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井荻麟作詞論 第9回「いまはおやすみ」

2013/01/23 14:34|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第9回「いまはおやすみ」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日はその第9回で、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(通称ファーストガンダム)の挿入歌その2「いまはおやすみ」について論じたいと思います。



いまはおやすみ
作詞:井荻麟/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士/歌:戸田恵子

翼をひろげて あなたを待つわ
きょうのあなたは 辛いのかしら
そんなことない わたしたち
だから ねぇ おやすみ アムロ

 さて、この「いまはおやすみ」は井荻麟がファーストガンダムにおいて最後の作詞なのだが、曲全体の雰囲気から察すると、「きらめきのララァ」を踏まえて歌うものだと感じられる。また、間奏の間に入っているセリフを聞いても、やはり傷ついた戦士たちに安らぎをもたらし、今より一歩進んだ未来を届ける、最終回以降を意識しているような歌詞となっている。



 この曲の歌詞構成はものすごくトリッキーなものだ。

 最初の「翼をひろげて」から「ねぇ おやすみ アムロ」までの部分は祝福を届けるような歌詞だが、「こんな時代と人はいう」から「それは 夢 夢」までは一転して、悲哀を帯びるものとなっている。それが2番目まで2回続き、最後は「あした二人は血みどろで 風に 風に 風に 舞う」という残酷で儚い歌詞で終わりを結ぶ。これまでの未来への謳歌、若者への祝福と人の世の悲哀をひっくり返したように、血と死の暗喩で片付けていた。

 かつての大杉栄が「美は乱調にあり」と言ったが、それを富野喜幸本人の言葉を借りると、「あえてトゲのように刺さる部分を入れることによって、きっぱり感を無くす。そうするとバランスが悪く感じるが、全体から見ると味が出る」ということだ。そしてこの乱調はまさに井荻麟が持っている固有のもので、ひょっとしたら井荻麟作詞の最大の特徴といえるものかもしれない。乱調は意外性を醸し、やがて飛躍の美をもたらす。

 また、この意外性が井荻麟の作詞においては、言葉レベルに存在してるし、構成レベルにも読み取れる。

こんな時代と人はいう
このぬくもりが 確かなら 確かなら
見つかるよ
夢 それは 夢 夢

 これを聴いて、前後の歌詞がどのような因果関係をもたらされたのは困惑する人も少なくないだろう。いや、そもそも正しい因果関係なんて無いかもしれない。このように、構成の不条理と読めなさがかえって人に印象を与え、想像を掻きたて、余韻を醸す要因となっている。

 だから、この部分の歌詞は「夢は見つかる(あこがれる)」と解けるし、「見つかる(あこがれる)のもしょせん夢」とも解けて、希望と残酷が同時に溢れている、もの凄く深みがある意味となっている。アンビバレントな感情を同時に伝える--上で言及した手法がなければ、到底できないことだ。



 一つ不思議なところがある。この曲を聴いてると、まるでララァとマチルダ二人を混ぜたような視点が繰り出されている。ララァ的な視点はいうまでもなく、その幻想的なイメージでアムロを呼びかける部分だ。嬉しさと悲しさの間に揺れてるその繊細な感情は、まるで少女そのものだ。「きめらきのララァ」を踏まえて聴いてると、これについて疑問を思う人も少ないでしょう。

 しかし、なぜかホワイトベースのクルーたちの未来を見守り、それを祝福する視点も同時に入っている。ララァがニュータイプだからという解釈もあるかもしれないが、実際の曲を聴くときはララァと結びつけることは難しい。劇中にホワイトベースと繋がりを持ち、かつ母のように庇護的な立場をいた人物でいえば、マチルダ・アジャンその人しかいない。加えて、歌手が戸田恵子であることも相まって、むしろマチルダ的な視点だと感じられる。

 このように、一人だけ見つめている小さな愛と、全部の人を俯瞰する大きな愛が共存するのはとても不思議で、まるで少女と母が入り混じるようなもので、ある意味ものすごく女性的な本質を現す歌詞と言えるのかもしれない。



 最後、前回はなぜファーストガンダム第41話「光る宇宙」ではなぜ「いまはおやすみ」が使われた話をしたが、以下は試しにその訳を解くことにする。「きらめきのララァ」はララァが提示した未来の可能性を歌う曲なのだが、そこにはアムロが同時に感じた、今に取り残されていた痛みは含まれていない

 また実際の映像を見ると、ララァというニュータイプそのものよりも、人が開いた新たな可能性を描きたかったと見受けられる。そうなるとララァから未来を見出せたというニュアンスが強い「きらめきのララァ」よりも、俯瞰的な視点を持っている「いまはおやすみ」のほうが、このシーンに適合するのではないかという想像も立つことができる。

 あくまで推測だが、もともと「きめらきのララァ」は第41話のために作られたもので、「いまはおやすみ」は最終話のための曲だと思われる。しかし結局上記の理由で現在のような使い方になった。実は、井荻麟の作詞は常に作品のどこかを反映している作りになっているが、それでも”イメージソング”だる曲が存在しているのは、結局なんらかの理由に使われなかったためであって、本当に最初からイメージソングと想定して作られた曲は、一つも存在していなかったと思われる。その理由と話は、またいずれ語ろう。


 余談だが、テレビでの初出は1979年12月8日放送の第36話「恐怖! 機動ビグ・ザム」だったが、レコードでの公開は一足早く、1979年11月21日発売の「機動戦士ガンダムII 戦場で」での収録となっていた。ファーストの挿入歌としてはむしろ一番早く視聴者の耳に触れたものだったが、上記アルバムの収録順では「シャアが来る」と「きめらきのララァ」に次ぐものなので、現在も3番目の挿入歌として数えられている。

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