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井荻麟作詞論 第22回「疾風ザブングル」

2013/03/30 11:45|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:7
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第22回「疾風ザブングル」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。第22回を迎えた今回では、テレビアニメ『戦闘メカ ザブングル』のオープニングテーマ「疾風ザブングル」について語りたいと思います。



疾風ザブングル
作詞:井荻麟/作曲:馬飼野康二/編曲:馬飼野康二/歌:串田アキラ

疾風(はやて)のように ザブングル ザブングル
ここは地の果て 流されて俺
今日もさすらい 涙も涸れる
ブルーゲイル 涙はらって
ブルーゲイル きらめく力

 『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』でテレビ放映を経て、映画デビューを果たした後、富野喜幸が名を「富野由悠季」に改めて、再びテレビアニメに復帰したのは、『戦闘メカ ザブングル』だ。そしてその作品におけるこの主題歌「疾風ザブングル」からの富野は、また今までと違う井荻麟を見せてくれることになる。

 いままで、テレビシリーズの富野作品で見られる作詞は、子供向けアニメという決められた前提で核心となるテーマやメッセージを表現するものがほとんどだった。しかし、この『ザブングル』からは違う。主人公メカの名前の連呼という王道的な部分を守っていながらも、まず歌詞の重きを作品世界を描くことに置くという「世界観ありき」という手法が、この時期では多用されることになる(「世界観ありき」については、前の記事を参照ください)。ザブングルでいえば、惑星ゾラの砂漠に覆われる大地だろう。

 今までやってきたテレビアニメの作詞と異なる形をとった理由として、富野がすでに「ガンダム」「イデオン」などで作品評価とビジネスの両方において実績を残したため、もう今までみたいな「作品の色隠し」をせずに済むという現実的な事情は無視できないにしても、やはり富野が作品作りにおいての方法論を転換したことによる影響は大きいと思われる。



 また、歌詞が「俺」という第一人称で展開されたように、この歌には俺という目線で見た話、つまりストーリー性が含まれている。1番目の歌詞を読むと、そこに描かれた物語はほぼ本編の第1話のそれと同じスタート地点にいることが分かる。

(1番目)
ここは地の果て 流されて俺
今日もさすらい 涙も涸れる

 ここにも、視聴者に作品世界への没入感を与えるための意図が読み取れる。

 さらに、1番目から3番目の歌詞をよく読むと、これらの話が平行的に並ぶものではなく、むしろ一つずつに前進的なものだと分かる。すなわち、ストーリー性の進行が読み取れる。1番目が物語のスタートとすれば、主人公である俺がだんだん動き出して、2番目・3番目の物語へと前に進んでいく。

(2番目)
母のぬくもり 忘れ去り 今
糧(かて)を求めて 砂漠に迷い
(3番目)
俺とお前の 二人の夢
つながるきずな 今はないけど

 それぞれの冒頭だけを見ても、「流されて、さすらいをする → 暖かい過去を忘れてただ今を生きる → ”お前”というパートナーを見つける」という俺のストーリーが成立している。そして歌詞全体を通してみると「砂漠を生きる若者が過去を振り捨てて、成長して、やがてパートナーを見つけて、共に生きる」という大きなビジョンを掴むことができる。そして、砂漠という果てしない乾くイメージに対して、それぞれの歌詞のなかには「海」「虹」「ぐくむ命」というその乾きを潤すようなキーワードを散りばめることによって、主人公の行く先--つまり物語の終わりに希望をもたせる。極めてドライでありながら、極めて爽やかな一曲の出来上がりだ。

 以上の説明で見かける世界観とストーリーを描くことは、この『疾風ザブングル』という曲が持っている最大の特色であるし、この時期の富野作品に出てくる作詞で見かける共通的な特徴でもある。



 一つ注目してほしいのは、ここで富野は歌詞にストーリー性を持たせたが、そのストーリーが必ずしもイコール本編のストーリーそのものではないところだ。似たような景色、似たような物語を持っているが、あくまでも「似ている」程度で、同じものになることは決してない。

 まったく同じものではないんだからこそ、両方の相同も差異も楽しむことができる。異も同も持つからこそ、両方は合わせ鏡のように互いに対照することによって、視聴者の想像を膨らませ、語り草を増やし、解読の幅を増幅させることができる。

 この歌詞に本編と相似するストーリー性をもたせる手法によって、富野は歌曲に独自性を与えつつ、視聴者に本編の記憶やイメージを想起させる、という似て非なる二つの目標を両立させた。この目標を達成させるために使った「ズレ」という手法は富野の作品(アニメ、小説、作詞など)ではよく見られるもので、富野がなぜいろんな媒体で幅広く制覇する最大の秘訣であり、我々が富野作品を解読するには絶対忘れてはいけないものだ。



 余談だが、この歌詞のなかに「ブルーゲイル」という単語が出ているが、本編では一切聞くことはなかった呼称だ。「ブルー」というフレーズから分かったように、おそらくザブングルそのものを指していて、「戦闘メカ」の別称ではないため、一応「機動戦士=モビルスーツ」というパターンとは違うようだ。もちろん、戦闘メカのほうがタイトルとして分かりやすいので、採用されても当たり前なことだ。しかし『ザブングル』の英語表記を見れば、ちゃんと「BLUE GALE」となっているため、「ブルーゲイル」も完全に捨てられたものでもなさそうだ。

 では、その意味とはなんだ? この歌詞だけ読んだら、「ブルーゲイル」は「青い閃光」、つまりザブングルを意味するものではないかと思っている人もきっといるんでしょう。けれど、「gale」という単語から解読すれば、「ブルーゲイル」は青い閃光ではなく、「青い疾風」のほうが正しい。「青い疾風」もやはり映像ではどこにも出てこなかった言葉じゃないかと思うかもしれないが、実は「疾風」がちゃっかりと歌詞のタイトルになっている。

 フレーズの間になんだかややこしい関係になっているが、もしかしたら簡単に「疾風ザブングル」は実は「ブルーゲイル ザブングル」から「ブルー」を取って日本語にしたものと解するほうが分かりやすいかもしれない。このことから見ても、アニメ製作と歌詞創作の間のズレが伺える。


 この曲を聞くことができるCDはいっぱいあります。串田アキラ氏によるスパロボの定番曲の一つでもありますから、そちら関係でも見つかります。

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コメント
富野監督は時々「第1話のフィルムを見て『失敗した!』と軌道修正した」と発言しておられると思います。
そこからは、ズレは軌道修正の結果生じたものであり、必ずしも意図的ではなかったのではないか、とも考えられます。
また、小説とアニメーションについては描く技法、想定される対象が異なるため、異なるスキル・才能が必要であるとの発言もあったかと思います。
作詞、アニメーション、小説間のズレには、それらもまた一因とも感じられます。
hilowmix #-|2013/03/30(土) 15:58 [ 編集 ]
hilowmixさん、ご指摘ありがとうございます。

twitterでも言いましたが、当然歌詞は制作開始初期のものでしたので、結果的に作品と異なった部分は当然あるんでしょう。OPがあくまでも目指している方向性を示すものなので、違うところに行っちゃったけど、全体としてあの方向性に沿っていたのは間違いないと思いますよ。それこそ前記事で言ってた第0話的なものでしょう。

アニメと小説をあえて別物として使っているのは明らかなことだと思いますが、作詞に関しては、これからのザブングル歌詞でも説明しますから、そのときもご意見寄せていただけたら嬉しいです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/03/30(土) 21:14 [ 編集 ]
初めてコメントさせていただきます。
自分が漠然と疾風ザブングルに感じていたことが書かれていてビックリしました。
前から感じていた些細な違和感は自分のものではなく歌詞に元々あったんですね。
後、余談を見ていて思ったのですが、戦闘ロボというのは「無敵ロボトライダーG7」「最強ロボダイオージャ」の次に放送される都合ついた枕詞で「青い疾風」が本来の枕詞だったのかもしれませんね。
ブルーな閃光 #-|2013/04/02(火) 07:55 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
#|2013/04/02(火) 07:58 [ 編集 ]
ブルーな閃光さん、コメントありがとうございます。これからよろしくお願いします。
褒めていただいてありがとうございます。
歌詞には確かこういう作りがされていますので、その印象を抱かれるのも意図的なものだと思います。

タイトルについてのご指摘はそうですね。
おそらく「戦闘ロボ」ってのはあまりにも酷かったので、「メカ」になったと考えられます。
そういう意味でも聖戦士なのにオーラバトラーってのも同じものだと思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/04/02(火) 12:08 [ 編集 ]
個人的に、この曲のイントロは、その映像も含めて秀逸だと思います。

ところで、冒頭で「海を目指して〜」とありますが、劇中に海なんか出て来たっけ??
やま #1zVaBB6M|2015/03/05(木) 21:32 [ 編集 ]
海は無いですね。
映像というかコンテは吉川氏ですね。
kaito2198 #L2WcHO2o|2015/03/06(金) 22:04 [ 編集 ]
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