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井荻麟作詞論 第48回 「宵越しの祭り」

2015/02/10 11:18|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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 井荻麟作詞論の記事は富野由悠季監督の作詞を語るものです。全部は100回以上の予定です。今日の第48回では、テレビアニメ『∀ガンダム』の挿入歌「宵越しの祭り」について語りたいと思います。



宵越しの祭り
作詞:井荻麟/作曲:菅野よう子/編曲:菅野よう子/歌:ホワイトドールの祭りの会一同

シーシッシー シーシッシー
ラーセッセー ラーセッセー

 『∀ガンダム』において、監督である富野は5曲もの歌詞を担当したが、そのなかでも特筆すべきなのは、挿入歌の立ち位置の変化という部分だ。今まで『逆襲のシャア』や『Vガンダム』でもその片鱗を見せたが、本格的な変貌を見せたのは、やはりこの作品からなのだ。

 歌詞自体を読むと、内容は至ってシンプルなのだが、よく吟味すれば、この時期の富野作品の共通的特徴を見かける。それについては、まず『ブレンパワード』以降の、いわゆる「黒富野から白富野」的な変化に関して、簡単に説明したい。

 『ブレンパワード』以降、半リタイアから復帰した富野が大きく変わった。具体的いうと、「病気」になる恐れがある描写や物語を徹底的に避ける代りに、「健やかさ」を模索している作風になっている。そして、現実の歴史を生きている人間がどのようにして健やかさを求めてきたか、それから現実に存在している健やかさを、フィクションに反映させるためにはどうやるかを考えた末、彼が到達している結論の一つは、すなわち「祭り」という要素をとること――つまり、物語(フィクション)世界で祭りを再演するという手法なのだ。



 今回の歌詞が短いなので、全部解説する。

シーシッシー シーシッシー
ラーセッセー ラーセッセー


 タイトルともなっている「宵越しの祭り」は、主人公が暮らしている地域における一年一度の成人式だ。本編のなか、1話のキエルと、2話のソシエとロランが違う年で参加しているのがそれだ。若い男女はこの祭りで互いのパートナーを選び、共に一夜を過ごしていれば、初めて成人とみなされる。

年を越せ 夜を越せ
年を越せ 夜を越せ

 そして、この祭りの根源となっているのは、「ホワイトドール」という共通的な信仰。いうまでもなく、石像に封印されている∀ガンダムのご神体のことだよね。

ホワイトドールのご加護の元に
ホワイトドールのご加護の元に

 このようにして、歌曲の「歌」と「歌詞」は映像と共に、世界観を描く要素の一つとして作用していて、劇中の「祭り事」と「土着の信仰」を表してくれた



 さらに象徴的なのは、この詞である。

男は男 女は女
男は男 女は女

 82曲にもおよぶ井荻麟の作詞のなか、これほど単純に富野由悠季の性別観を表した詞もいないでしょう。

 監督である富野によれば、企画段階では登場人物が自由に性別を転換できるアイデアもあったが、それがこの作品に相応しくないという理由で却下されたのち、性というテーマをより強調するために、富野が改めてこの歌詞を書いたという。男はあくまで男、そして女はあくまで女。それ以上それ以下でもない。

 もちろん、劇中の描写を見れば分かるとおり、富野がセックスに対する見方は決して一面的に狭いものではない。また、性のあるべき姿を強要しているわけではない。しかし究極的いえば、人類が世代を重ね、世界へ継続させるためには、どうしても男と女の結合=セックスという方式を経てないといけない。これは誰もか否定できないことではある。



 以上の「土着の信仰」と「セックス」という話を分かれば、この「宵越しの祭り」が持っている意味をはじめて分かる。

 もともと祭りというのはハレの場で、日常のストレスを発散するために設けられた一種の特殊空間および時間だ。人々はそれに参加し、人と人のふれあいによって、生きる力を再獲得する。このへんの性質は現実世界に存在している祭りと同じものとは言えるが、この構図をまんまに本編の映像およびこの歌詞に出てくる「宵越しの祭り」に当てはまると、この成人式の性質が自ずとわかってくるはずだ。

 成人式=男と女がパートナーを捜し求める場所=男と女の結合=セックスという、現実にも存在していた論法から考えれば、この「宵越しの祭り」は実に下俗的――いや、動物的とさえ言える。しかし、その下俗さはまさに人類が土に根ざすような象徴で、いわば生命力の表れともいえる。それによって、「信仰」という人々の考えているものが、「祭り」という場を経て、「セックス」という行動に移る。この行動そのものが健やかさの表れで、富野流の別言葉を借りると、「身体性」というものだ。

 以上を読めば、「祭り」は白富野的なテーマである身体性を達成するために導入された要素だと分かるはずだ。一人の身体性はあくまで一人のものでしかないが、しかし自分の体を外へ拡散すれば、それが「社会」そのものになる。



 さらに重要なのは、「祭り」はコミュニティ=不特定多数との繋がりを継続させるための儀式でもある。その不特定多数によって、人間は空間的にも時間的にも繋がっていられる。これは単純な事実陳述ではなく、アニメというフィクションにとっても非常に大事な要素だ。

 アニメは所詮平面的な絵空事で、そこに描かれているものが全て――つまり空間的な描写ができても、時間という要素はなかなか描けないでいる。しかし、今度「祭り」という大昔から存在しているものをきちんと描けば、必ずやその風土・歴史の積み重ねを視聴者へ提示し、一気に作品の奥行きを深めることができる。そしてこの時間の要素を上の「身体性」に重ねて考えれば、さらにその重さを分かるはずだ。

 これ以上の説明は省くが、要するに、信仰→祭り→セックス→絶えず生む力→世代を重ねること→健やかな人生の達成という構図だ。考え方としては飛躍的なところがあるが、これによって、この歌詞に散りばめられている要素はようやく全部繋げた。

 ガンダムシリーズや『ブレンパワード』などで見かけたように、富野は人類が生き延びられることを何より重要視している。だからこそ、「祭り」を通して、大地に根ざす人類=永遠に生きるための真理をなんとしても伝えたいのであろう。だから、「宵越しの祭り」ははなっから『∀ガンダム』のテーマを暗示する内容であり、生命のめくりくるを象徴する曲でもある。祭りが来れば、新たな一年がまた来て、「生」もまた繰り返される。それがまさに「宵越しの祭り」が『∀ガンダム』という作品のラストシーンに使われる理由ではあるし、そのラストシーンが代表する意味でもある


 今度はなにやら「祭り」にもなっていますが、『キングゲイナー』の挿入歌も同じ論法で展開されていますので、非常に重要な内容に違いません。

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