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井荻麟作詞論 第7回「シャアが来る」

2013/01/17 16:33|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第7回「シャアが来る」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日はその第7回で、『機動戦士ガンダム』(通称ファーストガンダム)の挿入歌その1「シャアが来る」について論じたいと思います。



シャアが来る
作詞:井荻麟/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士/歌:堀光一路

シャア! シャア!

今はいいのさ すべてを忘れて
一人残った 傷ついた俺が
この戦場で あとに戻れば地獄におちる

 名エピソード「光る宇宙」にも出てくる挿入歌「シャアが来る」。この曲は「シャア」というキャラの固有名を入れたものの、現在でいわゆるキャラクターソングというものとは、少々違うと見受ける。

 井荻麟作詞を見てみると、アニメソングのうち、主役メカの名前が入っているオープニングテーマ以外、キャラ名を入れた詞は『ガンダム』のみでしか見かけなかった。井荻キャリアのごく前期であったことを考えたら、おそらく当時においてはまだ手探る状態にいたんでしょう。

 特に注目すべき違うところは、その作詞が持っている「物語性」なのだ。



 井荻麟というか富野由悠季がアニメ演出家であるためか、作詞においても、必ずなんらかのストーリーを、一つの世界に持ち込むことにする。その作詞が持っている「世界観」「物語性」こそが、井荻麟という作詞家の一番な特徴とは言える。基本的に、アニメ演出と同じ方法論なのだ。

 では、「シャアが来る」を見てみると、歌詞によって描かれたものも明らかになる--名も知らぬ一兵士が見つめている戦場、そして戦場に駆けめぐるシャアなのだ。名も知らぬ戦士たちの生と死、戦場の無常と無情、そして迫ってくるシャアの影を、この歌詞によって我々は知ることができる。

 ご存知のとおり、ファーストガンダムは戦争を舞台にした作品なので、当然戦争の場面も出てくる。しかし、その戦争の光景はあくまでアムロとホワイトベースを中心にした主人公たちが見たものに過ぎない。画面の外には、当然別の戦場もあるし、見知らぬ人たちの生と死も繰り返している。この歌詞の役割は、まさに戦場の雰囲気を描いているものだ。

 このようにして、挿入歌の歌詞で画面以外の出来事を描くことは、いわば一種のサイドストーリーを作る手法で、これによって世界観は補強されることになるし、物語にも厚みをもたせるわけだ。これが、ファーストガンダムはなぜ重厚的な中身に持ちえた訳でもある。これを吟味せず、ただこの曲を笑い種にする人は愚かである。



 歌詞のなかで、一番精彩なのはここである。

一人で死ぬかよ 奴も奴も呼ぶ
狙いさだめる シャアがターゲット


 タイトル「シャアが来る」で示したとおり、この曲は一人の兵士が戦場で目撃した光景やその思いを描くもので、その視点も基本的に静的なものだ。地獄を感じたろうと、シャアを目撃したろうと、全て受動的で動きが伴っていないものだった。

 しかし、上の歌詞が出てくる瞬間、これまで静的な状況が一転して、動的な描写になり変わった

 シャアと対峙した瞬間、これまで受動的だった兵士も、能動的に敵を道連れにしようという意識が芽生る。この転換によって、今まで積み重ねた描写が一気にラストに向けて雪崩れる。歌詞全体を持っている物語性は、この一句によって動き出したということだ。

ビームきらめく 雲を裂く
生きて見つめる……


 このようなストーリー性をひっくり返した転換があるからこそ、歌の最後に出てくる、その闘いの様子を「生きて」見つめるところで終わっている描写に繋がれるわけだ。自分が死ねば、もちろん見つめることもできず無に帰してしまうから、生きているからこそ、屍と自虐的になろうがもがき苦しむ地獄の炎をも感じることもできる。

 つまり、この歌詞は戦場で苦しんでいる兵士を描いただけでなく、生きて見つめることの安堵さとその裏に隠す虚しさをも描くことができた。たかが挿入歌の歌詞のなかでも、視聴者に想像させるような物語性を入れる。これぞ井荻流ならではの作詞手法だ。



 もっとも、富野がこの「シャアがくる」においては、おそらく本編のシャアではなく、むしろ戦争前期に戦場で鬼神の働きを見せたシャアを想定しているようである。事実、この歌が本編に出てくる時期はすでに放送末期で、歌の使われ方も実際の映像とは合致しないものとなっている。

 このことからでも、この挿入歌の挿入には、少々放送局かスポンサーからてこ入れの匂いが嗅げるかもしれない。


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