富野由悠季監督とその作品をひたすら語るブログ

TOMINOSUKI / 富野愛好病
http://kaito2198.blog43.fc2.com/

プロフィール

kaito2198

Author:kaito2198
台湾人。
ただのファンです。

twitterは@kaito2198です。

仕事やブログ関係のご連絡は
kaito2198@hotmail.comまでお願いします。

給華文圈之富野由悠季愛好者的一些話
關於本站文章的轉載聲明

富野監督関連資料一覧

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

グーバーウォーク

井荻麟作詞論 第20回「海に陽に」

2013/02/27 03:23|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:1
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第20回「海に陽に」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日は第19回で、劇場版『伝説巨神イデオン 発動編』のイメージソング「海に陽に」について語りたいと思います。この回をもって4回続いた「イデオン」を終わらせて、次回からは『戦闘メカ ザブングル』に入りたいと思います。



海に陽に
作詞:井荻麟/作曲:すぎやまこういち/編曲:すぎやまこういち/歌:水原明子

キャルメロ色の重さから
ブルーの色をはえさせて
ふると流れる刻をうつして

 ご存知のとおり、『伝説巨神イデオン 発動編』は『接触編』と同時に上映した作品なのだ。そしてこの「海に陽に」も『接触編』のテーマソング「セーリング・フライ」と同じく、歌が水原明子・曲がすぎやまこういちという布陣だった。

 特筆すべきなのは、「セーリング・フライ」がアップテンポ的な曲であるのに対して、「海に陽に」はどこか物悲しさを帯びている曲で展開されている。曲のイメージと実際の映像の気分がやや離れていることから見れば、おそらく「海に陽に」は本編での使い方以前、「セーリング・フライ」が明るい曲でなければならないという既定路線に対して、商業的事情などの思惑からこうした曲調になったのではないかと考えられる(その原因は、前の記事を参照)。

 そうした商業的事情などから、結果的にいうと、この曲は井荻麟による作詞のなかでも、極めて異質な曲となっている。井荻麟作詞の曲のなかでも、このような物悲しい雰囲気を持っている曲は、たったこの曲しかない。その訳は以下で語ることにする。



 全体の歌詞を見ると、物悲しい雰囲気はさることながら、なにより「色のイメージ」が先行しているのはこの曲の特徴だ。

キャルメロ色の重さから
ブルーの色をはえさせて

悲しさ重い深海魚たち
星の光に似た夜光灯
潮の流れの目ざめの色に

たゆたいうづく雲こがね色
潮の流れのぬくもりがたち
海の色まで血の色おぼえ

 実に目まぐるしく多様な情景が目に浮かぶような言葉遣いなのだが、一つ一つを吟味すれば、ここで言おうとしている色は、実際は『発動編』のラストにおいて海に照らす、あの夜明けの色だと分かる。言葉で色を表すと一つの単語でしかないが、あえていろいろな情景を動員して色を形容するのは、さすがに井荻麟の匠心であろう



 それから、曲にはもう一つ再三出ているモチーフがある。

ねむり疲れ

 これに合わせて出された「目ざめ」「寝がえり」「ぬくもり」「夜をあけ」などの言葉も、やはり眠りか目覚めに関連するものだ。「子供」というキーワードと照り合わせる、さしずめ人類という種が眠りからの「覚醒」を表したいのだろう。富野作品のなかでも頻繁に出てくるテーマなので、単にメッセージとしてみれば、それほど珍しくもないだろう。

 しかるに、同じく井荻作詞で「覚醒」を歌う曲でも、例えば『機動戦士ガンダム』のテレビ版および劇場版の曲に比べれば、「海に陽に」に大きな違いが感じられる。「ガンダム」の曲は喜びが満ちている新しい境界を歌うのに対して、この曲はただひたすら物悲しさを語っているように展開していく。もちろん「ガンダム」と「イデオン」が扱う題材は違うのだから一概とは言えないが、あまりにも違うのだ。人間がもう一度新しい始まりをすることはこんなに哀愁を帯びているようでは、あまりにも悲しすぎる。

 しかし前述のとおり、この曲の沈んだ悲しいメロディはすでに既定路線であった。となると、この歌の異質感は旋律に支配されるところが多く、その悲しい旋律が結果的に、「発動編」本編と異なる情緒を醸し、井荻麟作詞曲のなかでも極めて異質的な曲として仕上げられた。そういう意味では、歌詞を含めて、「物悲しさ」こそはこの「海に陽に」が一番持っている性格とは言える。



 以上の話から結論を話すと、この曲が描く情景などから鑑みても、この「海に陽に」に対してもともと富野が想定した使い方は、「セーリング・フライ」と同じようにエンディングにかかるものであろう。しかし、「海に陽に」は結局本編で使われることなく、あくまで『発動編』のイメージソングに留まることになった。

 良い曲なのに使われなかったと惜しむ声もあるかもしれないが、本編で実際に使われたすぎやまこういち渾身の入魂作「カンタータ・オルビス」を聞くと、その原因はもう言われるまでもないだろう。どこか悲しい雰囲気が込められている「海に陽に」よりも、「喜」も「悲」もなく、ただ生命のありのままの荘厳を示した「カンタータ・オルビス」のほうこそが、あのただただ観客を圧倒する『イデオン発動編』のラストに相応しい曲だろう。

 そういう意味では、映画のための曲としてならば、この曲は情緒ある良いものなのだが、作品のための曲としてならば、実は失敗だったと言えるかもしれない。



 ところで、これは30年以来指摘されて続けてきたことだが、「キャルメロ色」っていったいどういう色なのでしょう? いろいろ説はあるが、結局監督の富野喜幸が「キャラメル色」と混同しちゃったという説は最有力だとされている。なぜならば、カラーチャートなどを参照すれば分かるとおり、キャラメル色はまさしく夜明けのときに見かけるオレンジ色なのだ。

 ちなみに、このキャルメロ色は富野にとってお気に入りの色であるらしく、違う言葉を使っているものの、この色を用いた表現は別の曲でも見かける。それについて、また別の記事で説明することにさせていただきます。

▽続きを読む▽

池端隆史氏「(演出において)一番影響を受けてたのは富野さん」

2013/02/25 03:13|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 池端隆史氏「(演出において)一番影響を受けてたのは富野さん」
 『げんしけん』『大正野球娘。』などの監督池端隆史氏が、アニメージュ2009年12月号の「この人に話を聞きたい」で以下の発言を残りました。

--その後、演出家の道を歩まれますが、演出の師匠になった人はいるんですか?

池端 師匠にあたる人はいません。一番影響を受けてたのは、多分、富野(由悠季)さんかな。『∀(ガンダム)』をやった時に。

--『∀』の時に富野さんに刺激を受けたというのは?

池端 なんだろうな。ひとつは自分がやってる事がそんなに間違っていないなと分かった。それから、この業界ってスケジュールもそうだし、作画もそうだけど、思った通りにいかない部分があるじゃないですか。そういう時にどうするかという方法を教えてもらった。教えてもらったというよりは、怒鳴られながら学んできましたけど(笑)。かといって、富野さんが師匠かというと、そういう感覚はないです。

 『大正野球娘。』第1話の衝撃は忘れませんでした。



 ○世に棲む日々/池端隆史│フィルムメモリー

1999年
ターンエーガンダム(演出6本)
 どこかほのぼのムードが漂う異色のガンダム。トミノ監督の技術を盗むため半分と、怖いもの見たさ半分で参加。監督には都合三回怒鳴られたが、そのうち二回はオレのせいじゃなかったりする(笑)。かなり勉強になったので元は取れた作品。

 将来的に何か記事を書くつもりですので、メモ代わりに紹介させていただきました。

大正野球娘。 DVD-BOX (全12話収録) 北米版(音声日本語)大正野球娘。 DVD-BOX (全12話収録) 北米版(音声日本語)
伊藤かな恵,中原麻衣,植田佳奈,能登麻美子

Section 23
売り上げランキング : 15068

Amazonで詳しく見る by AZlink

EMOTION the Best ぽてまよ DVD-BOXEMOTION the Best ぽてまよ DVD-BOX
花澤香菜,辻あゆみ,喜多村英梨,川澄綾子,甲斐田裕子,池端隆史

バンダイビジュアル
売り上げランキング : 22660

Amazonで詳しく見る by AZlink

最近の富野情報

2013/02/22 01:29|富野情報TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 最近の富野情報
 なんか最近の富野由悠季監督に関する情報の流れが速くて、なかなかついていけませんので、もう最速報を諦めて、大人しくリンクや記事の保存を徹します。



1、デジモノステーションで細田守監督と対談

 これで「本気度がイデオンに匹敵する作品を作った監督」は細田氏で確定ですよな。個人の知っている限り、富野監督が年下の演出家にこれほどの評価を下したのは細田氏ほか、原恵一氏しかありませんでした(、と思う)。

『ガンダム』富野監督、細田監督『おおかみこども』を絶賛「アニメの枠を超えた」 (細田守) ニュース-ORICON STYLE-

「もはやアニメの枠を超えた」と絶賛

「作者であり監督は、そこまで意識していたかどうか。手法を追求していったらこうなったのかも知れない」と、細田監督に対しても関心を寄せていたことから、同作のBlu-ray&DVD化(発売中)を機に今回の対談が実現した。

「誰でも経験するようなごく当たり前の話を、上手にアニメのメタファーを使うことで、とても見やすい長さでまとめている」と話し、「悔しいけど、細田監督はものすごくできるようになったなと思いました」と評価。本作のモチーフが普遍的であることや、“映画の公共性”についても触れ、「『おおかみこども~』はこれから10 年、20 年後の評価や認知は、今よりもはるかに高くなると信じています」と太鼓判を押した。

 「できるようになったな」はポイントですね。

富野由悠季監督、細田守監督と初対談! 『おおかみこどもの雨と雪』を絶賛 | ホビー | マイナビニュース

富野由悠季:細田守と初対談 「アニメの枠超えた」と改めて大絶賛 - MANTANWEB(まんたんウェブ)

デジモノステーション 2013年 04月号 [雑誌]デジモノステーション 2013年 04月号 [雑誌]


エムオン・エンタテインメント 2013-02-25

Amazonで詳しく見る by AZlink

おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]
宮崎あおい,大沢たかお,菅原文太,細田守

バップ
売り上げランキング : 7

Amazonで詳しく見る by AZlink



2、3月31日明治大学「宇宙社会学への入門」「未来社会構造シンポジウム 『進歩時宇夢』」で講演

 「2013年3月31日(日)に、明治大学駿河台キャンパスリバティタワー1Fのリバティホールにてシンポジウム『未来社会構造』を開催いたします。『宇宙』をテーマに、それに関わる動向をゲストの方々に議論して頂きます。入場は無料です。」とのことです。

Symposium | Constructing The Future Society

「未来社会構造シンポジウム 『進歩時宇夢』」は、2013年3月31日(日)に、明治大学駿河台キャンパスリバティータワー1Fのリバティーホールにて開催されます。入場無料です。
詳しいプログラムは2月中、こちらに掲載いたします。

趣旨:
最近の若者に欠けているとされているもの、それは「夢」、「希望」、「モチベーション」と、無関心社会と見なされた日本を新たに作り直すために は、そのキーフレーズは「復興」ではなく、「再構築」でありたい。Social Entrepreneurshipの出発点から若者が自ら新しい日本を開拓できるように、あらゆる分野の専門家を集め、日本が再び輝かせる、これまで前例のなかった宇 宙関連のビジネスやベンチャー、または社会活動を紹介していただく。最近数多くの出版物や報道で取り上げてきた宇宙ビジネスのポテンシャルを景気に、もは や「宇宙」を遠い領域ではなく、社会と親密に結びついている新たな可能性の場であること、そして今の若者がもたらす未来の鍵を握っていることを、「個」を未来に 向けて育てる明治大学を舞台に、多くの方に理解していただきたい。
当日は、幅広い専門家が集まることによって、新たな参加型の議論の場を作りたい。学生も含め、文理問わず、異なる背景の人々が意見を交わしてこそ共通の応えが目に見えてくるであろう。私たちの未来はどうあるべきかは、皆で考えましょう。

講演者(予定):
James R. Bowers (明治大学商学部)
蛭川立 (明治大学情報コミュニケーション学部)
岡田浩樹 (神戸大学国際文化学研究科)
磯部洋明 (京都大学宇宙ユニット)
Jim Pass, Ph.D. (Astrosociology Research Institute 宇宙社会学研究会(米))
Christopher Hearsey (Astrosociology Research Institute 宇宙社会学研究会(米))
富野由悠季 (アニメーション監督、京都精華大学客員教授)
松本零士 (漫画家、宇宙少年団理事)
斎藤紀男 (JAXAきぼう利用フォーラム)
吉岡奈沙 (SDF:宇宙開発フォーラム)

 入場は自由で無料だそうです。詳しい情報は上のリンクにある公式サイトをご覧下さい。

 あと、公式twitterアカウントもありますが、こちらも時々ツィートするそうです。

宇宙社会学 明治大学 (Astro_sociology)さんはTwitterを使っています

当日は、ゲストで、明大の蛭川立さん、京大宇宙ユニットの磯部洋明さん、神戸大学の岡部浩樹さん、京都精華大の富野由悠季さん、JAXAきぼう利用フォーラムの斎藤紀男さん、学生団体SDF(宇宙開発フォーラム)の吉岡奈沙さん、そして漫画界の巨匠、松本零士さんなどをお招きいたします。

 なんで富野は京都精華大教授で、松本は漫画界の巨匠になるのですかね。



3、2月20日読売夕刊対談のこぼれ話

本棚7

 公式ブログで紹介された対談以外のこぼれ話ですが、正直紙面に掲載されてる対談自体よりオススメな内容です。

豪華ガンダム鼎談を開催! : popstyleブログ : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

こんにちは!寒い日が続きますね~。そんな寒い中、ホットな鼎談を開催いたしました。
その名も「ガンダム鼎談」であります。
ファーストガンダムと呼ばれる「機動戦士ガンダム」シリーズの富野由悠季総監督、「ガンダムUC」のストーリー担当をされておられる作家の福井晴敏さん、そして、ビジネス本「僕たちはガンダムのジムである」で注目を集める常見陽平さんの豪華お三方です。
同じ部のガンダムファンも「よくぞ実現できた!」と感動してくれた鼎談なのですが、
実は藍ママ、どちらかというと「Zガンダム世代」でして、今回の鼎談にはびくびくでした。
「そんなんでよくできたね」と周囲のガンダムファンから呆れられたのも事実。
しかし! 記者がそんな情けないことを言っていてはいけないのであります。
(中略)
「ALL ABOUT」はとても大きなコーナーなのですが、それでもとても収まりませんでした。ブログでは紙面に書けなかったお話なども載せたいと思っております。


僕たちはガンダムのジムである僕たちはガンダムのジムである
常見陽平

ヴィレッジブックス
売り上げランキング : 13031

Amazonで詳しく見る by AZlink


お宝、ゲットだぜ!!!

2013/02/21 21:05|ブログ運営TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - お宝、ゲットだぜ!!!
 昨日の夜、ある友人の手助けで、6年間も探し続けた逸品をようやく手に入れました。

 これです。

 本棚7

 鈴置洋孝氏のレコード「ザ・ロンゲスト ロード イン 破嵐万丈・鈴置洋孝」だ!

 鈴置氏ご在世のとき普通にネットオークションで見つかるこの商品は、氏が亡くなられた2006年を境に、ネットオークションなどから一気に消えました。現在に至って、自分の観察した範囲では2回しか出回っていませんでした(誤差はもちろんアリ)。

 そんな貴重な富野由悠季アイテムを手に入れた今、ものすごく感動していると同時に、とても満足しています。

 このアルバムを手に入れると、井荻麟作詞についての研究も大きく進めることは間違いありません…という御託は抜きにして、今はただひたすら嬉しいです。まだ手元に届いたわけではありませんが、とりあえず最近はいい夢を見れるそうです。この場を借りて、その協力してくださった友人とすべての富野フレンドに感謝の意を捧げたい。



 ちなみに、このアルバムに収録されている11曲のうちの5曲は、以下のCDアルバムでも聞くことができます。

無敵超人ザンボット3/無敵鋼人ダイターン3 究極BGM集無敵超人ザンボット3/無敵鋼人ダイターン3 究極BGM集
TVサントラ,堀光一路,藤原誠,こおろぎ’73,ザ・ブレッスン・フォー,鈴置洋孝,間嶋里美

キングレコード
売り上げランキング : 91825

Amazonで詳しく見る by AZlink

 万丈サイドの「Banjoe」など5曲がスペシャルトラックとして収録されています。



 なお、たいらいさお氏のLPレコード「Love Profile」の買取は依然に続いています。詳しい話は左カラムの記事を読んでください。ありがとうございます。

最近の雑談

2013/02/19 15:18|富野雑談TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 最近の雑談
 twitterで書いた富野作品に対する感想をまとめました。よかったら読んでください。



1、出しゃばる女と出しゃばらない女

 前の「富野が民主党に投票した」と思い込んだtwitterでの某氏は「シロッコは富野が宮崎をモデルにしているキャラ」というツィートに関する自分の感想。別に会話ではないので、まったく違う話題になってしまったが。

「シロッコ=富野のなかの宮崎」説は面白いが、やっぱ突飛すぎるかな。ただ「女が男の論理(=劇中での戦争)に出しゃばるのはいけない。女をそれにさせてしまった男は非情な野心家(=シロッコやABのドレイクら)か無能(クロノクルら)のどっちか」という明確な構図はあると考えれば面白いかも。

こういう「女を男にしてしまった」という構図は富野のなかではZからAB戦記、Vで見かけるものなのだが、男の論理に振舞わされて、それで狂ってなってしまった代表は何よりカテジナでしょう。で、ブレン以降の「出しゃばらなくなる女」が出てくる。コモドなんかはその好例でしょう。

コモドは初登場のとき周りに噛みまくり、ブレンにも執着していた。まるでZに出てくるようなキャラだった。しかしいざふたを開けてみたら、コモドはいつの間にかあの弱そうな戦闘機のパイロットに落ち着いた。以前の富野作品なら絶対見れない話だった。

富野の「出しゃばらなくなる女」は、ブレン以降でよく見かける。ブレンは一番はっきりしてるが、∀やキンゲなどでも素直にサポートするポジションに付くという程度の描写がなされている。大事なのは、昔の「出しゃばる女と出しゃばらない女の対立構図」だったのが、ブレン以降で無くしている。




2、絵コンテ千本切りを再び検証する

富野由悠季監督の絵コンテ1000本斬り伝説は本当なのか、という記事を近いうちに書く予定。合わせてもう一人の1000本斬り奥田誠治氏の実績を検証する。これによって、本当の千本切りの地位を明かしたい。




3、実写「変態仮面」に絶望した

cg抜きの変態仮面見たかった…。cgがなくても変態できるしな。

 カンフー映画的なノリに変態すぎる描写さえあれば、別にCGじゃなくてもいいけどな。B級だからB級ノリでやっていいのは日本邦画の悪い癖だ。

HENTAI KAMEN 全5巻セット (集英社-コミック版)HENTAI KAMEN 全5巻セット (集英社-コミック版)
あんど 慶周

集英社
売り上げランキング : 311

Amazonで詳しく見る by AZlink



4、法王退位というか「Thorn Birds」の話

ええええローマ法王が退位!!!??? 退位するのか!!?? つか退位できるのか!!?? 「The Thorn Birds」では法王が自分のベッドを「ここは私のお墓になるのだ」と言ったから、てっきり天皇みたいに死ぬまで在位するものだと思った…。

 日本ではなぜかこの1983年アメリカで放送されたドラマは一度も紹介されなかったが、リチャード・チェンバレンをはじめとした名演・熱演だ。女性なら誰も一度見るべき超すばらしい作品だ。

The Thorn BirdsThe Thorn Birds
Richard Chamberlain,Rachel Ward,Barbara Stanwyck,Christopher Plummer,Jean Simmons

Varese Sarabande
売り上げランキング : 589172

Amazonで詳しく見る by AZlink



5、富野作品のOP

富野作品のOPと本編内容の乖離はしばしば取り上げられているが、そうではなく、むしろOPはあくまで作品が目指す目標を見ることができる。総合的に見れば、たとえ本編でどういう展開であれ、OPは毎話放送するたびに視聴者のイメージをつなぎ止めてくれる役割を働いてくれる。(続)

富野代表作のガンダムOPでいえば、OPではアムロがいかにも仲間と仲良く力を合わせているのように見えるが、実際の本編では皆がドライな関係を続いている。しかし、OPが「(本編が)それでも仲間でいている」というイメージを示してくれるため、視聴者が本編のそのドライな展開を耐えてくれる。

富野作品のなかでも怪作と言われているVガンダムのopでも、あくまで希望と明るさを示してくれている作りとなっている。毎週あの明るさがないと、本編の怪気炎に焼き殺された人は今よりずっと多かったんだろう。(続)

ただ、一口「富野作品」と言っても、作品ごとにそれぞれ違う文法(というか富野のなかの方向性?)を持っているため、一概とはいえないけど。ただ、OPの「映像」がまた「歌詞」と異なる役割を働いているのは確かだ。いまさらだが。

というのは井荻麟歌詞の記事を書いてるうちに得た感想だ。今までOPカットの積み重ね→ http://kaito2198.blog43.fc2.com/blog-entry-270.html … 歌詞→ http://kaito2198.blog43.fc2.com/blog-entry-1214.html … をそれぞれ論じることはあっても、本当の意味の総論はまだ生まれてないよな。富野はなんていうか(続)

オープニングが働いている役割は、何も富野作品のみに限られるわけではないが、富野の場合、自分で作詞を行い、映像にも明確なロジックを込める上、本編を非常に個性的に仕上げているため、象徴的というか、ほかの監督が作ったものより遥かに読める作りとなっている面もあるからな、個人の好み抜きで。




6、幾原邦彦の逆シャア評価

幾原邦彦はいかに演出家として優れてるかっていう傍証としては、逆シャアの友の会のメンバーのなかで、彼だけがハサウェイとクェスの関係性に注目し、ハサウェイのクェスに対するなだめ方を評価している、が挙げられる。ハサウェイをただカツと同一視するのは、あまりにも富野由悠季の演出を舐めすぎる。

 ちなみにネットでは読むことができったりします。→(リンク先

富野新情報:DeNA社長と対談、宇宙旅行シンポジウムにサプライズ発言など

2013/02/16 21:57|富野情報TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野新情報:DeNA社長と対談、宇宙旅行シンポジウムにサプライズ発言など
 こんばんは。新しく富野由悠季監督に関する情報を仕入れましたんで、ここでご報告します。



1、週刊ダイヤモンド2013年2/23号に富野由悠季監督xDENA社長守安功の特別対談「社会を変えるガンダム世代」

 来週発売の週刊ダイヤモンド2013年2/23号には「社会を変えるガンダム世代」と称する、富野由悠季監督xDENA社長守安功氏の特別対談が収録されています。ページ数は目次を見る限り、5~6ページくらいがある見込みです。

 下の公式サイトを見れば、富野監督の写真も見れます。

週刊ダイヤモンド|経済・金融・企業情報をタイムリーに伝えるビジネス誌。
n.gif
(ネタはひびのたわごとさんから仕入れたものです。ここで感謝の意を述べさせていただきます)

週刊 ダイヤモンド 2013年 2/23号 [雑誌]
週刊 ダイヤモンド 2013年 2/23号 [雑誌]


2、こっそりと第5回宇宙旅行シンポジウムに参加

 日本ロケット協会および日本航空協会は宇宙旅行に関する研究の活性化を促進するため、毎年宇宙旅行シンポジウムを開催しますが、今年2月16日はその第5回でした。シンポジウムのラストでは、富野由悠季監督はこっそり登場したそうですが、その席上では新作に意欲的な話をしました。

 以下はtwitterにより転載。

Shintarou Ozawa
‏@asakusa_sanpo
ガンダムの富野さんが、最後にサプライズで登場!! おどろいた@宇宙旅行シンポジウム
2013年2月16日 - 16:09

小規模板工房
‏@itakobo
富野御大ラストに登場。生禿は始めて。新作なんか出すみたいなことを言っていて期待。
2013年2月16日 - 16:51

Hideaki Hotta
‏@mitologia_hot
@ubitw 会場に来ていた富野由悠季監督も、「宇宙の議論はあと50年は次代に繋げ。自分もそれに叶う作品をまだ作っていきたい。」と言っていました。
2013年2月16日 - 17:52

 公式サイトは以下からですが、どうも今回富野はサプライズ登場だったそうです。

(財)日本航空協会 航空宇宙輸送研究会

現代萌衛星図鑑現代萌衛星図鑑
しきしま ふげん,松浦 晋也,へかとん

三才ブックス
売り上げランキング : 74106

Amazonで詳しく見る by AZlink

宇宙旅行はエレベーターで宇宙旅行はエレベーターで
ブラッドリー C エドワーズ,フィリップ レーガン,関根 光宏

武田ランダムハウスジャパン
売り上げランキング : 353895

Amazonで詳しく見る by AZlink

井荻麟作詞論 第16回 井荻麟というペンネームについて

2013/02/16 15:48|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第16回 井荻麟というペンネームについて
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。16回を迎えた今回では、富野由悠季監督が用いる「井荻麟」というペンネームについて語りたいと思います。



 さて、井荻麟はご存知の通り、富野由悠季監督が作詞活動をしているときに使っている名義なんですが、そのネーミングは、富野が使ってきた「阿佐南」や「井草明夫」などの偽名と同じように、地名をモチーフにしたものです。

 なぜ井荻麟かというと、サンライズの最寄り駅である上井草駅のとなりはちょうど「井荻駅」の「隣」にいるからです。近年、富野が上井草に転居しましたので、名実ともに「井荻麟」となったのはちょっと皮肉です。

富野由悠季は15のペンネームを持っている
(ペンネームについて詳しくはこの記事を参照)



 井荻麟という名義が初めて世に出たのは、『機動戦士ガンダム』第1話本放送の1979年4月7日が初めてです。使っている時期でいえば、実は「斧谷稔」に次ぐ二番目長く使っている名義だったりします。当然、「富野由悠季」よりも早く世に出ています。

 しかし、最初の数年では、富野は自分が井荻麟である事実を公開していませんでした。1979年から出版された「機動戦士ガンダム記録全集」や1980年雑誌アニメージュで連載された「イデオン・ライナーノート」、1980年発売された「ザ・ロンゲスト・ロード・イン鈴置洋孝・破嵐万丈」などでも、富野は井荻麟を自分の友人の一人という設定で解説を書いていた。そのため、この時期の富野の作詞に関する文章では、よく富野と井荻が会話するシュールなシーンが見かけます。

 井荻麟こそ富野喜幸監督そのものであることが世に知られるようになるのは、1981年5月22日、映画『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』の主題歌発表記者会見まで待たなければなりません。しかしそのあとでも、富野は引き続き井荻麟という名義で作詞をし続けて、今日に至ります。

 現在、我々はもう富野と井荻が会話するような文章を見かけることができませんが、唯一の例外としては、アニメージュ2000年4月号に収録されているインタビューでは、富野由悠季x井荻麟という設定で書かれていました(もっとも、これはあくまでライターの遊び心によるものだけど)。

 なぜ富野は偽名で作詞をやるのか、そしてなぜ井荻麟は自分であることを公開したのかというと、いろいろな説があります。その説と理由は時期によっては異なることもありますが、富野本人の言葉を借りると、だいたい「社会的な理由があってペンネームを使うようになりました」とのことです。この井荻麟作詞論という記事はペンネームの話を論じるものではありませんので、ここではあえて語りませんが、興味がある肩ならば以下の記事を参考すると幸いです。

NHKラジオ第1「渋谷アニメランド」10年5月25日放送分 - シャア専用ブログ@アクシズ



 現在、富野が井荻麟名義で行った最新の活動は、古谷徹が2008年3月28日に出したCDアルバム「HEROES 〜to my treasure〜」の二曲です。その後はしばらく新作がないために、富野もしばらく作詞を行っていません。

 しかし、新企画「Gレコ」が控えている今なら、ひょっとしたら新作の公開と共に、新たな井荻麟作詞曲を聞くことができるかもしれません。期待しよう。

▽続きを読む▽

今週分の富野情報をまとめた

2013/02/14 13:22|富野情報TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 今週分の富野情報をまとめた
 こんにちは、ただいま戻りました。明日からブログ更新は通常のスピードを戻ります。とりあえず今日は先週から今日までの富野由悠季監督に関する情報をまとめました。既出情報が多いですが、どうかご了承を。



1、デジモノステーション4月号に富野由悠季X細田守対談

 細田守監督のメディア芸術祭の講演により告知。先日富野監督は「最近全身全霊をかけるような作品を作った監督と対談した」といいましたが、おそらく細田氏だと思います。

最新デジタルグッズのONLINEセレクトマガジン|ONLINE デジモノステーション


(デジモノステーション。残念ながらこれは1月25日出版の3月号)



2、来週2月20日(水)夕刊読売新聞「popstyle」に富野由悠季監督らの対談

BC-rBe4CEAA3aaw.jpg
(ネットでの拾いものです。アップしてくださった方ありがとう)

常見陽平(つねみようへい)
‏@yoheitsunemi
【重大発表】なんか、紙面でオープンになったので、ご報告。読売新聞の来週のポップスタイルに、富野由悠季監督、福井晴敏さんとの鼎談が掲載されます!夢のような時間でした。乞うご期待!

 公式ブログは下からです。
popstyleブログ : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



3、2月8日朝日新聞「ガンダムの警鐘 映画監督・富野由悠季さん」

728455430.jpg
(やはりネットでの拾いものです。アップしてくださった方ありがとう)

 朝日新聞デジタルで読めます。会員に登録すれば全文読めます。

朝日新聞デジタル:(インタビュー)ガンダムの警鐘 映画監督・富野由悠季さん - ニュース

 一見、ロボット同士が戦う荒唐無稽なアニメーションだが、作品の中に足を踏み入れると、疑似現実と思えるほど豊かな世界が広がっているのが「機動戦士ガンダム」の魅力だ。戦争、政治、人口、環境など、現実世界でも切実な問題を扱い続けてきたガンダムから、私たちは何を学べるのか。作品世界を創造した富野由悠季さん…




4、キングゲイナー公式サイトに富野コメント

SPECIAL|OVERMAN キングゲイナー

 「あれがロボットものか!?」 乱れた男と乱れた女が、寒さを忘れてガンバレば熱くなる。そういう気合で制作をした。 吉田・安田コンビに中村・西村が噛みこんで、メカからキャラから創り出し、まだ若いライターも結集してくれて、作曲では田中公平が参加してくれれば、役者だって知った風な組み合わせにはしなかった。
 問題はゲームのキングが事件に参加したことで何かがズレていった。ソー監督にゲーム感覚がなかったせいだろう。もっとベタベタとキャラクターをいじりまわせれば良かったのだ。とはいえ、今になって見れば、アナ姫様から誰でも彼でも、毛皮のコートとジャンバーの下は汗かいているだろうという感覚は嬉しい。その感覚は、十年経ってむしろ生々しく感じる。
 アイデアより体力が必要な希有な作品で、もっとも難しいジャンルだということは知っておいていただきたい。

 あと田中公平氏のご感想も素敵なので合わせて紹介。

キングゲイナーBOX|田中公平のブログ My Quest for Beauty

この作品は、元来の富野作品の中で、特異な光を放っています。

深いのにどこか軽やかな感覚。

まるで、シェークスピアの『真夏の夜の夢』か
ヴァーグナーの『マイスタージンガー』のような趣を持っています。
(全然違う、たとえになってしまったけど)

その意味でも、富野さんのキャリアを語る上で
絶対に外してはいけない作品です。

 なぜか東スポさんにも取り上げられました。

キングゲイナー10周年で富野節がさく裂 | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社

 放送から10周年を迎えたアニメ「OVERMANキングゲイナー」(以下キングゲイナー)のBDメモリアルBOXが3・22に発売されることを記念し、富野由悠季総監督(71)がコメントを寄せた。


オーバーマン キングゲイナー BDメモリアルBOX [Blu-ray]オーバーマン キングゲイナー BDメモリアルBOX [Blu-ray]
野島裕史,かわのをとや,小林愛,富野由悠季

バンダイビジュアル 2013-03-22
売り上げランキング : 705

Amazonで詳しく見る by AZlink


 ほかにもキングゲイナーオリジナルコンテストなどが待ってますんで、忘れずに応募しましょう。

キングゲイナー10周年情報4連発! BDボックス、デザインコンテスト、イベント、そしてもう一つは…?

ブログ1週間休みます

2013/02/09 23:13|ブログ運営TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - ブログ1週間休みます
 明日は旧暦元日で、両親の実家にいる台湾中部に行かねばならないので、ブログは1週間くらい休むことにします。インターネットどころかパソコンもない環境なので、その間のコメント返信などのブログ活動はいっさいできません。どうかご了承を。

 それでは皆さん、また来週。

井荻麟作詞論 第19回「セーリング・フライ」

2013/02/08 02:59|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第19回「セーリング・フライ」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第19回は、劇場版『伝説巨神イデオン 接触編』のテーマソング「セーリング・フライ」について語りたいと思います。



セーリング・フライ
作詞:井荻麟/作曲:すぎやまこういち/編曲:すぎやまこういち/ 歌:水原明子

あこがれだけに まどわされたり
つらさのがれの 逃げ道にして
行ってはいけない メフィストのくに

 ご存知のとおり、テレビシリーズが打ち切られた後、ファン人気の後押しで復活し、映画までとなったのは『伝説巨神イデオン』という作品なのだが、この「セーリング・フライ」はまさにその『伝説巨神イデオン』の劇場版『接触編』のテーマソングだ。そういう意味では、『機動戦士ガンダム』劇場版の経緯と似ているかもしれない。

 しかしながら、『イデオン』の人気もビジネスも正直『ガンダム』の規模に匹敵できなかったため、興行の売り上げを鑑みて、『ガンダム』みたいに3部作として逐次上映されることもなく、『イデオン』は結局テレビ前半~中盤を中心とした総集編『接触編』と、本当のラストである『発動編』の両部構成を同時に上映される方式になった。そのため、曲の展開も『ガンダム』とは別の路線に進んでいたと感じられる。

 さらに、もともと『イデオン』と『ガンダム』という作品の路線の差に加えて、こうして商業的思惑が入り込んでたため、劇場版『イデオン』の曲はテレビシリーズから共にしてきたすぎやまこういちという卓越な作曲家を迎えながらも、歌手を当時駆け出しのシンガー水原明子を起用したなどの事情から、『ガンダム』の井上大輔と富野喜幸の阿吽の呼吸を発揮できなかった。しかし、その噛み合わなさは却って一種の異質感を作り、結果的に「セーリング・フライ」を歌謡曲の体裁にされながらも、劇場版『機動戦士ガンダム』以上に富野喜幸と井荻麟の世界を展開する曲にしてくれた。



 この曲を聞いたとき、一番心に刺す歌詞は何よりもこれでしょう。

行ってはいけない メフィストのくに

どうして人は 生きてゆくのか
死にゆくためと あきらめきれず
狩人のように 宇宙かけぬける

 井荻麟作詞のなかでも随一な艶かしい曲調と声、という「生」の極みの裏で確実に匂げるのは、この隠しても隠し切れない「死」の匂いだ。生き死に、そして人の性(せい)と性(さが)を描く『イデオン』なので、それくらいの感情は内包されているはずだ。しかし、テレビシリーズや映画の映像、セリフ、音楽などを含めて、これほど「生」と「死」の極限を官能的に表現してきたのは、この「セーリング・フライ」のみだと言える。

 『イデオン』という作品のなかでも表現の極北に達することを考えれば、この曲は決して単なる「総集編映画の歌謡曲もどきの主題歌」と切捨てはならない。



 それだけじゃない。以下の歌詞は、曲全体をさらに危うい境界へ導いてゆく。

忍び恋のように
スペース・ランナウェイ スペース・ランナウェイ
月と星の間を
スペース・ランナウェイ セーリング・フライ

 ここの歌詞の言葉自体も興味深いが、より注目してほしいのは、ここでこのような歌詞を入れることでここのサビにもたらす作用だ。AメロとBメロの死の暗喩を漂っている不穏の雰囲気から一転、サビのアップテンポの喜びに入る。まるで極限まで生きてると、死と分かりつつも、それを拒みがたい何かに取り付かれているようだと言わんばかりの飛躍っぶりだ。井荻麟の作風の一つに「美は乱調にあり」という意外性がよく挙げられてるが、おそらくここほど困惑させるような変調もいないだろう。

 このほかの歌詞にも、いろいろな美しい言葉によって論理の飛躍が組み込まれている。耽美な歌声と旋律に加えて、やがて全体に一種の陶酔感を与え、論理では決して解かすことはない、毒薬のような美を醸していく。不条理な美しさが満ちている、この絶望的ほどの明るさ、あるいは明るいほどの絶望としか形容しようがない、それでいてエロスあふれる歌詞は、曲全体に一種の高揚感をもたらしていく。

 この曲は決して死を賛美しているわけではないが、そのような危険な魅力を持っている。富野は決して死を謳歌していない。この点だけは間違ってほしくない。しかし認めざるを得ないのは、富野が描いてた死は時折他人が描いた生より遥かに魅力だ。そして「セーリング・フライ」の歌詞が持っている生と死の間に浮遊している危うい肉感的エロスは、井荻麟作詞のなかでも唯一無二なものなのだろう。



 では、この「セーリング・フライ」はなぜこういうアップテンポな曲だったのか。原因として一つ考えられるのは、『接触編』は名目上では独立した作品とはいえ、その実態はあくまで本命の『発動編』の前座という扱い。放映方式からしてそういう形だったので、前編を見終わった観客の気分を沈ませないためにも、高揚な気分を持たせて、後編を見続けたい期待感をあたえることは必要だという思惑から、そういう曲調になったのでしょう。

▽続きを読む▽

富野情報まとめ更新

2013/02/06 01:25|富野情報TRACKBACK:0COMMENT:5
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 富野情報まとめ更新
 2013年の富野由悠季監督に関する情報のまとめを更新しました。以下は現時点判明した2013年前半のすべての活動です。

2013年富野由悠季情報まとめ

1月10日 月刊アニメージュ2013年2月号 富野に訊け!123回
1月23日 「MEAD GUNDAM [復刻版]」発売
1月26日 「文芸春秋2013年季刊春号」エッセイ
2月1日 冲方丁対談録「にすいです。」対談(既出)
2月1日 「スペース・ランナウェイ 復活のイデオン祭り」トークショー
2月10日 月刊アニメージュ2013年3月号 富野に訊け!124回(予定)
2月20日 伝説巨神イデオン Blu-ray BOX
3月10日 月刊アニメージュ2013年4月号 富野に訊け!125回(予定)
3月23日 「キングゲイナー祭」記念イベント
3月23日 「オーバーマン キングゲイナー BDメモリアルBOX」発売
4月10日 月刊アニメージュ2013年5月号 富野に訊け!126回(予定)
5月10日 月刊アニメージュ2013年6月号 富野に訊け!127回(予定)
6月10日 月刊アニメージュ2013年7月号 富野に訊け!128回(予定)
年内 『???』発表
年内? 『???????????』発売

 これを見れば分かるとおり、今年前半はいまのところ3月のキンゲイベントしか残っていません。しかし、Gレコも控えているいま、かえって今年後半の動向が気になりますよね。ぜひとも期待しましょう。


 そのうち、文芸春秋はこれです。

文藝春秋|雑誌|文藝春秋SPECIAL_130301

スペシャルエッセイ
私の愛する銀幕のスターたち

富野由悠季 高峰秀子

 ちょうど文藝春秋は90周年企画として高峰秀子の特集もやっていますけど、富野監督のはそれと関係なく、ただの良い意味でのミーハーなのかな。

文藝春秋 SPECIAL (スペシャル) 2013年 03月号 [雑誌]文藝春秋 SPECIAL (スペシャル) 2013年 03月号 [雑誌]


文藝春秋

Amazonで詳しく見る by AZlink

井荻麟作詞論 第18回「めぐりあい」

2013/02/05 03:45|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第18回「めぐりあい」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日は第17回で、劇場版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』の主題歌「めぐりあい」について語りたいと思います。今回をもって、テレビシリーズや劇場版に渡って10回くらい書いたファーストガンダムの作詞の記事は終わります。



めぐりあい
作詞:井荻麟、売野雅勇/作曲:井上大輔/編曲:鷺巣詩郎/歌:井上大輔

Believe! 人は悲しみ重ねて 大人になる
いま 寂しさに震えてる
愛しい人の
その哀しみを 胸に抱いたままで
Believe! 涙よ 海へ還れ

 この映画のタイトルにもなっているこの「めぐりあい」は、『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』の主題歌であり、劇場版『機動戦士ガンダム』三部作において最後の曲でもある。79年から展開されたファーストガンダムの曲も、3年という期間を経て、この曲をもって終結を迎える。

 またこの曲の歌詞は井荻麟のほか、売野雅勇氏もクレジットされて、井荻麟にとっては初めての共作となっている。詳しい話は第44回くらいで説明するが、メインはあくまで井荻麟だが、実際の作業では二人が相談しつつ作る、補作というより共作の形に似ている制作状態だった模様。映画らしく甘い曲にしたり、英語を入れたりするなどのところでは、売野の影響が伺える

 曲全体を見てみると、映画らしい甘い歌詞で展開しつつ、叙情的な曲調と歌に相まって、映画ソングとしては隙がないものだといえる。歌詞についても、決して前の曲より濃くないけれど、奇をてらわない地についたものだと感じられる。



 しかし、それでは「めぐりあい」の歌詞は特筆すべきどころがないかと言われたら、決してそんなことはない。

愛しい人の
その哀しみを 胸に抱いたままで

Believe! 人は悲しみ重ねて 大人になる

恋しくて つのる想い
宙(そら) 茜色に染めてく

 以上の詞などで見かけるように、歌詞では本編のストーリーをほのめかす他、「成長」や「宇宙」など『ガンダム』という作品のテーマや情景を取り込んでいる。非常にフラットな言葉で展開する一方、この曲は実は色んな要素を取り込んでいる。

 この曲が『Ⅲ』の主題歌であるのと、劇場版ガンダム三部作の最後の曲であることを考えれば、「めぐりあい宇宙」は富野喜幸が映像面において『機動戦士ガンダム』に下した総決算なら、「めぐりあい」は井荻麟が歌詞面において『機動戦士ガンダム』という物語を総結する「作品」だと言える。実際、物語性・テーマ・情景など、あらゆる要素を集大成しつつ、未来のビジョンを提供するなどのことを考えれば、この曲がガンダムにとって不足なファクターはどこにもない



 曲は、最後ではこの歌詞で結ぶ。

誰もひとりでは 生きられない

 単純に曲だけ見れば、この一句は愛する人に向けて発する言葉のように聞こえるが、映画のラストに使われているシーンを見れば、そんな個人的な範疇に限られていると考えがたい。むしろ、人と人の繋がりを訴えているのではないかと考えることもできる。

 「誰もひとりでは生きられない」という歌詞は文字だけを見れば、極めて平凡で当たり前な話としか見えないが、その根源の思想は「傷を舐めあう道化芝居」「いくつもの愛かさねあわせて」などに通じて、「人と人は支えて生きてゆくしかない」というメッセージで、やがて富野が近年に達した「他人に生かされてる有難さ」「社会性」「隣人愛」などの考えの根源に流れている思想とも繋がっているとは言える。

 「誰もひとりでは生きられない」は、ニュータイプ要素がテレビシリーズより強く打ち出された劇場版ガンダム三部作のなかでも、その重要なニュータイプ要素を通り越える、本当の本当のテーマなのだ。



 ところで、井荻麟はガンダムのTVシリーズと劇場版においてはそれぞれ5曲を作ったが、これは実は『機動戦士ガンダム』で描かれたテーマと呼応するものとなっている。作品を見ると、ガンダムが描かれてきたものと大命題は①少年の自立(成長)→②ニュータイプ的な幻想(新しい時代への予感)→③人は支え合うこそ生きられる(未来の獲得)となっているが、これらは『ガンダム』、『ガンダム』劇場版で描かれたものだけでなく、井荻麟の作詞でも再三繰り返されている

 たとえばテレビ版の場合、①に当たるのは『翔べ! ガンダム』『永遠にアムロ』、②は『きらめきのララァ』、③は『いまはおやすみ』となっている。で、劇場版の場合、①に当たるのは『スターチルドレン』『風にひとりで』で、②は『ビギニング』、③は『めぐりあい』となっている。このようにして、映画版の曲はテレビ版の曲の精神を継承し、テレビ版が欠けている要素を追加した上で、映画ソングとしても成立している。井荻麟の作詞は曲としての独立性を確保しつつ、富野由悠季作品に秘めているテーマと呼応し、それらを歌詞で強化するような役割を果たしている

 あと、「シャアが来る」と「哀・戦士」は①②③のどれにも当てはまらないのだが、これは前の記事で言ったとおり、戦場の雰囲気を醸すのが主な役割のためだった。

▽続きを読む▽

井荻麟作詞論 第10回 記事の原則について

2013/02/02 23:07|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:2
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第10回 記事の原則について
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第10回でちょうど1/10、10%になりまして、今日はちょっと歌詞本体から離れて、100回予定の記事に関する原則と注意事項を話したいと思います。



1、はじめに
 まず、「井荻麟作詞論」という一連の記事の趣旨は、そもそもアニメーション監督の富野由悠季の作詞におけるキャリアをフォーカスするためのものです。そのキャリアをまんべんなく洗いざらいにすることによって、井荻麟の言葉遣いや技法、歌詞とアニメの差異化と連動を明確化、ひいては富野由悠季の演出の本質や作家性に迫る意図を持っています。

 そのため、この100回を書くであろう一連の記事では、毎回井荻麟作詞の1曲を取り上げる形を取り、間に息抜きという意味で井荻麟に関わる間接的な話を挟みつつ、全部100回を完走したいと思います。



2、記事の構成
 記事の構成に関して、ここで言っちゃうとなんか手の内を明かした気もしますが、別に大したことじゃないので、ここで言います。基本的に作詞の作成順で書きますが、映画・テレビが入り混じる時期の作品でしたら、作品順で書くこともあるかもしれません。

 また、記事は一つ一つ独立なものとなっていますが、前後の曲の歌詞を言及する場合もあるかもしれません。『機動戦士ガンダム』劇場版の作詞でたとえると、劇場版の歌だから結局テレビシリーズの曲を意識しないといけませんし、『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』は作品として独立だけれども一連のシリーズとして制作されたものなのですから、記事でも頻繁に前後の曲を取り上げることをせを得ません。そのためにも、記事は作成順で読むほうをオススメします。

 歌手個人のアルバムに収録されている曲に関しては、その性質はアニメソングと異なりますので、それらの曲の知名度も考えて、誠に勝手ながら後ろのほうに回しました。

 また、今のところまだ未定ですが、将来的は各段落にサブタイトルをつけることもあるかもしれません。



3、記事の予定と追加

井荻麟作詞論100回リスト(予定)

 今のところ、100回の記事は以上の予定で展開する予定ですが、私個人の思惑あるいは読者方々からの要望などによっても変わるかもしれませんので、これについてどうかご理解をください。また、100回以降も何か良いネタを思いついた場合、100回以降も描きつづける意欲はあります。もし皆さんに何かご要望がありましたら、ぜひ気軽にお伝えください。

 とりあえず、今自分が思いついた追加記事は「愛」と「そら」に関する話くらいかな…。



4、記事の原則
 記事を書く上、「作詞そのものをピックアップする」というコンセプトのもとで、自分なりに決めた原則は、以下のとおりです。

 1.曲自体を語らない:作詞と曲は連動するものですが、できるだけ曲の要素を語らないことにします。ただし作曲・編曲が作詞の成り立ちや構成などに関わる場合は、それらを言及することもあります。また、詞先・曲先という作成順に関しても、判明する場合は取り上げったりします。

 2.歌手を語らない:歌手は歌における重要な要素ですが、それでもできるだけ歌手の要素を語らないことにします。ただし、歌詞の存在がそもそも歌い手に左右する場合は、それらを取り上げます。

 3.作品自体を語らない:曲(歌詞)はそもそも作品のために存在するものですが、できるだけ本編の具体的なキャラやストーリーの要素を語らないことにします。ただし、どうしても必要な場合はやはり言及します。その場合は最小限の説明に留まります。

 4.曲の劇中の使い方を語らない:上とも関連しますが、挿入歌などに関しては、具体的に曲がどのシーンで使われたなどアニメに絡むことを語らないことにします。ただし、それが傍証的に歌詞の中身を解明できるものである場合は、それらを示して説明します。

 5.外部的事情を語らない:ほかの作詞そのもの以外に関する要素も、基本的に必要を応じて言及しますが、そうでない場合はできるだけ避けます。

 以上のいろいろな要素をできるだけ避けるのは、歌詞そのものだけにフォーカスする意図のほか、それら全部を取り上げるとボリュームが膨大になってしまいますので、結局読みやすさを優先するために、犠牲せざるを得ない部分も出るかもしれません。それでも歌詞のなかでももっとも重要なファクターは取り残らないつもりですので、読み応えは損なっていない自負はあります。



5、「客観的な批評」が目的
 それから、作詞論の記事は歌詞を一字一句読み解くのではなく、全曲を俯瞰した上で、特筆すべきところだけ取り上げる形をしております。これは、曲の趣旨や読者個人の感性を尊重するためではあるし、考証学的な読み方がかえって面白さを殺すと信じているからでもあります。カギとなる歌詞はもちろん取り上げますけど、逆にいえば記事に取り上げない歌詞にも、重要なファクターだと感じる方もいるかもしれません。人それぞれ違う感性を持っていますから。

 とはいいながらも、記事は私個人というフィルターを通して出したものですから、もちろん私個人の見解も含まれています。しかし、これらの記事が最終的に追求したいのは、私1人の独りよがりの感性による「ただの感想」でなく、作品のテーマ・コンセプトや歌詞の言葉・技法をロジック的に解読しつつ、根拠に基づける「客観的な評論」というものです。これはもちろん私本人のささやかな自負に過ぎないかもしれないですけど、少なくこれらの記事を書く際では、いつもこのような信念と自戒を持って挑むことも、ぜひ皆さんには理解してほしい。



6、引用のポリシー
 さらに、読者に曲を思い出させる目的で、記事の最初では冒頭の歌詞のみ引用しますが、著作者への尊重とそういう団体への配慮のため、全文引用は避けています。文章のなかでも重要なところに限定してそれらを引用することに留まっています。全曲の歌詞を知りたい方はお手数ですが、どうかご自分でネットから探してください。

 このやり方では、もちろん不便だと思っている方もいるんでしょうが、これは、井荻麟の曲の歌詞が大半インターネット上で見つかるからこそ出来る措置ではあるし、この100回記事をなんとか邪魔させないための配慮だと理解してほしい。



7、鈴置洋孝氏「ザ・ロンゲスト・ロード・イン鈴置洋孝・波嵐万丈」たいらいさお氏「love profile」に関して
 最後になりますが、ここで白状しますが、私個人は鈴置洋孝氏「ザ・ロンゲスト・ロード・イン鈴置洋孝・波嵐万丈」と、たいらいさお氏「love profile」の二枚のアルバムを持っていません。ゆえに、第69回~85回はアルバムを手に入るまで、申し訳ございませんけれど、しばらく欠番として飛ばさせていただきます。

 この二枚のレコードは井荻麟作詞記事を書く上ぜったいに欠かせないものだけでなく、私個人が長年探しているものでもありますので、もしこの二枚のアルバムのうちのどれを持っている方がいらっしゃったら、ぜひ私に連絡してください。どうかこの二つのアルバムに関してご協力ください。

鈴置洋孝「ザ・ロンゲスト・ロード・イン鈴置洋孝・破嵐万丈」たいらいさお「love profile」買います

3月25日追記:鈴置洋孝「ザ・ロンゲスト・ロード・イン鈴置洋孝・破嵐万丈」はおかげさまで入手しました。なお、たいらいさお「love profile」は引き続き買い取りを募集しておりますので、よろしくお願いします。




8、皆さんのご応援やご意見が大歓迎
 ま、以上の話はすべて書き手である私1人の気負いに過ぎず、読者の皆さんはただ読んでいただけるだけで十分ありがたいと思いますので、どうか気軽に読んでください。ただ、100回の記事は皆さんのご応援が不可欠ですので、どうか拍手なりコメントでご応援くださいね。ありがとうございます。

井荻麟作詞論 第15回「風にひとりで」

2013/02/01 12:39|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第15回「風にひとりで」
 井荻麟作詞論の記事は100回予定です。今日の第15回は、劇場版『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』の挿入歌「風にひとりで」について語りたいと思います。


風にひとりで
作詞:井荻麟/作曲:井上大輔/編曲:井上大輔/歌:井上大輔

なぜ泣くのです 風が痛いから
なぜ口惜しがる 懺悔もないのに
しかたないだろ 大人になるなら
耐えるしかない 今日はひとり

 さて、この「風にひとりで」は『Ⅱ』の主題歌「哀戦士」のカップリング曲で、本編でも二回ほど使われている。主題歌の「哀戦士」が無情な戦場を描くのにたいして、少年のほろ苦い思いを歌う曲となっている。

 本編での使われ方を見てみると、1回目はアムロがホワイトベースから離れて一人で砂漠に彷徨うところ、そして2回目はアムロが戦死した憧れ人マチルダを偲ぶところなのだが、やはりアムロにとって辛い場面で使われている。このように辛さを経験して大人になるのは、人なら誰もか経験する/してきたことを訴えて共感を狙うものだが、見方を限定すれば、アムロの心情を代弁する歌と見なすこともできる



 この曲には一つ興味深いところがある。この歌詞の目線だ。一見「永遠にアムロ」「スターチルドレン」で見かける少年の成長を促すようなタイプの歌詞だが、実際に以上の歌詞を吟味すれば、むしろ少年が自分に言い聞かせるような言葉にも聞こえる

なぜ泣くのです 風が痛いから

しかたないだろ 大人になるなら

なぐさめあって 何になる
居はしないのさ そんな人

 さらによく見れば、この歌詞からは少年の強がりも読み取れる。一人の思いを抱える少年がふと「なぜ泣く?」と思い浮かんだら、自分に「風が痛いから」という理由にもなってない理由を言い聞かせる。それで自分でも情けなくと思うが、やはり「しかたないだろ、大人になるなら耐えるしかない」と自分を納得させようとする。自分が寂しく感じるのも、「なぐさめあって 何になる 居はしないのさ そんな人」と一人しかいないところで強がりをみせる。

 このように、少年の負けず嫌いに対しては、大半の視聴者はうんうんと思わず頷く。視聴者が青少年の場合、それに自然に共感するし、視聴者が大人の場合、その少年の拗ねている姿は懐かしく思い、可愛くすら見える。また、このような歌詞からも、作詞家が少年に持っている優しい目線をどこか感じられる。

 こういうところから見ても、この「風にひとりで」はテレビ・映画版を含め『ガンダム』のなかで一番少年目線で展開された歌詞とは言える。



 この曲は最後ではこの言葉で結ぶ。

そして あしたは きっと

 このように明言しない手法は井荻麟が好んで使うもので、富野の作品のなかでもよく見かける。本人は尺の問題だというが、実際はこの通り作詞でも見られるものだ。言いかけもしくは含みある言い方によって、かえって視聴者の想像を膨らませる。

 また、ラストにこの詞を持ってくるのは、たとえ少年がたくさん辛さを経ても、いつか期待できる明日が待っている、と視聴者に訴えているほかない。歌詞的でいえば、途中でほろ苦い思いで味わっても未来には希望が残っている、という開放感を与えることによって、全曲に漂っているほろ苦さを、いつか分かるようになる大人の香りに昇華させてくれる。業である。未確定だけど、未確定だからこそ、期待がある。無根拠であるけど、無根拠だからこそ、ひたむきに歩いてゆける。

 このように最終的に明日を生きる期待と希望を与えることから見ても、やはり井荻麟の根っこに持っている天性の優しさが覗けると思われる。

▽続きを読む▽

ブログ内検索

なんとなく富野商品

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

まともに機能しなくてすみません。これからゆっくりペースで直します。

RSSフィード

FC2カウンター

富野監督作品一覧

  • 海のトリトン
  • しあわせの王子
  • 勇者ライディーン
  • ラ・セーヌの星
  • 無敵超人ザンボット3
  • 無敵鋼人ダイターン3
  • 機動戦士ガンダム
  • 伝説巨神イデオン
  • 機動戦士ガンダム(劇場版)
  • 機動戦士ガンダムⅡ 哀戦士編
  • 戦闘メカ ザブングル
  • 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編
  • 伝説巨神イデオン・接触篇 -A CONTACT-
  • 伝説巨神イデオン・発動篇 -Be Invoked-
  • 聖戦士ダンバイン
  • ザブングル グラフィティ
  • 重戦機エルガイム
  • 機動戦士Zガンダム
  • 機動戦士ガンダムZZ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • 機動戦士Vガンダム
  • 闇夜の時代劇 正体を見る
  • バイストンウェル物語 ガーゼィの翼
  • ブレンパワード
  • ∀ガンダム
  • 劇場版∀ガンダムⅠ 地球光
  • 劇場版∀ガンダムⅡ 月光蝶
  • OVERMAN キングゲイナー
  • 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-
  • 機動戦士ΖガンダムⅡ A New Translation -恋人たち-
  • リーンの翼
  • 機動戦士ΖガンダムⅢ A New Translation -星の鼓動は愛-
  • RING OF GUNDAM
  • ガンダム Gのレコンギスタ
  • 富野参加作品一覧

  • 鉄腕アトム
  • 戦え!オスパー
  • リボンの騎士
  • 巨人の星
  • アニマル1
  • 夕やけ番長
  • 海底少年マリン
  • どろろ
  • 紅三四郎
  • 巨人の星対鉄腕アトム
  • おらぁグズラだど
  • 男一匹ガキ大将
  • ムーミン
  • シートン動物記
  • 赤き血のイレブン
  • アタックNo.1
  • あしたのジョー
  • 男ドアホウ!甲子園
  • 昆虫物語 みなしごハッチ
  • さすらいの太陽
  • 天才バカボン
  • ふしぎなメルモ
  • 新・オバケのQ太郎
  • 国松様のお通りだい
  • いなかっぺ大将
  • 正義を愛する者 月光仮面
  • アニメ・ドキュメント ミュンヘンのへの道
  • モンシェリCoCo
  • ハゼドン
  • ど根性ガエル
  • けろっこデメタン
  • ワンサくん
  • 山ねずみロッキーチャック
  • 侍ジャイアンツ
  • 新造人間キャシャーン
  • アルプスの少女ハイジ
  • ゼロテスター
  • 昆虫物語 新みなしごハッチ
  • 小さなバイキングビッケ
  • 宇宙戦艦ヤマト
  • 破裏拳ポリマー
  • フランダースの犬
  • 母をたずねて三千里
  • アンデス少年ペペロの冒険
  • 超電磁ロボ コン・バトラーV
  • ゴワッパー5 ゴーダム
  • ろぼっ子ビートン
  • あらいぐまラスカル
  • 合身戦隊メカンダーロボ
  • 超電磁マシーン ボルテスV
  • シートン動物記 くまの子ジャッキー
  • ヤッターマン
  • ペリーヌ物語
  • 闘将ダイモス
  • 未来少年コナン
  • とびだせ!マシーン飛竜
  • まんが日本昔ばなし
  • 宇宙魔神ダイケンゴー
  • 赤毛のアン
  • 科学忍者隊ガッチャマンⅡ
  • ザ・ウルトラマン
  • 宇宙大帝ゴッドシグマ
  • ルパン三世(TV第2シリーズ)
  • 新世紀GPXサイバーフォーミュラ
  • 銀河漂流バイファム
  • ママは小学4年生
  • GUNDAM EVOLVE 5
  •  |  富野作品感想 | 富野由悠季関連 | 井荻麟関連 | 富野情報 | 富野雑談 | レビュー | ブログ運営 | 日常話 | 未分類 | 給華文讀者 | Gのレコンギスタ | 
    Copyright(C) 2007All Rights Reserved. TOMINOSUKI / 富野愛好病
    Powered by FC2ブログ.
    template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.