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2008年富野由悠季監督台湾訪問レポート(6)

2008/09/02 23:09|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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外部関連リンク:
Taipei Game Show 2008現地レポート
“鋼弾之父(ガンダムの父)”富野由悠季氏、
台湾で未来のクリエイターへ向けたメッセージを語る


「だから,日本の深夜アニメはつまらない」
ガンダムの父・富野由悠季氏の講演をムービー込みで掲載


【2008 台北電玩展】鋼彈之父富野由悠季談作品原創與未來性


つい最終編だ。長かったな。


Q1:
 富野監督こんにちわ。10年前のインタビューを拝見させていただいたんですけれども、監督はその中でアニメ漬けの社会は健全な社会ではないと仰って、 監督自身はそれを感じたときに、自分の作品の中でアニメにハマるなというメッセージを入れたとのことです。 アニメ製作者にとって、これは珍しいことだと思いますので、もう少し詳しく説明していただけないでし
ょうか?

A1:
 いえ、あの、特殊な考え方ではありません。むしろ、それをまず危機感として感じたのは、僕にとっては、Zガンダムの作品の時にそれを感じましたので、いつまでもアニメを見ているのではないというのを、基本的なテーマにして、あの作品を作りました。
 そして、今の話でも、実は話しています(注:今日の講演でも、実はその話をしています)。ツール、つまりパソコンを使うのがカッコいい、CGを使うのがカッコいい、だからカッコいいまんまで使ればいいだろうと思っているようなオペレーターが多すぎるから、つまらない作品ができるんだ。それから、ハリウッドでCGを多用すればするほど、つまらない作品になったという証言もこの5年の間皆さんがいっぱい見てるんです。
 だから、ツールに騙されていけない!その次に何を付き加えなければいけないのかという意味での!映画の特性を挙げます。その映画の特性を、あまりにも知らなさ過ぎるスタッフが、現場に入って来ているから、つまらなくなるですよ!という話です。では、あの、映画の特性はどういうことかという話は、えっと、別の時間を受けるか、別の時間を取らないと話せませんので、これ以上話しません。

このへんは基本的聞きなれたZの話ですが、
ここで創作サイドと繋がって、他所ではあまり見かけない視点から入った話はちょっと新鮮。


Q2:
 富野監督は先ほどカルチャーミックスの重要性を仰ったけれども、監督は一体どういう観客に向かって、作品を作って、自分を伝えたいのでしょうか?

A2:
 先ほど僕は観客を100万人というふうに言いました。人は選べません。人種も選べません。1人でも多くの人に伝わる物語を作りたいし、せっかくお金をかけて作るならば、3人にしか伝わらないお話を作っても、つまらないじゃないですか。それだけのことです。
 そして、今のような質問が出てくる理由が、ものすごくよく分かっています。質問者自身も自覚していないでしょう...いや、自覚してないはずです。ところが、雑誌の編集、それからテレビ、あらゆる媒体で視聴対象とか購読対象とか、それからセールスの重点をかけるのはどこの年代のヤツなんだといった話をいっっっぱい!!聞いているために、観客を決めなければいけないなんじゃないかと思っているんです。
 が、映画の特性というのが、それを乗り越えられる特性があるんだということを、とーーにかく!関係者も普通の人も分かっていない!そういうことです。ですから、あの、自分が生活の中で身につけてしまった常識とか、既成概念というものは、我々自身が思っている以上根深いものなんです。
 ですから、そこから脱出して新しいものを創っていくという作業は、本当に大変なことです!!だから、固有の才能を持った人、とか、あるヒット作品というのはすごいというのは、それを脱しているからです。そこから脱して、新しいものを作れるから、あ、作ってみせるからなんです。
 ですから、僕にとってはクレヨンしんちゃんも、あの、ポケモンも、それからなんとか...あ、ドンキーコングも、それからマリオおじさんも、やっぱりすごいキャ...すごいものだなと思います。それは、既成の文化論、カルチャー論からちょっと頭を出したところにいるからです。が、そのことを分かって頂かないで、似たようなものを作って商売になると思っているなれば、それはアホです。

(聴衆、笑う)



Q3:
 監督は先ほど一神教のツールを利用して自分のコンテンツを作ろうと仰ったけれども、現在の我々の文化は西洋文明に侵略されて、もう衰退していくと思いませんか?それともほかの何かを感じてたんでしょう?

A3:
 えっと、どのような意味で衰退という言葉を使っているかは分かりません。しかし、たとえばその言葉を使ったということは、現在までの、我々が、えっと、知っている、うーん、認識論にとらわれすぎているというふうに思います。
 どういうことかといいますと、文化論や宗教論を取り上げた瞬間に、勝ち負けであったり、それから、うーん、勝ち負け論、それはどちらが強い、強くないみたいなことに絶えずにものを考えるクセがついているからです。ですから、衰退という言葉が出てくるんだというふうに思います。そして、そのようなモノの考え方とか、価値観にとらわれているから我々は、ファンタジーといわれている世界の物語でも、勝ち負けを描いてしまうんです。カンだけでお話しますと、100年後の観客が勝ち負けにまったく興味を持たない、観客になってるかもしれないという可能性まで考えれば、衰退論というのは、聞ける単語ではないということです。
 衰退しているならば再構築をすればいいだけのことですし、勝ちに乗った、乗っているならば、それで勝手にはしゃいでいればいいんです。勝ちというのは100年続きません。中国の文化でも、一つの王朝が続いた最長でも350年ですから。



Q4:
 監督は小説版『逆襲のシャア』の巻末で、もともとはMSを否定する、機械を否定するというコンセプトを入れたかったんですけど、ビジネスの都合で出来なかったと言いました。で、後の『∀ガンダム』は人間の関係性をとても丁寧に描くかわりに、MSの戦闘をあまり描かないとしたんですが、果たしてそれはその原因なんでしょうか?

A4:
 えっと、ここでお話していること、当然その言上に則ってるものですから、質問者の仰る、ご指摘のとおりです。

(あまりあっけない返事なので、しばしの沈黙のあと、爆笑)

(富野、ちょっと困った様子で)お、おかしい?

(聴衆、再び大笑う)

ここで説明しなければならないのは、通訳さんが通訳してくれた言葉は
「就是你說的那樣」(ニュアンスは「そっちの言うとおり」に近いかな)というたった7文字で、
質問者の質問に比べてあまりにも短い上、
口調もなんだか拍子抜けのため、聴衆の大笑いを招いた。
日本語から見れば分かりにくいが…。


Q5:
(こいつは明らか御大の話を誤解して、かなり挑戦する態度で物事を言う。このモノ分らず屋の代わり、にみんなにお詫びを申し上げます)
 こんにちわ。すみませんが、オレはあなたがいう馬鹿の一人です。オレはゲーム会社に勤めてるんですが、この産業の競争は誰の想像よりも激しいものなんです。あなたさっきが言った映画でもアニメでもゲームでも、一般向けなわけですから、いくらあなたが「ツマラン」とか「無意味」とか喚いても、売れるものは売れる。つまり、商業の考量が最優先の限り、オレたちの声は決してトップに届かない。 ヤツらは金を儲けることしか考えていないから。ですから、我々のアイデアはなかなか出せないってのもそのせいだ。
 あなたさっきが言ってたユーチューブのほうが、また作品を見てる観客数が見れるし、名誉も金も儲けるから、我々にとってまたモチベーションになれると思います。先生はこれについてどう思います?

A5:
 あの、とても、とてもよく分かる悩みで、この悩みは、えっと、少なくともこの業界に隣接している人にとっては一般的な悩みだというふうに思いますので、3人だけにしか伝わらないお話ではありません。
 僕自身も似たような、つまり出資者、スポンサーと自分との関係を考えたときに、同じようなことを感じました。ですから、自分でプロダクションを立ち上げてでもというふうに...思った時期もあります。 が、基本的な能力論と、それから僕自身が決して働き者ではなかったので、プロダクションを立ち上げることを断念したという時期もあります。
 この解決については、基本的にあ、り、得、な、いと思います。それで、あり得ないことが実はまさに人の世、人の世の中なのです。ですからこれはかなり一般的に敷延できる問題なので、その悩みは――申し訳ありません――抱えてください。それで抱えて、それを作品にすることで、吐き出して、なんとか自分がうつ病にならないよう努力してください。

(聴衆、笑う)

 とにかく、資本投下をしなければ、作りおおせることができないのが、動画の作品、映画の作品の欠点でもあります。当然ゲームもそうでしょう。つまり出資者の存在と、それから、モノを作るスタッフ...まあ、アーティストという立場の人々とは、基本的に合わない人種だということは、認めざるを得ません。
 ただ、美術史を見ても分かるとおりですけれども、やはりパトロンがいて、ようするに、芸術家、作家...えー、絵描きであり、彫刻家であるという人々。それから王権という国家論があったために、その宮廷のお抱え音楽師がいるわけです。つまり、我々が知っている著名なアーティストというのは、すべてそういうパトロンがいて、暮らしてきたわけです。つまり、モーツァルトでさえです。その、何月何日までに楽曲を書かねばならないという宿命にいたし、気に入らなければ別のところに行かなくちゃいけなかったという遍歴しなければならなかった。
 逆に言えば、ヨーロッパ中旅行ができて、お金も儲かるというふうに評価されている立場も素敵なものかもしれません。だが逆にいうと、一つの場所で暮らせなかったという絶対的に不利な立場に立っていたというのも、アーティストでもあります。これは演劇、オペラ、あらゆる芸能者の宿、命、でもありました。そして、日銭稼ぎもしなければいけないというのも芸能者でした。これは出資者とは根本的に違う人種です......すみません、長くなっちゃいました。簡単に要約してください(笑)。

(聴衆、笑う)

 このテーマの話はえんえんとできますので、ここで打ち止めとさせていただきますので、質問者の方には本当に申し訳ありません、病気にならないように頑張ってください。

(聴衆、大笑う)

モーツァルト=富野というわけですね。
いや、監督の名誉のために断ってますが、
監督は自分がモーツァルトみたいなことを一言も言わなかったが、
モーツァルトの情況、つまり一つの場所で暮らせなかったという情況を
「一つの場所で暮らせなかったという絶対的に不利な立場」と見るのを見て、
やはり富野がほしいのは安穏な制作環境だな…とつくづく思った。


(Q6以下、基本的4gamerでは省略した部分で、一応未出となっております
なお、補足として、前スレやwatch impressのレポートも参考してください)




Q6:
 監督は何でガンダムシリーズの中で「ニュータイプ」という要素を投入したんですか?人類の未来を踏まれて考えたモノですか?それとも別の何かを感じたんですか?

A6:
 あのう、基本的に、物語を作るという人々は、僕に限らず、夢を見ている部分があるというふうに思います。それから、テレビ漫画という媒体で作品を発表させてもらったわけです。そうなりますと、まず子供たちを絶望するような物語を作りたくなかったんです。だからニュータイプという言葉を作ったんです。
 そして、その次にあるものが、その前の質問者が言ってたように、人の世というのはこれくらいに異常の部分がであれ、嫌な部分であれ、そういうものも乗り超えられる能力というのを、我々人類が手に入れられるのではないか、そういうニュータイプ論というものが、考えてもいいではないかという本当の夢物語をニュータイプという言葉の中に付け出しました。ですから、簡単に超能力者というふうに規定することは避けたわけです。

ここらへんはまさに創作の真髄であり、富野ワールドの精華でもあると思うが、
インスバイア元になるモノはないわけがありません。
が、ニュータイプという概念をホーーントに作品の根源から考えて、
その世界に深く埋め込んでたからこそ、
ニュータイプが単なるセンスオフワンダー以上の何かを獲得する所為。
悲しいことに、それが分からない人が多すぎて、
本当にどうしょうも無かったパロを延々コピーしてる現状が、今でも氾濫しています。

分かりますか?XX監督とXX監督とXX脚本家とXX脚本家よ!
「人が分かり合える」を書きたいなら、せめてニュータイプ描写レベルに引き上げないと、
描けないんだよ!いや、書ききれないよ!………というのは、厳しすぎます?
まあ、一般な演出家に富野レベルの人間描写を要求するのも無理だったと承知してるが。


Q7:
 監督はいつもオリジナリティの重要性を述べていますが、現在のコミケなどの同人作品はパロディや2次モノをメインコンテンツにしていますし、この前台湾にもいらっしゃった村上隆でも「コピーのコピーのコピーの挙句、そのコピーもいつかオリジナルになる」(注:かなりデタラメな翻訳ですみません)と言いました。監督はこれについてどう思いますか?

A7:
 モノを作ってみたいとか、表現をしたものを人に伝いたいというのは、おおむねの人の持っている欲求ですし、いま我々が手に入れてる技術では、コピーは簡単に作れる技術でもあります。ですから、それを行使して、あ、使いたくなるのが当たり前ですから、いくらやっても構わないというふうに思ってます。
 そして、村上隆さんがそういうことを仰ってることも承知しておりますが、村上隆という、彼の特別な立場で、の発言であって、それが、その発言に乗って踊らされる、我々はどうこうするかどうかというのはまったく別問題です。ですから、村上隆が言った、言っているからいいのではないかという論を取るか取らないかという問題は、間違いなく受け手である我々大衆が判定すべきことであって、ま...あの顔を見たら、それだけ嫌いになります(笑)。

(聴衆、大笑う)

 村上さーん、どうもすみませーん!

(聴衆爆笑)

 えっと、村上さんについて付き加えれば、イデオンのファンであったということも承知しておりますので、とても困ってます(笑)。

(聴衆再び大笑う)

(ここで監督の鶴の一声で、時間を15分延長、舞台の下から拍手の嵐)

村上についてノーコメントですが、
ここ御大の講演は、まさに公演であり、
さすが富野由悠季!としかいえないほど素晴らしいものでした。


Q8:
 『聖戦士ダンバイン』や『リーンの翼』の舞台となるバイストンウェル世界の概念はとてもユニークだと思います。それも監督が仰ったカルチャーミックスでの宗教論の影響に受けて作ったものなんですか?

A8:
 えっと、世界観を作ってる段階で、そういうこと...えー、特に宗教的なフィーリングが、ヒントになってることは事実です。が、実際に創作していくという段階で、机上の宗教的なフィーリングを取り入れることが、正しいのか正しくないのかということは考えました。
 あのー、前と同じお話をしたとおりです。ですから一神教という問題を考えるときに、一神教という考え方、もし絶対神があるとしたら、当然異端も落とさなければいきません。ところが、アジア人の一員である自分としては、やはりそれを取ることができなかった時に、バイストンウェルワールドというものを、人の認識論というレベル、そのフラップな認識論というレベルで構築されてる世界だというふうに考えました。
 ですから、範囲というものをバイストンウェルの場合に設定したときに、自然そのものは神なんだ、という以上の決め方をしなかったということです。つまり、その部分に固有名詞を設定した瞬間に、一神教になってきますから、フィクションの名前を付けることさえ避けました。
 ただ、ある地域の人たちが、その、自然そのものを固有名詞を使って、呼んでいるかもしれないという想像もしています。ただ、えー、現代の段階で言えば、それ以上の作り方、えー、作りこみをしていないというふうに記憶していますが、間違いでしょうか?
 今ひとつ覚えないのですが、なんとなく神の名前を作ったような気がしないでもないが(笑)。

(聴衆、笑う)

ここらへんの細かい設定はどうやら富野もやや記憶混乱のようですね。
『リーンの翼』のときもミ・フェラリオとチ・フェラリオを間違えたし。


Q9:
 監督の作品のオープニングはいつも手を伸ばす表現を使っていますが、これは何かを表現したいのでしょうか?

A9:
 もちろんです!芸能の基本は(手を振る、以下動画参考)。

(聴衆、笑う)

 ですから、手の表現を使わなければならない、ならなくなるんです。一番原理的なことをひとつだけ示しますので、マイクは離しますので、通訳よろしくお願いします。
 この手付きは、少なくとも日本では幽霊なポーズです。

(聴衆、笑う)

 で、これは銭をくれ!金をくれ!みんなのハートをくれ!

(聴衆、大笑い+拍手)

 あのー、今は、今のかたちは本当に原理原則です。そうしますと、その原理原則に則って、どういうバリエーションを付けっていくか、どういう組み合わせを付けていこうかで、あのー、本当、あのー、幾多の表現ができるわけですから、これだけカッコいいと思うな(決めポーズをする)!!!

(聴衆大爆笑)

(通訳終わったあと)

(照れ笑いながら)です。

(余談ですが、監督の口から「原理原則」を聞いたとき、何故かものすごくジーンとする。「ああ、これが生原理原則…」みたいに)


影片: 2008台北國際電玩展實況-富野由悠季-問答節錄


Q10:
 さっき監督はずっと人の未来やこれからの走向を言い続けましたけれども、もっと具体的に言えば、監督はいったいどういう概念を示したいのでしょうか?

A10:
 えっと、難しいコンセプトはありません!あと1万年くらい人類に生き残ってほしいということです。 そのために、我々一般人も、それからトップに立つ人も、何かを考えなければいけないかということをもう少し鮮明的にしなければならないと思って、というだけです。
 そのために、実を言うと、アニメとかコミックという表現媒体は、むしろ実写を使わないために、シンボリックにロジックを伝えることができるという、実は有利さを持っています。その、むしろ有利さを、またその関係者とか現場の人たちは使いきるという能力を持っていないということはとても残念だと思っていますので、自分も含めてがんばっていきたいというふうに思っています。




Q11:
 アメリカについて質問したいと思います。監督はさっき日本のアニメはテーマ性を重視していると言いましたが(注:言ってません)、アメリカのディズニーは「エンジョイ・エブリィボディ」をテーマし、さっき監督が言ってたバカなCGアニメ映画に使って、実写映画の粋をさえ超えまして、テレビにもテーマパークにも進出してたんです。この日本とアメリカの間の違いは何なんでしょうか?

A11:
 僕は1941年生まれです。そして小学校に入るときは、アメリカに負けたという印象しか持っていない人です。ですから、アメリカの文化、それからアメリカの技術は素晴らしいものだということが徹底的に刷り込まれて育った人間です。ですから小学校の頃に、生まれて初めて総天然色のディズニー作品の白雪姫、ピーターパン、ダンボ、を見ました。そして、その作品を見たときに、本当に素晴らしい技術だと思う瞬間に、もうひとつ別のことを気が付きました。「なんでこんなに早く動かなくちゃいけないんだろうか?なんでキャラクターはこんなにもデフォルメーションされるんだろうか?」せっかくこれだけ技術を持ってるのに、全部漫画にしすぎているということを、小学校4年生の時に、つまり9歳...8歳か9歳の時に感じました。
 つまり、技術の可能性は、ようするに見せました。しかし、だけど、なんでこうまで一つの趣向性で、気が済むだろうかということが、とても不思議でした。そして、当面のアメリカのアニメーションの状況でいえば、ディズニーの真似をするような弱小プロも、いくつがあったわけです。そして当時は、そういうものが、その当時は事業として、ようするに...ひょっとしたらまだ新興ビジネスとして、認知されていったり、も、したわけです。
 我々は現在CGのことに関して、これだけ仰るような可能性を、すべて見せられているわけです。 そこで、ハンナ・バーベラ(・プロダクション)になるか、そうでなくて、ネクストFFを作るか(注:次のFFになるか)というのは、やはり自分が根本的に持っている感覚の中で、現状を是とする、全部全部を受け入れて、是とするだけのファンなのか、いや、もっと何かがあるのではないかというふうに想像できるアーティストの違いが現れてくるのではないかと思ってます。
 ハンナ・バーベラとか、FFのことはこれ以上説明しません。

(ほんの少しの聴衆が忍び笑う)

 そして、今の質問者にもうひとつ厳しい言い方をします。「じゃあ、その次のものは何ですか?」というまったく新しいもの。僕には分かりません。そして、それを見つけることができる人は本当のクリエイターなんです。だから、いま名刺にクリエイターとかを書いてる人はクリエイターじゃないです。そういうことです。

(聴衆、笑う)




Q12:
 監督はアニメバブルについてどう思いますか?また、アニメ制作志望者に対してアドバイスをして頂けないでしょうか?

A12:
 アドバイスをしているつもりですから、今日ここまでお話にしてました。あのー、嘘は付いてないつもりです。
 それから、アニメバブルに関しては知りません。ほとんどアニメを見ませんから。そして、だけど実際自分がやる仕事はアニメの仕事やらざるを得ないということですから、もうこれだけで十分です。だからこそ、むしろ付け入れる隙も出てくると思ってますので、アニメ漬けになってる才能、CG漬けになってる才能、クリエイターになれないと思ってます。そうでなくて、「オレはCG漬けになっていて、これだけのものをやってるよ」という人は、まさに特化された才能で、天才なんです。僕は天才に勝てるわけがないから、一緒に仕事をするしかないということです。
 ですから、適当なところでアニメの専門家でいて、それでビジネスが出てくると思ったら、早くやめたほうがいいと思います。つまり、10年後の制作環境はツライですよ。これは最大の忠告です。ただ、僕はそれを30年間言い続けたんですが、また持ってますので、後20年くらい大丈夫かもしれませんね(笑)。ご安心していただきたい。

(聴衆、笑う)

 そういう意味では、まさに映像の時代の、映像媒体が持っているおかげで、確かにチャンスはかなり広がっていることも事実です。ですからこういう環境はありがたいというふうに関係者を持っていただいていいんですが、ともかくよそ者が入り込んで過ぎます。つまり、金を儲けることしか考えないベンチャーの連中って作品のことなど考えてないからねってことはよく承知してます。だから本当にモノを作りたいのは辛い、辛くなるのが分かります。が、さきほどの言ったとおりです。む!!!かしからの話なんです!!!珍しいことではないです!!!ですから、耐え忍んでしかありませんので、頑張ってください。

(拍手の後)

 あの、なによりも皆さん方がいらしたおかげで、こういうふうに台湾に...(失念)頂いて、本当にありがとうございます。謝謝!

(講演会終わったあと、御大とアア子さんは空港に直行、日本に帰る)

お疲れ様でした。もう半年前のことでしたけど、お疲れ様でした。
自分の大事な時間を若い人に分けてくれた富野由悠季総監督、ありがとうございます。
貴重な話をしてくれて、ありがとうございます。
富野監督と一緒に来てくれたアアコさんもお疲れ様でした。ありがとうございます。
もちろん、通訳してくれたK・Rさんもお疲れ様でした。ありがとうございます。
(ちなみに、K・Rさんは台湾に住んでる日本人で、今でも翻訳界で活躍している方なんです。)


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