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富野由悠季『愛とまぐはひの古事記』解説文

2011/11/13 17:18|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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『 愛とまぐはひの古事記』レビュー

 前回の『愛とまぐはひの古事記』の書評に続き、今回は富野監督の解説文を紹介します。

解説にかえて 古事記が教えるもの
富野由悠季


 本書に好感がもてるのは、女性の生理をベースにしながらも、根ざすものが心身症的な不安感から『古事記』を読み返してみたら快を得たといっているからだ。

 だからといって理知的な切り口からではない。

 『古事記』も、口伝者と漢文をもって和語を創り上げたいと願う執筆者との格闘技が凝縮されたものであるから、当時のアカデミズムの最先端にあって、形としてはどうしょうもなく硬く、国策に則った衣をまとったものになってしまうだろうものを回避している。まして、歴史的な異議申し立てを後世に残しておきたいという願いもあれば、うかつに書き記せば、時の政争のなかで焚書になっていただろう。

 だから”まぐはひ”を表に出す手法をもって、大和に至る前史もあるのだよと記し、”まぐはひ”を真正面から見つめて男女の関係性から派生する人肌相だたちのぼるのだから、不安も解消される。

 手当て、の効用があるのだ。

 それを国史でやって見せたという技は、『古事記』が芸能のための台本だったのではなかったか、そうではないにしても、民衆のあいだに流布しえた伝承話であるからこそ肉厚に心をうつのだ。理想とか観念ではなく、”想”そのものが凝縮されたものだからだろう。

 であるから、一見素朴で猥雑なのだが、もともとヒトという動物を根底的に支えているものは、このようなものだからなのだ、と、大塚ひかりは優しくも読みほぐしてくれる。

 もともと神話などはそのようなものだとは思っていたのだが、こうまであっけらかんとセックスではないまぐはひの社会性とか継続性といったものを抽出してくれた彼女には敬意を表する。『源氏物語』に馴染んでいる素養があればこそで、これを性交をしたのしないといった描写だけを面白おかしく羅列したものであれば、とうてい読めたものではない。

 残念ながら、というべきか、ただ生理的に書いたものではないという手堅い学識といったものがほの匂って、小生のような素人には嫉妬心を刺激させられる。女性から物はこう書くのよ、と諭されていなされる部分はエクスタシーである、かも知れない。

 そこにまさに女性性と男性性の永遠の溝があって、男は女によって生かされて(イクイクのイクもかける)いると実感するし、女は触らなければどうということはないのだが、触れば鬼にも蛇にもなる、ということも知らされるし、女があればこその男だとも納得させられる。

 とはいえ、『古事記』が編纂された時代、中国大陸では三国志の時代がとっくに昔話になっていたわけで、その観点からすれば、なんとも素朴すぎる列島の人々よ、という感慨を抱かないでもない。が、大陸の覇権争いから脱落したか、意識的にそこから脱出した人々が、再度、歴史を構築していくためにこそ、天皇制といったものを編み出し、和語を発明し、新国家建設にあたって『古事記』的な原始的な発想を軸にすえたのは、国家論にあっても観念や覇権論ではないものを礎にしなければならないという理念があったからではないか、と想像する。

 それは『古事記』の編纂者たちが、大陸から学んだもっとも根源的な政治学ではないのか。つまり、覇権や統治論という学問的(インテリジェンス)な思考では国家は長続きはさせられない、と喝破した視点があると思える。なぜなら、現在ほど複雑怪奇な要因が働いて国家運営をする時代ではなかったのだから、”まぐはひ”をもって歴史も語れれば国家創生も語れた。だから、その心根だけを軸にすれば良い、と理知的に収斂したのが『古事記』ではなかったのか?

 列島の人々は、おそらく性病が蔓延するまでは、セックスにはおおらかで、本書に示されているとおり、女性が妊娠すれば、父親は誰か、と問うことが珍しくはなかったはずなのだ。

 が、西欧の合理主義と物質至上主義が導入されてから、列島で培ってきた”まぐはひ”感覚が喪失して、近現代に至ってオトコたちは、勝手にイってしまう情けないオスになった。それが現代になれば、植物化することも当たり前で”まぐはひ”感覚などは地平の彼方に沈んでしまった。

 となれば、利権保全と経済効率論と末代の生死にかかわるエネルギーの問題などについても、ウソを言い募るインテリジェンスしか作動させられない現代人ができあがるのも当然だろうと思い至る。

 ”愛とまぐはひ”が国家を造ったのだというレトリックは、じつは神話である。そのような行為がおこなえる時間と空間があればこそ、国家も成立し、安泰であれたのだ。

 それが喪失した時空に生きなければならない我々にとって、『古事記』で語っている素朴な心を再獲得しなければならない、と思い知ったというのは、大仰すぎる感覚なのでだろうか?

 全体的いえば、この解説はヒトの心性に対する部分は、前回記事の拙文とほぼ大差はない。しかし、歴史的な視角と国家論が入ってるのは、いつもの絶好調な富野監督だと感じる。
 それだけじゃない。歴史と国家論を入れたのは、ひょっとしたら作者の大塚ひかり氏が言及してない部分までカバーしようとする意識が入っているかもしれない。頼まれも無いのに、勝手に作者が欠落(というかそもそも想定しないだろう)している部分を補完するのは、さすが富野監督としか言いようがない。


 まあ、とにかく前回で言ったとおり、大塚氏の方法論というか深読力というか観察目を盗めば、きっと将来の読書人生の役に立つだろう。そういう意味では、オススメな一冊だ。




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