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井荻麟作詞論 第13回「スターチルドレン」

2013/01/29 02:17|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第13回「スターチルドレン」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第13回から第18回までは『機動戦士ガンダム』劇場版三部作を語るものとなっています。映画作品としては三作ですが、記事を書く際にこの三部作を一つの流れとして捉えているため、記事ではこの三作を一緒に語るところもあるかと思います。

 では、今回の第13回は『劇場版 機動戦士ガンダム』(通称「ガンダムⅠ」「砂の十字架編」など)のイメージソング「スターチルドレン」について論じたいと思います。



スターチルドレン
作詞:井荻麟/作曲:やしきたかじん/編曲:飛澤宏元/歌:やしきたかじん

おゝ 宇宙(そら)よ ゆらめく鼓動
スターチルドレン スカイハイ
スターチルドレン スカイハイ

 言わずと知れたこの曲は『機動戦士ガンダム』が劇場版になった際、谷村新司氏が作った主題歌「砂の十字架」に合わせて、監督の富野由悠季が作ったカップリングの曲である同時に、井荻麟のはじめての映画ソングの歌詞でもある。いろんな映画作品を作った富野監督だが、映画ソングの歌詞は思いのほか少なく、イメージソングを含めても、実は8曲しかなかった。なので、ここでちょっと映画事情に紙面を割って説明したいと思う。

 映画でいえば、かつては「本編」と呼ばれるほど大掛かりなもので、そのレトリックもテレビアニメとはわけが違う。製作側から見ればいろいろと勝手が違うのだろうけど、ある意味テレビアニメ以上に商業ベースを則らないといけない。歌詞という面から見ても、当然テレビアニメの曲との文法もまた違ってくるでしょう。とにかく映画ビジネスにかかっている以上、当然の大前提としては、「映画ソングとして成立する」という条件をクリアできなければならない。

 ここでは「映画ソングとして成立する」の条件や要素を議論するつもりはないので割愛するが、とりあえずアバウト的に「一般大衆にさも深い感動を得られるように見せかける曲」だと理解してください。こんな説明しかしなくて恐縮だが、興行ランキング上位の映画のテーマソングのようなものを想像すれば分かると思う。映画ソングはやたら「愛」を連発するのも、まあそのためだと考えられる。



 それでは、この「スターチルドレン」はどうでしょう。

 歌詞を見れば、映画ソングとしての体裁は整っていて、曲全体のイメージもまとまっている。テレビシリーズの曲のような唐突な言葉もあまり出てこない(そこもまさに魅力の一つだが)。さらに映画らしくスケール感もある。「砂の十字架」のほうがテーマソングとなっているため、実際に本編にかかることはなかったが、それでも十分に映画ソングの格を備えているといえる。

 しかしながら、全体的に光っている歌詞はあまり見かけせず、『哀戦士編』「哀戦士」や『めぐりあい宇宙編』「ビギニング」などに比べて、「この曲ならではの印象」が乏しい一曲となっていることも否めない。

 これについて、歌手・作曲のやしきたかじんが井上大輔・富野喜幸コンビのような阿吽の呼吸を発揮できなかったほか、この曲の歌詞はあくまで井荻麟が「砂の十字架」に合わせて作ったものという要素も考えられる。

 「砂の十字架」は一見とてもすばらしい曲だが、よく歌詞を吟味すれば、中身はほとんど無いとも取れる。心に沁みる歌詞に雄大な曲調、厚みのある歌声に思わずウットリするが、それだけだ。歌詞は『ガンダムⅠ』を歌えているように聞こえるが、実はその類の映画ならどれにもでも当てはまる。

 誤解を招く恐れがあるかもしれないのであえてここで言うが、これは決して「砂の十字架」を貶すつもりではない。曲としてはすばらしいし、映画の彩りを添えたのも事実だ。ただし、「ガンダム」という作品自体の中身に合致するかでいえば、おそらく『BEYOND THE TIME 〜メビウスの宇宙を越えて〜』以下だろうという判断が下されたことも仕方ない。

 つまり、「スターチルドレン」は「砂の十字架」が不足している「ガンダムという作品の中身」を補強するために、こういう歌詞になったのではないかという一面もあると考えられる。



 では、この曲の歌詞はどのような補強をしたのでしょうか。

顫(ふる)えたくない 顫えたくない
強い男と 讃えられたい


 まず全体的に俯瞰すると分かってくるのが、テレビシリーズ『機動戦士』のOP「翔べ!ガンダム」とED「永遠にアムロ」が持っている「少年が男に成長する」というコンセプトを汲んでいる部分だ。

 そのうえ、歌詞でさらに宇宙(そら)のイメージも付き加えた。

きらめく閃光(ひかり)の 死神を見る

百億と千億の星々よ 暖めてくれ

 やがて『めぐりあい宇宙』などで見かけるように、宇宙を「そら」と書くことを多用する富野作品だが、歌詞に限るとこの曲は始めてだ。

 さらに、『機動戦士ガンダム』後半に出てくるニュータイプという要素の違和感を無くすための措置もされている。歌詞に出てくる「スターチルドレン」という言葉は、おそらくニュータイプへの暗喩として入れたものでしょう。歌詞単体を見ればあまりはっきりしないが、それが『Ⅰ』本編のラストのマチルダ中尉の言葉のように、『Ⅱ』『Ⅲ』への伏線として作用している。

 このように、「スターチルドレン」はテレビシリーズのコンセプトを汲んだうえ、「宇宙(そら)」という情景を入れ、さらにニュータイプへの伏線も付き加えた。上では印象を欠ける曲だと書いたが、歌詞単体だけを見れば、実際はなかなか隙がないオーソドックスな曲とも取れる。



 そうはいっても、劇場版三部作を通してみれば、違和感をなんとなく感じる人もいるのでしょう。そう、「Ⅲ」の幻想的なイメージを持つ曲に比べて、この曲はあまりにもほろ苦すぎると感じる。いいえ、『Ⅱ』のシビアなドライさに比べても、この曲はとろいように感じる。二部作と三部作の曲に比べて、「スターチルドレン」という曲と歌詞はあまりにも泥臭さがありすぎるのだ

 「スターチルドレン」は『Ⅱ』と『Ⅲ』の曲に比べて異質なのは、いろいろな理由が考えられるが、『Ⅰ』の時点ではまだ続編があるかどうかは決めていないことと、作曲者と歌手が違うこと、この二つはおそらく本当の理由だろう。しかし、ここではあえてこう考えたい。

 劇場版三部作はいわばテレビシリーズのリメイク作なので、スマートになっているのは当たり前だ。『めぐりあい宇宙』のラストを見てもはっきり分かるとおり、ニュアンスこそ大差はなかったが、画面・演出・音楽などあらゆるの面はテレビシリーズを超えている。

 しかし、テレビシリーズだろうと、劇場版三部作だろうと、出発点は同じく「平凡の少年アムロ・レイが成長する話」であるはずだ。ニュータイプへ覚醒だろうと、スターチルドレンに進化しようと、『機動戦士ガンダム』の原点はあくまで泥臭いビルドゥングスロマンなのだ。この歌詞には、監督の富野のそういう意思が込められていると思いたい。


 余談だが、作曲・歌のやしきたかじんは長年この作曲の出来に不満を漏らした富野に恨み節を口にしているようだが、言語道断である。歌詞はさておき、この「スターチルドレン」の曲調はテーマソング「砂の十字架」に比べれば、優劣は一目瞭然だ。谷村新司より劣るなら、素直にそれを認めなさい、と言いたい。

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コメント
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#|2014/01/10(金) 13:46 [ 編集 ]
秘密コメントさん、ありがとうございます。
ご解説ありがとうございます。そこらへんの事情は分かるつもりです。
機会があれば別の記事で改めてご意見を掬いながら解説したいと思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2014/01/11(土) 21:22 [ 編集 ]
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