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井荻麟作詞論 第18回「めぐりあい」

2013/02/05 03:45|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第18回「めぐりあい」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日は第17回で、劇場版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』の主題歌「めぐりあい」について語りたいと思います。今回をもって、テレビシリーズや劇場版に渡って10回くらい書いたファーストガンダムの作詞の記事は終わります。



めぐりあい
作詞:井荻麟、売野雅勇/作曲:井上大輔/編曲:鷺巣詩郎/歌:井上大輔

Believe! 人は悲しみ重ねて 大人になる
いま 寂しさに震えてる
愛しい人の
その哀しみを 胸に抱いたままで
Believe! 涙よ 海へ還れ

 この映画のタイトルにもなっているこの「めぐりあい」は、『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』の主題歌であり、劇場版『機動戦士ガンダム』三部作において最後の曲でもある。79年から展開されたファーストガンダムの曲も、3年という期間を経て、この曲をもって終結を迎える。

 またこの曲の歌詞は井荻麟のほか、売野雅勇氏もクレジットされて、井荻麟にとっては初めての共作となっている。詳しい話は第44回くらいで説明するが、メインはあくまで井荻麟だが、実際の作業では二人が相談しつつ作る、補作というより共作の形に似ている制作状態だった模様。映画らしく甘い曲にしたり、英語を入れたりするなどのところでは、売野の影響が伺える

 曲全体を見てみると、映画らしい甘い歌詞で展開しつつ、叙情的な曲調と歌に相まって、映画ソングとしては隙がないものだといえる。歌詞についても、決して前の曲より濃くないけれど、奇をてらわない地についたものだと感じられる。



 しかし、それでは「めぐりあい」の歌詞は特筆すべきどころがないかと言われたら、決してそんなことはない。

愛しい人の
その哀しみを 胸に抱いたままで

Believe! 人は悲しみ重ねて 大人になる

恋しくて つのる想い
宙(そら) 茜色に染めてく

 以上の詞などで見かけるように、歌詞では本編のストーリーをほのめかす他、「成長」や「宇宙」など『ガンダム』という作品のテーマや情景を取り込んでいる。非常にフラットな言葉で展開する一方、この曲は実は色んな要素を取り込んでいる。

 この曲が『Ⅲ』の主題歌であるのと、劇場版ガンダム三部作の最後の曲であることを考えれば、「めぐりあい宇宙」は富野喜幸が映像面において『機動戦士ガンダム』に下した総決算なら、「めぐりあい」は井荻麟が歌詞面において『機動戦士ガンダム』という物語を総結する「作品」だと言える。実際、物語性・テーマ・情景など、あらゆる要素を集大成しつつ、未来のビジョンを提供するなどのことを考えれば、この曲がガンダムにとって不足なファクターはどこにもない



 曲は、最後ではこの歌詞で結ぶ。

誰もひとりでは 生きられない

 単純に曲だけ見れば、この一句は愛する人に向けて発する言葉のように聞こえるが、映画のラストに使われているシーンを見れば、そんな個人的な範疇に限られていると考えがたい。むしろ、人と人の繋がりを訴えているのではないかと考えることもできる。

 「誰もひとりでは生きられない」という歌詞は文字だけを見れば、極めて平凡で当たり前な話としか見えないが、その根源の思想は「傷を舐めあう道化芝居」「いくつもの愛かさねあわせて」などに通じて、「人と人は支えて生きてゆくしかない」というメッセージで、やがて富野が近年に達した「他人に生かされてる有難さ」「社会性」「隣人愛」などの考えの根源に流れている思想とも繋がっているとは言える。

 「誰もひとりでは生きられない」は、ニュータイプ要素がテレビシリーズより強く打ち出された劇場版ガンダム三部作のなかでも、その重要なニュータイプ要素を通り越える、本当の本当のテーマなのだ。



 ところで、井荻麟はガンダムのTVシリーズと劇場版においてはそれぞれ5曲を作ったが、これは実は『機動戦士ガンダム』で描かれたテーマと呼応するものとなっている。作品を見ると、ガンダムが描かれてきたものと大命題は①少年の自立(成長)→②ニュータイプ的な幻想(新しい時代への予感)→③人は支え合うこそ生きられる(未来の獲得)となっているが、これらは『ガンダム』、『ガンダム』劇場版で描かれたものだけでなく、井荻麟の作詞でも再三繰り返されている

 たとえばテレビ版の場合、①に当たるのは『翔べ! ガンダム』『永遠にアムロ』、②は『きらめきのララァ』、③は『いまはおやすみ』となっている。で、劇場版の場合、①に当たるのは『スターチルドレン』『風にひとりで』で、②は『ビギニング』、③は『めぐりあい』となっている。このようにして、映画版の曲はテレビ版の曲の精神を継承し、テレビ版が欠けている要素を追加した上で、映画ソングとしても成立している。井荻麟の作詞は曲としての独立性を確保しつつ、富野由悠季作品に秘めているテーマと呼応し、それらを歌詞で強化するような役割を果たしている

 あと、「シャアが来る」と「哀・戦士」は①②③のどれにも当てはまらないのだが、これは前の記事で言ったとおり、戦場の雰囲気を醸すのが主な役割のためだった。


 この曲を聴くことができるCDです。上ではこの「めぐりあい」は井荻麟作詞にして比較的薄味な曲だといいましたが、実際は当時の売り上げから見ても、「哀・戦士」のほうが受けたという感触なのですが、それでもこの曲は映画の商売と作品の部分を両立できた素晴らしい曲だとおもっています。

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コメント
あたりまえなんですが映画版の歌たちは、映画版だけでテレビ版にはなかった
ということを今、気付いた次第です。

よくいいわれるのは作画のことですが、
作画だけでなく、そういうところも完成度に影響してるのでしょうね。

映像と音楽がマッチする(シンクロする)のを見ると
ある種の恍惚感のようなものを感じてしまいますが、
そこに意味のある歌詞も含まれてきたら、もう、そりゃ大変ですね。

中には変に意味が強い言葉が出てきてしまって
下手な作り手では調和を乱すようなこともあるかもしれませんが、
あの富野台詞の監督ですから、音やリズムに乗せた歌詞が
心地よくないはずがありません。
なるほどなぁ、と今回納得しました(鈍感すぎ)
まそきぃ〜 #-|2013/02/06(水) 17:18 [ 編集 ]
テレビシリーズと映画の歌の差異は、この時期で一番よく見分けられます。
富野さんの場合、映画はリメイク的ですから、テレビシリーズより上乗るのもある意味当然ではないかと。
加えて、言葉や構成などを見ても、ある程度特定の意図を狙っているのは記事のなかでも指摘済みですので、正直とても感心しています。

ただ、「めぐりあい」の場合はいくつかの言葉はおそらく売野氏の影響だと感じられますので、
そこらへんを含めて別の記事でも論じたいと思います。
よろしくお願いします。
kaito2198 #-|2013/02/08(金) 22:44 [ 編集 ]
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