富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

TOMINOSUKI / 富野愛好病
http://kaito2198.blog43.fc2.com/

プロフィール

kaito2198

Author:kaito2198
台湾人。
ただのファンです。

twitterは@kaito2198です。

仕事やブログ関係のご連絡は
kaito2198@hotmail.comまでお願いします。

給華文圈之富野由悠季愛好者的一些話
關於本站文章的轉載聲明

富野監督関連資料一覧

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

グーバーウォーク

井荻麟作詞論 第19回「セーリング・フライ」

2013/02/08 02:59|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第19回「セーリング・フライ」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第19回は、劇場版『伝説巨神イデオン 接触編』のテーマソング「セーリング・フライ」について語りたいと思います。



セーリング・フライ
作詞:井荻麟/作曲:すぎやまこういち/編曲:すぎやまこういち/ 歌:水原明子

あこがれだけに まどわされたり
つらさのがれの 逃げ道にして
行ってはいけない メフィストのくに

 ご存知のとおり、テレビシリーズが打ち切られた後、ファン人気の後押しで復活し、映画までとなったのは『伝説巨神イデオン』という作品なのだが、この「セーリング・フライ」はまさにその『伝説巨神イデオン』の劇場版『接触編』のテーマソングだ。そういう意味では、『機動戦士ガンダム』劇場版の経緯と似ているかもしれない。

 しかしながら、『イデオン』の人気もビジネスも正直『ガンダム』の規模に匹敵できなかったため、興行の売り上げを鑑みて、『ガンダム』みたいに3部作として逐次上映されることもなく、『イデオン』は結局テレビ前半~中盤を中心とした総集編『接触編』と、本当のラストである『発動編』の両部構成を同時に上映される方式になった。そのため、曲の展開も『ガンダム』とは別の路線に進んでいたと感じられる。

 さらに、もともと『イデオン』と『ガンダム』という作品の路線の差に加えて、こうして商業的思惑が入り込んでたため、劇場版『イデオン』の曲はテレビシリーズから共にしてきたすぎやまこういちという卓越な作曲家を迎えながらも、歌手を当時駆け出しのシンガー水原明子を起用したなどの事情から、『ガンダム』の井上大輔と富野喜幸の阿吽の呼吸を発揮できなかった。しかし、その噛み合わなさは却って一種の異質感を作り、結果的に「セーリング・フライ」を歌謡曲の体裁にされながらも、劇場版『機動戦士ガンダム』以上に富野喜幸と井荻麟の世界を展開する曲にしてくれた。



 この曲を聞いたとき、一番心に刺す歌詞は何よりもこれでしょう。

行ってはいけない メフィストのくに

どうして人は 生きてゆくのか
死にゆくためと あきらめきれず
狩人のように 宇宙かけぬける

 井荻麟作詞のなかでも随一な艶かしい曲調と声、という「生」の極みの裏で確実に匂げるのは、この隠しても隠し切れない「死」の匂いだ。生き死に、そして人の性(せい)と性(さが)を描く『イデオン』なので、それくらいの感情は内包されているはずだ。しかし、テレビシリーズや映画の映像、セリフ、音楽などを含めて、これほど「生」と「死」の極限を官能的に表現してきたのは、この「セーリング・フライ」のみだと言える。

 『イデオン』という作品のなかでも表現の極北に達することを考えれば、この曲は決して単なる「総集編映画の歌謡曲もどきの主題歌」と切捨てはならない。



 それだけじゃない。以下の歌詞は、曲全体をさらに危うい境界へ導いてゆく。

忍び恋のように
スペース・ランナウェイ スペース・ランナウェイ
月と星の間を
スペース・ランナウェイ セーリング・フライ

 ここの歌詞の言葉自体も興味深いが、より注目してほしいのは、ここでこのような歌詞を入れることでここのサビにもたらす作用だ。AメロとBメロの死の暗喩を漂っている不穏の雰囲気から一転、サビのアップテンポの喜びに入る。まるで極限まで生きてると、死と分かりつつも、それを拒みがたい何かに取り付かれているようだと言わんばかりの飛躍っぶりだ。井荻麟の作風の一つに「美は乱調にあり」という意外性がよく挙げられてるが、おそらくここほど困惑させるような変調もいないだろう。

 このほかの歌詞にも、いろいろな美しい言葉によって論理の飛躍が組み込まれている。耽美な歌声と旋律に加えて、やがて全体に一種の陶酔感を与え、論理では決して解かすことはない、毒薬のような美を醸していく。不条理な美しさが満ちている、この絶望的ほどの明るさ、あるいは明るいほどの絶望としか形容しようがない、それでいてエロスあふれる歌詞は、曲全体に一種の高揚感をもたらしていく。

 この曲は決して死を賛美しているわけではないが、そのような危険な魅力を持っている。富野は決して死を謳歌していない。この点だけは間違ってほしくない。しかし認めざるを得ないのは、富野が描いてた死は時折他人が描いた生より遥かに魅力だ。そして「セーリング・フライ」の歌詞が持っている生と死の間に浮遊している危うい肉感的エロスは、井荻麟作詞のなかでも唯一無二なものなのだろう。



 では、この「セーリング・フライ」はなぜこういうアップテンポな曲だったのか。原因として一つ考えられるのは、『接触編』は名目上では独立した作品とはいえ、その実態はあくまで本命の『発動編』の前座という扱い。放映方式からしてそういう形だったので、前編を見終わった観客の気分を沈ませないためにも、高揚な気分を持たせて、後編を見続けたい期待感をあたえることは必要だという思惑から、そういう曲調になったのでしょう。


 「セーリング・フライ」を聞くことができるCDはイデオン総音楽集だけです! ただいま好評発売中!

伝説巨神イデオン 総音楽集伝説巨神イデオン 総音楽集
アニメ主題歌,たいらいさお,戸田恵子,水原明子,小松一彦,井荻麟,すぎやまこういち,あかのたちお,TVサントラ,サントラ,東京フィルハーモニー交響楽団

キングレコード
売り上げランキング : 24599

Amazonで詳しく見る by AZlink

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://kaito2198.blog43.fc2.com/tb.php/1233-dff81aae

ブログ内検索

なんとなく富野商品

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

まともに機能しなくてすみません。これからゆっくりペースで直します。

RSSフィード

FC2カウンター

富野監督作品一覧

  • 海のトリトン
  • しあわせの王子
  • 勇者ライディーン
  • ラ・セーヌの星
  • 無敵超人ザンボット3
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • 機動戦士ガンダム
  • 伝説巨神イデオン
  • 機動戦士ガンダム(劇場版)
  • 機動戦士ガンダムⅡ 哀戦士編
  • 戦闘メカ ザブングル
  • 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編
  • 伝説巨神イデオン・接触篇 -A CONTACT-
  • 伝説巨神イデオン・発動篇 -Be Invoked-
  • 聖戦士ダンバイン
  • ザブングル グラフィティ
  • 重戦機エルガイム
  • 機動戦士Zガンダム
  • 機動戦士ガンダムZZ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • 闇夜の時代劇 正体を見る
  • バイストンウェル物語 ガーゼィの翼
  • ブレンパワード
  • ∀ガンダム
  • 劇場版∀ガンダムⅠ 地球光
  • 劇場版∀ガンダムⅡ 月光蝶
  • OVERMAN キングゲイナー
  • 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-
  • 機動戦士ΖガンダムⅡ A New Translation -恋人たち-
  • リーンの翼
  • 機動戦士ΖガンダムⅢ A New Translation -星の鼓動は愛-
  • RING OF GUNDAM
  • ガンダム Gのレコンギスタ
  • 富野参加作品一覧

  • 鉄腕アトム
  • 戦え!オスパー
  • リボンの騎士
  • 巨人の星
  • アニマル1
  • 夕やけ番長
  • 海底少年マリン
  • どろろ
  • 紅三四郎
  • 巨人の星対鉄腕アトム
  • おらぁグズラだど
  • 男一匹ガキ大将
  • ムーミン
  • シートン動物記
  • 赤き血のイレブン
  • アタックNo.1
  • あしたのジョー
  • 男ドアホウ!甲子園
  • 昆虫物語 みなしごハッチ
  • さすらいの太陽
  • 天才バカボン
  • ふしぎなメルモ
  • 新・オバケのQ太郎
  • 国松様のお通りだい
  • いなかっぺ大将
  • 正義を愛する者 月光仮面
  • アニメ・ドキュメント ミュンヘンのへの道
  • モンシェリCoCo
  • ハゼドン
  • ど根性ガエル
  • けろっこデメタン
  • ワンサくん
  • 山ねずみロッキーチャック
  • 侍ジャイアンツ
  • 新造人間キャシャーン
  • アルプスの少女ハイジ
  • ゼロテスター
  • 昆虫物語 新みなしごハッチ
  • 小さなバイキングビッケ
  • 宇宙戦艦ヤマト
  • 破裏拳ポリマー
  • フランダースの犬
  • 母をたずねて三千里
  • アンデス少年ペペロの冒険
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ゴワッパー5 ゴーダム
  • ろぼっ子ビートン
  • あらいぐまラスカル
  • 合身戦隊メカンダーロボ
  • 超電磁マシーン ボルテスV
  • シートン動物記 くまの子ジャッキー
  • ヤッターマン
  • ペリーヌ物語
  • 闘将ダイモス
  • 未来少年コナン
  • とびだせ!マシーン飛竜
  • まんが日本昔ばなし
  • 宇宙魔神ダイケンゴー
  • 赤毛のアン
  • 科学忍者隊ガッチャマンⅡ
  • ザ・ウルトラマン
  • 宇宙大帝ゴッドシグマ
  • ルパン三世(TV第2シリーズ)
  • 新世紀GPXサイバーフォーミュラ
  • 銀河漂流バイファム
  • ママは小学4年生
  • GUNDAM EVOLVE 5
  •  |  富野作品感想 | 富野由悠季関連 | 井荻麟関連 | 富野情報 | 富野雑談 | レビュー | ブログ運営 | 日常話 | 未分類 | 給華文讀者 | Gのレコンギスタ | 
    Copyright(C) 2007All Rights Reserved. TOMINOSUKI / 富野愛好病
    Powered by FC2ブログ.
    template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.