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井荻麟作詞論 第28回「ダンバインとぶ」

2013/04/27 04:01|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:8
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第28回「ダンバインとぶ」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第28回では、テレビアニメ『聖戦士ダンバイン』のオープニングテーマ「ダンバインとぶ」について論じたいと思います。



ダンバインとぶ
作詞:井荻麟/作曲:綱倉一也/編曲:矢野立美/歌:MIO

オーラロードが ひらかれた
きらめく光 俺をうつ
オーラの力 たくわえて
ひらいた翼 天にとぶ

 第21回のザブングル~エルガイム時期の井荻麟作詞を総括する記事でも言及したが、この時期の富野由悠季作品と井荻麟は「世界観ありき」という共通特徴があるが、この曲においても例外ではない。いや、むしろ『ダンバイン』においては「バイストン・ウェル」というまるで一作だけに納まらないほど複雑な想念の世界観を創出するのにあたって、この傾向がより一層強く出されている(事実、何作ものシリーズ作品も作られている)。

 とはいえ、世界観が複雑だったことは、それだけ視聴者に伝えるのも難しいことを意味する。特にバイストンウェルはバイストンウェルという単語を含めて、完全に富野による造語で築いてあげた世界観なので、その難しさは『ザブングル』の「地の果て」とは段違いなのだ。しかし、難しいのに関わらず、伝えてしまった。



 出だしは、これである。

オーラロードが ひらかれた
きらめく光 俺をうつ

 この歌詞は全曲の第一印象(ファースト・インプレッション)となり、この曲とこの世界の前提である「オーラロード」を曲の冒頭ですぐさま提示することによって、視聴者をオーラロードの向こうの世界を誘い込んでくれる。パワフルな歌声と過去形の歌詞で問答無用に力強く叩き込まれるだけに、そのインパクトも絶大。

 また、第22回「疾風ザブングル」でも言及したが、この曲は映像と連動している構造をもっている。

海と大地を つらぬいた時

 出だしの詞とこの詞は、本編よりいち早く視聴者に世界の構造を説明しただけではなく、各話が放送されるたびに、この世界観に関する基本設定を想起させることによって、『ダンバイン』の方向性を提示し、バイストン・ウェルのファンタジー性をもたらせる。二番目以降の歌詞は血湧き肉躍る展開で見所もたくさんあるが、「バイストン・ウェル世界そのものが主役」という意味では、一番目の歌詞こそが本番だと言えるかもしれない(ちなみに、後期バージョンの差し替えOPでも、この二つの部分の映像だけはまったく変わらなかった)。



 それから、「ザブングル」のOPと同じように、この「ダンバインとぶ」の歌詞にも物語性を持っている。

オーラロードを つらぬいて
風にまぎれて 来る奴が
オーラの力 忘れてか
憎しみ燃やし 火を放つ

オーラロードが ゆれ動く
さまよう心 流れるか
オーラの力 呼んでみろ
暗闇の中 道ひらく

 1番目の冒頭が物語(≒作品そのもの)の始まりであることは言うまでもないが、2番目、3番目にもそれぞれのストーリー性がある。また、「1番目”異世界に落ちる” → 2番目”生きるために戦う” → 3番目”生の血路を開く”」という段取りで、ストーリーの進行も読み取れる。

急ぐなら 俺がやるさ
生きるため 俺が走る
殺し合うのが 正義でないと
知って闘う 戦場だけど

 特に2番目と3番目で語られる話がシビアで、この作品の戦う意味を示すものとなっている。『ダンバイン』主人公のショウ・ザマはよく戦う理由と動機が曖昧と言われているが、この歌詞は、まさに彼の心情や立場を代弁してくれるようなものなのだ。いや、バイストン・ウェル物語のあらゆる主人公を代弁してくれるようなものと言えるのだろう。



 歌詞のなか一番光っている部分は、なによりこれである。

恐れるな 俺の心
悲しむな 俺の闘志

 この言葉の組み立て方ははっきり言って、おかしい。どこか違和感を感じせずにいられないのだ。もっとしっくり来る言葉並びは、おそらく逆の「恐れるな→俺の闘志、悲しむな→俺の心」だろう。

 しかし、この並び方だからこそ、気にする。いや、このような不協和音みたいなフレーズを聞かさせると、どうしても気にせざるをえない。だからこそ印象に残るし、歌詞の特色ともなる。この手法は井荻作詞でもよく見かけるもので、一言で表すと「美は乱調にあり」ということだが、「意外性がある」「ひっかかりを生じる」「印象に残る」と、いろいろな言い方に言い換えることもできる。富野本人がこの乱調を自分の不出来による予想外の産物だといってるが、作詞だけではなく、富野が作品作りにおいて多用する全般的技法だと観察できるので、機会があれば別の記事でまた語ろう。



 ところで、この歌詞は記事冒頭で言及した「オーラロード」や主役ロボ「ダンバイン」のほか、「オーラバトラー」「オーラシュート」にもたくさんの固有名詞が出ている。主役ロボと武器の名前を連呼するあたりは、いかにもアニメらしいという印象を持つ人もいるかもしれない。しかし、まさに完全なオリジナルな世界観と造語であるために、視聴者に印象を付けるまでは、何度も反復して強調する必要があると思われる。

アタック アタック アタック 俺は戦士

 このような臆面のなさが先立つ歌詞があるから、この曲は成り立つことができたし、この曲から伝われてくるストレートな格好よさを獲得できたのだった。


 こっそりOPを貼ります。ぜひ詞と映像美を堪能してください。



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コメント
>この作品の戦う意味を示すものとなっている。
>『ダンバイン』主人公のショウ・ザマはよく戦う理由と動機が曖昧と言われているが、
>この歌詞は、まさに彼の心情や立場を代弁

これがあるのとないので
最後の「俺は戦士」
の意味が随分変わってくるんだなぁと今回気付かされました。
この部分、いままではただの男の子受けのための歌詞だと思っていました。

諦念というか自身に言い聞かせているというか、現状を受け入れる決意というか。
かっこいいだけの「戦士」じゃなかったんですねぇ。
すごいなぁ(小学生並みの感想)
まそきぃ〜 #-|2013/04/27(土) 19:09 [ 編集 ]
そうですね、「俺は戦士」って実をいうとダンバインの前後10年くらい期間のなかでももっともストレートな歌詞でしたからね。
理由がなければ、わざわざ子供向きに戻ることもないだろうなと思っております。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/04/27(土) 23:26 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
#|2013/05/01(水) 10:14 [ 編集 ]
秘密コメントさん、ありがとうございます。
把握してますよ、貴重なご情報ありがとう。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/05/02(木) 12:26 [ 編集 ]
ついに来ましたね。待ってましたよ、この記事をw
個人的にはもっとも好きな作品なので、取り上げていただいたことがただただ嬉しいです。
自分のブログでも特撮は「キカイダー」、アニメは「ダンバイン」が最終回と決めているぐらいです(いつ書くかわかりませんが)。
このOP曲って、やっぱり作品の導入としてわかりやすくって、これから主人公がどんなことになるのか、どんな闘いをしていくのか、オーラロードってなんなのかって、きちんと説明しようとしているんですよね。本来ショット・ウェポンがいなかったらできなかったはずのバイストンウェルの戦乱の世界は、ショウによって良くも悪くも拡散するんですけど、バイストンウェルで戦っていくことの意味を問おうとして答えが出せないままの歌詞って印象もあって。

監督の気合いが見える歌詞だと思えますし、それだけにアニメ主題歌としてもやっちゃった感のあるアニメ主題歌だからこそ、名曲としても残っていく。振り切れてますよね、この曲も。
波のまにまに #-|2013/05/05(日) 18:44 [ 編集 ]
そうですね、やはり世界観と物語が見えてるのは気持いいですし、
それだけ曲を聴くだけであの作品を見ているような快感ですよね。

ショットを言及した話は興味深いですね。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/05/07(火) 11:03 [ 編集 ]
結局オーラシュートってなんだったんだろうか
#-|2015/05/31(日) 04:00 [ 編集 ]
オーラのシュートでしょうね。
kaito2198 #-|2015/06/01(月) 17:02 [ 編集 ]
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