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井荻麟作詞論 第30回「スターライト・シャワー」

2013/05/14 00:32|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第30回「スターライト・シャワー」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日は第30回で、テレビアニメ『重戦機エルガイム』のエンディングテーマ「スターライト・シャワー」について語りたいと思います。



 歌詞に入る前に、作品自体について少しだけ説明させていただく。

スターライト・シャワー
作詞:井荻麟/作曲:筒美京平/編曲:松下誠/歌:MIO

なぜ 彷徨(さまよ)うのか
なぜ 求めるのか
確かなものをと 見つめればいい

 『重戦機エルガイム』は富野由悠季監督が1982年から1984年にかけて作った「異世界三部作」の最終作で、この作品が富野にとって色んな意味でターニングポイントとなる作品だった。記事の主旨ではないので他の部分は省略させてもらう。作詞においては、この作品は井荻麟が初めてオープニングテーマの歌詞を書かなかったアニメであった。いや、正確に言うと、オープニングテーマの歌詞を書くことを手放したのだ。

 オープニングテーマを手放すことが、作品においての富野由悠季にとっても歌詞においての井荻麟にとっても、ただならぬことであった。この出来事の裏には、当然商業的思惑が入っていた。そういう意味では、商業的価値が比較的に少ないエンディングテーマが富野の手元に残っていたのはせめての救いなのだが、それでも『エルガイム』という作品に落とす影はもういうまでもない



 ところで、この井荻麟作詞論の一連の記事では、今まで井荻の作詞は作品の外でも聞く/読む/楽しむことが可能だと再三示し続けてきた。しかし一方では、OP/ED/挿入歌は作品なしに成立しようがないこともまた事実である。このことを端的に示したのは、この「スターライト・シャワー」だ。

 前二作の『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』と違って、本作のOP1もOP2も富野によるものではなかったので、今までの方法論――つまりOPで世界観と方向性を提示する手法――はできなくなった。そのため、この「スターライト・シャワー」がその役割を負うことになっているが、EDだけでそれを達成するには、とても役者不足といわざるを得ない。

 歌詞を聴くと、この曲はダバを初めとした若者たちの旅の内面を描くものだと分かるが、そういった要素は肝心な本編では上手く見せなかったので、作詞面で描かれていながら、実際に本編にフィードアックできる内容は何も無かった。本編とのかみ合わせという意味では、このしんみりな歌詞と曲は結局空回りして、ただの叙情曲として終るしかなかった。



 少しだけ歌詞を見ましょう。

いつ 目覚めるのか
いつ ひらくのかと
待っているだけの 寂しさならば
疲れた心に インライト
トルゥライト シャワー

 曲全体の雰囲気もそうだが、歌詞を吟味すると、「あても目指す目標もなく、ただただ漠然と果てない旅をして、何かを探し続ける若者」というものを描いているのを分かる。「なぜ」「いつ」と自問しつつも、答えが見つからないままで歩く続けるしかない辛さと寂しさは、歌詞の節々から読み取れる。

 それでも、若者が歩き続けていられるのは、星空の光(スターライトシャワー)に救われたからだ。決して大きくないけど静かに輝いているその光が、ひっそりと若者の内なる心の灯(インライト)を点し、真実を目指す光(トルゥライト)を授けてゆく。スターライト→インライト→トルゥライトは単に「ライト」という単語で音韻を作るだけでなく、その言葉の推移も実に素晴らしいものだ。

 そういう意味では、このEDはこの時期のOPほど物語性を持っていないものの、「周りが真っ暗、満天の星だけが頼りという夜空の下で、暗い道を走り続ける若者は、星のやさしい光に癒されて、自分の心のなかの灯火を点す」というような情景や想像が、歌詞のなかに秘めている。



 井荻麟作詞論の記事では、今まで何曲かやや不発(失敗)に終った歌詞を取り上げたこともあるが、この「スターライト・シャワー」という歌詞に限っては、「作詞家・井荻麟」に非は無く、むしろ「監督・富野由悠季」の責任だといえる。そういう意味では、これは「戦ひの罪に非ざるなり」と言える一面もある。

 とはいえ、作品の世界観とイメージを永野護に譲り、ストーリーを渡邊由自に任せ、自ら演出のポジションに留まった監督の富野が『エルガイム』という作品に対して、ほぼ唯一俯瞰的な視点から解釈した貴重な素材なのではないかと読み取ることもできる。そういう意味では、この歌詞で描かれた雰囲気こそは、富野が『エルガイム』に対する直接的なイメージだといえるかもしれない。


 ちなみに「スターライトシャワー」はこのEDのタイトルだけでなく、そのままMIO氏のファーストアルバムのタイトルにもなっています。もちろん、曲も収録されています。

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コメント
毎度失礼いたします。波のまにまに☆でございます。

本文中でご指摘の通り、この曲は富野監督が物語世界を語らずに、印象論だけで作詞した曲だと思えます。実際、「エルガイム」で富野監督が自分で集めたスタッフに対して、強権発動もほとんどせずに作品作りが進んでいった作品で、できる限り自分以外のスタッフの意見を最大限取り上げようとした作品だと聞き及びます。1話のはつらつとして田舎を飛び出した、意気揚々のとしたダバとキャオの二人に、富野監督の意匠がかろうじて残っていたとは思います。が、それ以降できあがった作品を見れば、スタッフに口出しすることもできずに、鬱々として方向性も定まらないままに迷走を続けたようにみえる「エルガイム」という作品は、後半に強権発動してもどうにもならないところまでいってしまった後悔すら感じてしまいます。監督の鬱々とした気分は、そのまま正気に戻らないクワサンを抱いて田舎に引きこもってしまうしかなかったダバの最後にかぶるような気がしてなりません。

たぶん、富野監督にとって、この作品は「総監督」とは名乗っていても、実質的な手作業をほとんど行っていなかったため、空々しいものに感じていたんじゃないでしょうか。その空々しさが、この曲の歌詞の中身の不可思議さにあるような気がします。

なお、この曲、監督が詞を先に書いた「詞先」で作られたんでしょうか、それとも曲が潜行して作られた「曲先」だったんでしょうか? もし詞先だとしたら、まさにその時の気分が曲に反映されたモノだと思えるし、曲先だとしたら作曲家が監督の気持ちを代弁したようにも思えます。
波のまにまに #-|2013/05/16(木) 18:43 [ 編集 ]
波のまにまに☆さん、コメントありがとうございます。
確かにエルガイムのそういった性質が曲にも波及を及ぶのではないかと考えています。
実際の状況はよく知りませんが、
少なく私もこの作詞が富野監督によるものではないことは大きかったのではないかと思います。

なお、一応これらの記事では詞先か曲先を判明する場合は明記します。
作詞の話にも絡んでくると思いますから。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/05/17(金) 16:03 [ 編集 ]
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