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井荻麟作詞論 第5回「翔べ!ガンダム」

2013/01/13 04:16|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第5回「翔べ!ガンダム」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日はその第5回で、不朽の名作テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(通称ファーストガンダム)のオープニングテーマ「翔べ!ガンダム」について論じたいと思います。この曲以降、富野由悠季が使っている作詞名義はすべて「井荻麟」に統一されます。



 さて、この曲はガンダムシリーズひいては井荻麟の作詞のなかでも、もっとも有名な曲なのかもしれない。

翔べ!ガンダム
作詞:井荻麟/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士/歌:池田鴻

も、え、あ、が、れ
もえあがれ
燃え上がれ ガンダム

 最初にこの曲を聴いたとき、おそらく皆が非常に気になるのは『機動戦士ガンダム』本編の内容に反して、そのいかにも「アニメ」だった曲調と歌詞だった。ロボットアニメの歌曲のセオリーを守っているといえば、確かにそうだ。

 しかし、前番組の『無敵鋼人ダイターン3』のオープニングにおいて「王道を行きつつ、作品の深みを出す」という作りに比べれば、「翔べ!ガンダム」は明らかにそのような域に達していない。言葉遣いは前よりいくぶん成熟が見られるものの、本質はむしろ『無敵超人ザンボット3』OPに似ていると言えないこともない(※ここの成熟というのは、あえて「巨大ロボット」などあからさま過ぎる言葉を避ける意味)。そういう意味では、歌詞作りにおいてあえて厳しい言い方をすると、むしろ退化さえ見える。

 しかし、なぜでしょう。もちろん、これには訳がある。



 まず改めて確認しないといけないのは、監督の富野由悠季をはじめとした製作陣が『機動戦士ガンダム』という作品に対する、ただならぬ意気込みだ。
 
 もちろん、ガンダムがこうまで日本アニメ史に地位を残したことは、当時の製作陣には予想できそうもないことだったが、以下のいくつかの要素から見ても、ガンダムは当時の富野らスタッフにとっては、確かにちょっと違う作品だった。

 ①前二作のセールスの成功:『勇者ライディーン』は監督の富野にとって負け戦だとしたら、『ザンボット3』も『ダイターン3』もリベンジ戦だったとはいえる。そして徹底的に商業的要請を飲み込んだ上で、二年連続まずますの売り上げを叩きだした。そういう状況での三作目なので、商業上の成功はさらに要求されるのも当たり前のことだ。

 ②ガンダムそのものに対する気負い:二年連続のスマッシュヒットで、スポンサーから「今度は自由に作っていい」と商業上の制限を緩めたことに対して、原作・監督の富野喜幸が提示したのは、前二作を遥かに超える規模の世界観と物語だった。

 ③作詞&音楽に対する気負い:当時のアニメ音楽はレコード会社の「学芸部」が管理しているものでした。それはつまり童謡や唱歌などと同一扱いでした。しかし、TVアニメ以来10数年間進化し続けてきたアニメ音楽は、実はもう相当なレベルに達していた。アニメ音楽のレベル、アニメそのものの扱いを底上げたい意欲は、間違いなく富野のなかにはあった。事実、後のザンボット~ガンダムの三部作のサウンド・トラックは、共にセールスの成功を収めた。

 以上の状況だったから、あのようなとんでもない作品を生んだわけだ。



 とはいえ、「製作者が見せたいもの」にあまり気負いすぎると、かえって「視聴者が見たいもの」を見えなくなることは、10年以上いろいろなスタジオに行って何十作も参加して、さらに『勇者ライディーン』で降板された経験を持つ富野にとっては、百も承知だった。

 なので、せめてパッケージの部分だけでも、ロボットアニメという看板を掲げなくてはならない。つまり、「商売」と「作品」のバランスをとるために、富野が自制心を発動したのではないかと考えられる。そしてこの自制心の発動は、主題歌の作詞にも現れてくる。

 以上の事情があったから、冒頭では「翔べ!ガンダム」は『ダイターン3』のOP作詞より退化と言ったが、実際の歌詞を聞いてもオープニングの映像を見ても、テーマを隠すために前作以上「ロボットアニメ」の格式を守る歌詞となったという苦心が伺える。

 だからこそ、「機動戦士」という本編ではありもしない言葉を入れたのでしょう。このような苦心をただ「スポンサー騙し」としか見えないのは、正直制作者に対する失礼だ(※もちろん、作詞の決定権はすべて監督の富野の手にあるわけではないということも考慮に入れたい)。



 以上で、この歌詞の成立にまつわる外部の事情を語った。では、次に我々が知りたいのは、この歌詞には一体何を描いているのでしょう。

 まず見られるのは、オープニングにかかる第1段目が「巨大な敵を討てよ」「正義の怒りをぶつけろ」という詞が出ていて、スポンサーの要請を取り入れて、ロボットアニメの体裁を守っているものとなっている。

 しかし、あまりにも子供向けにしたくないためか、他の歌詞については実はかなり抽象的な描き方をなされている。歌詞を見てみれば、なにを訴えているのは誰でもわかるが、なにを訴えたいのか、おそらく直接言える人は少ないのではないか。

まだ 怒りに燃える 闘志があるなら
巨大な敵を 討てよ

まだ 絶望に沈む 悲しみあるなら
恐怖をはらって 行けよ

まだ 愛にふるえる 心があるなら
平和を求めて 翔べよ


 この3句は、この曲のなかでもっとも詳細な詞だが、見ていても、果たして共通性があるのかを疑う人もいるかもしれない。しかし、単語に注目すれば、多少分かりやすくなるかもしれない。

 「怒り」「闘志」「絶望」「悲しみ」「恐怖」「愛」「心」「平和」。パッと見じゃありきたりなフレーズでしかないが、プラスな感情もあれば、マイナスな感情も含まれている。マシンに乗って敵と戦うことは、ロボットアニメのケレン味を味わいたい視聴者にとってはたまらない快感であるはずだった。しかしこの歌詞では、視聴者のその期待を自ら否定して、戦いは決して楽しいことじゃないと伝えた。

 光の一面もあれば、影の一面もある。それこそ人間だ。この歌詞が訴えたいのは、まさにこのことだ。勇ましい曲調の裏に隠している、このかすかにほろ苦い味こそが作詞家・井荻麟の持ち味であると同時に、人の普遍性を訴える歌詞でもある。『機動戦士ガンダム』のテーマ--少年がいろいろを乗り越えて、大人になる--そんな成長をテーマにする歌詞だと分かるのだ

 つまり、この歌詞は一見アニメアニメしたものだが、実はちゃんとテーマを入れて、作り手の思いをも反映した、正真正銘の井荻麟スタイルのものだ。



 最後、もう一つ興味深いことがある。この「翔べ!ガンダム」の歌詞は、全曲に渡って命令形を使っている。これは井荻麟作詞ではあまり見かけないタイプの作詞だ。俯瞰的な視点と解ける人もいるかもしれないが、この命令形を使う語りの相手は実はガンダムではなく「人」であることを考えたら、むしろ視聴者に直接語りかける手法だと見ることもできる。


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