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富野小説のオススメ(4)

2008/08/01 21:23|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:2
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関連記事:
■富野由悠季連載一覧
■角川スニーカー文庫における富野小説のISBN番号
■富野小説のオススメ(1)
■富野小説のオススメ(2)
■富野小説のオススメ(3)


アベニールをさがして』。
これは90年代に入って、珍しくガンダムじゃないSFロボット小説ですが、
富野小説のメカ戦描写における一つの完成型だと思います。
僕は前の記事で富野を「詩中に画あり、画中に詩あり」と形容していますが、
この作品もまさにそうです。
登場人物の思いと戦場の状況とメカの動きを一遍に読者を伝わるのが富野作品の特徴だが、
場面の転換が激しい本作ではもうそれを遺憾なく発揮していて、
読むリズムも時に激しく、時に緩やか、まさに富野小説の真髄です。
ただし、この本を読んで思ったのは、
やはり富野はアイデアの人で、纏まるのを苦手な人だなー、という再確認です。
導入部とギミックはとても面白かったし、その途中までの発展も人の興味を引いてるのに、
全体の3分の2を過ぎても全然纏めれる気を感じさせないのも、さすが富野としか言いようが無い。

アニメというスタッフワークに身をおける時でさえ、
時々危うく話を纏まらないボーダーラインにいるのに、
やはり富野のワンマンワークにそれを求めるのはちょっと無理のような気がしないでもないが、
この話を書いて突然思い出したのは、首藤剛志氏の言葉です。

ただ、ふと思うのは、富野氏は、脚本家運が悪いんじゃないかなあ、という気もしたのである。
 違っていたらごめんなさい。
 ひどい脚本に頭にきて、自分流に絵コンテで変えちゃうんじゃないですか。
 誰が書いた脚本も、数分台詞を聞くと、富野流を感じてしまうんですね。
 僕はたいした脚本家じゃないけれど、若い頃は、自分の書いた台詞と、同じ台詞を書いた絵コンテの台詞の、秒数の違いまで気になって、アフレコスタジオに行って台詞直しをしたり、声優と話して、その声優が無理をしない自然な語り口を台詞に取り入れたり、場合によっては、絵コンテチェックまでしたりしていた脚本家なので、こんな僕が富野氏と仕事をするような事が起きるとすると、大げんかになるかも知れませんが、それでもなんとなく富野氏の脚本家運が気になります。
 確かに、信じられないほどひどい脚本を書く人も多い。
 そんな人は、顔を洗い直して、富野氏の「映像の原則」を読んでほしい。

もちろん、富野を知る人たちにとって、富野の脚本からの改訂はたいした珍しいことではない。
脚本を叩き台にし、コンテ階段で尺をフィックスし、
一々セリフや一ヶ所を気にしないんで全体の流れを重視する人ですが、
そういう作風は脚本家の立場から見れば”脚本家運がない”という。
もちろん富野作品のなかにも星山氏か桶谷氏みたいな優れる人もいますが、
僕個人としては首藤氏の指摘が鋭いとも言わざるを得ません。
つまり、富野を修正する人はあまり少なかったゆえ、
全体としてはガタガタする作も少なくない、ということです。
それは何も富野アニメだけでなく、小説のなかでも感じたことですが、
一体編集者は何をやっている!と、信じられないほど酷い出来の作品もありました。
(僕が言った「酷い出来」というのは、ズバリ構成のことです)
そういう点から見れば、やはり富野はパートナーに恵まれないとつくづく思います。
(もちろん一口パートナーと言っても様々なのがありますが、ただなんとなくそう思います)

……と、話題は『アベニール』に戻ります。
全体としてはスラスラ読めるタイプですが、
ビョーキ三部作のなかにたぶん一番完成度が低い作品かもしれません。

オススメ度:★★★



ガーゼィの翼』。
正直言って、この作品は面白かった。
主人公が身を置ける立場もその周りにいる人たちも戦闘も逃亡の旅も、
恐獣と火薬の大バトルもクリスのセックス感もチャラチャラしてる雰囲気も、
すべてがすべて面白かった。
ちょうど『リーンの翼』と『オーラバトラー戦記』を足して2を割る軽い雰囲気がとても好きで、
バイストン・ウェルの集大成と言ってもいい作品だと思います。

が、ここに来て一つ大きな問題があるのです。
そしてそれはほぼ全バイストン・ウェル・シリーズにおける問題で、つまり終点が見えない。
簡単にいうとオチるところが見当たらないと言ってもいいですが、
それこそバイストン・ウェル・シリーズの「閉鎖感」をもたらす大きな一因だと思います。
それは何も富野小説の問題ではなく、
「現実ともう一つの世界の出会い」系の小説の共通した悩みなのですが、
キャラが萌えるわ、何時でも会いに行けるわ、永遠に幸せな日々を過ごすふたりでしたわ、
みたく終わらないのが富野小説ですから、主人公アボーンする以外には、
なかなかカタルシスを得る終わりが見つからないのです。

と、また離題しましたが、この本は僕にとって、かなり好きな一本です。
4巻までは地に付いた描写で展開し、内容もとても平穏で、
5巻の超~駆け足(人によって超展開を言うのもあるかも)が無ければ評価はもっと高くなる。
ただ、かつて子犬さんの『ガーゼィの翼』関連記事のなかでもこういう会話を残したように、
もしかしたら『ガーゼィの翼』の好みに関して、僕は少数派なのかな…?

オススメ度:★★★★



やや不謹慎な言い方かもしれないのですが、
富野由悠季という作家はかつて色んな時期で色んな遺言を残っているが、
この『王の心』もその一つです。
そして、この遺言の一つの『王の心』こそ、
富野由悠季がようやく小説という媒体を獲得した作品だと僕は思います。

まず遺言から説明しましょう。
他田引水で申し訳ないですが、富野がかつてザ・スニーカー95年春号でこの作品に対してこういう発言を:

―富野さんが生み出した様々な作品を見て、少なからず影響を受けたという人はたくさんいると思いますが……。

 僕は昔からいろいろなアニメ作品にかかわりましたが、過去の作品の責任をとっているヒマがない。次のものを見つけたいと必死なのです。だけど、一つひとつの作品で残したものがあって、それを次世代の人が受け止めてくれているその人たちが、それをスプリングボードにするのか、全否定をするのか、どっちでもいいんです。ただそういう部分でつながっていく人の関係というのは、まさに『王の心』の中で、死んでしまった王が、今度は自分の血縁たちを見ていくという構造と、基本的に同じではないかと思っています。

と、自らこの作品の位置付けをしましたし、
富野ビョーキ三部作の名付け親であり、権威(笑)でもある子犬さんも

この小説、何が凄いかというと、
主人公のグラン王がいきなり毒殺されるシーンで始まる。
そしてそのグラン王が成仏しきれずに霊体となって、
妻や子達が血みどろの権力争いを続けるのを見守るというところ。
霊体だからこそ様々な場所にあわられ、
状況を複合的に判断できるからこそ、
現実世界の人々に対していらつきを募らせる。

で、思ったのたがこのグラン王って、
当時の富野自身のメタファーではなかろうか?
95年といえば鬱病まっさかり。
「ガーゼィの翼」「闇夜の時代劇」など
アニメ制作に携わっているものの思うようには行かず、
ガンダムは自らの手を離れて一人歩きしている。
あまつさえ世間では「エヴァンゲリオン」が大ヒット。
グラン王のように思うように行かないサンライズや世間の状況に、
「なぜ、なぜ」とフラストレーションを募らせていたのだろう。

と、かつてアニメにおける『イデオン』やら『逆シャア』やら『∀ガンダム』やら『リーンの翼』に対して、
この『王の心』こそ富野が初めて小説という媒体を借りて、遺言を手に入れた作品です。

次は内容と文体に対して、
この『王の心』もまた格別に違うのです。
煽り文句「血とセックスの物語」と謳われるように、
この作品はかつて『リーンの翼』のセックスと残虐シーンを軽く超えるような描写が溢れていて、
まさに病んでるとしか思えません。
生霊、復讐、斬首、性愛、SM、赤子殺し、吸血、ミイラ化など…、
一巻だけでもこれほどの描写を入れたが、二巻以降はさらにすごいことも待ってる。

それだけでなく、いままで文体に対して疎かしていた富野は、
この『王の心』ではちょっと違う「語り」を試したのである。
その結果、初めてこの作品を読んだ時は、
思わず「これはホントあの富野が書いたものなのか!?」と呟いたほど違いました。
(具体的にどう違うのか僕にも説明できないが、とにかく「小説らしい」としか言えません)
残念ながら、二巻以降はまたいつもの富野節に戻ったから、
一巻と二、三巻の雰囲気はかなり異なるといわざるを得ません。

さらに、いままで人と人でなしの境界を厳しく規定していた富野は、
この作品において、いくつかの新しい試しをしました、
大地の変動、生きる霊体、妖怪との交感、密術にも近い術法、肉体そのものの変質…など、
かつての富野なら絶対踏まない曖昧なギミックをも組み込まれて、
そのため、宇宙世紀やバイストン・ウェルとも異なる新しい劇空間を構築することができました。
(『シーマ・シーマ』の世界に似てるという指摘もありましたが、未読だから確認ができません)

…と、僕の千言万語より、富野の発言を見るほうがいいかもしれません。

―『王の心』という物語の、著者としての手応えというものはいかがでしょうか。

 やっとで自分の書きたかった劇空間を手に入れることができたという実感があります。そして劇中に出てくる人物に、やっぱりその実在、実態みたいなものを手に入れられた事の充実感みたいなものもあります。
 こんな事を言うと怒られてしまうかもしれませんが、僕は自分の事を小説家だと言ってはいけないと思っているのですが、今回は初めて小説家冥利につきる部分に触れたと思っています。「こんなレベルで」って読んだ人は思うかもしれないけれど、僕にはそう思えたし、それで気持ちよかった。
 この“気持ちよさ”というのが、今回僕の書きたかった人の行為というもの。その人の行為というものを表すキーワードの一つとして今回表していきたかったものだった。それを自分が感じられた事は、目論見がうまくいったのかもしれないと自負しています。
 (中略)そういった意味で、僕自身の、つまりクリエイターとしての可能性を考えた時に、もしかしたら自分の中にあるものを全て出し切ったんじゃないのかなという恐れはあります。だから、ちょっと困ってはいるけれども、物書き冥利に尽きるという意味で、とてもうれしいと感じる部分があるのです。それは、もしかしたら、僕はもう書けないかもしれない。そう思えるほどに、『王の心』を書き終えた今、恐怖感と同時に、充実感でいっぱいです。

と、はっきりと自分の小説家としての実感を手に入れたと言いましたから、
富野ファンだけでなく、ファンタジーに興味ある人も是非一読。
はっきり言って、富野小説の一番の傑作で、
富野由悠季という作家の表現の極みの一つと言えるぐらいな作品で、
絶対絶対に読むべし。

オススメ度:★★★★☆
(なお、僕のオススメは「アカイアーの復讐」「アジャリ・ビィー」と「乳首」)



密会』。
これはいいものだ。
……と、もう力尽き寸前ですが、もう少し書く。
アムロとララァ(と、シャア)にフォーカスする形で進むこの小説は、
ダイジェストながらも、はっきりとストーリーラインが見えていて、
あの2人(念のため、アムロとララァ)の心境がより鮮明になっていく。
さらに、20年近く経っているせいか、話は基本的に劇場版を沿いながらも、
やはり当時と多少違うテイストが入っていて、
その結果、この小説は劇場版よりほろ苦くに、より甘美に、より生臭く的に、より病的に、
でもとても美しくて、現実と妄想の境界さえ曖昧になってゆく独自な作品になっております。
ガンダム小説のなかでは、おそらく一番読めやすい書き方を取っている。

オススメ度:★★★★


と…ここまで書いて、
ネタバレをしないつもりで書きましたが、結局何も書いていなかったような気もするが、
もしこれらの記事を読んだ方のとりあえずの読む意欲を誘えるなら、
とてもありがたいと思います。


コメント
一通り読ませていただいて、kaito2198さんがビョーキ3部作をこよなく愛されているダメガノ(もちろん褒め言葉ですよ)であることはよくわかりました。
私も王の心の1巻の富野らしからぬ文体には驚きましたし、
それでいて書いていることは全然変わらないドッロドロの血とセックスの物語なのには(*´Д`)/ヽァ/ヽァしてしまいます。
特に「アカイアーの復讐」は印象深かったですね。
子犬 #HL3aOXhs|2008/08/02(土) 23:29 [ 編集 ]
>特に「アカイアーの復讐」は印象深かったですね。
そうですね。僕も「おお、これは本当のファンタジー世界だ!」だと驚いたし、ましああいう文体は最後まで完走できたらなー、とも惜しがっていました。

それと、書いてる時気づいたものですが、ザ・スニーカー95年春号ということは、まだ一巻のときでしたよね。その後の文体やら雰囲気の改変は、もしかしたら富野自身が言ってたあの感触とも関係あるかもしれませんね。

ちなみに、僕が一番気に入りなのは「乳首」。あれは読んで心痛かったですよ…。
kaito2198 #-|2008/08/04(月) 13:10 [ 編集 ]
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