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井荻麟作詞論 第46回 「天神さんの子守唄」

2014/11/24 04:05|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第46回 「天神さんの子守唄」
 井荻麟作詞論の記事は富野由悠季監督の作詞を語るものです。全部は100回以上の予定です。今日の第46回では、テレビアニメ『ブレンパワード』の挿入歌 「天神さんの子守唄」について語りたいと思います。



天神さんの子守唄
作詞:井荻麟/作曲:菅野よう子/編曲:菅野よう子/歌:勝沼恭子

てんじんさん おねむ
すいじんさん おねむ
おねむの里(さと)の おろちもねんね

 『ブレンパワード』第14話「魂は孤独?」に出てくるこの挿入歌はタイトルの通り、「子守唄」という体裁となっているだけあって、歌詞と曲調からは現実の子守唄とシンクロするところが多く見られる。そういう意味では、独立な要素を持っているものの、現実から取り入れた要素の多さでいえば、井荻麟の曲のなかでもかなり特別な曲と言えるかもしれない。

 とはいえ、タイトルが「子守唄」となっているが、厳密的いうと、子供を寝かしつけるための歌はイコール子守唄じゃないそうだ。ただ、本文は学術的な定義について究明するものではないので、以下のは全て作者の意図に従い、やや曖昧な意味の子守唄で話を展開する。



 子守唄という要素について、少し説明したい。

 まずは歌詞の言葉。この曲は、わらべ歌で多く見られる「ねんねんころりよ おころりよ」という口上から借りている所が多い。いうまでもなく、「おねむ」と「ねんね」が「寝る」の幼児語で、子守唄のなかでも定番の言葉ともいえるものである。そして「ころり」は、「(子供が)熟睡する様子」を表す言葉。全曲は、それらのフレーズを中心となって展開している。

 次に、曲のループ性に注目したい。歌詞と曲の始まりと終わりはまったく同じもので、作曲的な都合で終わりがあるものの、本当は歌として考えるとき歌いたいと思えば、いつまでも曲の終わりから始まりに繋げられる――つまりリピートできる曲となっている。これも、子供を寝かしつけるために、いつまでも延々と繰り返している特徴と共通している。そして歌詞をよく読めば、「お」「ね」「む」という音が全曲に散りばめられて、音韻(リズム)的にもループを醸している。

 また、歌詞の言葉数や曲調に関してもそうだ。少ない単語、シンプルな構成で4拍子というのは、歌いやすいためのものだそうだが、これもやはり古今東西の子守唄で見られる特徴だ。

 旋律や歌詞を聞いてると、ひょっとしたら少々怖い印象を抱くかもしれないが、これも当たり前の話だ。そもそも子供に向いて歌うものなのに怖く聞こえるのにはいろいろ理由がある。歌唱者の気持ちを代弁するとか、子供を怖がらせるためのものとかの部分もあるが、子供が世界の森羅万象に抱く抽象的な怖さを具体的なイメージに落とし込む作用はあるようだ。そういう「おまじない」=呪話的という部分は、やはりマザーグーズなどでもよく見かける世界中の子守唄の共通的な特徴だ。

 これらを考えると、「子守唄」の形式として作り上げた部分は、やはりこの曲が一番苦心を払ってたところだと読み取れる。



 子守唄だと分かる以上、一字一句で解釈するのは実に味気ないものだが、この曲が難解といわれることもあるため、あえてもう少し踏み込んで歌詞の意味を見てみよう。

おろち こわや 海呑(うみの)む こわや

おろち こわや 山呑(やまの)む こわや
おねむでころり てんじんさんでころり

 タイトルにもなっている「天神さん」および対照となる「おろち」はやはり御伽噺などでよく見かける要素だが、単語そのものの意味から見てもよく分からない。しかし、子守唄という意識を念頭に置いて、民俗学的な視点で見れば、もう少し見えてくるものがある。

 すなわち、天神さんもおろちは自然そのものを表すものだ。自然に対する敬畏を表すこととも取れるが、なにより自然の現象を具体的な事象に落とし込むのは人の生きる上の知恵だといえる。天神さんはいうまでもなく、自然そのものの象徴ではあるが、おろち(大蛇)は水害を表すと言われることが多いように、「災害」として理解することが簡単だろう。

 そう考えると、天神さんと対する「地の神さん」と「水神さん」も、特定なものを指すものではなく、天と地・天と水という上下にある対比によっては、世界そのものを意味するものではある。もちろん、おろちが呑む「山」と「海」にしたって、同じ論法で展開されるものだと考えられる。

 そのうえ、あえて無理やり歌詞の内容を本編にリンクすると、「神=人の意思を反映するもの=オルファンが災害=世界破滅を鎮める」という読み方もできなくはない。ただ、劇中でも宇都宮比瑪が子供たちのために歌った曲として登場するが、その使われた部分やタイミングなどの要素を考えれば、本編のストーリーとはそれほど関係があるとは思えない感触がする。だから、この歌詞は物語自体に貢献するよりも、むしろその物語世界に実在する「声」として描かれることによって、物語世界の奥行きを増やす要素(たとえば、比瑪の母性とか)として作用するのではないかと考えられる。



 『ブレンパワード』の挿入歌としての「天神さんの子守唄」を語った。どのみち、わらべ歌という体裁として作られた以上、論理的にあらゆる意味を究めるのではなく、子守唄の帯びえている不条理性をそのまま受け入れるほうが自然であろう。監督・作詞である富野によると、この曲自体は作劇上、特に大した意味がないとも明言したので、あくまで子守唄という体裁を備えている、『ブレンパワード』という作品からやや離れても独立している歌として考えるほうがいいかもしれない。

 余談になるが、歌詞の「おねむ」はごく普通の歌詞だが、あえて「お合歓」として書くこともできる。寝る=合歓は男女の間の情事とも意味するので、ひょっとしたら富野が埋め込んでたささやかな性的要素として見ることもできるかもしれない。


 ところで、富野はかつて講演でこの「天神さんの子守唄」を「本性が出ている歌詞」と言ってたそうだ。また、菅野氏はこの曲はBGM発注のだいぶ前からのオファーだったと発言したので、こういう部分を考えても、この歌詞はいろいろと興味深いものなんですよね。
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