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『∀ガンダム』と『Gのレコンギスタ』の世界観および関連性について思うこと その2

2015/12/03 17:08|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 『∀ガンダム』と『Gのレコンギスタ』の世界観および関連性について思うこと その2
 3ヶ月ほど前の富野由悠季監督の発言によって起きた、『ターンエーガンダム』および『ガンダム Gのレコンギスタ』についての論争に関しては3ヶ月ほど前すでに自分の意見を書きましたが、今日は改めて個人の感想を述べたいと思っております。

『∀ガンダム』と『Gのレコンギスタ』の年代設定に対する私見






 Gレコは世界背景面ではターンエーのリベンジ的なところがありますから、そういう意味では監督のなかでは確かに「afterターンエー」の気分があるかもしれません。

 8月29日のGレコ研究会で富野監督の発言により起きた「卵が先か鶏が先か」ならぬ「Gレコが先か∀が先か」という論争について、この前はすでにあまり気にしていないとお伝えました。そして3ヶ月を過ぎた今、改めて考えても、やはり自分はどちらかが先が重要視していないと思いました。Gレコを経てターンエーに収束、はたまたターンエーで一度収束してまたGレコに行く、のどちらでもかまわないと思います。

  しかし、宇宙世紀と違って、Gレコおよび∀という作品にわざわざと遠い遠い時間の経過と空間の変化を設けた理由は、年表埋めの遊びとそれによって想像力が殺されることを回避したいこととなると、イベントのその場限りの発言とはいえ、500年という短い時間を言い切っちゃったのは、やはりちょっといただけないとは思っています。(ちなみに、いただけないというのは策略的な意味です)




 とはいえ、ターンエーとGレコはやはり大きく違いますよね。確かにターンエーでぼかして描いた部分は、Gレコでは多く明確に描かれていて、その部分においては、正直に言うと、確かにGレコが上だと思います。

 しかし、それにも関わらず、ファンの思い入れみたいなものを完全に抜きにしても、ターンエーにはあってGレコにないものは、やはり存在しています

  ターンエーは確かに多くの部分がかなり曖昧的に描いていた。時代性というものも無視できないものの、見方によってはターンエーが誤魔化したと言えなくもありません。しかし、その「朦朧ゆえの美」は、かえってターンエーを美しくした所があります。牧歌的な雰囲気、一見野暮なキャラデザ、菅野音楽などがそれぞれ一部を作ったが、とにかく総体的に「朦朧ゆえの美」を持っていると思いますね。この朦朧ゆえの美しさは、Gレコには無いものです。



 単純に設定に関していうと、『∀ガンダム』も『キングゲイナー』も企画案リアルGも『Gのレコンギスタ』も相似性が見られます。そのなかでもGレコがターンエーのリベンジ戦と言える部分はまだ具体的に整理してませんが、とりあえず一番はっきりとしているのは「宇宙から地球に帰還しようとする人たち」、「不慣れな軍隊」と、「同じ陣営に分類されている人たちの混乱具合」などが∀とGレコの共通して描いていたものだと思います。

 しかし、ディテールが鮮明な作品が上ということはもちろんありません。ターンエーはディテールがそれほど必要としていなかったのも、雰囲気によって支えられていた部分が大きいでしょう。もっと簡単にいうと、表現としての強度が達していることです。そしてその表現をもってテーマに到達するとき、ターンエーガンダムはようやく「一つの現実世界(ガンダムワールド)の中に生きている寓話」という位置を手に入れたのでしょう。

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 ∀が寓話的であるゆえに、Gレコと同じ評価軸に置かれて評価されるのは設定の類似と関係なく、とにかく不適切――そもそも比べられないと思います。それは作品の良し悪しと関係ない話です。

 そして寓話であれば、直接的な繋がり――500年という充分に想像で敷衍される時間――を感じられて、そこに違和感を感じた人が多いのも当たり前だと思います。

 ターンエーの発する強度であれば、1000年でも短いくらい。最低でも3000年、5000年、まあ数字を明言しないほうが一番スマートなのでしょう。単に「はるか未来」とだけ、言っておくだけで良いでしょう。その「はるか未来」というのはすでにSF的ではあるし、御伽噺的ですから。

 なぜかというと「はるか未来」は、未来方向へのSFであると同時に、昔話の「むかーしむかーしあるところに」と同じで、「いつ」という事を規定しない寓話的な空間ですからね。

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 世界観と設定は、テーマのために存在しているものです。前回で話したとおり、Gレコのテーマは「人間はそれでも進む」だから、それに合わせてリアル(=観客のいる現実世界=繋がりを想起できるもの)に近い未来に設定したのです。対して、ターンエーはそれすら超越して、「生命は巡りめくものである」という、ある意味手塚治虫の『火の鳥』みたいな究極的なテーマなので、世界観が寓話的になるのもまた必然なことであろう。

 そして、『Gのレコンギスタ』の誕生によって、『ターンエーガンダム』は作品としての価値、ファンの思い入れが損なわれるどころか、むしろより明確になったとここで強調したい。両者はテーマにおいてそもそも別物ですし、『∀ガンダム』は『ガンダム Gのレコンギスタ』が持っていない良さを持っている上、今でも全ガンダムのテーマおよび歴史性を全部包括できる素晴らしい作品です。





 その上、「じゃあ一体どっちが先だと思う?」という、あえて野暮な話をすると、じゃあターンエーが後ろかなとは思っています。ターンエーに一度収束するといっても、まったく閉塞感を感じませんから。

 ですから、Gレコの一部のファンの方々の「ターンエーに収束される閉塞感を打ち破るためのGレコ」という感想は見事だと思いますし、それが無理やり褒めてる部類だとまったく思っていませんが、個人的にはちょっとピンと来ないのも事実です。

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コメント
お久しぶりです

ターンエーが全てをまとめるガンダムである以上、『Gレコ』はそれ以前の時代と思って視聴してました
ただ作品世界の「時代」のモデルは、ターンエーがベル・エポックだとすると、『Gレコ』は大陸間戦争が語られるように第一次大戦前後の殺伐とした戦争の世紀に踏み込んでいます
チアガールたちすら戦争に動員されたりとか、近代戦の描写が細かい。それに比べると、ミリシャはかなり牧歌的
監督は歴史の時計を進める意識は充分にあったと思いますね
まあ、ターンエーも御大将が暴れたおかげでエラいことになって(苦笑)、『Gレコ』のテーマも包括してしまったかもしれませんが
以蔵 #-|2015/12/26(土) 00:44 [ 編集 ]
以蔵さま、あけましておめでとうございます。
仰る部分は確かにそうだと思います。
そういう意味では「前進」だといえますね。
ただ物語は歴史にたどる必要があるかどうか、というのはまた別な話ですので、
ターンエーはやはりその点においてgレコの後でもなお存在価値を保っていると思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2016/01/02(土) 22:19 [ 編集 ]
大変興味深く、そして感心しながら読ませていただきました。
おっしゃることほぼ完全同意、というか
特に寓話的というところに関してはこのようにきちんと
文章にしてくださって本当にすっきりしたというか、
感謝したいくらいです。

と、感謝だけ述べるのあれなので、ちょっとだけ…

どうして∀に収束されることに閉塞感を感じてしまうのか
私はいまいちわからないのですが、
(私は逆に、∀で無限の<ちょっと言い過ぎ>拡がりを得たとも思ってる口なので)

まぁあきまんさんが、Gセルフを∀を越えちゃ行けないレベルの設定にしたとか
おっしゃっていたので、そういうことが「制限」だったということでしょうかね。
時が未来に進むと誰が決めたんでしょうねぇ…。
だから∀より強いのが前の時代にあったっていいじゃんか、と思ったり。

ただ、ある真理というか悟りとかそういう部分が∀でもし示されちゃったとするなら、
監督のクリエイターとしての次作はどうなるのよ?
それが到達点で、全部の答えでお終いなの?

そうじゃないだろう?
まだ何かあるんじゃないか?っていう気持ちから
っていうのならまぁ理解できなくもないかなぁとは思っています。

ただそれでも∀ファンとしては「Gレコが後」っていうのは
納得しきれませんけどー。
まそ #-|2016/01/08(金) 18:17 [ 編集 ]
私も閉塞感を一切感じられませんので、そのような言葉は理解できません。
作品はあくまで作品です。完成した瞬間は作品自身が物語ります。
そこには作者やデザイナーの気分を許す空間がありません。

創作しているうちに、いきなり到達点に達しちゃったこともままあります。
スピルバーグにしてもそうですし、宮崎駿もそうです。
もちろん、富野由悠季もです。ガンダムやイデオン、キャリアの途中だけどそれぞれピークの一つでしょう?
それでも人生は続きますので、もう一つの到達点を作ればいいのです。
方向性が違いますから。別に創作は同じ方角にしか向いてないものではないですから。
kaito2198 #-|2016/01/15(金) 09:50 [ 編集 ]
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