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『戦闘メカ ザブングル』誕生秘話(下)

2012/03/30 22:31|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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『戦闘メカ ザブングル』誕生秘話(上)

 前半に引き続き、富野由悠季監督の文章後半を紹介します。



 この時の状況が尾をひいているのだろう。先に書いた通りにザブングルという作品がダンゴのように感じられるのだ。

 これについては何度か修正しようとしたことがある。話が走りすぎるというより一度走り出してしまったキャラクターとかストーリーというものは、作者がよほどの力を持って(たとえば、ジロン以上のパワーをもって)阻止して、ある日ストーリーのフォルムを変えよと覚悟をして五、六話分頑張ってみせなければ、連中の走り出したパワーをとめることなどは誰にもできないことなのだ、という事の実感である。

 それが、トラントランやらアコンやらエル・コンドルの話だったはずなのだ。ところが不幸にして御存知のような状態で、っ全てはじきとばされて異質なストーリーとして浮き上がってしまっただけで終った。その破れかぶれともいうべきキャラクターがトロンの話であって、本当を言えばカタカムの代りにトロンあたりが頑張るという図式があったはずなのだが、真にトロンこそ僕にとって最後の歯止めのためのキャラクターであったはずなのだ。

 ところが、連中ときたらトロンが死んだ痛みなぞとこ吹く風、作者だけがなぜトロンを殺したんだよ、という非難をうけてしまう材料にしかならず、一体、ザブングルって何なのだろう、というのが今日までの実感なのだ。



 ギャリアにしても、確かにスポンサー要請があったから出したともいえるが、それだけではなく、我々スタッフの中にある、ジロンたちの使うウォーカー・マシンの極めつけをなんとか作りたいという衝動があって作ったものなのだ。

 だから、ギャリアなどはあきらかにザブングルより格好の良いエース・メカになるだろうと思いこそ、ジロンらが作ったとたんにザブングルと同じような道具以上の何ものでもないという具合になってしまっている。

 これらの原因が一夜漬けの設定でっちあげ作業から始まり、ストーリー、キャラクター、世界観というのものをタテ構造にきちんと腑分けせずに強行突破をしようと企んだことに原因しよう。

 ともかく、一話、二話のスタートがいけなかった。ことさらにキャラクターたちの活力を信じて、彼らの肉体のパワーのみをあてにした戯作のあり方という、確かに狙いどころは間違っていたとは思えぬものの、よくもまあかくも続けられた、制作がやっていられたという事の実感である。

 これに関して言えば、本当に日本サンライズの第二スタジオのパワーがあったおかげでとしかいいようがない。

 制作、進行、原・動画家、彩色とまず第一の過酷なブロック。さらに、背景、撮影、特効、音響の各スタッフ。これらのスタッフにとって過去、これほどの物量を週一本ペースの中でこなしていった作品はなかったろう。

 よくぞ保ってくれた、というのは確かに早いのだが本記録全集の中で第一に感謝したい。

 そして、声優さん方、これほどに声を張りあげて怒鳴り散らし、かつ、感情の変化を作ってゆかなければならなかった作品はなかろう。一回のアフ・レコが終ると消耗するという実感を皆さんが持って演じて下さっている。

 それらのスタッフの力が結集されながらも、かくもダンゴで塊に見える作品というのは何だろう。

 本来、バンク・システムにおいて使い廻し画というのはひどく目立つものなのだ。が、ザブングルの場合、各演出家の地味な努力のおかげでかなり前後のカットの中に埋めこまれてしまって目立たない。これは当たり前のことなのだが、かくも、仕事の努力が認められない物量作品にあたって演出家も疲れた。まあ、他作品に比べて差異のないと思われる編集作業にあってさえも、カット数は四百は越えないものの定呎をはるかにオーバーするラッシュを与えられ、しかも動いているために定呎に持ちこむのにどれほどの労力を強いられたことか……。

 にもかかわらず、何度もいう通りザブングルは、ザブングルという塊がTVモニターからとんでくる。

 あれも良ければこれも良く、これがカリオストロの下手な真似ならみんなそうにもみえてしまうという恐ろしさ。

 創り手の顔なぞ全くみえず、みえるのはジロンでエルチでラグでファットマンでチルで……よそう、これら全てが荒地の中に走りまわって何か叫びしている。

 ザブングルの鼻息ノイズが記憶から消えるのはいつのことなのか、と空恐ろしく思う今日であって、記録全集的冷静さを総監督らしく一筆したため給えなどという本書の編集方針なぞにはとうてい給えぬ、というのが本稿。

 さて、無事に終局を迎えられますか?

 それは、ザブングルにのっている連中に聞いとくれ。恐らくオン・エアが終ったって連中のスタミナが切れるわけがないから、終わるかどうか怪しいものだ……。

          オフィス・アイにて
          四十八話のコンテ・チェック前に

 最初に読んだとき、なにこの言い訳だらけの文章?と感じて、正直好きではなかった。前の記事では富野監督が得意するのは世界観創りだと言いましたが、正直以上の経緯を読むまでもなく、ザブングルの世界観はかなりおざなりだったのは、一視聴者でありながら感じ取れるものだった。逆に、富野の力は完全に発揮されなかったともいえるが、そんなのいくら言っても言い訳にしかならないから、この説明的な文章もそうに聞こえただろう。

 それから、記録全集という記録媒体に対してクールであろうとする意識はあったものの、1983年という時点では、富野といえども、ファンとメディアとの距離感を掴め切れなかっただろう(ましてガンダムとイデオンでプチ教祖の扱いを味わった直後)。なので、自分を客観的に分析するスタンスは変らないものの、後年の冷酷なまで自分と作品をバッサリ斬る厳しさは、さすがにまだ無かった(このへんはひびのたわごとの子犬さんの記事を参照してください)。とにかく、この文章のようにキャラクターをさも生きている人物として語ったのは、富野にしてはかなり珍しかった。

 とはいえ、ザブングルがあそこまでパワフルなのは、間違いなくキャラクターの力だった。「掟破り」と言われ、許されるのも、間違いなくそれらを上回る勢いをキャラクターたちがあったためだ。趣味と合致しないため、ジロンのドマンジュウ顔やネジ目に対して最後まで違和感を持つ富野だが、『ライディーン』以来ずっとほぼ100%アニメ企画と原作を自分の手に収めた富野にとって、逆にこういう原作の原案もキャラクターの名前とデザインも自分の好みではなかったものが、珍しいのではないだろうか。

 だから、結論というわけでもないが、やはり『戦闘メカ ザブングル』という作品は異質なのだ。キャラクター中心の作劇はたとえ『コナン』のなり損ないと見られても、面白いものは面白い。ストーリーに関しても、富野は失敗作だと厳しい評価を下したが、文明を再生するというアイデアは、のち『∀ガンダム』でも見られるとおり、むしろ富野にとってもう一度チャレンジする価値があるテーマだった。こんなことから見ても、ザブングルは決して無価値ではなかった。




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