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井荻麟作詞論 第34回 「銀色ドレス」

2016/01/13 20:33|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第34回 「銀色ドレス」
 井荻麟作詞論の記事は100回以上予定です。今日の第34回では、テレビアニメ『機動戦士Zガンダム』の挿入歌「銀色ドレス」を語りたいと思います。



銀色ドレス
作詞:井荻麟/作曲:馬飼野康二/編曲:馬飼野康二/歌:森口博子

僕を見つめてた 蒼い瞳
ある日 突然に 消えてしまう

 この曲は森口博子氏デビューのシングル、かの有名の「水の星へ愛をこめて」のカップリングとして作られ、挿入歌としても20話で使われるものである。本編で使われたのは1回きりのわりに、名エピソード「灼熱の脱出」に森口氏の無垢な歌声に相まって、かなり印象深いものとなっている。

 ファンの界隈を見ると、この曲は時折「意味不明」と言われているが、それはわかる話。構成の難解、言葉の飛躍などもそうだが、一番の原因はおそらく視点の曖昧さにあると思う。女性歌手が歌う曲でありながら、男性一人称の「僕」を使いながらも、女性が使うような語尾もある。それでいて、「君」に対して呼びかけている。ではこの曲はいったい男性か女性か、果たしてどの視点で、誰が誰に対して歌っているものなのだろうか。

 それもあって、井荻麟記事は原則的に本編との関係性を語らないが、特に抽象的で難解なこの曲に対して、今回は本編で使われたモチーフ、すなわちカミーユとフォウの関係性を借りて説明したいと思う。二人にフォーカスすることで、色んなものが見えてくる。



こんど出会えれば 間違わない
良い日であったと 抱き合うだろう

 歌詞を見ると、カミーユがシンデレラのようにいきなり出会い、いきなり消えるフォウに対して、次回も会えたら、今度こそは…という内容になっている。ひどく情熱を感じられるものである。しかし、本当にそういうものなのだろうか。

今日という刻(とき)は 忘れないで

涙はもう 渇ききって 
夢などにはとらわれず

 というのも、二番目の歌詞を見れば、おそらくカミーユ本人もすでに自分のシンデレラに会うのが不可能だと察したからこそ、そのような別れの言葉をフォウに残すのであろう。このように明るい雰囲気のなかで、切ない別れを歌うものとなっている。

 しかし、Bメロを見ると、また別な視点を発見できる。

ドレス着て 明日にむかう心を 
いつまでも 暖めておくわ

小さい僕に こだわらないで

 20話を見れば分かるとおり、「過去」にこだわっているフォウが、「未来」を作ろうというカミーユを宇宙に送り出す。となると、この歌詞はカミーユがフォウに送る別れの歌であると同時に、フォウがカミーユを見送る内容でもある。

 二人とも蒼い瞳(髪色も濃淡の差があるが同じ)を持っているし、「出会ったひと時の奇跡」という意味では、やはり二人にとって同質である。つまり、やや飛躍する解釈になるかもしれないが、カミーユにとってフォウはシンデレラである同時に、フォウにとってはカミーユもまたシンデレラである。こうして、「ドレス着る」などの言葉に囚われずに、ユニセックス的な視点から吟味すると、いろいろなものが見えてくる。



小さい僕に こだわらないで

 この言葉が実に興味深いなのは、フォウがカミーユに諭すものだとすれば、フォウという小さい僕(フォウ自身)のことにこだわらない意味も、カミーユという小さい僕(カミーユ自身)のことにこだわらない意味も同時に存在している。下の歌詞に合せると、「過去を振り切って、未来を作ろ」というメッセージは一目瞭然だ。

新世紀 開き 宇宙(そら)に求めたりするのは
やめよう
銀色のドレスをまとって

 銀色ドレスがどういうものなのか? それは固定な解釈をつけられないし、付く必要もない。宇宙にある無数な星という綺麗な風景のことかもしれないし、シンデレラであるからには、(モビル)スーツに対しては、女性がドレスを着るものという発想もできる。しかし、この綺麗なイメージの後ろにあるのは、厳然なる「死」の匂いなのだ。

 本編にも「カミーユ…空へ!」というセリフがあるように、フォウはカミーユを送り出す役割を背負っている。しかし、前述のとおり、歌詞ではこれが二度と会えなくなるような別れと仄めかしている。その原因ははっきりで、フォウの手はすでに濡れていたからだ。 何によって濡れたかは誰もか知ってるが、あえて明言しない曖昧さはまさに井荻麟の憎いところである。

濡れた手を拭いて 全てすむと 
君が思うのは いけないけど

 このような言葉を明る過ぎるほどの曲のなかで展開されるから、逆に恐ろしい。そしてそのような状態での別れだから、今生の別れ=死別だと予感させる。そういう視点から見ると、次の歌詞は別の意味を帯びることになる。



新世紀 開き 宇宙(そら)に求めたりするのは
やめよう 
銀色ドレス

新世紀 掴み 生命(いのち)生まれて 
時代(とき)の流れに乗る 
銀色のドレスをまとって

 「宇宙に求めることをやめよう」という歌詞は、劇中のフォウがカミーユを宇宙に送る行動と「カミーユ…空へ」というセリフに矛盾している。が、一番目と二番目をつないで見ると、「新世紀は宇宙(そら)に存在してなく、ただ時代(とき)にあるから、新しい場所を求めるのではなく、ただただ時の流れに身を任せよ」と解かすこともできる。そして、未来を目指して共に宇宙に上がと求めるカミーユに対して、過去に縛られたフォウが伝えた話だとすると、このニュータイプ的な直感というより死ぬ間近の悟りみたいな言葉には、言葉以上の意義が付随される。

 すなわち、唯一ありのままの自分を受け入れてくれたフォウが優しくかけたこの言葉と裏腹に、フォウを失ったあとのカミーユは、ひたすら他人(シャアやエマなど)に応えるべく自分を無理にしている――つまり時代の流れに逆らっていて、精神をすり減らしていく。そして最後、悪しき時代の申し子という象徴であるシロッコと対決して、自らの精神をぶつけて崩壊した。これはあらかじめカミーユの運命を示したものだとすると、まさに時代(とき)の涙ほかない。

 「銀色ドレス」という曲は綺麗だ。森口氏の無垢なる歌声とフォウというイノセントなキャラ造型を含め、そのユニセックスな倒錯感と明るさの後ろにある死の予感などの要素が、この曲を透明で綺麗な青いピュア色に与えた。それでいて、この曲はOPやEDと違い、その雰囲気や内容の意味が作品世界全体に及ぼすことがなく、ただひたすらカミーユとフォウの二人の間で完結している。そういう意味では、この曲はまさに二人だけの「密会」である。
コメント
前略 お久しぶりの大塩です。

 私も富野の歌詞を論じた記事で、「銀色ドレス」に言及しました。当時は出来るだけ多く紹介したかったので、論点を示しても結論が曖昧と確認。
 私が一曲通して聴いたのは「GANDAM SINGLES HISTORY」をLPで買った時ですが、すぐに富野由悠季のガンダムファンへの宣告と理解したはずで。
 前回も指摘した「小さい僕に こだわらないで」は、「俺(つまり富野自身)の作るものから卒業しろ!」と私は考える。また当時指摘しそこなった二つ目は、以下の部分で。

新世紀 開き 宇宙(そら)に求めたりするのは
やめよう


 つまり宇宙世紀の物語のガンダムシリーズなのに、富野は既に「希望としての宇宙」は(物語として)拒否すべきと考え、「現実としての大地」を問題にすべきと、Ζの視聴者に宣言したと推察でき。もちろんガンダムで考えていたとしてもVとは違っていたはずですが、富野の先見の明に今更驚いた次第。草々
大塩高志 #/5LHBRow|2016/01/13(水) 23:05 [ 編集 ]
回の順番を飛ばされ、
「このまま亡き回にされてしまうのか…」と
不安に思っていた『銀色ドレス』の回、とうとう上梓されて
うれしいかぎりです。

カミーユ(も)=シンデレラ説は面白いですねぇ。
「なんだ、男か」のカミーユだからこそ!?
(どーでもいいですが、そういえば一番似合いそうなカミーユは女装してないんですね。
 ジュドーまでしたのに。)

原則から外れて、本編との関係で語られた本作ですが、
このような語られ方が出来るくらい
「あのシーンのために作られた」と言えるような歌だったのだな、
とあらためて思います。
実際、曲があって、あのシーンに当てられたのか、
あのシーンのために曲が作られたのか、
すごく興味があります。
(曲が先にしても大枠のイメージはあったと思いますが…)

ファーストの挿入歌『いまはおやすみ』も似たような構成の印象をうけますが、
『銀色…』の方が、どこか若々しい青春ぽさを感じるのは
Zという作品のせいなのか、カミーユとフォウの同世代の恋からなのか。
(もちろん曲調がありますが)
まそ #-|2016/01/15(金) 10:43 [ 編集 ]
井荻麟さんが書いたものであり、同じく森口氏が歌う「水の星へ愛をこめて」は全面的にフォウを出してると思うと、
このカップリングも似たようなコンセプトで展開されるものなのでしょう。

なので、カミーユとフォウ的な気分で書いた作詞に違いないと思います。
kaito2198 #-|2016/01/15(金) 11:28 [ 編集 ]
そのような読み方も間違いなくできると思います。
ご指摘のとおり、Z以降のニュータイプ論を監督の自家中毒だと思っている人もいますが、
歌詞からもらした気分を見ると、あくまで表現法の違いでしかないと分かるはずです。
kaito2198 #-|2016/01/15(金) 13:38 [ 編集 ]
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