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井荻麟作詞論 第24回「HEY YOU」

2013/04/04 03:18|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:4
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第24回「HEY YOU」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。第24回の今回では、テレビアニメ『戦闘メカ ザブングル』の挿入歌1「HEY YOU」について語りたいと思います。



HEY YOU
作詞:井荻麟/作曲:馬飼野康二/編曲:馬飼野康二/歌:MIO

かすんだ地平の向うを見たくて
慣れ合う奴らを 忘れて走ると
左の岩から あたしと同じに
走ってくる奴 右手をあげるの

 幻のキャラ「トロン・ミラン」と共に登場する『戦闘メカ ザブングル』の挿入歌「HEY YOU」。この時期の富野作品の「世界観ありき」という作風に則って、歌詞はもちろんのこと、旋律・歌声までも『ザブングル』世界観よろしく、まるで砂漠に身を置かれるようなイメージに基づいて展開されている。また、この挿入歌もOPとEDと同じように独自なストーリー性を持っていて、『ザブングル』という作品を援護射撃しながら、単体に完結する作詞となっている。

 全曲の物語は一人称が「あたし」の女性のモノローグから始まり、あたしとあたし目線で見たもう一人を中心に展開される。歌詞のところどころからは、二人が支えあって、パートナーとして過ごしていく描写が読み取れる。また、1番目の二人の出会いと、2番目の日常の一コマを切り取った描写からは、二人の関係性に微妙な変化が起きると読み取れる。そこには時間の流れと二人の関係の重みが込められている

 歌詞全体としては、一人の女と一人の男が知り合って、助け合い、互いを信頼するようになったも、どこかすれ違う雰囲気が漂っている。男と女がたとえ(日常における)戦いのパートナーになれても、男と女としてのパートナーにはなかなかなれない。そういう恋愛の寂しさがこの歌詞のなかにある。特筆すべきなのは、歌詞では相手のことを直接に描いてなかったのに、女性のモノローグで展開される歌詞を読めば、自然にその輪郭を思い浮かぶことができる。非常にシンプルな歌詞で余韻をもたらせつつ、二人の関係性をこれ以上なく描き切った意味では、この「HEY YOU」は井荻麟によるストーリー曲の極致といえるかもしれない。

 

 全曲のなかで一番意外性があり、かつ光っている歌詞は、なんといってもこれであろう。

拳銃持つなら やってみるかい
ロシアンルーレット 気晴しになる

 ロシアンルーレットで気晴しという描写からは、非常にシャレた感じがする。この歌詞に代表されるような描写があるからこそ、たとえドライで土臭い世界、砂まみれで汗だらけな荒野に身を置かれても、なお一種の爽やかさを感じさせてくれる

 また、以下の話も興味深い。

好き合う真似事 やってみるかい
ハッピィじゃないよ 気休めだから

 男と女が一緒になること--つまり広い意味のセックスのことだが--を「好き合う真似事」「気休め」と形容するのは、なんとなく『コスモスに君と』の「傷を舐めあう道化芝居」を思い出すが、それだけではない。上のロシアンルーレットでは「気晴らし」であるのに、恋愛が「気休め」という対照を見れば、男と女の間の関係の難しさをなんとなく感じることができるし、富野由悠季の恋愛感を覗かせる。また、それでもなお男と女の関係を望んでいる女性の持ち前のしたたかさを、この歌詞からは実感できる



 ところで、この曲はザブングルという、生き延びることさえ厳しい荒野を生きる男女の一瞬のすれ違いという世界観そのものを象徴するものだが、歌詞をよく吟味すれば、劇中のヒロインの一人であるラグ・ウラロの心情を代弁する歌詞ともとれる。そのためか、曲のラストでも失恋をほのめかした歌詞で結ぶ。

 歌手MIOの声にしても、ラグのキャラにしても、こんな健気な女性が失恋する情景を見れば、我々も思わず一抹の寂しさを感じてしまう。それでも、このような爽やかな風を運んでくれるしたたかさを持つ女性ならば、きっといつか新しい恋を見つかるのだろう。そう、まるでちょっとだけの寂しさを帯びながらも見守っていきたい、あの『ザブングル』のラストのようだ。


 今ではMIO女史の代表作となっていますが、実はこの曲は氏のデビュー曲でもあります。

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コメント
「HEY YOU」がラグの歌・・・・なあるほどお!
富野作品の挿入歌としては、私にとってえらくなじみのある曲で、なんとなくサボテンがそこかしこにあるような荒野での、ドライにすぎる男女の一瞬のすれ違いというドラマを歌詞に乗せたかんじで聞いていて、「ザブングル」という作品世界のどこかで、こんなやりとりがあるんだよという、世界観の説明する曲だと思っていたので、この曲=ラグって盲点でした。いや、たぶん自分の中でラグってちょっとタイプじゃないなってのが視聴時からあって、構造的にラグ=ザブングル世界の女性の代表と考えたくない、って感じの思考だったかも知れません。

もっとも、今にしてみればラグがどれだけいい女だったか、よくわかるんですよ。エルチより断然今は好きですし。そしてカップリングの「忘れ草」って曲も、たき火を前にして天を望むともんのすごい星空で、っていうイメージが湧いてくる曲で。あ、これは次回でしたね。その時にまた・・・・
波のまにまに #-|2013/04/04(木) 10:58 [ 編集 ]
波のまにまにさん、返事遅くなってすみません。
大変ご参考になるコメントでしたので、今これを参考して記事を修正するつもりです。ありがとうございます。

しかし一つだけ言わせてもらいますと……エルチもいいですよ(笑)! こちらは逆に最初にラグの良さを気付いて、後でエルチもいいと思うようになった口ですよ(といっても数年前のことでしたけどね)。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/04/06(土) 00:33 [ 編集 ]
最終回のラストにこれが流れて一発で好きになった曲です(トロン・ミランの回は見逃してたのでw)。
MIQさんの曲で一番好きかも。
Rick #JalddpaA|2013/06/09(日) 21:09 [ 編集 ]
そうですね、非常に素晴らしくて、とても(アニメの)デビューとは思えぬ鮮烈な曲だと思います。
あのラストは劇場版以降、get itの印象が強いですが、テレビ版のほうも好きです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/06/09(日) 21:34 [ 編集 ]
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