富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

TOMINOSUKI / 富野愛好病
http://kaito2198.blog43.fc2.com/

プロフィール

kaito2198

Author:kaito2198
台湾人。
ただのファンです。

twitterは@kaito2198です。

仕事やブログ関係のご連絡は
kaito2198@hotmail.comまでお願いします。

給華文圈之富野由悠季愛好者的一些話
關於本站文章的轉載聲明

富野監督関連資料一覧

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

グーバーウォーク

井荻麟作詞論 第41回「いつかまた生まれた時のために」

2013/11/28 13:39|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第41回「いつかまた生まれた時のために」
 井荻麟作詞論の記事は108回くらいの予定です。今日は第41回で、テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』の挿入歌「いつかまた生まれた時のために」について語りたいと思います。



いつかまた生まれた時のために
作詞:小峰公子、井荻麟/作曲:保刈久明/編曲:karak/歌:karak

教えて私がここに眠る理由(わけ)を
生まれる前から聴こえていた歌を

心に灯る光は何を照らしている
そのぬくもりは時を超え目醒める

 歌詞には小峰公子・井荻麟の二名がクレジットされ、富野が手がけた80曲の作詞のなかでも、唯一連名の後ろに置かれている曲である。

 『Vガン』のほかの作詞に比べて、この曲の言葉づかいが比較的にフラットなもので、小峰によるところが多いと思われる。とはいえ、作詞全体のテーマ性が作品に合致し、構成も小峰のほかの作詞に比べて異なり、むしろ井荻麟の風格が出ていることから、おそらく富野が歌詞を含めた大まかな構成を渡して、小峰が曲を作った同時に作詞を大幅修正したと考えることが現実的であろう。



 この曲の歌詞の意味を汲めば、さしずめ「生の賛歌」であろう。しかし、それだけではない。

教えてあなたが語り続けたこと
天使のかたちに紡ぎあげて夢を

 こうして「生の喜び」に対して歌っていると同時に、「眠る」「開けずにいたページ」「いつかまた生まれた時」などの歌詞で見られるように、「生」の後ろには「死」が厳然に存在している。

 「眠る私」が「いつかまた生まれる」という言葉に困惑する人もいるかもしれないが、素直に解釈すると、これは次の世代のことを言っていると捉えることができる。親が死んでも、子の中に生きているから、子が生まれたら、親もまたもう一回生まれたということになる。人そのものは消えても、思いは消えずにそのまま受け継がれていく。こういうテーマが内包されているからこそ、曲全体に一抹な悲しみと寂しさを感じられるも、圧倒的に生への喜びと祝福が溢れている。

 そういう意味では、この曲の内容はオリファーとマーベット2人そのものを描くわけではないが、劇中の展開を鑑みつつ、テーマを汲み上げれば、オリファーとマーベットのエピソードを描く曲かどうか、話が先か曲が先かというより、両方が同じテーマを描いていると考えているのは妥当だろう。



 さらに、上の「親が死んでも、子が思いを受け継がれる」というテーマを考えると、この歌詞は実に興味深いところがある。

 歌詞自体には「私=男性、あなた=女性」しか出てこなかったが、明言していないものの「いつかまた生まれる存在=子」の要素を加味すると、「私=父、あなた=母、いつか生まれる存在=子」ということになる。

教えて私がここに眠る理由(わけ)を
生まれる前から聴こえていた歌を

いつかまた生まれたとき
この想い忘れないように
星たちをめぐる記憶
私の中生き続ける

 しかし、眠る=死んだのも私、また生まれるのも私という同一化の構図で考えると、死ぬのは必ずしも父でなければならないことになるし、母もまた必然的に生き残って子供を産む人になる。一見、親が子供に対してやさしく囁く言葉が満ちている歌詞だが、こうした男性が父になった後に死に、女性が母になって子を産んで育つという一種の強迫概念は潜んでいる。その構図にはいびつな思惟が入っていないものの、非常に男性原理的な作詞と言えよう。作者の要素をあえて論じるまでもないが、当時富野の年齢と心境を考えれば、無理もないことだろう。

 そういう意味では、この「いつかまた生まれた時のために」は隠しているところでは非常に『Vガンダム』という作品そのものを象徴している作詞と言えよう。さらに想像を逞しくすれば、非常に男性的だった歌詞がこれほど女性的な曲に聞こえるのは、ひょっとしたら小峰氏の歌詞と歌声があるおかげなのかもしれない。



 最後になるが、さっきも言ったが、歌詞をよく聞けば「死」の匂いを濃く感じ取れるけど、圧倒的に「生」への喜びの前、「死」の悲しさもだいぶ抑えられる。また歌詞の意味をストレートに取れると「死」を「再生」と感じちゃうことも決して不可能ではない。そういう生と死の間に潜んでいるエロスは、確実に存在している。

 しかし、死のエロスの発露は富野作品のなかでも時々見られるモチーフだが、富野は決して死を謳うわけではなく、むしろ死を乗り越えられるような生が尊いと観客に訴えている。歌詞自体と関係ない話だが、このへんだけは決して間違ってほしくない。


 余談ですが、「いつかまた生まれた時のために」は劇中では二回使われています。1回目は第30話『母のガンダム』、ウッソの母ミューラが寝てるウッソに独白するシーンで、2回目は第32話『ドッゴーラ激進』、オリファーの宇宙葬のしシーンです。当たり前ですが、両方とも子供と母が絡んでいる場面です。


機動戦士Vガンダム SCORE 2機動戦士Vガンダム SCORE 2
TVサントラ,karak,小峰公子,千住明

キングレコード
売り上げランキング : 67045

Amazonで詳しく見る by AZlink

GUNDAM SONGS 145GUNDAM SONGS 145
アニメ主題歌

Victor Entertainment =music=
売り上げランキング : 12306

Amazonで詳しく見る by AZlink
コメント
こんにちわです。
Vガンダムは男にとってに優しい母性や逆に男を縛り付ける支配的な母性など様々な「母性」の形が描かれるわけですが、母性を謳ってる父性に視点で描かれている曲というのは云われてみるまで気が付きませんでした、「家族論」の本でも生まれてきた子供にとって父性と母性の両方のバランスが大事だというのは富野さんがいろんな所で語られてますね。

なんかいつもにも増して散文的なコメで失礼しました。
千秋クリストファ #-|2013/12/01(日) 14:01 [ 編集 ]
千秋クリストファさん、コメントありがとうございます。
最近精神が低調なので、ついに放置してしまいました。ここでお詫びします。

そうですね、いろんな意味で富野作品は本当の母性を手に入れたのはブレン以降にまたなければならないと思います。
この傾向は、歌詞にも表していると指摘するのはこの記事の意図の一つでした。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/12/09(月) 02:29 [ 編集 ]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://kaito2198.blog43.fc2.com/tb.php/1401-db7c70d0

ブログ内検索

なんとなく富野商品

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

まともに機能しなくてすみません。これからゆっくりペースで直します。

RSSフィード

FC2カウンター

富野監督作品一覧

  • 海のトリトン
  • しあわせの王子
  • 勇者ライディーン
  • ラ・セーヌの星
  • 無敵超人ザンボット3
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • 機動戦士ガンダム
  • 伝説巨神イデオン
  • 機動戦士ガンダム(劇場版)
  • 機動戦士ガンダムⅡ 哀戦士編
  • 戦闘メカ ザブングル
  • 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編
  • 伝説巨神イデオン・接触篇 -A CONTACT-
  • 伝説巨神イデオン・発動篇 -Be Invoked-
  • 聖戦士ダンバイン
  • ザブングル グラフィティ
  • 重戦機エルガイム
  • 機動戦士Zガンダム
  • 機動戦士ガンダムZZ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • 闇夜の時代劇 正体を見る
  • バイストンウェル物語 ガーゼィの翼
  • ブレンパワード
  • ∀ガンダム
  • 劇場版∀ガンダムⅠ 地球光
  • 劇場版∀ガンダムⅡ 月光蝶
  • OVERMAN キングゲイナー
  • 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-
  • 機動戦士ΖガンダムⅡ A New Translation -恋人たち-
  • リーンの翼
  • 機動戦士ΖガンダムⅢ A New Translation -星の鼓動は愛-
  • RING OF GUNDAM
  • ガンダム Gのレコンギスタ
  • 富野参加作品一覧

  • 鉄腕アトム
  • 戦え!オスパー
  • リボンの騎士
  • 巨人の星
  • アニマル1
  • 夕やけ番長
  • 海底少年マリン
  • どろろ
  • 紅三四郎
  • 巨人の星対鉄腕アトム
  • おらぁグズラだど
  • 男一匹ガキ大将
  • ムーミン
  • シートン動物記
  • 赤き血のイレブン
  • アタックNo.1
  • あしたのジョー
  • 男ドアホウ!甲子園
  • 昆虫物語 みなしごハッチ
  • さすらいの太陽
  • 天才バカボン
  • ふしぎなメルモ
  • 新・オバケのQ太郎
  • 国松様のお通りだい
  • いなかっぺ大将
  • 正義を愛する者 月光仮面
  • アニメ・ドキュメント ミュンヘンのへの道
  • モンシェリCoCo
  • ハゼドン
  • ど根性ガエル
  • けろっこデメタン
  • ワンサくん
  • 山ねずみロッキーチャック
  • 侍ジャイアンツ
  • 新造人間キャシャーン
  • アルプスの少女ハイジ
  • ゼロテスター
  • 昆虫物語 新みなしごハッチ
  • 小さなバイキングビッケ
  • 宇宙戦艦ヤマト
  • 破裏拳ポリマー
  • フランダースの犬
  • 母をたずねて三千里
  • アンデス少年ペペロの冒険
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ゴワッパー5 ゴーダム
  • ろぼっ子ビートン
  • あらいぐまラスカル
  • 合身戦隊メカンダーロボ
  • 超電磁マシーン ボルテスV
  • シートン動物記 くまの子ジャッキー
  • ヤッターマン
  • ペリーヌ物語
  • 闘将ダイモス
  • 未来少年コナン
  • とびだせ!マシーン飛竜
  • まんが日本昔ばなし
  • 宇宙魔神ダイケンゴー
  • 赤毛のアン
  • 科学忍者隊ガッチャマンⅡ
  • ザ・ウルトラマン
  • 宇宙大帝ゴッドシグマ
  • ルパン三世(TV第2シリーズ)
  • 新世紀GPXサイバーフォーミュラ
  • 銀河漂流バイファム
  • ママは小学4年生
  • GUNDAM EVOLVE 5
  •  |  富野作品感想 | 富野由悠季関連 | 井荻麟関連 | 富野情報 | 富野雑談 | レビュー | ブログ運営 | 日常話 | 未分類 | 給華文讀者 | Gのレコンギスタ | 
    Copyright(C) 2007All Rights Reserved. TOMINOSUKI / 富野愛好病
    Powered by FC2ブログ.
    template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.