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井荻麟作詞論 第26回「Coming Hey You」

2013/05/15 04:15|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第26回「Coming Hey You」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第26回では、アニメ映画『ザブングル・グラフィティ』のイメージソング「Coming Hey You」について語りたいと思います。また、この記事では同作品のテーマソング「GET IT」およびその作詞を担当した売野雅勇氏への言及もあります。



Coming Hey You
作詞:井荻麟/作曲:馬飼野康二/編曲:馬飼野康二/歌:MIO

土くさい お前だから
気やすく 話の一つもするのさ
雨で体を 洗いながして
ほぐれた体に あったかい炎

 映画『ザブングル・グラフィティ』のイメージソング「Coming Hey You」。説明によると、この曲は主題歌「GET IT」の作詞を受けて、富野が作成したイメージソングだそうだ。なので、この曲を入る前に、まず「GET IT」について説明しなければならない。

 『機動戦士ガンダム』以来、富野由悠季監督は一曲の例外を除くと、自分の作品に出てくる歌の歌詞をすべて手がけていた。本業ではないものの、この『ザブングル・グラフィティ』までは、すでに20以上の歌詞を作った(※あくまでアニメ関係のみ)。井荻麟のデビューからわずか4年ということを考えれば、実に驚異的なペースだ。

 しかし、富野の作品と作詞がこうして商業的および作品的な評価と実績を打ち上げた一方、かえってより強くビジネス的思惑を招いたという面も免れない。まったくの作品重視から商業重視――こうした転換を端的に示したのは、『ザブングル・グラフィティ』の主題歌における売野雅勇氏の起用だった。そしてプロ作詞家の売野がこれを受けて作ったのは、主題歌「GET IT」だ。

 将来売野に関する個別の記事にて詳述するゆえ、ここではあえて多く語らないが、簡単にいうと、井荻麟の「疾風ザブングル」は「ザブングルの世界観と方向性を示し」、「HEY YOU」/「わすれ草」は「ザブングルに内包されている物語を描く」という優れる作詞だ。しかし、売野の「GET IT」は「それらの要素を全部含みつつ、『ザブングル』という作品そのものを象徴」するという卓越な曲となっている。言葉遣いに関しても、完全に井荻麟になりきっている――いいえ、井荻麟の精神を受け継いで、なおかつプロとしての言葉遣いの素直さをもってストレートに視聴者へ伝える意味では、井荻のさらに上へ行った、と言えるかもしれない(後の記事で語る)。

 井荻麟が作詞においての基準というわけではないが、作詞が作品を把握するものだと考えれば、原作者でも監督でもない一介の作詞家がそれを達成するのは、生半可なことではない。もちろん、これも前にすでに4曲があって、しかも「GET IT」は劇場版の『ザブングル・グラフィティ』という最後の花道を飾るテーマソングであるこそ出来る曲という二つの要素も忘れてはならない。それでも、売野がこの曲においてプロらしい腕と非凡な才能を示したのもまた事実である。

 「GET IT」は、『戦闘メカ ザブングル』という作品における、最高の出来の曲だと断言できるのだ。



 以上の話を受けて、いよいよ本記事の主題である「Coming Hey You」に入るわけだが、上で言った「主題歌の作詞を受けて、富野が作成したイメージソング」という立ち位置が、この曲を大きく支配している。映画のテーマソングに対するカップリングでいえば『F91』のイメージソングなどがあるが、内容を見ても成立経緯を見ても、明白にテーマソングを答えるのはこの「COMING HEY YOU」のみだった。

 まず、歌詞の意味と言葉遣いを吟味すると、この曲の旋律とテンポこそ違うものの、その性質は実はテーマソングの「GET IT」と同じものだった。上で言ってた「疾風ザブングル」「HEY YOU」「わすれ草」を包括してるし、明日へ向かう方向で『ザブングル』という作品を総括するところなんかも、まったく同じなのだ。

 しかし、二曲を見比べればわかるが、言葉遣いにおいても語り口調においても、「Coming Hey You」は明らかにやや冗長でくどい様式を呈している。いや、井荻麟の灰汁(あく)があまりにも強く出ていると言うほうがいいかもしれない。要するに映画の歌が必要とする単純明快な素直さが無かったのだ。そういう意味では、「Coming Hey You」も確かに味わい深い良い曲ではあるが、映画の歌という範疇内であえて「GET IT」と比べようとしたら、その優劣はもはや言うまでもないだろう。



 「GET IT」と「Coming Hey You」が同じ方向性を提示する曲でありながら、見せたイメージはあまりにも違うのだ。とはいえ、この土臭いイメージこそは、井荻麟が描きたかったものだろう

土くさい お前だから
気やすく 話の一つもするのさ
雨で体を 洗いながして
ほぐれた体に あったかい炎

 確かに、馬飼野のザブングルにおける野生味溢れる劇伴、MIOの乾いたハスキーな声、そして井荻麟らしい言葉遣いを持って、なお一種の清潔感を醸し出せる売野の「GET IT」はすごい。しかし、あえて土の匂いと体臭を嗅がせる「Coming Hey You」もまた愛すべき曲だ。それが、上で言ってた「主題歌を受けて作成した」という要素が働いたと思われる。はじめから脇役というポジションを覚悟したからこそ出来た詞というより、そういう主題歌だからこそ敢えてやりたかった詞だったのだ。



 それから、このくだりも特筆すべきなのだ。

生きているなら ひがまずにさ
生きているなら 曲がらずにさ
真直走って呼んでみる
Coming Hey you Coming Hey you

 主題歌のそれに比べて、やや語りに近い歌詞だが、否定でありながら語尾に「さ」を持っていく、そのどことなく優しさを込めている語り口は聴いてて、実に気持ちいいものだ。こういうところは主題歌「GET IT」には無い、この曲だけの持ち味だ。こういう部分から見ても、売野みたいに作品の外で描くことと違って、最後まで作品の内から描くことに固執する富野の不器用さが、この歌詞からはなんとなく感じ取れる。

 そういう意味では、「GET IT」ほど華がないものの、「GET IT」みたいな勢いで人生の道を突き抜けるのではなく、むしろちょっと一歩引いて、ややスローテンポでゆっくり道を歩く「Coming Hey You」という歌詞こそは、井荻麟がプロの作詞家の作った曲に対するアンサーソングであり、そして富野由悠季が『戦闘メカ ザブングル』という作品に打った最後の終止符だと言えるかもしれない。


 この二曲の雰囲気があまりにも違うため、「本当に同じものを目指したいのか?」と疑っている人もいるかもしれませんが、そもそも両者の冒頭の歌詞を見れば、描く情景がほとんど同じものだと分かるはずです。

GET IT
作詞:売野雅勇/作曲:馬飼野康二/編曲:馬飼野康二/歌:MIO

Get it! Get it! Get it!
You can get it now!
過去(とき)の雨に濡れた髪をふきなよ
傷だらけの翼暫(すこ)し抱いてやるよ


コメント
ほんと、まいどすみません、波のまにまに☆です。

「ザブングルグラフィティ」と「ドキュメントダグラム」の同時上映を、私は公開初日に新宿で見たもので、ものすごく思い入れがありまして。

 それはそうと、この曲を初めて聞いたときから、どうしてこの曲は「HEY YOU」とまったく同じ内容を繰り返して歌っているんだろうと、不思議に思っておりました。曲の雰囲気も、出だしの感じも、歌詞の内容までも、シチュエーションが同じに聞こえるんです。

 それでですね、ここからは私の妄想なんですが、「ザブングルグラフィティ」が公開された1983年(1984年?)っていうあたりの年代だと、まだ完全にビデオデッキが一般家庭に完全には普及しておらず、映画が公開された直後はTV版「ザブングル」が簡単に見られる状況ではありませんでした。つまりTV版「ザブングル」も「HEY YOU」ですら、TV放映が終わった状況下ではもう振り返ることができない作品だったんです。でも映画であればビデオパッケージという形でレンタルビデオに並ぶ可能性があるし、ビデオが直接売買されることもあるわけですよ。そこで富野監督、ビデオパッケージとしての商品価値を残すために、わざと「HEY YOU」と同じ曲調や内容の作品を残しておこうと思ったんじゃないかって。「HEY YOU」で監督が伝えたかった作品世界を、確実に見られる可能性の高い映画版「ザブングル」のパッケージの中に、この曲として残したかったんではないか? と妄想しております。

富野監督は、公開初日の舞台挨拶で、なぜザブングルを作ったんですか?という問いかけに、「会社に言われて作りました」とか言っていたのを覚えていますが、この曲もその延長だと言われかねませんけどね。
波のまにまに #-|2013/05/16(木) 19:01 [ 編集 ]
調べましたが、「Coming Hey You」は映画本編にはまったく出ていないそうです。なので、イメージソングとして聴かれる可能性はあれど、残念ながら映画もしくはビデオソフトという形で聞かれるという可能性はおそらく薄いなのではないかと。

しかし、正直私も「HEY YOU」が富野監督が作ったストーリー曲のなかでは最高傑作クラスの出来だと思っておりますので、ひょっとしたらそれがなぜかわざわざパート2みたいな歌詞を作った理由でもあると思います。

なお、
>「HEY YOU」とまったく同じ内容を
という指摘を受けて、記事を修正します。ありがとうございます。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/05/21(火) 21:15 [ 編集 ]
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