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井荻麟作詞論 第8回「きらめきのララァ」

2013/01/21 11:04|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第8回「きらめきのララァ」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日はその第8回で、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(通称ファーストガンダム)のイメージソング「きらめきのララァ」について論じたいと思います。


きらめきのララァ
作詞:井荻麟/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士/歌:戸田恵子

きらめきの きらめきの ふたつのこころに
ほしがとびこみ めざめる ララァ

 「シャアが来る」のカップリング曲「きらめきのララァ」。同じく放送後半に作られたこの曲は、後半の最重要キャラの一人ララァ・スンを歌うものとなっている。全体の歌詞を見てみると、これまでの井荻麟作詞とうってかわって、具体的なテーマ(「永遠にアムロ」)、あるいは物語性(「シャアが来る」)があるわけではなく、むしろ抽象的なイメージを描写する歌詞となっている。

 歌詞単体を見れば、実に美しい詞なのだが、それ以上重要で気づいてほしいのは、この歌詞が作品全体を通してみるときの唐突さから来る異質感なのだ。描く対象は明らかにララァだが、言葉一つ一つの意味はわかっても、全体が伝えようとしている意味はよく分からない。今まで地を這ってきた者が、突然飛ぶように強要させられるような困惑で、まるで掴みどころがない。

 そう。「翔べ!ガンダム」「永遠にアムロ」「シャアが来る」などの曲の持っている泥臭さに比べて、「きらめきのララァ」はあまりにも離れてすぎてるのだ。そしてこの距離感こそ、ララァ・スンというキャラクターが持っているファクター--ニュータイプそのものだ。

 単に「ゆらめきのひとみ」や「つややかなひとみ」の歌詞を見れば、なるほどララァを歌うものかもしれない。しかし、「いのちのながれ」や「いのちのさだめ」を見れば、これはララァ本人の美しさを歌うというよりも、ニュータイプという新たな境界、あるいはニュータイプという希望の象徴という美しさを歌っているようにも感じられる。

 ララァ・スンというキャラクター自体は相当理想が入っているキャラだったが、劇中では生身も持てば、人間的悩みもする。しかしこの歌詞で描かれたララァは、一切の重みを脱ぎ捨てたように感じる。まるで羽化した蝶のようだ。これはララァを描くというより、ニュータイプそのものを描いている。

 漢字の使い方でも、井荻が苦心していた様子を読み取れる。「きらめきのララァ」の歌詞ではほぼ漢字を使わせずに、非常に軽やかで透明感があるイメージをもたらせてくれた。さらに、「翔べ!ガンダム」の「翔べ」が大きい翼を広げて空に雄飛するイメージに対し、この曲の「はばたく」は白鳥みたいに、かよわくて身軽な鳥が悠々自適に「遊ぶ」。両者の境界は、何もかも違うのだ。



 一つ恐ろしいところがある。歌詞全体に漂っている、死の匂いだ。

 ご存知のとおり、ララァは主人公アムロと出会い、交感し合うのち、悲劇の死を遂げた。しかし、死んだララァが一瞬刻を越えて、アムロにそれを見せて、アムロに希望と絶望を同時に与えた。『ファーストガンダム』においてもっとも悲劇的なシーンである同時に、もっとも美しいシーンでもあった。

 しかしこのシーンを見て、悲しいという感情以上に、その幻想的なエクスタシーに魅了されてしまう人も多いのではないか。そしてそのシーンを歌っている曲も、このように作られている。上では「きらめきのララァ」はララァを歌っている歌としていたが、もっと正確に言えば「死ぬ瞬間のララァ」を、だ。

 刻を越えて、超越的になったララァに死のエロスが満ちている。そしてこの歌にも死のエロスが満ちている。語弊があるにせよ、あえてこの言い方にした。

 富野氏の名誉のために言わせると、富野は決して死を肯定し、美化するような意図がない。来世がいいとか、死んだら幸せみたいな文脈は、富野作品のなかには一切ない。死を描くのは、あくまで生を引き立てるためだ。しかし、「死」の一瞬を「生」以上に眩しく描いた。これで人が心を奪われるのも無理がない話だ。

 このような死のエロスは富野由悠季のアニメ・小説・作詞でしばしば見かけるファクターだが、全作品を俯瞰すると、それが意識的に「ここに入れる!」というような描写というより、無意識に発露するようなものと感じられる。ただこれを語るには莫大な紙面が必要な上、富野作品全般に切り込む必要があるため、ここでは割愛させてもらう。



 ところで、上で語ったように、この「きらめきのララァ」はララァの最後の一瞬を歌う曲であるため、もともと第41話「光る宇宙」に使われる予定のものだったと思われる。しかしご存知のとおり、本編で実際に使われたのは「いまはおやすみ」であったため、この曲もイメージソングのままに終わった。その訳に関しては、次回でまた語ろう。


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コメント
いつもみてます!
記事のできのわりに反響が少ないからといって
へそまげてやめないでくださいね!
#NV6rn1uo|2013/01/22(火) 01:48 [ 編集 ]
いやー、ツィッターでのぐちを聞かれて恥ずかしいです。
正直反響というより、ご意見、あるいはどこが悪いのかという指摘がほしいですね。
ちゃんと100回完走つもりです。
kaito2198 #-|2013/01/22(火) 01:56 [ 編集 ]
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