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『イデオン・ライナーノート』から見る富野喜幸、亜阿子さん、井荻麟、斧谷稔、湖川友謙

2008/11/21 22:29|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 『イデオン・ライナーノート』から見る富野喜幸、亜阿子さん、井荻麟、斧谷稔、湖川友謙
富野が書いたもののなかでも、おそらく本人が一番黒歴史化したいもの、
それが『イデオン・ライナーノート アニメの作り方を教えます』。
その一部から当時の富野のはっちゃけっぶりを見ましょう。

――うるさい連中

「オールド? ホワイトでいいですよ。ホワイトで。奥さん」
 井荻が亜阿子のことを”奥さん”というのははじめの10分内間だ。オン・ザ・ロックを1口飲んだ瞬間に、”あゝ子さん”に変わる。
「すみませんねぇ・この近くにはお店がないんです。これで……」
 えらくつっけんどんに亜阿子はいいながら、火燵の敷き板(テーブルといいたいが……)の上に置く。
「あ?」
 井荻はそのピンの首を反射的につかんで、蛍光灯に透かして中の量を調べる。
「大丈夫です。買い置きが2本あります!」
「だから、この家の隙間風がなおらんのだ。高い酒はいらんのよ。貯金して家の隙間風をなおしなさいよ。車だって10年同じのに乗ってさ」
 井荻はオン・ザ・ロックを作り始めながらいう。
「あなた、食事します?」
 亜阿子は井荻のことばを無視して、ぼくのほうに振り返った。怒っているのだよね。夜の10時過ぎに井荻麟を連れ込んできたのだから。サンライズのスタジオを出るときに電話の1本もすればよかったのだが、あのブロンソン髭の並木が、
「明日までには企画書の骨子とラフストーリーをあげていただきませんと……」
 このことばに、何が明日だ! 今夜は井荻と打ち合わせをするから書けないよ、と飛び出してきたというしだいだ。電話をかける気分になぞなれるわけがなかった。
 井荻麟。ぼくの中学時代のクラスメートだ。ぼくが関係した『機動戦士ガンダム』という作品の5つの歌の作詩をしてくれた。5年ぐらい前までジャズだが何だかのバンドのマネージをしていたのだが、何を思ったのか小田原の山の中、和留沢にひっこんだ。3キロも山を登ると箱根の強羅が見下ろせという、本当に山の中なのだ。井荻はそこで盆栽を作り、東京方面に流す仕事をやっている。
「こっちのほうが金になるし、足柄平野を見下して、星が輝くさまを見て暮らす。こりゃ、人間復活よ。東京は人の住むところじゃあない」
 で、ガンダムのときにやつのことを思い出して作詩をやってもらったわけなのだ。
「金はいらんけどね。こんどはオレの詩に手をくわえるのはやめてくれよ」
 スタジオに来るなり、こういったものだ。
「だったら、責任を持って録音に立ち合ってくれ。作曲家、録音ディレクター、アレンジャー、いろいろいるんだから」
「盆栽は生き物なんだ。半日がかりの録音に立ち合えるかよ」
 そして、彼はブロンソン髭と何やら話しこんで、ぼくは斧谷稔にも電話をして社を出てきたというわけで、亜阿子の気分なぞ想像する暇なんてまるっきりなかったのだ。
 火燵の脇から立つ亜阿子が、ぼくに険悪な眼を向けて”あなた”という。その目つきにぼくはおびえて台所へついて行く。
「前もって教えてくれれば支度したのに。何もないのよ」
「マグロのフレークのかんづめでいい。あとは白菜漬けか何か……。腹減ったらインスタント・ラーメンでいい。インスタント……」
「斧谷さん、口のおごった人だから……」
 で、チャイムが鳴る。
「こんばんわ」
 ちょっと神経質な斧谷の声がする。
「おう!」
 井荻が立って玄関のチェーンを外してくれる。
「相変わらず顔色よくないね、あんた」
「そうですか?……奥さん。しゅうまい買ってきました」
 斧谷はいいやつだ! ぼくはつくづくそう思う。もっとも、あののっぺりした頬のこけた顔で理屈をこねることがなければ、の話だが。
 大体、ぼくの頭の中に理屈はないんだ。映像がわいてくるんだから仕方がない。これは、ブロンソン髭にも井荻にも斧谷にもとめられるものじゃない。

*ソロ星の3つの月のうちの1つの近く(省略)

「お前さんはまじめじゃないから、画だけが羅列されるんだ。イデオンはいい。が、だ……なぜにロボットの名前がイデオンなんだ? なぜ、第1話からコスモって坊やが操縦できるのだ? 巨大ロボットもいいが、巨大ってどのくらいの身長なのだ? なぜ、イデオンが遺跡にあったのだ?」
 井荻がまくしたてる。ま、やつのいうことは正しいようだなと、ぼくだって思うさ。
「けど、番組の条件があるから……」
「でもね。いま、井荻さんのいった”なぜ”を物語の基本設定の中でつなげる作業をしておかないと、マンガもマンガ。ロボット・プロレスにもなりませんよ。高千穂って、若いSF作家いますよね? いまってますよ。レスリングにもなってないロボット・プロレスって……。とにかく、『ガンダム』のときみたいにコンテで帳尻合わせをしてくれなんて話、ぼくはイヤですからね」
 今夜の斧谷はよく飲んだよね。ぼくを肴に飲むオールドはおいしいらしい。
「そのへんがわかるようになったから、お前らも相談してんじゃないか……」
 ぼくは、ようやく抗弁するチャンスを得たと思っていった。
「遺跡の発想はいいね」
 井荻だ。
「ですけど、敵方の問題もありそうですよ。バッフ・クランっていいましたね? その当面の仇役のギジェ、どうするの? また『ガンダム』のシャアのようにマスクつけるんですか?」
「そんなことさせるな!」
 これも井荻だ。
「マスクはあたるんだぜ!」
 これはぼく。
「ワン・パターンですよ」
 と、斧谷。
「あゝ子! お前、先に寝ろ! こんな2人の面倒をみる必要なんかないぜ!」
 ぼくは本気で怒ったんだよね。亜阿子は、あくびをのみこんで、じゃあそうするわ、ごめんなさいね、と立ち上がった。
 そしたら、井荻の馬鹿がこういったんだ。いつかやつはブットバシテやる。
「お前がそうもキッパリいうのは心楽しいものだ。あゝ子さんは結婚以来、お前のその科白を待っていたのよね」
「ハハハ!」
 亜阿子が笑いながら階段を上がって行く。こりゃ、問題だ。
「キャラクター・マンは誰にするんです?」
 ぼくの怒りに燃えた表情に水をさしにくる斧谷の科白こそ絶妙だと思う。
「え?……」
 うかつに答えてしまって、しまったと思う。
「ギジェにしても、バッフ・クランの世界を決定づけるのも、これすべてキャラクター・マンの画しだい。このくらいのことはオレにもわかるよ」
 井荻はグラスをあおってから、三白眼をぼくに向ける。
「スケジュール的にはオーケーだって、湖川がいってくれた……」
「……『ダイターン』のときに敵方のキャラを作ってくれた人ですか?」
「うん。むずかしいやつだけどね。いいと思うんだ。やつは……」
「そうですか! よかった。湖川さんがやってくれるのなら、いいです。うまくいきますよ」
 斧谷の野郎! 本当に殴り倒してやる。湖川ならよくて、ぼくは手足まといなのか!?
 あの湖川も生意気なんだよね。竜の子プロの仕事のときに会ったのがはじめてだったと思う。『ポリマー』か『ゴーダム』か? 『キャシャーン』じゃないと思うけど……。髭を生やして偉そうに構えてたんだ。
「今回の原画をやります湖川です」
 といったやつの顔を見たとき、てっきりぼくより5つ歳上のアニメーターだと思ったんだ。キャリアのあるアニメーターは、ぼくにとって辛いのよね。歳負けするから……。で、あのときはぼくはすごくへりくだったんだ。
「よろしく……」
 って。
そしたらさ、去年の正月だよね。やつをぶっとばしたくなったんだ。あいつはぼくより歳下なんだ。冗談じゃないよ! 安彦より歳下なんだ! それだけじゃない! よりによって安彦の出た高校の後輩なんだって! あんな北海道の僻地! 網走のさきの高校なんだよ! なんでそんな僻地の人間がぼくのそばに出現するのさ! ぼくは小田原っていうすごく温暖な土地の出身なんだ! わざわざ寒いところの人間が2人そろって現れることなんて金輪際ないはずなんだ! それが、こうだ! 冗談じゃないよ! まったく!……あ、やや感情的……。
「あの方はいいですよ。女性が描ける」
 斧谷がとろんとした眼でいうんだよね。
 ま、ぼくにしても、湖川の”女”の部分がほしいと思ったから彼をと思ったんだけどね。しかし、あの歳下だったっていう絶望感。これはいまだに払拭できないことなのだ。
 が、冷静にいえることは、あの湖川ならいいギジェ・ザラルを描くだろうと思う。
 ナイーブでチャンバラも出来て、しかもジャジャ馬カララと所帯を持ちたいと思える優等生的キャラクターを……。

いま見ると、非常にシュールだといわざるをえない。
だって富野が井荻と斧谷と会話してるしwwwwww
斧谷は別の資料でも出てるからいずれに紹介するが、
井荻のあの設定は何なんのwwwww
盆栽wwww 山の中wwww
と、真面目に答えると、おそらく半分井上大輔氏の設定が混ぜてると思う。
ということで、この資料が掲載された時点、つまり1980年5月のとき、
言い換えると劇場版『ガンダムⅠ』の前にも関わらず、
富野はすでにある程度井上さんと連絡を取り合っていたと思われる。
で、前も言ってた通り、
富野が井荻麟の正体をバラしたのは『哀・戦士』の記者会まで待たなければならないから、
この時期は正直謎の作詞家と思われても仕方ないと思う。

これを見て、富野のなかにいくつかの人格みたいのようなモノが戦っているという言い方も、
ある意味ふざけることでもないと思う。
しかし、一番おもしろいのは富野はずっと井荻と斧谷に押されてたままという部分。
これはおそらくいつもの俗物vs分かる人という構図で、
他人を貶すことは富野の性に合わないから、わざと自分を俗悪の代表みたいに描いて、
本音は井荻と斧谷に頼むという方法だと思う。
こういうのを見ると、
きっと当時富野の周りにはギジェをマスクキャラにしたい偉い人がいるんだろうなと、
思わず邪推したくなるよね。

ほかには亜阿子さんとのリアクション、湖川に対しての評価や思いが見られて、
結構面白い一節だと思う。


コメント
こんばんは。
タイトルだけは知っていましたが...
もしかして、1番面白い富野本じゃないかしら(笑)

今読んだ部分でもだから僕はよりも、数倍濃いですね~。
手に入らないものかな?
高橋良輔監督が日経の雑誌に連載している小説風アニメ業界界隈の話に似てますね~。

ではまた。
だから僕は... #-|2008/11/23(日) 00:58 [ 編集 ]
そうですね、濃いというか、『だから僕は…』は富野の偽りのない気持ちを愛でる本でしたら、この『イデオン・ライナーノート』はひたすら富野のはっちゃけっぶりを楽しむ本でしたかな?26年も前の本だったから、たまに古本屋でしか見つからないかもしれないですけど。

本人はひたすらフィクションとノンフィクションの間にいる創作と断っているが、やはりその強烈すぎる本音はどうしても隠し切れないですね。また別のエピソードを選んで紹介するつもりですから、楽しみにしてください。
kaito2198 #-|2008/11/23(日) 02:12 [ 編集 ]
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