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井荻麟作詞論 第54回 「キングゲイナー・オーバー!」

2016/01/15 16:31|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第54回 「キングゲイナー・オーバー!」
 井荻麟作詞論は、富野由悠季監督が書いた作詞を語る記事シリーズなのです。全部は110回以上の予定です。今日の第54回では、テレビアニメ『OVERMANキングゲイナー』のオープニングである「キングゲイナー・オーバー!」を語りたいと思います。



キングゲイナー・オーバー!
作詞:井荻麟/作曲:田中公平/編曲:田中公平/歌:福山芳樹

キング キング キングゲイナー メタル・オーバーマン キングゲイナー

真白い地平の向こうから あいつの影が 俺を呼ぶんだ

 WOWOWスクランブルアニメの第2弾富野作品のOPとして作られたものであり、アニメ・ゲーム音楽の大御所である田中公平をして完敗と言わせしめたこの曲は映像に相まって、確かに非凡な熱量と出来を備えている。タイトルの主役ロボットの名前を連呼する形は富野以前からのスタイルなのだが、あえて2002年で昔からのスタイルに則る自体に意味があると言える。

 曲自体には難しい言葉が一切なく、意味自体もひねりが見えず、わかりやすい歌詞として仕上げられている。冒頭の歌詞を見るに、素直に主人公のゲイナー・サンガ少年がもう一人の主人公であるゲイン・ビジョウに触発された曲として捉えていいだろう。



 まず、この歌詞が特筆すべきなのは、いわゆる白富野あるいは復活富野--つまり『ブレンパワード』以降の富野監督が大きく掲げたテーマを内包している。「身体性」と「社会論」というものだ。

こもるだけでは 何ができると

愛と勇気は 言葉 感じられれば 力

 つまり、内(家のことかもしれないし、心の中という意味かもしれない)にこもるだけでは何もできない。そして言葉はあくまで言葉に過ぎないが、自分の身体を通して感じて発揮させることがあれば、例えそれが無形なものでも、本当の力になる。これが「身体性」だ。

ひとりだけでは いやだ お前だけでも 無理だ

 と、誰かと繋ぐことの大事さを語っている。これが「社会性」というものだ。特に、その核心となる価値観が『機動戦士ガンダムⅢ』におけるテーマソング「めぐりあい」の「誰もひとりでは生きられない」と共通しているものの、「お前と俺」というもっとストレートで身近な繋がりに落とし込んでいるところは実に見事である。

 このように「身体性」と「社会論」の全開はいわゆるニュータイプ否定ではないものの、精神論も入っているニュータイプ概念よりも地に着いたものとなっている。のちの『新訳Z』のニュータイプ論にもフィードバックされたことを考えると、この歌詞はまさにこの時期の集大成と言える。



 この歌詞にはもうひとつのポイントがあるが、それはセックスのことだ。歌詞のいたるところに、その要素が伺える。

君と出会って 胸をあわせば 命が

愛と勇気は 言葉 感じられれば 力

抱かせてくれよ お前の心 命を

愛と勇気は 口だけのことと わかれば 求めあい

 と、これでもかってくらい男と女――セックスのことを語っている。つまり、この一見男と男の熱い曲は実はラブソング--もっとわかり易くいうと、「求愛の歌」だ。

 セックスだと聞いて辟易する人もいるかもしれないが、そもそも身体性と社会論の大本となるのは、富野が『ブレンパワード』以降全面的に打ち出した要素である性別論、つまり「セックス」なので、無視してはいけないものなのだ。



 そして上の話を分かるとき、もう一つ面白いところがある。上では、俺がずっとお前のことを言っているように見えるが、冒頭を読み返すと、違うものが見えてくる。

真白い地平の向こうから あいつの影が 俺を呼ぶんだ
こもるだけでは 何ができると いじける俺に 教えてくれた

凍てつく空気を 切り裂いて 奴に遅れず 飛んで見せたい

 というように、少年である俺は一見お前という女性を求めているが、実は奴という大人の男のことをめちゃくちゃ意識している。俺の行動のきっかけとなるものも、実は全部「奴」によって釣られた結果なのだ。そして決め付けは以下の歌詞である。

あしたという日 覗きたいから おじける俺を 忘れるために
抱かせてくれよ お前の心 命を

 それはどういうことかというと、「俺はやつに見返してやりたいから、オレを男にしてくれ!」という斬新な口説き文句だ。「こもるだけでは 何ができると」という歌詞をゲイン・ビジョウという色男(性的な意味で)に当てはまると、この曲は実は壮大な三角関係であり、ゲイナー少年がゲインへのラブコールだと理解することもできる

 「ひとりだけではいやだ」というわがままも、「お前だけでも無理だ」という無根拠な断定も、確かに少年特有の「オーバー」であり、アホなところだ。それを見て呆れる人もいるのでしょう。しかし、少年が大人の男を追いつつ、女の子を求める姿はまさしくそのようなものである。そういう意味では、このタイトルを「偉くなりたいゲイナーくん、やりすぎだよ!」と無理やり読めなくもない「キングゲイナー・オーバー」という曲自体は、還暦過ぎた富野由悠季がそんなアホかわいい青少年へ送るエールなのだろう。



 余談ですが、この「キングゲイナー・オーバー!」は歌詞も曲も熱い、とにかくものすごく熱い曲なのです。上の熱い(?)解説を読めば、そこには富野監督が視聴者へのエールだと理解することもできますが、作劇上でも、シベリアという過酷な舞台を中和するためには、ここまでの熱力がないといけないだろう、という演出家の富野由悠季のバランス感覚が見せる技ではあるのでしょう。

 そういう意味では、改めて富野由悠季の凄さが分かりますよね。


 余談ですが、この井荻麟作詞論では劇中の登場人物の口を借りて出された挿入歌のことを「肉声」だと規定しています。最終話のエピローグでは、アナ姫はなんとこの「キングゲイナー・オーバー」を踊りながら口ずさんでいたので、その定義に則ると、この曲も「物語世界に実在する歌」だと扱うべきはずです。正直、あの使い方は反則気味でメタ的なものだと思わなくもないですが、あえて「キングゲイナー・オーバーは実はアナ姫が作った曲」だと想像するのもまたロマンチックかもしれません。

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