このへんの解釋はなんだかややこしいになってるが、その当時彼らはそれぞれの思いを持ちながらも、その多くは単純に“国”に尽くしたいため、戦ってきたんです。つまり「家」を守りたい、「国」を守りたいという確固たる思いはみな同じです。そして、戦後の国民政府は日本が残した痕跡をすべて消えようとしたが、幸いこれらの記憶は未だに当時の人々の心に残って、現在に至ったのです。


僕の一番と二番目の伯父の名前は「五郎」と「光男」で、伯母たちは「麗子」、「京子」と「照子」。彼らは戦後生まれの父と違って、台湾にいながらも、日本人として生まれて育ってきたんです。亡き祖父も、伯父と伯母たちをこの土地に生まれる人間のアイデンティティを与えつつ、その国の全部を愛する教育をくれたんです(父の実家は昔「国語の家」だった)。そして、彼らは戦後で別の国の人間になってるが、やはり少年時代のことを忘れることができませんでした。もう何十年も経ってものに、日本語の書類ばっかり読んで、日本の友人にいっぱい親交を交わって、日本のことを大変に熱心してる姿を見て、昔の僕にとってとても不思議なことでした。でも、ここ数年僕自分の日本語も少し上達になって、なんとか彼らと昔のことについて話せるようになったら、もう彼らの中に秘蔵してる感情に実に驚かれた。

かつて国に対する思い、かつての国であった国に対する思い、あのとき本島人として見た世界観、国内情勢、海外情勢、人種問題、戦時の状況、出征する親友や身内を送るときの思い、さらに内地人に対する羨望や複雑さ...など、正直、これらの思いが何十年経って彼らの口から僕に伝わった意味は何なのか、未だに考え続けています。ただし、やはり多少年も取ったし、昔のことについても嗜む程度で勉強したから、「土地」「故里」「家」「社会」「国」は人と関わり合うのも少し分かる様になったつもりです。それはどういうものなのか、うまく説明できないけど、それこそ富野が『戦争と平和』で語った経験と同じように、僕も多少そういう“思い”を想像できるようにもなったんです。

特攻というものに関しても、なぜ人は戦闘行為の中で死んでいけるのかということが、実を言うと最初わからなかったんですよ。だから、当初はテレビアニメのロボットものの中にこんな話もあっていいだろうくらいのところから始めたというのが本当のところです。そして作品の中で、自分でもかなり情が移ったキャラクターに対して、そういうことをさせていくのを自分で見ていて、かなりつらいという経験を何度もしました。絵空事のキャラクターなのに、殺そうとするとかなりつらくなるものです。
そういうことを繰り返すうちに、やがて、つらいと思えるから物語になるんじゃないか、ということもわかってきました。そして「ああ、生身の人間も結局これをやるんだな」ということもわかってくる。すると、ぼくみたいにかなり意気地のない男の子でも、ひょっとしたらそういう局面に立ったときに女房子供のために「おめえ、たたき殺してやる。女房子供には触れさせさせねえぞ。逃げる時間ぐらいはもらうぞ」というふうに考えて、死んでいけるだろうなっていうことを、少しは想像できるようになりました。
だから物語というのは、絵空事ではあるけれども、実は基本的に限りなく人の心を映しているものなんだろうと思うのです。さきほどの、体感したものでないと写らない、体感したものでないと写っていてもわからないという話と同じです。

(富野由悠季『戦争と平和』より)

富野監督の場合はこうだったが、僕自身で言えば昔の人の記憶に通して、自分の知識や経験や思いにも通したからこそ、そういう“物語”(あるいはコンテンツ、なんでもいい)を身につけたと思います。

...と、長文の割りに何を言ってるのがさっぱりですが、要するに日本という国は僕にとってそう遠くないです。そして、日本という国に限定しなくても“国”に対する思いは共通するものだと思います。もちろん僕も僕の叔父、叔母たちも今の日本人と背負ったものはそれぞれ違いますから、皆が皆同じとは言いがたいですが、それでもそういった思いは相当近いだと思います(思い、思いばっかりって訳わからんが、いい語彙が出てこないよー)。



それと、話題はやっと『リーンの翼』に戻ったんですが、その第5話はやはり限りなく現代の日本人に対するメッセージだと思います。その悲しさ、悔しさ、無念さ、哀れさ、怒り...いろいろな感情が交わるような語りは、やはり日本人に共感を喚起するようなモノなんですね。僕にとってかなり同感できる話なんですが、ただ上にも言ったとおり、僕の切り口はたぶん日本人とかなり近いますゆえ、あんまり参考にはらないかもしれません。劇中の描写やサコミズの語りに人の心を揺さぶる力は充分あると思うのですが、それらの背景が分からない海外の人たちにとって、凄い話だと知ってても、結局何を言ってるのか分からないままで物語が終わったんです。特にまるでジェットコースターみたいな構造の5、6話はなおさらだ。この点についてやはりちょっと残念だと思いますよ。

サコミズにも「リーンの翼は沖縄の命、大陸、半島からの命も吸った」と語らせていますが、 この話に共感できるのはこれら太平洋戦争時の話を共有知識として持つ日本人だからであり、別の、文化、歴史、風土の人々には理解されないのではないかと思ったからです。
つまり「日本人の普遍性」にまとまってしまい、 世界的な「普遍性」は持ち得ないのではないかということです。

結局、尺の問題だと思いますよ。確か「リーンの翼は沖縄の命、大陸、半島からの命も吸った」という一言だけ聞いても心が動いてるのは日本人ならではですが(それが富野節のスゴイ所為)、話自体は外人でも分かる内容だと思います。具体的いえば、イーストウッドの『硫黄島からの手紙』なんかはいい例だと思います。アレは日本の真実を描けたというには色々ツッコミがあると思うのですが、それでもああいったシーンや描写を重ね合わせて、ガイジンにも戦争中の日本人の一面を分からせたという面に関して、大変卓越な作りだと思います。それで、別にトミノ贔屓ではなくて、僕は富野監督にもそのような普遍性を描ける能力はあると本気に思うのです。『リーンの翼』はその可能性の片鱗を味わったが、昔の日本人の思いを語りつくすには、5、6話だけではどうしでも足りなかったと思います(だって富野は一気に処理したいテーマは多すぎるもの)。

あと、僕の周りでいえば、『リーンの翼』にあまり動かさない人ばっかりです(もっともこっちじゃネットは配信が見れないためダムエーの連載漫画だが)。理解を示す人もあくまで「おおー、凄まじい光景だったよなー」程度で、それ以上の思考はほとんどしませんでした。たぶん今の若者は昔のことなぞ興味を持って無いということかもしれません。僕はよく分かりませんが。
一方、アメリカの友人でも『リーンの翼』見たのですが、彼がいうにはサコミズは「sad」&「angry」な人で、その気持ちも分からないこともないという。でも、何故それは東京大破壊に繋がるのが理解できません。僕も僕でアメリカ人の友人にどう説明すれば分からないのでした(というより僕も雰囲気こそ掴めるものの、論理的にはよく分かりませんよ、第6話)。
これはあくまで僕の身近の例ですが、皆さんのご参考になれば幸いです。

逆に言えば、富野ファン以外の日本の方はどう『リーンの翼』を観るのかということについては、実をいうと興味津々なんですよ。ただ、そもそも富野ファン以外の人は『リーン』を観るかどうかもあやしいような気がするんですけどね...。
コメント
ありがとうございます。
私の質問も迂闊でしたね。
たしかに台湾は日本の旧植民地の中でも日本化が最も浸透…
というか強制させられた地域でしたね。
メンタリティとしては我々に近い部分もあるだろうし、
その中でも知日家のkaito2198さんにお尋ねすること自体、
ちょっと迂闊であったと反省しております。
エクスキューズをさせていただくと、
そこで線引きをしようとかそのような意図は毛頭ありませんでした。

アメリカのご友人のお話は興味深いですね。
たしかに私もあのときのサコミズの気持ちを言葉にして表現するのは難しいです。
彼はあの時、地上制圧を目指すホウジョウ王サコミズではなく、
母国を信じて命を捧げた迫水真一郎に戻っていたんでしょうね。
その信じた母国の成れの果て(=富野自身や私のような21世紀の日本人)に絶望した・・・といった感じなのでしょうか。
言葉がまだまだ足らない気がしますが。
たしかにあの濃密な物語は全6話という長さでは、
全くといっていいほど尺が足りませんでしたね。
富野の演出はやはり1年ほどの期間を設けて、
その中で随時軌道修正しながらまとめていくほうが合っていると思います。
良作だけにもったいなぁと思ってしまいます。

それから日本での「リーンの翼」の認知度ですが……悲しいくらいに低いです。
おっしゃるとおり富野ファン以外はおそらく見ていないと思います。
もったいない…
子犬 #HL3aOXhs|2008/05/15(木) 23:38 [ 編集 ]
いえいえ、こちらこそ言うことがあまり参考になれなくてすみません。
それでも、生粋の日本人とはちょっとばかり違う視点を提供して与えれば幸いです。
というわけで、これからも弊サイトにご贔屓をお願いいたします。

リーンの翼についての話は仰るとおりですね。
しかし、つくつぐ思うのですが、”言葉の人”富野由悠季ほど海外に受けにくいアニメ演出家もなかなかいないな、と。
結局、ガイジンにとって”言葉”は理解しないとなかなか受け入れないが、”絵”自体は理解できなくてもそのまま受け入れることだと思います。
kaito2198 #-|2008/05/16(金) 23:23 [ 編集 ]
英語圏では
http://psgels.blogsome.com/2006/12/04/wings-of-rean-review-80100/
が見た中では一番興味深い感想を書いていました。
上原 マリ男 #BejLOGbQ|2008/05/24(土) 12:21 [ 編集 ]
ありがたく拝見させていただきます。

ほかのレビューもチラ見てたが、ほとんどここ数年のアニメですね。吹き替え版じゃないのは大変感心しますが、やはり理解するのに苦労してたようですな。
kaito2198 #-|2008/05/24(土) 23:23 [ 編集 ]
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