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井荻麟作詞論 第29回「みえるだろうバイストン・ウェル」

2013/05/01 20:44|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:8
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第29回「みえるだろうバイストン・ウェル」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第29回では、『聖戦士ダンバイン』のエンディングテーマ「みえるだろうバイストン・ウェル」について論じたいと思います。



みえるだろうバイストン・ウェル
作詞:井荻麟/作曲:綱倉一也/編曲:矢野立美/歌:MIO

みつめてごらんよ
あなたの中の 宝石箱を
そこに隠れている
小さい頃の 思い出色は

 オープニングが勇ましい曲なら、エンディングは情感を訴えかける曲という定番のとおり、この曲「みえるだろうバイストン・ウェル」はOPと同じくMIOというパワフルな声を持つ歌い手による曲でありながら、穏やかで安らぎを帯びている歌となっている。この時期の井荻麟作詞のレトリック「世界観ありき」に則って、OPと同じくダンバインの世界観を描くものとなっているけど、この曲からはついに「バイストン・ウェル」作品世界そのものがタイトルまで浮上してきた。

 固有名詞で見ると、OP「ダンバインとぶ」では「オーラロード」「オーラバトラー」などの単語が出てくるが、それらの造語は既存の単語の組み合わせというある種の単純明快さを持っているのに対して、ED「みえるだろうバイストン・ウェル」ではたった一つの単語「バイストン・ウェル」が出てくる。これが世界のどこにもないまったくの造語である言葉を考えると、緩やかな情緒と長い尺でじっくり「バイストン・ウェル」という要素を描くことも頷ける。

 このへんから見ても、『ダンバイン』のこのEDは、『戦闘メカ ザブングル』『重戦機エルガイム』と同じように世界観ありきという大きな方針を則りつつも、OPで示した「バイストン・ウェルそのものが主役」という監督・富野由悠季の方向性が一貫している



 気になるのは、この歌詞には一つ特殊なところがある。

みつめてごらんよ
あなたの中の 宝石箱を

目を閉じてごらん
あなたが編んだレェスをすかし

あなたにこたえる
潮の流れの 変わりめがある

 「あなた」という歌詞が何度も出ている。「あなた」は決して珍しくない言葉だが、この言葉と曲の内容から察するに、これは直接視聴者に訴えかけるものだと読み取れる。しかし、このような視聴者に直接訴えかけるのは、ひょっとしたら井荻麟作詞のなかでも唯一の一曲かもしれないので、非常に特殊かつ稀有な作り方だと言えるかもしれない。

 内容を聴けば、子供頃の思い出が大人にとっての宝物だ、という話を歌うものだと分かる。

あこがれていた 赤と黄色の
眠り忘れる ときめきでした
思い出せない そんなことない
少し扉を ひらくだけです
バイストン・ウェル のぞけます

 そして、そのような美しく懐かしく素敵でかけがえのない思い出の景色は、人々の心の糧になり、心を豊かにしてくれる。そう、本編で聴いたあの語・り・か・けと同じように、だ…。

 バイストン・ウェルの物語を憶えている者は、幸せである。心豊かであろうから…
 私達は、バイストン・ウェルの記憶を記されてこの世に生まれてきたにもかかわらず、思い出すことのできない性を持たされたから…
 それ故に、ミ・フェラリオの語る次の物語を伝えよう…

 なので、やや曖昧な形ではあるが、バイストン・ウェルという世界が「現実」と「ファンタジー」を繋がっている根本的な構造を、物語でではなく、曲の形式で語っているのではないかと考えられる。この詞は決してただ叙情的なものではなく、バイストン・ウェルという大きな形式を構成する大切な一ピースだ。それを作詞に落とし込めたのは、間違いなく作詞者が監督の富野だからこそできたことだ。



2015年6月13日修正
 ところで、この歌詞には同じく長年話題になっている歌詞がある。

あこがれていた 赤と黄色の
眠り忘れる ときめきでした

 本放送では平仮名で「あかときいろ」と書かれたこの詞だが、ブックレットでは「赤と黄色」と書かれているため、そのように受け取る方も多いでしょう。しかし、「あかときいろ」としか書かれていない本編のフィルムから考えると、別の考え方もできる。つまり、「暁(あかとき)色」というものだ。暁の読みが今だと「あかつき」になるが、古語だと「あかとき」という読み方もあったので、この表現を借りることも考えられる。

 さらに、やや強引に誤読すると、「赤朱鷺色」という読み方も可能かもしれない。赤と朱の色調はダブってるじゃないか、というツッコミは今にも聞こえようだが、

トキの風切羽の色である。やや紫に近い淡いピンク。

 色に関する資料を見れば、朱鷺色というのはこんなもの。そしてインターネット上で見れる朱鷺色は、これである→。つまり、「赤」の「朱鷺色」、つまり赤みが強い朱鷺色(=紫に近いピンク色)のことだ。昔に比べて、朱鷺色は今の世代にとっておおよそあまり馴染まないものだが、それでも一昔前の世代から見れば、身近で見れた色調であったので、このような表現が出てきてもおかしくないと考えられる。↓


 検証動画…ではなく、本編のED映像です。どのみち、「暁(あかとき)色」であれ、「赤朱鷺色」であれ、エンディングを反映した色にはなっていますので、「赤と黄色」より直感的にしっくり来ると思います。

コメント
言われて思い出しました。赤と黄色じゃなかったんですよね。

エンディングにまんま色が使われていてびっくり。
実際の鴇色も初めてしっかり理解しました。

本放送時は夕方の放送。
それこそ空が赤鴇色に染まる時。
曲調もあって子供心にこの曲に対して夕暮れの寂しさと
心地よい疲れ(土曜の夕方だったからなおさら)を
感じていた記憶があります。

いまは、その子供の頃の気持ち〈感覚)がよみがえって
胸がきゅーと閉まるような切ない思いで聞いています。
いわば、私にとってこの曲そのものがバイストンウェルにつながる
オーラロードみたいなものなんですね。

ただ子供の頃は富野作品そんなに好きでなかったので
(ロボットがかっこよくないと見ないという典型的なバカガキでした)
ダンバインはとくに見てないんですけどね。
当時のTVっことしては基礎教養だった?
まそきぃ〜 #-|2013/05/02(木) 09:56 [ 編集 ]
そうですね、夕方の色っていう指摘は確かにしっくり来ます。
夕方の色にもうちょっと夢か幻っぽい色彩にかかると、監督が描きたかった色でしょうね。
ちなみにイデオンの「海に陽に」は夜明けの色ですね。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/05/03(金) 00:45 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
#|2013/05/03(金) 22:53 [ 編集 ]
OPの曲と対になっていて、バイストンウェルという世界の童話的な雰囲気と、戦乱の厳しさの両方が歌詞として演出されている感じがします。たぶんショットがいなくても、どこか牧歌的ですらあるバイストンウェルの世界は、徐々に戦乱の世になっていっていたはずで、どっちにしてもバイストンウェルの現実の二面性が2つの曲となって結実している感じですよね。

本文で指摘されている「朱トキ色」もそうですが、この2曲の歌詞は、修辞表現としてむずかしい文学的表現(古語表現)が特殊なような気がしてて。それをして「文字数合わせ」って話もあるかもですけどね。

「思い出せない、そんなことない 少し扉を開くだけです」

って歌詞が、あなたのすぐそばにあるけれど、なかなか踏み出せないそんな場所にある物語なんだといわんばかりで、私が大好きなフレーズです。まさにバイストンウェルの世界の位置づけなんだと思える言葉です。
波のまにまに #-|2013/05/05(日) 18:54 [ 編集 ]
初めまして、こんにちは。
いつも楽しく記事を拝見させていただいています。
この曲はとてもイメージにあふれていて物語の世界を豊かに感じさせてくれるので大好きです。

記事内で触れられていたあかとき色ですが、私は初めて聞いたときから、「暁(あかとき)色」で
夜明けの空の色のことなのかな?と思っていました。
直後に「眠りわすれる」とあるので、その部分も相まって夜明けのイメージに結びついたのかもしれません。
そのあとでkaitoさんも書いていらっしゃる赤+鴇色なのかな?とも考えるようになって、未だに
どちらか分からないままでいます。
ただ、映像を見ると赤+鴇色の方が当てはまる気がしますね。

今後の更新も楽しみにしています。


Fe #-|2013/05/07(火) 01:15 [ 編集 ]
>波のまにまにさん
ご意見まったく賛同します。
OPとEDが対になるというのは、まさにこういうことですよね。
「少し扉を開くだけです」という歌詞の形容も、私が大好きです。
心の内奥からの力、というのはきっと監督が言いたかったことだと思います。

>Feさん
はじめまして、いつも読んでいただいてありがとうございます。
これからもご意見ご感想をしてくだされれば嬉しいです。

あかつき色という話は実はこの記事を書く際、
インターネットサーフィンをするとき、やはり似たような感想を書く話を見つかりましたので、
ひょっとしたら結構な数の人がそう思っているのかもしれないのですね。

夜明けですが、それはむしろイデオンの「海に陽に」のほうがそうですね。
EDのあの色調は、やはり当時の放送時間にあわせて夕方の色になっているのではないかと思っております。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/05/07(火) 11:14 [ 編集 ]
心休まる歌なので、ダンバイン ED 歌詞の検索でこちらにたどり着きました。
私も、赤と黄色と思っていましたが、題名の通り 暁色-朱鷺色 どちらの解釈でも良さそうですね。

大人になるにつれて、子供のときの記憶が遠ざかって行きますね。

でもこの歌は、なんか希望を与えてくれます。


マダオ #-|2014/01/03(金) 15:43 [ 編集 ]
二つの井荻麟記事にコメントをくださって、まことにありがとうございます。
この一連の記事はあまり反響がないので、頂いたご感想は多大なモチベーションになります。

そうですね、朱鷺色は画的な意味を含めて、まさにそういう意味だと思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2014/01/05(日) 22:42 [ 編集 ]
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