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機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー巻末インタビュー

2008/10/07 23:48|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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富野由悠季インタビュー

――今回完結したこの作品は、旧来『徳間版/逆襲のシャア』(アニメージュ文庫)と呼ばれていました。それは、同タイトルの角川版(スニーカー文庫)が存在したからなのですが、もともと『ハイ・ストリーマー』という副題で映画『逆襲のシャア』公開の一年前(一九八七年五月号)から「アニメージュ」に連載されていたという、ちょっと混乱しそうな経緯のもとにありました。それを十四年ぶりに正式なタイトルに戻して刊行したわけですが、まず監督にお訊きしますが、どうしてアニメージュ版では『ハイ・ストリーマー』というタイトルで連載されたのですか? またその時には映画の企画はどれぐらい進んでいたのですか?

富野 そんなの覚えてないですよ。ただ当時は、どうガンダム離れをするかというのが重要な命題としてあったので、とにかく何か新しいタイトルが欲しくて『ハイ・ストリーマー』というタイトルをつけました。僕自身、器用な人間ではないから『ガンダム』すべてをフィックスなんてできないけど、当時の気分的なものでいえば絶えず、走り続けていたい、向かい風に向かっていたいという意味もあったんです。

――『ハイ・ストーリーマー』というタイトルで、この作品の先も書きつづけたい気持ちがあったと、旧版のあとがきで書かれていました。物語の時間軸的として考えると、後の『閃光のハサウェイ』がその構想の一環にあたるわけですか。

富野 そうですね。物語的なつながりはないんだけれど、意識としてはそうです。『ハイ・ストリーマー』では「悲劇を書く」ということができるのかというが、僕にとってのテーマでしたし、『ハサウェイ』もその延長線上にある作品ですから。『ガンダム』の外伝という形だけでなく、オリジナルな作品としてきちんと成立させられれば良かったんだけど、二十年近くたって御覧の通りですから、駄目だったんですね。

――駄目ですか?

富野 何いってんの!これだって『機動戦士ガンダム』ってタイトルが消えてねーじゃねーの(笑)。成功しているんだったら、君だって「タイトルは『ハイ・ストリーマー』でいきましょう。『ガンダム』はいりませんよね」っていってくれたでしょう(笑)。傍系で始めたもので本家に勝つってことを考えていたんですよ。枝葉のところででも何かを成立させられないかと思ったんです。それはクリエーター的な発想ではなく、ビジネス論的な発想だったんですよ。だから駄目だったしちょっと下がって見てみると、やっぱり本家の『ガンダム』に取り込まれている。話はすこしずれますけど、現実のなかで、取り憑かれるとかたたりとか、「うちの家系は、こういう因縁に縛られている」なんて言い方があるけど、僕にとって『ガンダム』なんて、一時期は怨霊そのものでしたね。自分では『ハイ・ストリーマー』という分家を成立させたつもりでいたけれど、気が付いてみれば、本家筋の一角でグダグダやってるだけで「あんた、ちゃんと本家立ててないじゃないの」となってしまった。そりゃくやしいけど、自立するだけの力を持ってなかったのは認めるしかありません。二〇年たった今でも、編集者や色んな人を通じて、『ガンダム』怨霊は未だに僕の所にきているんだけど、最近の僕は、もうそういうのはどうでもいいと言えるようになった。それは本人の気持ち次第なんだよ。慣れるようになりましたね。

――それはいつぐらいからですか?

富野 『∀ガンダム』をつくりおわって、すべてがすっきりしました。『ブレンパワード』にとりかかる前までは、こういう構造を含めて『ガンダム』に呪われてるって本当に思ってました。だけど自分の心的な構造とかがわかってくると、勝手に自分が思っているだけなんだと気付くようになりました。当時は、本当にひどいものでしたけど。

――『ブレンパワード』ではまだお払いが終ってなかったのですか。

富野 『ブレンパワード』は『∀』をつくるためのリハビリでしたから。『ブレンパワード』の企画は、次にもう一度『ガンダム』をつくることを前提としてはじまったものだったんです。ただ、言えるのは、『∀ガンダム』をやってなければ、今回の再刊行でも、「やっぱり『ガンダム』は外してくれないんだ。ちくしょー」って人を呪ってたかもしれない(笑)。でも人を呪うって辛いのよ。自分が屈折していくことがわかるからね。

――『∀』という作品は、富野監督だけじゃなくて『ガンダム』という作品全体にかかった呪縛みたいなものをお払いしてくれた感じもしますよね。

富野 だといいんだけど……。今『ガンダムSEED』をサンライズはつくっているけど、関わっているスタッフは、これでガンダムを終らせてやる、というつもりでやって欲しいですね。いろんなことを気にしないで好きにやって下さいとは話したんだけどね。他人のつくったタイトルをつくらなけれないけないってのは、クリエーターとしてくやしいはずだから、そのくやしさを全開にしてすごいことをやってもらいたいです。呪いって本当に大きいし、個人的なことじゃないから難しいですけどねぇ。

――映画の『逆襲のシャア』はファンの評価も高いのですが、あの制作時期のメンタリティはどんな感じだったんですか?

富野 信じられないだろうけど、やけっぱちもいいとこでした。この間ニューヨークのイベントで上映されてあらためて見た――というか見せられたんだけど、映画が作れるってんで前向きにやろうとはしていたんだけど、どこかまとめることだけを考えているから、見やすい作品になっていない。気持ちのいいものになっていないですね。

――すごく”熱”のある映画だったと思いますが。

富野 それは当たり前ですよ。当時の僕だって当然、プロなんだから。プロのスキルというのは、作り手の心情なんて隠して当たり前なんです。それが、最近の映画ではそのスキルがないのがたくさんある。アニメだけをいってるんじゃなくて、ハリウッドの大作とか観ても、しょうがなくて作ってるみたいな不節操が凄く見える。それでも僕の映画より売れたり、賞を取るんだからくやしいよね。ニューヨークの上映会ではブロードウェイに面した大きな劇場でフィルムをかけてもらったんでうれしがっていいんだけど、所詮ロードショーでかかった訳じゃないから喜べないです。僕の場合は目標に到達しない限り、敗残者でしかないと思ってしまうから。これだけファンが付いてくれるから敗残者という言葉は使えないのかもしれないけど、『ハリーポッター』とか『千と千尋』に勝てない自分のディレクションのまずさとかには情けなく感じます。

――多くの人間は気にしないでいられることや、自己防衛のために無視したり、諦めてしまうことを、決して諦めないというところが凄いですよね。「ニュータイプ」というのは『ガンダム』世界における最重要キーワードだと思うのですが、アムロとかシャアを見ているとその能力というのは「不幸に対する感受性が強く、だけど絶対諦めない意思」なんじゃないかと思うのですが。つまり富野監督そのもの(笑)。

富野 そうかもしれない(笑)。最近は我慢できない人が増えたけど、我慢できないことと諦めないことは、言葉の表面は似てるけど全然違うことなんだよね。

――ガンダムという物語から「ロボットもの」というフィルターを外したとき、根底に残るのが「ニュータイプ」という「ものが諦められない人間」の物語だとしたら、今の若いファンやクリエーターはそこにどのぐらいシンパシーを感じとっているんでしょうか。

富野 ほとんどないのかもしれないのですね。作り手の側でも、アニメという媒体が社会的に認知されてから、職業の一つとして参加してきている人が多くなっています。絵を描くことが好き、ガンダム的な世界やキャラクターが好きということであって、それ以上の「何か」を持っている人というのは、少ないと思います。個々のスタッフにあたっていないから、断言するわけにはいかないけど、社会的な状況が公認している職業に参加してくる人が、公認されていない職業をやらざるを得なかった時代の人間たちとは、メンタリティとか考え方が根本的に違うのは当然のことでしょう。僕は、諦めずに表現を摸索してたことで、初期のガンダムとかを生み出せたはずなのです。だったら次の世代で、あの時代のガンダムのような新しい「何か」を描きたい、手に入れたいと考えている人は、厳然として富野は敵だと思って欲しいのです。僕に対してシンパシーを感じるということは極度に警戒しなくちゃいけません。何故かというと、不遜な言い方かもしれないけど、僕は虫プロに一時在席していましたが、手塚治虫という人は根本的な部分で敵だと思っていました。当然、尊敬しているし、年長者として敬う部分もあるけれど、仕事で物語を作るという言う上では、絶対に敵だと思ってましたね。そうでなければ、常に現役でいられなくなるという強迫概念が僕にはありました。だから『トリトン』では、手塚原作の枠から逸脱しようと抗ったわけです。その後になってやっと、手塚先生とはよく話しをできるようになったのです。

――講談社の手塚全集の『海のトリトン』のあとがきには、逆に手塚先生のアニメ版を認めざるをえないくやしさがにじみでていました。

富野 おぼろ気にしか覚えていないけど、ありましたか?

――ありました。いい師弟関係ですね。ところで、『逆襲のシャア』によって、アムロとシャアではじまったガンダムは物語は完結するわけですが、監督にとってこの二人はどのぐらい重要なんでしょうか?

富野 全然、重要じゃない(笑)。戯作を作るというのは、こんなものなんだからそんなことを気にしてたら「近松」に勝てないじゃないですか。近松は古典を作ろうと思った訳じゃなくて大衆小説でしょ。それに勝ちたいと思わなきゃ。僕は芥川賞も直木賞も狙えるような技量はないから、近松に勝ちたい。いけないのかなぁ(笑)。

――近松といわれると富野さんの書かれる小説が恋愛率が高いのがわかりますね。『ハイ・ストリーマー』のアムロはおねーちゃんをくだいちゃ、次のおねーちゃんって。『好色一代男』みたいですもの(笑)。ところでアムロは当時のアニメファンに対するアンチテーゼとして設定したとうかがいましたが。

富野 アムロとカミーユは明確にアンチテーゼとして配置しました。戯作とし世相を見て意図的に生み出したことは当然ですが、ファンに受け入れられるとは思っていませんでした。

――ララァのキャラクターはいかがですか?

富野 あれも全くの意図的なキャラクター。僕に戯作者としての才能があるかと考えたときに全くないんじゃないかと考えてしまうのがララァですね。僕の中に存在しないキャラクターだからこそ、ロジカルに突き詰めて動かしているだけです。つまり、枝葉論的なものを意識し過ぎていて、戯作が持つべきもっと大きなふくらみみたいなものを創造しきれていないんです。だから、ララァとかクェスを動かすと僕は全く駄目ですね。

――監督にとって戯作のもっている力はどんなものなのですか。それが発揮できたキャラクターというと?

富野 ガンダムの登場人物の中ではビジネス論的な意図がなくて、無意識に作り上げられたのは、ランバラル夫妻です。今でもとっても好きですね。あの二人は本当に自然に生まれてきたもので、この年齢になっても「うーん、この男女はいいよな」と思います。だから、ハモンの最後のセリフはこれだよなって覚えてるからね。『逆襲のシャア』はこの間観るまではなにも覚えてなかったんですよ。そういう無意識の意識みたいな、これしかないだろうと言う部分をちゃんとおさえて、アニメをやっていても戯作者だといってもらえるような仕事をしていこうと思っています。だからこそ今、戯作者たらんとして自分に枷をかけるつもりで『キングゲイナー』みたいな作品をやっているんです。これは僕にとって凄く幸せなことです。僕が昔、そぎ落としてしまったものをもう一度手に入れられるかもしれないと思うと、本当に嬉しいです。時代を生きてるという感覚は、今まさに僕は『ハイ・ストリーマー』です。

                              (二〇〇二年一一月/構成・編集部)

三作の『逆襲のシャア』の関係性を語りたいが、また明日にしよう。


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