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富野由悠季が目指す小津安二郎

2012/12/04 21:30|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:2
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 ガンダムエース2012年6月号に収録されている、富野由悠季監督と與那覇潤氏の間に行われていた対談のなかで、富野監督がかつて小津安二郎監督を目指したという話が出てきました。その内容はとても興味深いものですので、その部分の文字起しをしました。

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富野 先生が『中国化する日本』以前に著した『帝国の残影-兵士・小津安二郎の昭和史』は、僕にとっては非常に興味深い視点で書かれた本でした。
 僕は戦後の小津作品は全部観てますし、何より演出技法的には小津を目指している人間なんです。ただ、技法面での評価しかしておらず、内容的にはつまらない家庭劇しか撮れなかった、かなりオタッキーな人間だと思い込んでいたんです。それが大きな間違いだったと先生の本で知りました。
 小津安二郎という人は、長く中国戦線にいて、陸軍の軍曹までやってる。つまり、非常にシビアな戦争体験の持ち主なんです。

與那覇 丸二年くらい行ってましたからね。

富野 先生が引用されている戦争に関する小津の言葉は、量としては少ないけれどそれ故にどんなに苛烈な体験だったのかというのが伺えます。あれ以上はしゃべれない、しゃべりたくないという兵士の気分はすごくよくわかるんです。小津は、戦場でリアルに殺し合いと被災者と死体と前線というものを体験した人だった。だから、ささやかな家庭劇を作り続けることで、自分は戦争を描かないということを徹底的に意思表示してるんですよね。この凄まじさがわかったときに、観念的にですが、僕、小津作品が大好きになりましたもん(笑)。ここまで耐えたのか、と。それほど兵士の体験というのはなまじのものじゃなくて、もしかしたら小津も中国人を殺しているかもしれない。そんなものはうかつに映像化できるわけがないんですよ。
 これはほかの戦争体験者も同じで、本当の生き死にをやってきた人は絶対しゃべらないですよね。戦争の話をしてるのは、その周辺にうろうろしてた奴で、そういう戦争体験しか僕らは知らない。だって、人を十人殺した奴は絶対しゃべりませんからね。その痛みを持って表現者に戻ったときに、それは原節子に行っちゃうよなぁっていうのはすごくわかるんです。ただそれは小津の作品だけを観ただけじゃわからない。そんなに簡単なものじゃないんだということを教えられて、本当にありがたかったんです。

與那覇 富野監督が小津作品を目指したというのは、文化史的に非常に貴重な発言なような気がします。もしかしたら、アニメーションって小津作品に近いんじゃないでしょうか?

富野 アニメの場合、技術的にそんなに自由に動かせないから小津的になるんですよ。特に僕はそれを意識しました。小津の映画って、横の動きだけじゃなくて奥行きを感じさせる前後の動きがものすごくきれいなんですよ。こんなにきれいに人が動く映画ってまずない。恐らく外国人が小津作品を好きな理由もそこにあると思います。

與那覇 なるほど。監督はかつて松竹ヌーベルバーグへの反発心があったとおっしゃっていますよね。ヌーベルバーグとは、動きのひとつひとつをきちんとカット割して撮るよりも、置きっぱなしのカメラの前で役者に勝手にやらせたほうがリアルだとして、それまでの映画の文法を破壊するような試みだったわけです。それに対してアニメというのは、まず描かなきゃ画面にすらならないわけですから、自分で世界を作る必要がある。作品世界をきちんと演出しきるというスタイルが、小津安二郎から富野監督を経て、実写ではなくアニメのほうへと流れていったというのは、僕にはとても重要なことに思えます。

富野 そういう意味では宮崎監督もそうだけど、アニメの監督という目線で語られてしまうことが多い。でもね、劇を組み立てる、物語の世界観を構築するということに関しては、アニメ監督の方が実写の監督よりもはるかにレベルは高い。”らしさ”を作るのに、実写のような力のある映像ではなく、絵という記号を使うしかないんだから。それを組み立てる構造論はなまじのものじゃない。でも、映像関係者はとにかくこれをわかってくれませんね。実写の方がリアルだと思って。

與那覇 それは小津が戦後に浴びた批判と同じですね。街角にカメラを持ち出すのがリアルなんだ、お前のは作りものじゃないか、こんな嘘臭い理想の家族なんかどこにもないよと叩かれたわけですが、実際には映画の中で現実を構成していく力というのは、小津の方がはるかに高かったんですよね。

 非常に興味深い話で、富野が今までも何度か小津映画を言及したことはありましたが、ここまではっきりとそれを目指したのは、おそらくこれが始めてです。また、小津の戦争体験が映画に及ぼした影響とかに対する指摘も興味深いものです。

 とはいえ、私には小津を論じる力がありませんので、皆さんのご判断に任せます。

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 なお、この本は今となって與那覇氏の代表作ということなので、一応ここにおきますが、内容に対しては特にお墨付きというわけではありません。

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コメント
まったく初耳でした。
小津監督の研究本も富野監督の発言もそれなりの数、
目を通してきたつもりですが、自分の節穴っぷりにはほとほと呆れかえります。

知らずの内に
自分が心酔する(映画監督としても人間としても)監督二人に
共通点があったということは
自分の感覚というものは意外と狭いということでは残念かもしれませんが、
それほど方向音痴でもないということでもあるとわかり
やや安心もしました。

「リアルって何よ?」というところの答えは
よくよく考えれば非常に似ているのだと気付かされました。
(そのあたりが私が二人の作品に惹かれる大きな理由だとも思います)

しかし、今回も本当に貴重なありがたい情報をありがとうございます。
2回連続でのビッグ記事に涙ちょちょぎれる思いでございます。
本当にありがとうございました。
まそきぃ〜 #-|2012/12/05(水) 10:27 [ 編集 ]
そうですね、富野監督はこれまでも何回か小津を口にしたことありますが、
それでも絶対数でいえば非常に少ないほうだと思います。
それに、どっちかいうと富野さんは黒澤に近いイメージがありまして、
演出技法的に小津的なものを持っていると私も感じましたが、
それほど明確に「目指した」と言い切ったのは、これが始めてだと思います。

私も小津作品をいくつか見たことありますが、
まそきぃ〜さんほど造詣が深くないので論じる力はありませんが、
それでもこの記事で楽しんでいただければ嬉しいです。
kaito2198 #-|2012/12/05(水) 22:13 [ 編集 ]
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