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ガンダムは富野由悠季がしてきた現実の再演

2012/01/07 21:53|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:7
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 今はそうでもないが、1970、80年代の富野由悠季監督にとって、ベースとなる歴史観は極めて近代的なものだった。ゆえに、その代表作である『機動戦士ガンダム』の後ろに隠されている歴史観も、近代的な視点で始まるものだった。

 で、周知のとおり、『ガンダム』における一年戦争というものは、基本的に第二次世界大戦をモチーフにして描いたもので、そのラストで描かれた大戦の終結も、実は現実の1945年の終戦と同等なものを見なしてよろしい。

 とすると、『ガンダム』の後を描いた『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムZZ』、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』も、終戦後の延長線上にいる現代を描くものと等しい。『Z』はときどき冷戦をモチーフしていると言われているのも、おそらくこれのためだろう。

 これは、『1st』から『逆シャア』までのガンダムサーガ第1期が、どこか現代をなぞる話に見えるわけだ。終戦後、我々(人々)が遭遇した経験の数々を、宇宙世紀という歴史を生きている人々も別の形で生きた。いわば、富野は宇宙世紀という絵空事の舞台で、現実に存在している現代を再演した。

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 以上を踏まえると、第1期で描かれたのは「現代」とすれば、ガンダムサーガ第2期(『機動戦士ガンダムF91』と『機動戦士Vガンダム』、小説も入れると『閃光のハサウェイ』も該当かな)が描こうとしているのは「これからの未来」といえるかもしれない。つまり、第1期が現実としての現代と密着していたのに対して、第2期は現代からはねれて、さらに進んでいる時代へ行こうとした。

 『1st』~『逆シャア』が宇宙世紀という舞台を借りて「現代」=「現在までの物語」を語ったものだとすると、さらにその後の『F91』と『V』も必然的に「これからの未来の話」になるが、富野は徒に制作当時の時代像を丸写ししたのではない。第2期ガンダムが特筆すべきなのは、SFマインドが溢れたアイデアが作品を動かすギミック以上、作品世界・社会を動かすものとして使われたことだ。

 一番象徴的なのは、『F91』の「バグ」と『V』の「ギロチン」だろう。バグを例にすると、バグというのは詰まるところに「人間だけを殺す機械」で、アイデアとしてはまあSF的といえるのだが、SFのアイデアとしては特に目新しいわけでもない。しかし、我々が着眼すべきなのは、むしろその後ろに隠されている「誰の良心を痛める事もない」という価値観なのでしょう。

 事実、現在はそういう無人兵器も現存している。よりすごい兵器も研究もされている。これらを1991年で描いたのはさすがだが、未来を予言したわけではない。そのような兵器の思惟はとっくに存在しているのだから。むしろ凄いといえるのは、その後ろに隠されている「価値観」「道徳観」を、20年前ものアニメ(『F91』の1991年)を使って、すでにシミュレートしたことだ。

 と同時に、そのような兵器を作り出した社会・時代の業を鉄仮面というたった一人のキャラに負わせた演出も、狂気に近い。こういう作りもの(=アニメ上の絵空事だけの存在)だけに収まらない狂気は、だいたいキャラのみでなく、作者本人をも飲み込むものなんだから。となると、『F91』は白富野に見えるが、実はそうではないかもしれない。富野は『V』の頃で狂気に飲み込まれたというのが定説だが、実は『F91』のときはすでに相当ヤバイかもしれない。

 バグと同様に、『V』のギロチンも同じく「暴力性」をフォーカスしているものだ。ユーゴスラビアの内戦をモデルにしての描写だが、その時代と乖離するようなあからさまな暴力性は、21世紀の今日にになっても、テロリストの公開処刑などで依然に見かけることから、時代と逆行している現象は実に珍しくない。我々はよくバイクやタイヤに目が行きがちが、実はこれらもギロチンの「身もふたも無い暴力性」に隷属している。

 富野をさも予知者のように崇める人はいるが、とんでもない。まったくそういうことではない。むしろ、予知者でもないのに、時代の表面に惑わされず、時代の内面を見据えることによって、これをできたのから凄い。富野は本質を掴んだ上に創作する本物の作家だ。

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 では、『∀ガンダム』以降の富野によるガンダム作品(ここでは『リアルGガンダム』、『リング・オブ・ガンダム』、『はじめたいキャピタルGの物語』を指す)はどうなっているのだろう(宇宙世紀と繋がりあるものの、設定時代的に直接のリンクがあるわけではないので、第3期ガンダムとカウントしない)?

 『はじめたいキャピタルGの物語』はカースト制度っぽいところがあり、全体的にやはり見知らぬ世界観のはずなのに、そこに住んでいる人々の生活感が強調されてイメージとして想起出来る。また、『リングオブガンダム』では、ガンダムはアムロの遺産として登場することもあった。そういう部分は富野作品に共通する要素だと言える。

 しかし、全体から見れば、『∀』以降の富野ガンダム作品に第1期と第2期ガンダムで見られる「現実を再演する要素」はあまり見かけない。それは創作時期が開いたのもあるし、∀以降の富野ガンダムはやはり「新世界」の要素が先行しているから、あまり旧時代からの続きで感じられた閉塞感がないでしょうね。一方、『F91』と『V』は曲がりにもあの宇宙世紀「宇宙世紀」の続きだから、ちょっと辛気臭いというか、やはり歴史的な重さがあるのではないか。

 なので、時間を置くことで丸くなるというか熟成されたイメージもあるが、やはり『∀』以降は描きたいものが変わったからという言い方が適切かもしれない。宇宙世紀は宇宙世紀で魅力的な舞台だが、せっかく「新世界」を描く境地に行ってしまったから、今更時代を戻して宇宙世紀を描くほど器用さを持ち合わせていないな、富野は。

 結論でいうと、『∀』以降の富野がようやくガンダム呪縛から離れることをできた証でもあるし、『∀』以降の富野ガンダムはもうガンダム以外の文脈を取り入れることでもある。これからの富野を期待しよう。

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コメント
ぼくはイデオンが富野監督自信への預言書のような気がしていたのです。
ギジェやシェリルやドバやハルルの生き様が、形を変えて監督の身に降り掛かっているような。
笑ってしまうようなオカルトですけどw
#-|2012/01/07(土) 21:58 [ 編集 ]
F91ですでに相当ヤバかったってのはLOOP-02で押井守も言ってましたねえ
#-|2012/01/08(日) 03:18 [ 編集 ]
>ギジェやシェリルやドバやハルルの生き様が、形を変えて監督の身に降り掛かっているような。
うーん、どうでしょう。イデオンは神かがり的な出来ですが、個別のキャラクターはどっちかいうとまだ大味で、そこまで意識した作りではないと思います。ですからおっしゃる通りそれらのキャラはどこか後の富野さんを反映しましたが、おそらく富野さんが脳内で自分なりに彼らの人生をシミュレートした結果であろう。

とはいえ、ガンダムとバイストンウェルシリーズの意図は明確なゆえ、ほかの作品の目指す目標を私は正直まだよくわかりませんので、これからもじっくり考えてみたいと思います。

>F91ですでに相当ヤバかったってのはLOOP-02で押井守も言ってましたねえ
そうですね、押井さんは同じ作り手として何を感じ取ったんでしょうね。
kaito2198 #L2WcHO2o|2012/01/08(日) 10:22 [ 編集 ]
こんにちは。
何度か拝見したことがありますが、たぶんはじめてのコメントのなります。。。

富野作品はカルト性やエログロ描写などが先行しているためか、その裏にある
メッセージを見つけるのが難しいです。けれども、読むと、あるいは見ると
とても面白いです。色々と考えさせられる要素も多いです。

しかし…リーンの翼や伝説巨神イデオンがガンダムに比べて一般の知名度が
低いのがとても残念でなりません。


それにしても、いつになったら新作つくるんでしょうかね、富野さんは???



…愚痴になってしまいました。
長文すみません。
黒 紅 茶 #-|2012/01/09(月) 00:21 [ 編集 ]
前略 久しぶりにコメントいたします。ようやくブログにお気に入り登録しました。

>富野は『V』の頃で狂気に飲み込まれたというのが定説だが、実は『F91』のときはすでに相当ヤバイかもしれない。

 という定義には私も定説の考えだったので、読みが浅かったと理解した次第。さらにシャアの反乱までを、

>現実に存在している現代を再演した。

という理解にも同意し。しかしアムロの成長譚と『だから僕は…』を突き合わせると、劇の中に素っ裸の富野がいることが解り。ジオン公国も組織としてのホワイトベースもシャア少佐(後に大佐)も、虫プロや当時までの富野の境遇を投影したものと私のブログでも言及済み。

 だから生っぽい物語になるのであり、他の作家のガンダムシリーズにない魅力と思うのですね、ということは鉄仮面は当時の富野の本音と思えば、危うさを思いつくことは自然だったはず。
             草々
大塩高志 #/5LHBRow|2012/01/09(月) 09:50 [ 編集 ]
黒 紅 茶さん、コメントありがとうございます。どうかこれからもよろしくお願いします。

おっしゃるとおり噛めば噛むほど味が出る作品を作るのですね。知名度がガンダムより低いのはある意味仕方ないと思いますが、それでも見てくれる、読んでくれる人が増えれば嬉しいですね。

新作は…今はとりあえずGレコですかね。アニメはそこからさらにワンモアステップのことですからね。共に富野監督を応援しましょう。
kaito2198 #L2WcHO2o|2012/01/10(火) 12:22 [ 編集 ]
ご指摘したとおり、カロッゾが富野監督の代弁だったことは十二分承知していますし、F91とVの精神的な繋がりは明らかだったのにも関わらず、F91のあの優しいフィーリングに騙されて、Vとの関連性を忘れました。でも、よく考えれば、Vも凶暴があれば、途轍もない優しさを持っている作品ですので、やはりF91とVは似ているといわずにいられませんね。

作り手のその当時当時の投射は、確かにあると思います。そこもまさに魅力的なんですね。
kaito2198 #L2WcHO2o|2012/01/10(火) 12:39 [ 編集 ]
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