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井荻麟作詞論 第42回「生まれてくるものへ」

2013/12/30 23:00|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第42回「生まれてくるものへ」
 井荻麟作詞論の記事は108回くらいの予定です。今日は第42回で、テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』のイメージソング「生まれてくるものへ」について語りたいと思います。



生まれてくるものへ
作詞:井荻麟/作曲:千住明/編曲:千住明/歌:ACEILUX

母が またもどる ここへ
父の 祈りこめ ここに
この緑の 地平の息吹きを
河の水に たくしてみても
ぼくらの手で 流れを変えた
まだ見知らぬ 君のためにと

 『Vガン』において富野が手がけた主題歌以外の4曲のうち、この「生まれてくるものへ」は唯一挿入歌として劇中に使われてなかった曲で、一般的にイメージソングとして説明されていることが多いが、初めからそういう使い方ではなく、「挿入歌として使われなかったので結果的にイメージソング」という可能性のほうが強いと思われる。その理由については以下で説明する。

 歌詞を見ると、子供に対して語りかける歌という形になっていて、全体的に次の世代へ伝えるニュアンスが強く、そういう意味では同じく『Vガン』の挿入歌であり、前回で紹介した「いつかまた生まれた時のために」と似ている性質と言えるかもしれない。



 とはいえ、同じく「子」に対して語りかける歌でも、この二曲の視点が異なるものとなっている。

 前回の説明を見れば分かるとおり、「いつかまた生まれた時のために」が「母性を謳ってる父性」であるのに対して、この「生まれてくるものへ」では父に対しても母に対しても平等に展開されるゆえ、特にそういった性差的なものが見かけず、単純に「親世代」という括りが「子」を見つめる視点となっている

母が またもどる ここへ
父の 祈りこめ ここに

まだ見知らぬ 君のためにと

 このように、親が子を見守りつつもその成長を期待している、と親子の関係性をストレートに描いていた。全曲の言葉も論理も比較的に平坦的な展開であるから、強迫性を持ち合わせず、読みやすい歌詞となっている。が、この曲が『Vガン』のなかでも比較的に印象薄いのは本編に使われなかったほか、フラットなゆえに失っているインパクトもあるのではないかと感じられる。



 ただ、この曲ならではの『Vガン』らしい特色もある。

この緑の 地平の息吹きを
河の水に たくしてみても

森の木々は 鳥たちを呼び
花と畑は 土をふくらまし

 『Vガン』に登場される地面上の景色を描くような歌詞で、作品の大きなメッセージの一つである「土・大地への回帰」を歌う内容となっている。故郷を両親の存在・思い・祈りをこめている場所とし、子がそこに末永く安住できようと願うような歌詞が繰り広げられる。親である「ボクら」や子である「キミ」だけではなく、キミから未来に百万回に続く子孫の故郷=人類の地球と結びつけることによって、連綿と続く時間や世代の重ね、人の営みをも描いた

 しかし、その期待の後ろにあるものは単純に明るい期待ではなく、むしろ懺悔のような暗い気持ちが感じられる。

ぼくらが背を むけた故郷(ふるさと)でも
君の手なら つくりかえよう

 シンプルな歌詞ながら、「背を向けた」「作り変える」というところから、ガンダム世界において、人類が一度地球を見捨てたことと、人類が汚染や戦争などで自ら地球を無碍してしまったことに対する後悔と自責の念が読み取れる。だからこそ、子供たちには地球を大切してほしい。こうして次の世代に祝福を与えつつ、自分の世代が作り出した過ちを代りに改めてほしいという願いかけは、やはり『Vガンダム』で見かける「世代交代」というメッセージをより強調するものとなっている。

 『Vガンダム』でいえば、やはり「一見まともな大人たちが責任を子供に押し付ける」という構図が目立つ。確かにそれはある。しかし、たとえ親のエゴといわれようと、中にはやはりわが子に対する純粋な思いが含まれているに違いない。そういう意味では、この歌はそんな主人公ウッソの両親であるハンゲルグとミューラを初めとした大人たちの気持ちを代弁する内容と言えるかもしれない。



 余談だが、『Vガン』において富野が手がけた主題歌以外の4曲のなかで、この曲は唯一使われなかったものだった。テーマとメッセージ性が『Vガン』に合致しているけど、結局使われなかったところから鑑みるに、なんらかの理由があると推測できる。

 内容の地球に根ざす描写や雰囲気を見ると、ウッソたちが短期的に地球に戻った3クール目あたりに相応しい歌詞となっている。しかし、実際はそのあたりの話には大人キャラクターが実質的に不在で、その構図をそのまま歌うのにいささか無理がある。また、劇中の展開を見ても、おそらくそのような挿入歌を入れる余裕もなかったんだろう。なので、使わなかったというより、使えなかったというのは正しいなのではないかと推測する。

 ちなみに、歌手ACEILUXをよく知らない方も多いので、ここで少しだけ紹介する。振り仮名は「あきら」で、沖縄出身のシンガーだ。
コメント
はじめまして。
井萩麟作詞を、特に「いくつもの愛を重ねて」を論じてるHPを探してたんですが、丁度次回がそうみたいですね。
コンテンツが豊富で詳細、共感できる内容で出し方もお上手。
次回更新を待ちながら楽しく閲覧させて頂きます。
goby #-|2014/01/12(日) 00:35 [ 編集 ]
gobyさん、コメントありがとうございます。
作詞に関する記事を読んでいただいてありがとうございます。非常に嬉しいです。
次回の「いくつもの愛を重ねて」は全体のなかでも重要な作詞なので、じっくり書きたいと思っております。
出来上がる日には、ぜひgobyさんのご意見とご批評を頂きたいものです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2014/01/12(日) 19:09 [ 編集 ]
はじめまして、失礼します。
考察・解説、面白く拝読しました。
氏の作風はエキセントリックなところばかりを取り沙汰されますが、
「それでも人は困難を乗り越えて生きていける、わかりあえる」(それは素晴らしいことだ)
というメッセージこそが本題だと感じてきました。
ここでの考察は非常にそれをよく汲んでおられて、うんうんと頷きながら読ませてもらっています。

話を「生まれてくるものへ」に戻します。
どうもウッソの両親は、エゴを子に押し付けた親、といった印象があった(または、そう思われていると思う)のですが
こうして歌詞も絡めて見ていると、本来ハンゲルヴとミューラは
「自分たちの世代の過ちを整理した後の世界」をウッソに託したかったのではないかとも思えてきました。
二人ともウッソが戦いに身を置いていることに当初いい顔をしなかった(そのことにウッソは動揺し、不満を持ちましたが)のも、そう考えると少しわかる気がします。

ハンゲルヴが生き延びた?のも、まだ彼にはウッソ(後の世代)たちが新しく生きていく世界にするために出来る仕事がある、ということなのかもしれません。
それにしても、やはり親のわがままが勝ちすぎている感はありますし、もうちょっと子供と話をしてやれよ、とは思いますけど(笑

今年はGレコも楽しみですが、ここでの考察や解釈も楽しみにしております。
どうかお体に気をつけて、末永く続けていかれますよう!
Nire7 #D.fOQoIg|2014/05/14(水) 18:50 [ 編集 ]
Nire7さん、はじめまして。
これからもよろしくおねがいします。
氏に関する感想は、まさしくそうだと思います。

そうですね、実はこの歌は一番ストレートにウッソの両親の気持ちを伝えるものになっていると思います。
本編では展開上使えませんでしたが、逆にそれがウッソの両親を描いているものだからこそ、という見方もできるわけです。
ただ、解説にも書きましたが、どうも生を急がされているところがあって、なかなかせつないものですね。

kaito2198 #-|2014/05/17(土) 00:45 [ 編集 ]
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