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井荻麟作詞論 第37回 「君を見つめて-The time I'm seeing you-」

2013/08/31 19:23|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第37回 「君を見つめて-The time I'm seeing you-」
 井荻麟作詞論の記事は100回以上予定です。今日は第37回で、劇場アニメーション『機動戦士ガンダムF91』のイメージソング「君を見つめて-The time I'm seeing you-」について語りたいと思います。



君を見つめて-The time I'm seeing you-
作詞:井荻麟、茂村泰彦/作曲:茂村泰彦/編曲:門倉聡/歌:森口博子/コーラス:広谷順子、RAJI

暗闇に走る君は 自分を傷つけ
帰る家さえ見失う
私の胸で眠れ

 『逆襲のシャア』に続いて、富野由悠季がガンダムシリーズのリスタートとして、引き続き『F91』を作ることになったが、そのときに合わせて作られた曲のうちの一つは、この「君を見つめて-The time I'm seeing you-」だ。

 もともと主題歌として作られたが、のちに「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」が監督の富野由悠季の判断で主題歌として収録されることになったため、この曲が結局イメージソングというポジションに落ち着き、あくまでCMなどで使われていた。

 歌詞は井荻麟、茂村泰彦の共同名義で、井荻麟の作詞においては二曲目の連名だ。明確に茂村氏が手がけたと確認できる部分は英語関係のみだが、全体の歌詞が井荻麟単独名義の曲に比べて幾分マイルドになっているため、そのほかにも細かい手入れがあろうと思われる。



 さて、歌詞を読んでみると、一つの特徴が見かける。それは、歌詞の雰囲気といい、内容といい、曲を含めて全体的に非常に王道的なものとして仕上げられている。

もしも今この世界が 消えてもきっと君は
戦いが正義と信じ
走り続ける

次に何をやればいい? 見つけた時にもしも
輝く勇気があれば 明日が来るよ

 ボーイミーツガールもあれば、戦いの辛さと意志の強さ、勇気や正義、そして希望もある。これらの王道的な要素は丁寧に歌詞の至るところに散りばめていて、歌詞の構成に井荻節が出ている部分もあれど、難しい理解を要する内容は一つもない

 そして、歌詞のなかには今までの宇宙世紀もといガンダムシリーズが掲げた問題意識の継承は見られず、むしろ旧来のガンダムと異なる関係性が立ち上げられるように感じられる。『F91』もともとはガンダムの仕切り直し(宇宙世紀ガンダム第2期)として企画され、その後もテレビシリーズが控える予定だったが、そうした予定がもたらした意識が、この曲にも影響した可能性は十分あると考えられる。



 以上の説明の通り、男の子と女の子が共に走るというモチーフは今までのガンダムシリーズには存在しないし、この歌詞が掲げた雰囲気のなかでも、従来シリーズの問題意識が継承されていない。上手くやりようでは、新しいスタートとして成功することもできよう。

 しかし、これもまた不幸なところである。

 旧来のガンダムシリーズは「男の子と女の子が共に歩いていく」を主軸に置いていないものの、視聴層構成の性質上、やはり主人公の少年に周りにいる少女という配置が一貫している。また、「もがきながらも前へ進んで、そしてやがて新しい希望を見つける」というモチーフは、すでにニュータイプという要素に含まれている。いわば、新しく打ち出した要素は確かに今までに無いものだが、広義的に解釈すれば、全部が従来のシリーズに含まれている旧要素だったという見方もできる。

 監督の富野、そして作詞の井荻は、おそらく旧作(この場合、作品と作詞のこと)においても新作においても、あえて固く作り込みをせず、むしろやや曖昧で普遍性があり、広い想像力を喚起させるような作りに気をつけているが、そうした意識は、むしろこの新シリーズの仕切りを妨げ、新シリーズを結果的に旧シリーズと酷似するものにしてしまった。

 その結果、この曲にしても、『F91』の本編にしても、新しい要素を提示したようで、それらを鮮明に顕在化できなかったため、結局何一つ新しい要素を提示できなかった。いわば、丁寧だけど中途半端。そういう意味では、この「君を見つめて-The time I'm seeing you-」は非常に『機動戦士ガンダムF91』という作品を象徴する曲とはいえる



 ところで、「君を見つめて-The time I'm seeing you-」はその経緯から、「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」と主題歌の座の争いに破られ、今のポジションに落ち着いたイメージがあるようだ。確かに単純な出来にしても、後者のほうが良かったのは事実だが、それ以外にも一つの決定的要素があると思われる。

 「君を見つめて-The time I'm seeing you-」を聞くと、一つだけ非常に映画のテーマ曲として似合わないというか部分がある。この曲は、あまりにも前進的な気分が込められているからだ。そのため、曲自体は映画本編を包括していなく、むしろ映画本編の範疇を越えているものとなっていた。新シリーズの始まりならともかく、映画単品の曲としてならば、やはり「ETERNAL WIND」のほうが遥かに相応しい雰囲気を持っている。

 その原因は、やはり『F91』は新シリーズ、それもテレビシリーズの始まりになるかもしれないという意識が作動したと思われる。それについて感嘆と思う人も多いでしょうけれど、逆にこの曲を聴けば、富野が想定する宇宙世紀ガンダム第2期の雰囲気を分かるかもしれない。


 今回の記事を読んで「『F91』が新しい要素を作り損なった」と思う人はいるかもしれませんが、むしろ「ニュータイプという従来の要素が強すぎた」という読み方もできます。その感嘆は、実は高橋良輔監督が『Vガンダム』に抱いているものと非常に似ているかもしれません(有名の「Vガンにもう一つ何か新しい要素があれば、エヴァの出番は無かった」という発言)。

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コメント
>丁寧だけど中途半端。
F91は映画作品じゃ無くて
セクシーアイドルラフレシアちゃんの
プロモーションビデオですからね。
3倍の名無しさん #5UFwrKuI|2013/09/03(火) 00:16 [ 編集 ]
仰る意味は分かりますし、悪意がないと思いますが、それでもF91はいい映画だと思います。
記事に書いたのは、あくまでシリーズ全体においての立ち位置の話です。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/09/03(火) 01:57 [ 編集 ]
実は日本の冬って寒いから、ブレンのエンディングで
ともし火って映像でどう表現しよう」と思って、
「そうだ赤道のラフレシアだ」って発想する感覚は結構分かるんですよね
3倍の名無しさん #rauee/mo|2013/09/03(火) 04:54 [ 編集 ]
歌詞との連動とはすごい指摘です。ありがとうございます。
私もラフレシアはあえて最後に持ってくるものだと感じていましたが、歌詞との関係もあるかもしれないですね。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/09/06(金) 12:27 [ 編集 ]
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